一般人がダンジョンに潜るのは間違っているだろうか 作:ゴリラのレクイエム
「....よし今起きたことをありのままに話そう.....
『俺は久しぶりの休日だからテンションが上がっていて、ダンまちの新刊を買いに行こうと自転車を漕いでいたら気付いた時には見知らぬ広場に立っていた』
な、何を言っているかわからねぇと思うが俺も何が起きたのかわからなかった....
頭がどうにかなりそうだっ催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ.....」
「って言ってる場合じゃねぇよォォォオ!!!!」
伊吹は広場の人達が一斉にこちらを向く中、その場に崩れ落ちた...
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それから10分程経っただろうか、伊吹はおもむろに立ち上がり
「取り敢えずココが何処なのかが問題だ」
と言い、その場にいた大量の食材を抱えた大柄な婦人に近づいた
「すみません...つかぬ事をお聞きしますが、ここって何処なんでしょうか...?」
「あんた...何を言ってるんだい?此処はオラリオの広場に決まってるじゃないか」
「....は?」
「いや『はっ?』って言われてもオラリオはオラリオじゃないか」
「えっ?オラリオってあの『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか?』の迷宮都市のオラリオですか?」
「ダンジョンが何とかは知らないけど此処は迷宮都市のオラリオ以外の何処でもないわよ」
「....ェェエエエエエエエエ⁉︎」
「ちょっと!急に大きな声出さないでちょうだい!とにかくあたしは忙しいだから当たり前の事を聞かないでちょうだい!」
そう言って婦人は伊吹には目もくれず去って行った。
伊吹は今話した内容を未だ理解できないでいた。
「いや、今のは聞き間違いかもしれん。もう一度聞いてみよう」
そして近くにいた長身の男性に尋ねた。
「あの〜此処って『迷宮都市オラリオ』の広場ですか?」
「何を言ってるんだい?此処は迷宮都市オラリオ以外の何処でもないじゃないか」
その時、1人のエルフの女性が長身の男性の元へ駆け寄ってきた。「お待たせ〜ダーリン♡どうしたのその子?」
「いや〜それがさぁハニー、この子がオラリオの広場にいるのに『此処は何処ですか?』って聞いてきたんだよ〜♡」
「えぇ〜意味わかんなーい。こんな子ほっといて早くいこぉよぉ〜♡」
「そういう事だから此処はオラリオだぞ〜忘れんなよ〜」
そう言って遠ざかって行くカップルを見ながら
「チッ、リア充は公害だよ排除されろや....」
伊吹は呟きながら考えた。
(という事は、俺、ダンまちの世界に飛ばされたって事ぉぉぉおお⁉︎え?ちょっと待って死んだの?俺一回死んでこの世界に飛ばされたの?)
「意味わからないんだけどぉぉぉおお‼︎」
伊吹の叫びは再度、街の広場に木霊した