魔法科高校の守護鴉   作:ポテチ096

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旧版三話 書き直し中です


旧三話

美沙斗が帰宅してしばらくすると彼女の携帯情報端末に一通のメールが届いた。

送ってきたのは依頼主の執事、中身は頼んでいたデータである。

早速目を通すと各人の生年月日や家族構成といった基本的なものから、これまで親しくしていた友人たちのことなど様々な情報が書き連ねられていたが、どこにも不審な点は見当たらい。

すぐさま完全に信頼していいわけではないが、とりあえず親しくなった者たちと事を構えなくていいという事実に彼女は安堵した。

内容の確認を終えた美沙斗は昨日に引き続き依頼主の執事へと連絡をする。

『鴉殿、今日は如何なる用事で?』

「連日で申し訳ないが、またお願いしたいことが」

『何でしょう?』

「私が風紀委員に入れるように手を回してもらいたい」

今日の放課後のこと、美沙斗は昼休みに続いて司波達也を尾行していたのだが、その結果彼が風紀委員になったという情報を掴んだ。

今後のことを考えると同じ委員会に所属していた方が都合がいいと判断したものの、独力ではどうしようもないので助力を頼むために連絡をしたのだった。

『わかりました、なんとかしましょう』

「では、お願いします」

 

「人員の変更、ですか?」

渡辺摩利は突然の申し出に困惑していた。

登校してすぐに職員室に呼ばれたと思ったら、いきなり自分が長を務める風紀委員の教職員推薦枠を一人変更したいと言われたのだ。

理由を聞くと、なんでもその生徒は親が海外転勤することになり、それについていく為に転校することになったとか。

最初は急なことだったので驚いたがそういう事情なら仕方ないし、特に反対する理由もなかったので構わないと答えた。

だが、交代で入ってくる者の資料のある部分を見た彼女は眉をしかめる。

そこには所属クラスE組と書いてあった、つまり二科生ということだ。

教師曰く、生徒会推薦枠に二科生が入ったので、教職員推薦枠にも一名二科生を入れてはどうかという意見が出て、それが採用されたらしい。

摩利に異議はない、彼女が心配なのは周りの反応である。

達也が風紀委員に推薦された時も、生徒会の服部副会長が反対して一悶着あったのだ、おそらく今回もすんなりとはいかないだろう。

彼はその圧倒的な実力を見せつけることで雑音をかき消してみせた、この二科生にもそれ程の実力があれば問題はないのだが…… 

「風紀委員委員に入るだけの能力があるか、それを確認してから返答してもよろしいですか?」

摩利の導き出した答えは、自らその力を測ってみるというものだった。

その結果、十分な実力があれば周りの反対などどうにでもなる、足りなければ推薦をはねのければいい。

教師の了解を得た摩利は、すぐに試験を行う為の下準備にかかった。

 

「せっかくの昼休みにすまんね」

「いえ、むしろ先輩方に時間とらせて詫びなければならないのは私の方でしょう」

摩利が教師を通して伝えた時間に、美沙斗が演習室にやってきた。

「ますば簡単に自己紹介だけ。私は渡辺摩利、当校の風紀委員長だ」

「佐藤さん初めまして、私は生徒会長の七草真由美です」

「佐藤美沙斗です」

「来てもらった理由はわかるな?」

「風紀委員会に入る為の試験と聞いています」

「その通りだ。真由美にはこの試験の立会人として同席してもらった」

「内容は?」

「私と模擬戦をしてもらう。シンプルでいいだろう?」

「そうですね」

美沙斗の表情は変わらなかったが、内心はホッとしていた。

苦手分野である魔法の実力で合否を決めるということになった場合、正攻法では合格を勝ち取ることが難しいと予想されるからだ。

もちろんその場合の備えもしてあったが、できれば避けたかったというのが偽らざる本音である。

相手が仮にどのような強者であろうと戦闘ならば美沙斗の本分、状況は申し分ない。

「こちらは準備万端だ、そちらの用意ができ次第始めよう」

「私の準備も完了しています」

「……見たところCADを持っていないようだが?」

CADというのは魔法の発動を簡略化するデバイスである。

なければ魔法を使えないというものではないが、発動を飛躍的に高速化させる為使わない理由もない。

しかしどれだけ便利で有用であろうと、戦闘時に限れば美沙斗には必要なかった。

「魔法は使用しないので問題ありません」

「わかった、だが魔法を使ってくる相手を組伏せる実力があるかを確かめなければいけない以上、こちらは遠慮なく使わせてもらうぞ」

「もちろん構いません」

「ではさっそく始めよう。開始位置についてくれ」

言われた通り美沙斗が移動したを見て、摩利も位置に着いた

。その瞬間、

 

 

 

ニ ゲ ナ ケ レ バ

 

 

 

本能が鳴らす警鐘に従って背を向けそうになった体を、理性の力で無理矢理抑え込む。

しかし逃げないようにするだけで精一杯、どうしても相手の方を見ることができない。

怖いこわい恐いコワイ

「摩利?」

心配そうな友人の声が彼女にかろうじて正気を取り戻させた。

摩利ゆっくりと深い呼吸を一度してなんとか心を落ち着かせる。

「大丈夫だ。合図を頼む」

明らかに尋常でない様子の摩利が心配な真由美であったが、摩利の言葉を信じて自分の役割を果たすことにした。

「では……始め!」

合図と共に戦闘が開始した。

開始した、筈である。

「な、何が起きたの?」

しかし、真由美は二人の戦いという過程を見ることはできず、摩利が美沙斗に組伏せられているという結果のみを知ることしかできなかった。

 

「いやはや、とんでもないな」

差し出された美沙斗の手をとって立ち上がりながら摩利は呟いた。

「一体何が起きたの?」

目の前で起きたことを理解できない真由美が説明を求める。

「なに簡単なことさ。彼女は私に近づき、投げ、極めた、それだけだ。やられた本人ですらすぐに理解できない程の速さだから、見ていただけではかわからなくても仕方ないが」

昨日達也の超人的な速さを見て驚かされたれたばかりの二人だったが、今回受けた衝撃はそれ以上である。

「佐藤さん、本当に魔法は使ってないのよね?」

真由美には使っていれば感知できたという確信はあったが、余りにも現実離れしていたために確認せずにはいられなかった。

「はい」

「達也君と同じく純粋な体術ってことなのね」

「私も信じられないよ。だが起きたことは事実だし、何よりこの実力なら十分に職務を果たせると断言できる」

「では?」

「当然、合格だ。佐藤美沙斗、今この時をもって君を風紀委員の一員として迎え入れることを宣言する」

「ありがとうございます。精一杯働くことを誓います」

こうして美沙斗は無事風紀委員会に所属することとなったのだった。

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