咲-Saki-もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら 作:神奈木直人
千里山女子の藤崎心音がマホと別れ、控え室に戻った。
「すんません、遅くなってしまって。今戻りました。」
「あっ!お帰り心音!」
「もう待ちくたびれたわ。速く帰るで。」
「すんませんでした。」
「心音、もう片付けとかは私がしておいたで。」
「おぉ、ありがとう望。」
「じゃあ、帰りましょう!」
「やっと帰れるわ。」
「ホンマすんませんでした。」
「そういえば心音、飲み物買って来るんやなかったんか?」
「あ、あー、喉乾きすぎてその場で飲み干してしもたんや!」
「ふふっ、そうか。それにしても、なんか嬉しそうやな。なんか良い事でもあったんか?」
「実はな、有名人にあったんやで。」
「えっ!?誰?もしかしてプロの人とか!?」
「まぁ、将来はなっとるんやないか?」
「マジか!サインとかもろたんか?」
「サインは貰っとらんけど、ラインはもろたで。」
「えぇ!?誰!?誰や!」
「秘密や~。」
「えぇ!いけず~!」
「分かった分かったから!後でマホに聞いとくから!」
「えぇっ!?夢乃マホのラインもろたんか!?」
「あっ、言ってしもた・・・」
「マジで!?ホンマに夢乃マホからもろたんか!?」
「ホンマかいな、あたし二回も対局したのにマホから貰っとらんで?」
「分かりましたよ、二階堂先輩もライン交換してもらうようお願いしときますよ。」
「よろしくな!」
「はいはい。」
「それはええとして、それよりも明日の五位決定戦の方が大事やろ。」
「あっ、そういえば五決あるんでしたね。」
「新道寺と姫松と有珠山の三校とですよね。」
「せやな、どこもかなり手強いけど、やっぱり問題は有珠山やろな。」
「先鋒と副将と大将が強いですからね・・・」
「まぁ、先鋒の稼ぎは渚達中堅の三人が削ってくれるとして、副将と大将が強いんは辛いな。渚には頑張って貰わんとな。」
「任せとけ!準決勝で稼げんかった分以上に稼いだるわ!」
「期待しとるで。後は心音がどれだけ大将を止められるかやな。」
「まぁ、色々と試行錯誤してみますよ。」
「それと、渚は有紗と加藤ミカより多く稼がんと辛いな。」
「有紗には負けんと思うけど、加藤ミカって奴がどれくらい強いんかまだ分からんな。マホの和了りを止めとったからかなり手強いとは思うけど。」
「まぁ、頑張ってや!」
「無責任やな・・・まぁ、出来る限りの事はしてくるわ!」
「ほな、明日も早いから今日はゆっくり休んで明日に備えるで。」
「「「「はい!」」」」
五位決定戦当日になり、出場校の選手達が控え室に向かった。
~千里山女子控え室~
「望、今回はほぼ確実にカウントダウンが決まる事は無いやろから無理はせんでええ。けど、少しでも多く和了るか他家の和了りを阻止出来るように頑張れ。それが無理ならガンオリでもええわ。振り込みまくるよりはましやからな。」
「分かりました。では、行ってきます!」
「頑張れ望!」
「はい!」
~新道寺女子控え室~
「花田先輩、頑張って下さい!」
「ありがとうございます。」
「花田、無理ばせんとってええ。自分が出来る程度で頑張れ!」
「うん、すばらに頑張って来ます!」
~姫松高校控え室~
「綾、有珠山と千里山は危ないから危険やって思たら安くても和了ってけ。」
「分かりました。」
「辛いかもしれんけど、準決勝ほどやないやろから多少気楽に行って大丈夫やと思うわ。」
「はい、ありがとうございます。では、行ってきます!」
「頑張れ~!」
~有珠山高校控え室~
「では、そろそろ行って参ります。」
「堕天使モードにならないんですか?」
「いや、なりますよ。ユキちゃん、目が凄いキラキラしててちょっと怖いです・・・」
「堕天しちゃえば怖く無くなるよ?」
「そうしたら今度は第2の自分が怖いです・・・」
「第2の自分!カッコいい!」
「やっぱり私はカッコいいよりも可愛いになりたいです・・・」
「可愛いにはもうなってるから安心して堕天していいよ。」
「えぇ、そんなぁ・・・」
成香が髪の分け目を変えた。
「おぉ!やっぱり何回見てもカッコいいです!」
「じゃあ、頑張って!」
「分かりました。」
『さぁ、五位決定戦が間もなく始まります!実況は私、針生えり、解説は三尋木咏プロです。では、本日の五位決定戦先鋒の選手を紹介致します。まずは有珠山高校の本内成香選手です。彼女は二回戦からかなり好成績を出しています。彼女についてはどう思われますか?』
『そうだねぇ、筒子が来やすいっぽいからそこ注意すれば良いんじゃね?知らんけど。』
『そうですか、では続いて姫松高校の小早川綾選手はどうでしょうか?』
『そうだねぇ、鳴いて早和了りする事が多いから、上手くはまれば有珠山の和了りも止められるかもしんないね~。』
『成る程、それは期待ですね。では、千里山女子の上野望選手はいかがでしょうか?』
『そうだねぇ、あの連続和了さえ起きなければ基本的には問題無いんじゃね。』
『そうですね、それでは最後に新道寺女子の花田煌選手です。花田選手はいかがでしょうか?』
『うーん、結構手強いんじゃねぇかな。知らんけど。』
『な、成る程・・・では選手達が対局室に出揃いましたので、先鋒戦開始です!』
~場決め結果~
上野望:東
小早川綾:南
本内成香:西
花田煌:北
~東一局~ 親:上野望
千里山 100000
姫松 100000
有珠山 100000
新道寺 100000
(とりあえず、まずは先手を打たなくては。本内さんは確実に強いのを和了ってくるはずやから得意の速攻で対抗する!)
「ポン。」
(姫松の先鋒、速攻やからかなり不利やな・・・)
「ツモ。タンヤオ三色ドラ1。1000・2000。」
(早速和了られたわ・・・)
(やっぱり和了までが速いですね。私も負けていられません。)
『五位決定戦最初の和了りは小早川選手になりました。』
『まぁ、あいつの速攻は他の奴に比べてもやっぱり速いからねぇ、最初に和了るのは予想通りって感じかな~。』
~東二局~ 親:小早川綾
姫松 104000
有珠山 99000
新道寺 99000
千里山 98000
(よし、親番やからここで連荘して少しでも稼がんと。)
「ポン。」
(これで1向聴・・・)
「ロン。混一一通東。12000。」
(うわぁ・・・早速有珠山に和了られたわ・・・これ、キッツいかもな。)
~東三局~ 親:本内成香
有珠山 111000
新道寺 99000
千里山 98000
姫松 92000
(有珠山の親番、ここで連荘されたら厳しい。速攻で防ぐ!)
「チー。」
(また速攻ですか・・・なら、これでどうですか?)
「リーチ。」
(なっ!?有珠山がリーチしてきた!これはヤバいわ。一向聴やったけどオリで・・・)
「ツモ。リーチ一発ツモ混一ダブ東。8000オール。」
(うわっ!8000オール・・・これが本物の実力なんか・・・)
(姫松が速攻やから全然和了れないのに、有珠山の和了りも注意しながらとか、私、この対局で一回も和了れんのとちゃうかな・・・?)
(これが堕天モードですか・・・すばらです!去年とはレベルが違いますね。とりあえず今は、この親を流さないと行けませんね!)
~東三局一本場~ 親:本内成香
有珠山 135000
新道寺 91000
千里山 90000
姫松 84000
(有珠山にこれ以上連荘させる訳にはいきませんね。)
「ポン!」
(新道寺の人が鳴いた。私も負けていられません!)
「ポン。」
(これで聴牌です!)
「それポン!」
(また新道寺が鳴いた。)
(また手番を飛ばされました・・・)
(来たっ!)
「ツモ!タンヤオ対々ドラドラ。2100・4100。」
(よし、これで有珠山の親を流せた上に二位浮上。この調子で行くで!)
~東四局~ 親:花田煌
有珠山 130900
姫松 92300
新道寺 88900
千里山 87900
(よし、配牌もええ感じや。今回も速攻で和了る!)
「ポン。」
(また速攻をしてくるのですか・・・すばらです!)
(まだ大丈夫なはずです。)
「それ、ロン。タンヤオ対々。3900です!」
(まさか、直撃を受けるとは・・・)
(有珠山の方に直撃してしまうなんて、すばらです!凄いですね。姫松の方。)
(姫松が結構強いな。私も負けてられんわ!)
~南一局~ 親:上野望
有珠山 137000
姫松 96200
新道寺 88900
千里山 87900
(このまま頑張ってプラスまで持っていくで!)
(このまま好き勝手やられる訳にはいにませんね。)
「ポン。」
(えっ、有珠山が鳴いた!?鳴かなくても十分速いし強いのに、なんでそんな事・・・)
「ロン。混一対々。8000。」
(うわ、また有珠山に直撃された。しかも今の鳴き、私の速攻に勝つ為にやったんですかね。だとしたら流石の私も追い付けんわ・・・)
(また姫松の順位が下。いっぱい和了っているのになんや可哀想やな。)
~南二局~ 親:小早川綾
有珠山 145000
新道寺 88900
姫松 88200
千里山 87900
(もう親番が終わってしもた・・・もうこっからはオリで・・・いや、部長に言われてた通り、行ける局は行く。まだ諦めんで!)
~8巡目~
(なんや、よう分からんけど誰も和了らずに2副露して聴牌出来たわ。これはこっちに風が吹いとるんや無いんか?これは行けるで!)
~10巡目~
「ツモ。タンヤオのみ。300・500です。」
(千里山が和了った・・・)
(カウントダウンが始まる・・・)
(これは、すばらですね・・・)
(よし、カウントダウン5!)
~千里山女子控え室~
「おっ!望がカウントダウンしましたよ!」
「せやな、けど、もう親番は無いからな。こっから和了れたとしても2回までですよね・・・」
「まぁ、大きいの和了れればいいですけどね。」
「せやな。」
~南三局~ 親:本内成香
有珠山 144700
千里山 89000
新道寺 88600
姫松 87700
(これは、来たで!これで一発逆転や!)
~4巡目~
(4巡目まで打って次のツモで千里山が和了って来ますね。でも何故リーチを掛けないんでしょうか・・・?倍満の手だからリーチを掛けても意味がないとか、でしょうか?いや、この捨て牌は、まさか!?)
「ツモ。国士無双。8000・16000です!」
(嘘やろ・・・)
(これは、すばら!)
~南四局~ 親:花田煌
有珠山 128700
千里山 121000
新道寺 80600
姫松 79700
(また和了って有珠山を逆転して泉先輩にバトンタッチするで!)
「リーチ。」
(はぁ?有珠山がダブルリーチ!?)
(すばらっ!?)
(これは、やられてしまいますね・・・)
「ツモ。ダブリー一発ツモ混一。3000・6000。」
(最後の最後になんてもんしてくるんや・・・)
『先鋒戦終了です!上野選手の役満で有珠山との点差が詰まり、逆転されるかと思いましたけど有珠山が引き離しましたね。』
『いやぁ、最後にダブリーとか持ってるね~。』
『本当にそうですね・・・さて、今回の五位決定戦は半荘一回の為、次は次鋒戦となります。』
~先鋒戦結果~
有珠山 140700
千里山 118000
姫松 76700
新道寺 74600