咲-Saki-もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら   作:神奈木直人

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県予選決勝は前半と後半の2話に分けて全10話で終わらせる予定です。実況と解説とアナウンスの声は『』にしています。


第9話 先鋒前半戦

遂に決勝戦の当日になった。二回戦を突破した咲達は県予選の会場近くの旅館に泊まっていた。

「ほれ、起きろー。朝じゃ。」

まこが部員達を起こす。部員達は眠そうではあったが、決勝戦当日という事もあり、しっかりと目を覚ましていた。身支度を済ませて、隣の部屋に泊まっていた京太郎と合流して、出発の時間になった。

「ほいじゃあ、出発じゃ。」

「頑張ろうね、和ちゃん。」

「はい。今年も絶対優勝しましょう。」

「それじゃあ、行くじぇ!」

「はい!」

旅館を出発して、会場に着いた。会場に入ると、中にいた人達の注目が集まった。

「昨年の優勝校の清澄高校だ!」

「今年も優勝してインターハイ二連覇なるか?」

会場がざわめき始めた。雑誌の記者の人に取材され、控え室に移動しようとしていると、そこにある人がいた。

「皆、今日は絶対勝たなきゃいけない日よ。頑張って。」

そこにいたのは久だった。

「部長!」

「あら、部長じゃないでしょ?」

「竹井先輩、見に来てくれたんですね。」

「えぇ、昨日はサークルの活動があって行けなかったけど、今日は来れたわ。」

「そうだったんですか。」

「今日来るのは私だけじゃ無いわよ。去年の3年生達もやって来るわ。」

「ワハハ、清澄じゃないか。」

「久もいるな。」

「あら、噂をすれば影ね。蒲原さん、ゆみ。」

「久しいな、今年の清澄は久が抜けたが、大丈夫なのか?」

「ふふっ、それは見てのお楽しみよ。逆に、鶴賀の方はどうなの?二人が抜けて部員3人しかいないんじゃない?」

「大丈夫、優秀な二人が入ってくれたからな。」

優秀な二人と言う言葉を聞いて、咲が思い出したようにゆみに尋ねた。

「あ、それってもしかして一葉ちゃんですか?」

「ん?一ノ瀬を知っているのか?」

「はい。昨日道に迷ってたら、一葉ちゃんが道を案内してくれたんです。」

「えっ!?マホちゃんが連れてきたんじゃ無いんですか?」

「えっと、宮永先輩を見つけたのはいいんですけど、そこがどこだか分からなくなってしまって。」

「はぁ、マホちゃんに任せた私がバカでした。」

「咲はまた迷子になってたの?まったく、2年目なんだからしっかりしてちょうだい。」

「はい。」

「もう少し話したいところじゃけど時間じゃけぇもう行くわ。」

「そっか。じゃ、頑張れ。」

「絶対全国に行くじぇ!」

咲達が控え室に向かうと、久が呼んでいたもう一人の人物がやって来た。

「あら、美穂子来たわね。」

「上埜さ・・・じゃなくて久、それに二人とも。久しぶりです。」

「私とは昨日会ったじゃない。」

「そ、そうですね。」

「昨日?どうして昨日会ったんだ?」

「言ってなかったっけ?私と美穂子は一緒の大学なのよ。」

「ワハハ、そうだったのか。」

「えぇ、昨日はサークルの活動があって、久と私はその活動に行ってたんです。」

「なるほどなー。」

「それより美穂子、今年の風越に凄い子が入ったって聞いたんだけど。」

「そうなの、冬室氷華さんって言うんだけど。」

「冬室?私の通ってる大学にも冬室がいたような気がするな。」

ゆみがそう言うと、後ろから声がした。

「そりゃあそうよ、だって私の妹だもの。」

「冬室じゃないか。」

「よっ、加治木。」

「あっ、貴女は、冬室焦華さん。」

「え、美穂子、この人知ってるの?」

「えぇ、冬室さんは、私が高校1年の時に完敗した相手です。」

「へぇー、覚えてたんだ。福路美穂子さん。」

「はい。でも、あんなに強かったのにどうして2年から公式大会に出なくなったのですか?」

「いやー、実は2年も一応出てたんだよ。」

「そうなんですか?」

「まぁね、父親の仕事の都合で2年前まで東京に住んでてね、そこで西東京代表の個人戦であの宮永照に散々やられたわけよ。そのせいでこれまであった自信が無くなって全然勝てなくなったから部を辞めちゃったんだよ。」

「そんな事があったんですか。」

「盛り上がってるところ悪いんだけど、そろそろ席取らないと埋まっちゃうわよ?」

「うわっ、急ぎましょう。」

美穂子達が急いで席の確保をする。まだ席が余っていた為、全員座ることが出来た。

その頃、清澄高校は決勝戦の準備をしていた。

「これが俺の特性タコスだぁー!」

「おぉ!去年のよりも美味しそうだじょ。成長したな京太郎!」

「うん、これ凄く美味しいよ、京ちゃん。」

「そうだろうな、料理本買って研究したからな。」

「もはやただの主夫じゃな・・・」

「美味しかったじょ。後半戦の分のタコスの買い出しもよろしくな!」

「おう、任せろ!」

「あの、須賀先輩、マホも中堅戦の時に食べたいのでもう1つ買ってきて欲しいです。」

「1つ?2つじゃなくて?」

「はい。」

「今日の団体戦は前半と後半があるんたぞ?」

「はい、1つでお願いします。」

「そっか、わかった。じゃあ行ってくる。」

(後輩にまでパシられてる京ちゃんって・・・)

『まもなく、県予選決勝の先鋒戦を開始します。出場選手の方は対局室に移動して下さい。』

「おっと、私も呼ばれたじぇ。それじゃ、私も行ってくるじょ!」

「頑張れよー。」

「頑張って下さいです。」

「任せとけ!」

優希が対局室に向かう。そして対局室に入ると、去年の先鋒戦でも戦った龍門渕高校の井上純がいた。

「久しぶりだな、ノッポ!」

「タコスチビじゃねぇか、今年も焼き鳥にならないようにせいぜい頑張れよ。」

「なにおぅ!」

「あれ、今日はタコス持ってきてないのか?」

「お前にまた食べられるから先に食べてきたじぇ。」

「もう食わねぇよ。」

二人が喋っていると、氷華が到着していた。

「よろしくお願いします。」

「おう。」

「よろしくな!」

(清澄高校の片岡優希、昨日の東一局での連続和了は厄介。とりあえず最初は片岡優希を警戒していればいいか。そして、龍門渕高校の井上純、この人も昨日一人で終わらせていた。牌譜を見た感じだと鳴いてずらす事で相手の手を鈍らせるといった感じだった。ん?ならば最初はこの人の手助けをして片岡優希を和了らせないようにしていればいいかな。)

もう一人が対局室に入ってきた。

「よ、よろしく。」

(この人は確か、鶴賀学園の津山睦月。昨日の試合はいたって普通。去年もあまり和了れていなかったし、そこまで注意しなくてもいいかな。)

四人が揃い、場決めをする。場決めの結果は、優希が東、純が南、氷華が西、睦月が北となった。場決めが終わり、各々の席に着き、対局が開始された。

~東一局~ 親:片岡優希

『さぁ、遂に決勝戦が始まりました。この先鋒戦は、昨日の予選で、次鋒戦に回さずに終わらせた今年のシード校の清澄高校片岡選手と龍門渕高校井上選手。そして昨年のインターミドル覇者の冬室選手という好カードが揃っております。解説の藤田プロは、この試合をどのように見ますか?』

『今年の先鋒戦、風越以外は去年と同じ面子だ。風越の冬室がどれくらいの者か、お手並み拝見と言った感じだな。』

~3巡目~

「親リーチ、いっくじぇ!」

『清澄高校片岡選手、3巡目に親リーチです。』

(やっぱりタコス女、早ぇ。しかも鳴いてずらすこともできねぇ。)

(とりあえず最初は何もせずに様子見で・・・)

優希が次の牌を引く。優希の口がつり上がった。

「来たじぇ!ツモ!リーチ一発ツモタンピンドラ1で6000オールだじぇ!」

『清澄高校、いきなりの6000オールツモ。これは幸先の良いスタートを切る事が出来たのではないでしょうか。』

(クソっ、ずらせなかった。)

~東一局一本場~ 親:片岡優希

清澄 118000

風越 94000

龍門渕 94000

鶴賀 94000

~4巡目~

(龍門渕が1副露。さっきのポンで清澄の勢いが衰えたように感じる・・・今がチャンス。)

「ポン。」

優希が出した8ピンを氷華がポンした。

(来たか、風越の冬室。食いタンで流す気だな?ならばこっちも動くじぇ。)

「ポンだじぇ!」

氷華が出した東を優希がポンした。

(ダブ東!?くそっ、風越の、何考えてやがる!)

「チー。」

『冬室選手、2副露で食いタン聴牌です。』

(2副露、そろそろヤバいか。)

「ポン。」

氷華が捨てた1ピンを純がポンする。

「ツモ。断么のみ。500・800の一本付けです。」

純が牌を捨てた直後、氷華が和了った。

(くっ、流されたじぇ。でもまだ東場は続いてる、まだまだこれからだじぇ!)

~東二局~ 親:井上純

清澄 117100

風越 96100

龍門渕 93400

鶴賀 93400

~6巡目~

「ツモのみ。500・800です。」

『風越の冬室氷華、また安手だな。』

『冬室選手は、昨日の対局では東場を安手で流して南場では高い打点を出していました。今回も東場を流すつもりなのでしょうか。』

(早ぇ、鳴いてないのにこんなに早く和了れるのかよ。まぁでも、安手ばっかりで助かったぜ。これくらいの差なら、楽勝で埋められる。)

~東三局~ 親:冬室氷華

清澄 116600

風越 97900

鶴賀 92900

龍門渕 92600

(こいつの親番はなんとしても和了らせない。)

~3巡目~

「ポン。」

~4巡目~

「チー。」

(ノッポが2副露、危険だじぇ。)

(・・・)

「ロン。8000だ!」

放銃したのは氷華だった。

(まさかこいつから直撃をとれるとは思ってなかったな。よし、調子出てきた。)

~東四局~ 親:津山睦月

清澄 116600

龍門渕 100600

鶴賀 92900

風越 89900

(ヤバいじぇ!最初に和了ったっきり、全く和了れてないじょ。でもまだ16000点差がある。なんとかなるか?)

~6巡目~

「ツモのみ。500・800です。」

(なっ、またそんな安手を・・・)

(東場が終わっちゃったじぇ・・・)

~南一局~ 親:片岡優希

清澄 116100

龍門渕 100100

鶴賀 92100

風越 91700

(東場が終わってタコス女の手が落ちてきている。ここらでこいつから直撃を取っときたいな。・・・と思ったら清一の一向聴じゃねぇか。ここは鳴かずに進めるか。)

~5巡目~

「ロン。清一色、12000だ!」

(じぇ!12000の直撃で2位に転落・・・南場で手が悪くなってるのにこれは辛いじょ。)

(よし、タコスから直撃を取れた。これで俺がトップだ。)

~南二局~ 親:井上純

龍門渕 112100

清澄 104100

鶴賀 92100

風越 91700

(このまま親で連荘してやる。)

「ポン。」

「チー。」

(よし、これで7700取れる。この局も貰った。)

「ツモ。面前混一色自模。2000・4000です。」

和了ったのは純ではなく氷華だった。

(また和了られたじぇ・・・)

(くそっ、親被りで4000マイナスか。こいつ、やっぱり南場は高い打点を出してきやがる。まぁ、満貫程度で俺のトップは揺るがないけどな。)

~南三局~ 親:冬室氷華

龍門渕 108100

清澄 102100

風越 99700

鶴賀 90100

「チー。」

「ポン。」

(張った。3900だけどタコス女に直撃出来れば一人浮き状態になれる。)

(うぅ、配牌も悪いし有効牌も全然来ないじぇ・・・)

「ロンだ!3900。」

(じぇ、またノッポに取られちゃったじょ・・・今年も、今年もこいつにやられるのか。)

(よっし、タコス女から直撃が取れた。このまま俺が独走してやるよ。)

~南四局~ 親:津山睦月

龍門渕 112000

風越 99700

清澄 98200

鶴賀 90100

(このまま俺が独走する!)

~3巡目~

「ツモ。面前混一色自模一気通貫で3000・6000です。」

(3巡目に混一の一通ツモ!?ヤバすぎだじぇ。)

(くそっ、最後に捲られた。しかもまた染め手、染めるのが得意なのか?後半戦はそういうところも見ながらやるか。)

『前半戦終了。一人浮きしていた龍門渕高校を風越女子が跳満和了で逆転。一気に1位に浮上しました。』

~先鋒前半戦結果~

風越 111700

龍門渕 109000

清澄 95200

鶴賀 84100

前半戦を終えて、氷華は一旦控え室に戻った。

「おい冬室!なんださっきの試合は!後半戦もあんな腑抜けた打ち方するつもりかよ!」

「安心して下さいコーチ。さっきの試合はいわば様子見です。次の半荘で一気に差を広げて来ます。」

「ほう、じゃあ150000以上にして次鋒戦に回せ。それが出来なかったらこの部を辞めろ。」

「こ、コーチ!それは流石に言い過ぎです!」

「いや、大丈夫です、池田先輩。」

「でも150000なんて流石に・・・」

「大丈夫ですから。」

「うん、私も氷華を信じるし!」

「ありがとうございます。ではコーチ、後半戦楽しみにしていて下さい。」

氷華が移動しようとすると、池田が引き留めた。

「本当に大丈夫だよね?」

「大丈夫です。冷血女王と言われた私の真の実力を見せてあげますよ。」

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