ハイスクールD×D 〜モンスターなハンターと過負荷の物語〜 作:深道兎心
駒王学園、旧校舎。かつてない緊張感が漂う中、運命の**「三大勢力会談」**の幕が上がった。
円卓を囲むのは、魔王サーゼクスとセラフォール。天界からは大天使ミカエル。そして堕天使の総督アザゼル。それぞれの傍らには、渚たち「伝説の英雄チーム」とリアス率いるオカルト研究部、そして不敵な笑みを浮かべる白龍皇ヴァーリが控えていた。
会談はリアスによるコカビエル襲撃事件の報告から始まった。渚の圧倒的な力による鎮圧が語られると、ミカエルは深く頷き、アザゼルは興味深げに渚を眺める。
「さて……次は俺か。最近、神器(セイクリッド・ギア)の所有者を集めている件だが、これはあくまで『研究』だ」
アザゼルは分厚い研究書類を放り出すと、場を射抜くような鋭い視線で本題を切り出した。
「単刀直入に言おう。――和平を結ばないか?」
その提案を前に、アザゼルは若き力を持つ4人に問いかける。「今後、どうしたいか」と。
「私は強者と戦えればそれでいい。特に――骸、お前とな」
ヴァーリの好戦的な答え。
「俺は、愛するリアス……部長を守るために戦います!」
イッセーの真っ直ぐな宣言。
「俺は、大切な家族(ユーたち)に手出しをしないのであれば、牙を剥くつもりはない」
「僕も、ナギと同じ。家族の平穏を乱す者は許さないよ」
渚と骸の、静かだが重みのある言葉。
アザゼルは愉快そうに笑った。
「白龍皇は闘争、赤龍帝は愛、そして伝説の英雄は家族、か。面白い」
改めて和平への合意がなされ、歴史的な一歩が踏み出された――その瞬間だった。
――ピキィィィィン!
世界から色が消え、時間が凍りつく。
動けるのは魔王級の力を持つ者と、強力な結界内にいるメンバーのみ。
「これは……ギャスパーの力!?」
「いいえ、意図的に増幅し、暴走させられていますわ」
サクヤの冷静な指摘に、渚の目が鋭く光る。奥の部屋で待機していたはずのギャスパーが、外敵の手によって利用されている。
渚は無言で腰にライダーベルトを装着した。
その無言の怒りに呼応するように、次元の裂け目から赤色の甲虫――カブトゼクターが飛来し、渚の手中に収まる。
「……変身」
『HEN-SHIN』
瞬時に重厚な鎧を纏ったマスクドフォームへ。だが、渚は止まらない。ゼクターのツノを倒し、一気に解き放つ。
「キャストオフ!」
『CAST OFF!』
『CHANGE BEETLE!』
弾け飛んだ装甲が周囲の敵をなぎ倒し、洗練された真紅の姿が現れる。
渚はそのまま、ベルトの脇を叩いた。
『CLOCK UP!』
クロックアップの世界。止まった時間の中で、渚は超高速で移動し、ギャスパーが囚われている旧校舎の一室へと突入した。
そこには、自身の力が暴走し、仲間を止めてしまったことに絶望するギャスパーがいた。
「お願い……渚先輩、僕を殺して! 僕がいると、みんなを傷つけちゃう!」
その悲痛な叫びに、ギャスパーを拘束していた魔術師のシスターが嘲笑う。
「ええ、その通り。こんな神器もまともに扱えない無能、死んだ方が世のためですわ!」
その言葉が、渚の逆鱗に触れた。
『CLOCK UP(再起動)』
一瞬。文字通り「一瞬」だった。
シスターたちが何が起きたか理解する暇もなく、渚は超高速の打撃ですべての敵を気絶させた。変身を解除し、元の姿に戻った渚は、震えるギャスパーのもとへ歩み寄る。
「……バカを言うな」
渚は優しく、しかし力強く、ギャスパーをその胸に抱きしめた。
「誰も傷ついてなんていない。お前が止めてくれたから、俺はこうしてここに来れたんだ。……よく耐えたな、ギャスパー」
「……あ……う、あああぁぁぁ……っ!」
渚の温もりと、肯定してくれる言葉。
ギャスパーは子供のように声を上げ、英雄の胸の中で堰を切ったように泣きじゃくった。その涙は、彼女を縛っていた恐怖という鎖を溶かしていく。
だが、校舎の外では依然としてテロリストたちの攻撃が続いていた。