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20:05 とある高校男子学生寮の一室
「…ね、インデックスはいつ戻ってくるの?」チュッ
「ん…。そろそろ戻ってくるはず…」チュッ
「…んぅ。じゃ、それまで、こうしてても、いいよね?」チュク
「…ああ」チュ
「…はむ」チュゥ
「ん…」ピチャ
「…」チュッ
「…」チュゥ
ピンポーン
「!!」ビクッ
「!!」ビクッ
「とうまー。ただいまなんだよー」ドンドン
「…時間切れだ」
「…そうね。残念だけど」
「冷蔵庫からケーキとジュース出してきてくれるか?」
「りょーかい」
お互い立ち上がって小さく微笑み合い、軽く唇を合わせてから少年は玄関へ、少女は台所へと向かう。
「おかえり、インデックス」
「ただいま。とうま。む。美味しそうな匂いがするんだよ!」
「美琴がたくさんシチューを作ってくれたからな。明日の朝は豪勢だぞ」
(む。自然に名前で呼んでる)「…さすがみことなんだよ!」
「おかえりなさい。インデックス。ちょうどケーキを食べようと思っていたところよ」
「いいタイミングで帰ってきたんだよ!」
「ふふ。手を洗ってきなさい」
「わかったんだよ!」
洗面所へと走っていく銀髪の少女を見送ってから、テーブルの上にケーキとジュースを置いた茶髪の少女は、部屋の隅に置いておいた袋を見て眉を顰める。
「良く考えたらインデックスって外出着は修道服しか持ってなかったっけ…」
「簡素な(激安)ワンピースなら持っているはずだぞ。まあ飛行機に乗るときくらいしか着ないけど、またどうして?」
「修道服だと袖が邪魔でダウンジャケット着れないかなー?って思って。でも大きめなもの買ってきたし大丈夫かな?」
「そもそもアレの上から着ていいものなのか?それって?」
「宗派によると思うけど、学舎の園のシスターは修道服の上から普通にマント羽織ったりしてるから大丈夫だと思う」
「そっか」
「わわっ。おっきいケーキなんだよ!」キラキラ
「ふふん。上条さん驕っちゃいましたよ」
「偉いんだよ、とうま!」
「あ、インデックス、ちょろっとフード取って両手を水平に伸ばしてくれる?」
「なぜ私が磔刑の真似事をしなくちゃいけないんだよ?」
「ああ、違う違う」ゴソゴソ
不満そうな少女に向かって、美琴は慌てて紙袋から白いダウンジャケットを取り出して広げる。
「これ、インデックスにと思って。合わせてみようかなってさ」
「あったかそうなんだよ!?えっと、フードを取って…。みこと、これでいい?」
ダウンジャケットを見て、銀髪の少女は言われたとおりにフードを外し、両手を伸ばした。
「うん。修道服の袖を押さえて持ってねー。…よっ、と。うん。着れるみたいね」
「もこもこで暖かいんだよ!?」
「よかったあ。着られて。これで外行く時も寒くないでしょ?」
「ありがとうなんだよ!みこと」
「どういたしまして。脇にポケットがあるから、そこに手を入れるといいわよ」
「確かに暖かいけど、危ないかも」
「確かにそうねー。じゃ、明日、手袋とか買いに行こうか?」
「いいの?」
「女の子だもん。もっとお洒落しないとね」
もそもそとフードを被りながら、銀髪の少女は言う。
「でも、美琴はいつも同じ格好だよね?」
「う、これは学校の制服で、アンタの修道服と同じようなものだから仕方ないのよ」
「そっか」
「はは。インデックス。なんかスノーマンみたいだな」
フードを被り終わった少女を見て、家主の少年がそう言った瞬間、何かが弾けるような音と共に、室内の空気が変わった。
「えーっと、インデックスさん?」ダラダラ
「…どうやらケーキの前にとうまの頭を齧らないといけないみたいなんだよ」ガチガチ
「待ってくださいインデックスさん!み、美琴?インデックスを止めてくれ」
「…当麻ゴメン。さすがに女の子を『スノーマン』って言っちゃうのは擁護できないわ」
「え?なんで?ちょっと落ち着いてくださいインデックスさん!?可愛いじゃんかスノーマン!」
(みことも普通にとうまのことを名前で呼んでいるんだよ)「…私は女の子なんだよ、とうま!」ガブッ
「ぎゃああああああああっ!!不幸だあああああっっ!!」
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「とうま。みこと。私に言うことあるんじゃないの?」モグモグ
ケーキを頬張りながら銀髪の少女が言うと、同じようにケーキを食べていた少年と茶髪の少女の手が止まった。
「…インデックス」
「…」
大きく息を吸い込み、少年は真っ直ぐに銀髪の少女を見た。
「俺、美琴と婚約した」
「え?婚約!?」
「あー、なんていうか、自分の気持ちに素直になったらさ、美琴を離したくないって思って」///
「当麻」(なにこれ、嬉しすぎる)///
「驚いたんだよ。みことがとうまのこと好きだっていうのはバレバレだったんだけど、とうまがみことのことをそんなに好きだったなんて思わなかったんだよ」
「うぇ!?わたし、そんなにわかりやすかった!?」///
「暇さえあればとうまを見ていて、頬を染めていれば誰だってわかるんだよ」
「そ、そんなことしてた?わたし!?」///
「うん」
「…」(俺はてっきり怒って睨んでるのかと思ってたんですけど!?あれ、照れてたのか?)
「まったく、とうまは女の子の気持ちに疎いんだよ」
「疎いも何も、俺なんかに好意を寄せてくれる子なんているわけないだろうが!」
「ここに居るわよ馬鹿!!」
「美琴…」ジーン
「当麻…」
「いきなりふたりの世界に入るのはやめて欲しいんだよ」ハァ
「わ、悪い」///
「ご、ごめん」///
「…とうま」
銀髪の少女は皿の上にフォークを置き、真っ直ぐに少年を見る。
「どうした?インデックス」
「とうまは、伴侶としてみことを選んだんだね?」
「…そうだ」
「…」(やっぱり、インデックスも当麻のこと…)
「みことも、伴侶としてとうまを選んだんだね?」
「…うん」
「おめでとう。とうま、みこと」ニコ
「あ、ああ」
「ありがとう、インデックス」
銀髪の少女に返事をした後、少年はいつの間にか伏せていた顔を上げて銀髪の少女を見る。どことなく寂しそうな表情。
「あ、あのな、インデックス!俺と美琴は恋人になったけど、お前はこのままここに居ていいんだぞ!上手くいえないけど、その、お前は俺にとって家族みたいなもんで…」
「みことととうまが姦淫しないよう、シスターである私がしっかり見張ってあげるんだよ!」
「ちょっと待て!なにさらっと凄いこと言ってやがる」
「か、か、か、かん、かん、かん………」アワワワワ///
「美琴、落ち着け」ポン
「ふにゃー」///
「…その様子なら大丈夫そうなんだよ。…それで、ね、とうま。…本当にいいの?」
「何がだ?」
「私、ここにいても、いいの?」
真っ直ぐに少年を見つめて、銀髪の少女は言った。
(インデックス、アンタ…)
「お前なにを言ってるんだ?」
「家族でも恋人でもない私が、ここにいてもいいの?」
「お前…。何でそんなこと言うんだよ」
「だって、私、他人だし」ショボン
「なっ、お前、いまさら何言ってやがる」
少年は銀髪の少女の頭に手を置くと、そのままぐりぐりと撫でる。
「痛いんだよ、とうま」
「インデックス。俺は『御坂美琴と彼女の周りの世界を守る』って約束してるんだよ。そして、その世界にはもちろんお前も入っている」
インデックス「…とうま」
「美琴。俺はインデックスのことを家族と同じように考えてる。だから、こいつがこのままここに居ることを許してやってほしい」
「許すも何も、アンタが家族だって言うんならわたしがどうこういうことじゃないでしょ」(わたしと私の周りの世界を守るって…)///
「スマン」
「…みこと」
「それに、と、と、と、友達を追い出すような真似、わたしにはできないわよ」///
「ともだち?」
「わ、わたしは、インデックスとは友達だって思ってるけど…駄目、かな?」
「ふ、ふえええええんっっ!!」
「だああああっ!泣くなインデックス!」
「わっ、わっ、何で泣くの!?そんなに嫌だった!?」
「う、嬉しいんだよ。とうまが居ても良いって言ってくれて、みことがともだちって言ってくれて嬉しいんだよ!ふええええんっ!!」
「インデックス…」ナデナデ
「…」
茶髪の少女は銀髪の少女の後ろに回り、背中から抱きしめた。
「みこと?」
「…ごめんね」ボソ
「…いいんだよ」ボソ
「ありがとう」ボソ
少年に聞こえないように言葉を交わすと、少女達は小さく微笑みあった。
「む。なんかハブられてる気がする」ムスッ
「はいそこ、女の子に嫉妬しない」
「鈍感の癖に嫉妬深いんだよ。とうま」
「「ねーっ」」
「…」(なんか突っ込んだらマズイ気がするからスルーしておこう)
「はー。安心したら甘いものが食べたくなったんだよ。それも、食べていい?」
そう言うと銀髪の少女は半分以上残っているホールケーキを指す。
「おう、いいぞ」
「いっただきまーす」
「全く衰えないその食欲。アンタらしいというかなんというか、凄いわね」
「もぐもぐ。美味しいんだよ、むぐ」
「まあ、俺達も食べたからいいだろ」
「まあ、そうね。インデックス、明日は何時に迎えに来ればいい?」
「朝ご飯にシチューを食べるから9時ごろで良いんだよ」
「いや待て、学校あるだろうが」
「え?常盤台は昨日から冬休みだけど?当麻、授業あるの?」
「なんですと!?俺の高校は火曜日まで登校日だぞ」
「そうなんだ。ご愁傷様。わたしは休みだからインデックスとお買い物」
「くっ、なんか悔しいな」
「まーまー。明日もご飯作ってあげるから、がんばって勉強してきなさい」
「それは嬉しいな。サンキュ。美琴」
「みことのご飯は美味しいから大歓迎なんだよ!」
「ふふ。ありがと。さて、じゃあそろそろ帰らないと」
「送っていく。インデックス、留守番頼むぞ」
「任せてなんだよ!」
「じゃあ、インデックス、また明日ね」
「うん。またね。みこと」