俺は大和さんに怒られたい。   作:LinoKa

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第11話 男前過ぎてもう……

 

 

 

武蔵さんをジャージに着替えさせてしまったが、俺はこれをすごく後悔するハメになった。

ジャージなんて着せると、余計にエロくなった。上まで閉まらないチャック、無理矢理途中まで閉められたチャックによってパンッパンに強調された胸と、その隙間から見えるサイズの合ってない大和さんのブラ。エロさが増した。

そんな人と、俺は今一緒に歩いている。

 

「ははっ、これが鎮守府の外かぁ!」

「あの、あんま大きな声出さないでくれません?目立つから」

「なんだ、女の子とデートは初めてで照れてるのか?」

「や、そういうんじゃないから。てか女の子って歳じゃないでしょ」

 

直後、風が吹いた。ノーモーションから繰り出されたグー。それが、俺の頬を掠めた。

 

「次は当てるぞ」

「すいませんでした」

「それで、どこへ行く?」

 

武蔵さんに改めて聞かれ、俺は顎に手を当てた。

 

「………んー、大和さんが欲しがりそうなハンカチってどんなのですか?」

「ふむ、そう聞かれてもな……。何というか、とにかく明るい色のものが好きだ。ピンクとか赤とか白とか」

「ふーん……でも、ハンカチってどういうとこで買えば良いんですかね」

「それ、私に聞くか?」

「…………ググるか」

 

スマホを取り出し、検索画面で「ハンカチ 高い」と入力した。

俺のその手元を見て、武蔵さんが呟いた。

 

「………なぁ、ところでそれはなんだ?」

「なんだって、スマホですよ。携帯電話」

「あった方が便利、だよな?」

「欲しいんですか?」

「まぁ、少し興味ある。いむやが持ってるが、すごく便利そうなんだ」

「ふーん。じゃあ買いますか?」

「いいのか?」

「良いですよ。お金持ってます?」

「ああ。一応、そこそこ」

「じゃ、まずは携帯買いに行きましょうか」

「いや、今回は提督の買い物に付き合ってるわけだし、それは……」

「良いですよ別に。どうせ全部買うんですし」

「ふ、ふむ……提督がそう言うなら……」

 

武蔵さんと一緒に、俺達はa○ショップに向かった。

歩いてると、武蔵さんが声をかけてきた。

 

「で、提督よ」

「なんすか?」

「大和とはどうなんだ?」

「どう、とは?」

「いや、だから最近」

「別に特に何もありませんよ。普通に仕事して、普通に休んで、普通に終わってます」

「しかし、大和によくチョッカイを出すらしいじゃないか」

「……………」

 

あの人は毎回、そんなことを愚痴るのか。なんか恥ずかしくなって来たんだけど。

 

「そんなに大和のことが好きか?」

「………えぇ、まぁ。好きですね」

「お、おう?随分とすんなり認めるんだな」

「大和さんに聞いてるなら開き直りますけど、アレだけチョッカイ出して構ってもらっておいて、好きでも嫌いでもないです、とは言えないでしょ」

「ああ、そういうことか………」

 

かなり良い人だからなぁ、あの人。そういう意味では、武蔵さんのことも大好きだよ、とは流石に照れ臭いので言えませんでした。

 

「そういう意味じゃなくて、こう……これだけ長く、といっても一週間ちょっとだが、一緒にいるんだから、何かあるだろう」

「何か……?ああ、恋愛的って意味ですか?」

「ああ。まぁ、端的に言えばそういう意味だ」

「恋愛的に、かぁ……考えたこともないですね」

 

その返事に武蔵さんは苦笑いを浮かべた。

 

「それは、大和を異性として見たことがない、ということか?」

「………随分とストレートに聞きますね」

「回りくどいのは苦手でな」

「そういうことじゃないですよ。なんていうか………今まで人に好かれた事ないから、人を好きになるのに抵抗があるっていうか……」

「…………」

 

武蔵さんが気まずげに目を逸らした。すいませんね、ロクでもない提督で。そもそも、少し優しくされたくらいで、勘違いするほど俺はチョロい男ではない。

話を戻そうをここで黙ると、まるで同情してほしい男みたいになる。

 

「けど、異性として、かぁ……。まぁ、その、何。ドン引きしない?」

「しない」

「外見はすごくいいですよね。綺麗だし、スタイルも良いし。………男の俺より背、高いし」

「それ、本人の前では言うなよ。私はともかく、大和は背が高いの少し気にしてるみたいだ」

「は、はぁ。分かりました」

 

人の外見的特徴についてはからかわない。これはかまちょの鉄則だ。特に、艦娘は生まれた時からその姿なのだ。その事についてからかう奴はゴミカス以下だ。

 

「あと、構ってくれるし、ちょっとクソ真面目だけど優しいし、この人が彼女だったら3次元も捨てたもんじゃないな、と思ったりしましたよ」

「それもう大好きなんじゃないか?」

「いや、ところが男ってのは残念な事にチョロい生き物でしてね。少し優しくされただけで割と誰にでもそう思うんですよ」

「そういうものか?」

「はい。………高校のクラスメートの男子は毎日毎日女にモテようとして……」

 

そもそも、モテてどうしたいのか。俺から言わせれば、「モテたい」と「彼女が欲しい」は別だ。モテたい、とは複数の女性から好意を寄せられたいということだ。それは逆説的に言えば、女の子に失恋させたい、ということだ。

だって、付き合えるのは一人だけなんだぜ?複数の子に好かれても仕方ないでしょ。

で、結局二股かけて振られるんだよなぁ。俺はそんなミスはしない。何故なら、まず彼女ができないから。

 

「まぁ、男なんてすぐに女に惚れるものなんですよ。そんなの、本当に好きになったとは言えないでしょ」

「私にはそういう理屈っぽいのはよく分からんが……。と、いうことはあれか?わ、私のことも好きになったりしたのか?」

「ああ、ありますよ。何回か」

「ッ……!め、面と向かって言われると少し恥ずかしいものだな……」

 

照れてる。あの武蔵さんが。そういう顔されるとアレだよ。意地悪したくなるだろうが。

俺は、武蔵さんのメガネを取り上げた。で、自分の顔に掛けると、携帯屋に走った。

 

「っ⁉︎」

「さ、早く行きましょう。武蔵さん」

 

追いかけてきてもらうつもりで言ったのだが、武蔵さんは急に顔を真っ赤にして、左腕で顔を隠して右腕をこっちに伸ばした。

 

「め、メガネ返してー!」

「え、ええええ⁉︎」

 

思いの外、女々しい声が返ってきて、こっちが戸惑ってしまった。

武蔵さんは膝を抱えて俯きながら、相変わらず真っ赤な顔でこっちを涙目上目遣いで睨む。

 

「か、返せ!メガネ返せ!」

「えっ、ちょっ、なんっ……誰⁉︎」

「かーえーしーてー‼︎」

「わ、わかったよ!返す、返すから叫ばないで!周りの人の視線が……!」

 

慌てて、武蔵さんにメガネを手渡した。「ううっ……」と如何にもいじめられっ子みたいな声を漏らしながら、武蔵さんはメガネを受け取り装着すると、ギロリと俺を睨んできた。

 

「………きぃさぁまぁ〜ッ‼︎」

「うおっ⁉︎ちょっ、タンマタンマ……‼︎」

 

襲い掛かってくる武蔵さん。

 

「許さん……!絶対に許さん‼︎」

「ま、待て待て待て!周りの人の目線!鎮守府ならともかく外で馬乗りになると……‼︎」

「知るかああああああ‼︎」

「す、すいませんでしたああああああ‼︎」

 

ボコボコにされた。

警察が来なくてマジで幸いだった。

 

 

++++

 

 

「いいか⁉︎次やったらこんなものでは済まさないからな!」

 

携帯を買った後も、武蔵さんはプリプリと怒っていた。

 

「分かった、分かりましたから……」

「全くお前は……!大和の気持ちが少しわかったぞ……!」

 

ブツブツ言いながら、武蔵さんは買ったスマホの電源をつけた。

 

「………一応、俺と同じiPhoneにしましたけど。使い方とか大丈夫ですか?」

「うるさい。お前の手は借りない」

 

うわー、怒ってる時は人の話を聞かないところ、姉とそっくり。

でも、大丈夫とは言わなかった辺り、やっぱり分からないんだろうなぁ。まぁ、こういう時は何と言っても意地を張るだろうし、放っておくのがいいだろう。

 

「じゃ、頑張って下さいね。変なサイトに登録して10万円とか請求されないようにね」

「えっ?」

「それより、ググった感じだとバー○リーってお店のハンカチが良いみたいです。そのお店行ってみましょう」

「ま、待った。その変なサイトについて詳しく」

「いやぁ、ググってサイト開いて『○○サイトの登録が完了しました。会員費月10万円お支払いください。退会する場合はこちらのサイトへ』みたいな感じで誘導されていく度に金取られるタチの悪いサイトが世の中にはあるんですよ。スマホ買ったばかりの中学生とかは良くそういうのにハマりますから。だから気をつけて下さいねって」

「………………」

 

ドッと嫌な汗を浮かべる武蔵さん。そして、先に行こうとする俺の手を引いた。

 

「ま、待った!」

「なんすか?」

「そ、その………教えて、下さい………」

 

顔を赤くして、目を逸らしながらお願いしてくる武蔵さん。

とりあえず、電車に乗ってから、まず最初に気をつけるべきことを教えた。

その後にアプリのダウンロードの仕方などを教えたりして、気が付けば目的の駅に到着したので、駅を降りた。

 

「………なるほど。では、提督と連絡するときは、この『L○NE』とやらを使えば良いんだな?」

「そういう事です。っと、ながらスマホは危険ですからやめましょう。ただでさえ、ポケ○ンGOで死傷者出てるのに」

「提督は良く鎮守府でやってるじゃないか」

「ながらスマホしながらじゃないと一人でいる言い訳が出来ないじゃないですか。言わせないで下さい」

「………すまない」

 

そんな話をしながら、改札を出て目的のバー○リーの店に着いた。

店の看板を見上げて、武蔵さんが呟いた。

 

「ここは………?」

「ああ、なんか調べたらここが女性に人気のハンカチ売ってるみたいで」

「だ、大丈夫か?提督。ここ、高いぞ?」

「ハンカチで高いったって1000円ちょっとでしょ?余裕ですよ余裕」

「………………」

 

店の中に入った。

 

 

++++

 

 

電車の中。俺の手の中にはレシートが握られていた。

 

『ハンカチ レディース 薄手 無地 ピンク 5980円』

 

それを握り締めながら、俺は膝に肘をついて電車の中で、うな垂れていた。その俺に横から武蔵さんが同情したように言った。

 

「………だから言ったのに」

「…………布切れ一枚6000円とか……あそこだけバブルかよ………」

「ま、まぁ、元気出せ。私も一緒に選んだんだし、間違いはないはずだ」

「…………はい」

 

電車を降りて、駅を出た。武蔵さんが伸びをしながら言った。

 

「しかし、中々楽しかったぞ。鎮守府の外も悪く無いな」

「それは良かったです。別に待機命令と任務中以外なら日帰りで鎮守府の外に出ても良いですからね」

「ああ。今度、大和も連れ出してみるか」

「あの人、色んな店に連れ回されそうだけど気を付けて下さいね」

「いや、違う。お前が行ってやれ」

「へ?」

「お前がついて行ってやれ。その方が大和も喜ぶ」

「いや、姉妹の方がいいでしょ」

「いいから。お前が行け。そうだ、帰ったら誘ってやれ」

 

………なんで俺がそんな恥ずかしいことを。無理だってマジで。

 

「行くのはいいけど誘うのは武蔵さんからお願いしていただけませんか?」

「………こんのクソヘタレが」

 

うるせー。なんとでも言えこの野郎。

 

「それで、この後どうする?」

「帰りましょうか。いつまでも鎮守府留守には出来ないし」

「……だな」

 

帰ることにした。

せっかくなので、海沿いを歩いて鎮守府に向かった。ちょうど、日が沈もうとしていた。

 

「おお……これは綺麗だな………」

「いつも見てますよね」

「いや、砂浜から見るのはまた別格だよ」

 

ふむ、そういうもんか?逆に、俺は海のど真ん中から夕日を見てみたい気もするけどな。

 

「なぁ、提督よ」

「?」

「写真撮らないか?二人で」

「はぁ?」

「良いじゃないか。こんな機会、滅多に無いぞ」

「まぁ、良いですけど」

 

夕日をバックに入れて、二人で並んだ。武蔵さんが買いたてのスマホを構え、俺と横に並ぶ。

 

「もっと詰めろ、入ってないぞ」

「えっ?ちょっ」

 

俺の事を抱き寄せる武蔵さん。ちょっ、近いってマジで!良い匂いするし!どこまでかっこいいんだこの人は!

一人でテンパってると、ピタッと頬に何か着いた。目の前のスマホの画面を見ると、武蔵さんの頬がくっ付いていた。

 

「ッ⁉︎」

「おお、これなら入る」

「ちょっ……武蔵さ」

「撮るぞ、提督」

 

写真を撮った。武蔵さんがスマホの顔面を確認する中、俺はその場に座り込んで顔を手で覆った。

 

「………ふむ、まぁまぁ、悪く無いな?」

「…………」

「提督、どうかしたか?」

「………なんでもないです」

「お前は婿の方だろう。何を頬をくっ付けられたくらいで恥ずかしがっている?女々しい奴め」

「武蔵さんが男前過ぎるんですよ‼︎」

 

本当に、俺が女だったら10回はこの人に告白して振られてるね。良かった、男で。

 

「いいから帰るぞ」

「…………はい」

 

武蔵さんに頭を撫でられたので、立ち上がった。

 

 

++++

 

 

鎮守府に到着した。あー、疲れた……久々に出掛けたわ。

とりあえず鎮守府の中に入った直後、謎のオーラを感じた。目の前で腰に手を当てて仁王立ちしてる大和さんからだ。その後ろには、瑞鶴さんと瑞鳳さんが弓を構えて立っている。

 

「………話があります。良いですね?」

「……え、俺大和さんに何かしたっけ……?」

「色々と言いたいことはありますが、まずはこれについてです」

 

大和さんは言いながら、握り締めた猫耳カチューシャを俺に見せつけた。

…………完っ全に忘れてた。

 

「じゃ、私は演習場に行ってる。………提督、死ぬなよ」

 

武蔵さんは親指を立てて去ろうとした。が、大和さんが人差し指で謎のサインを出した。瑞鶴さんの弓が武蔵さんの方に向いた。

大和さんが武蔵さんに言った。

 

「武蔵、あなたもよ」

「………えっ?な、なんで………?」

「来なさい」

 

有無を言わせない気迫に、武蔵さんは項垂れた。

執務室に連行され、俺と武蔵さんは正座させられていた。

 

「………では、まずはこの事についてです」

 

大和さんは猫耳カチューシャを握ってへし折った。

 

「………そ、それはですね……その、つい出来心で……」

「出来心で人を変なコスプレオタクみたいにさせたんですか⁉︎これのおかげですごく恥ずかしい思いをしました‼︎」

「す、すみません……で、でも、いつまでも監獄学園をエロ漫画だのなんだの抜かすから腹が立って……」

「言い訳は聞きません!みんなに笑われてしまいました!鳳翔さんに『………可愛らしい耳ですね』って生暖かい目を向けられた時は死にたくなりました‼︎」

「でも、実際似合ってましたよ」

 

ついうっかり口を滑らせると、大和さんはカアァァッと頬を赤く染めた。

 

「そ、そんなこと言って誤魔化そうっても無駄です!」

「まぁ、俺はメイド服だのケモ耳カチューシャだのみたいなコスプレじみた格好は好きじゃないんですけどね」

 

言うと、瑞鶴さんと瑞鳳さんは「うわっ……」とドン引きし、武蔵さんは「あちゃー……」と額に手を当て、大和さんは照れたように赤く染めていた頬を、怒りによって真っ赤に染め上げた。

 

「………素直に謝れば許してあげようと思いましたが……‼︎絶対に許しません‼︎今日は寝かせませんからね‼︎」

「え、それどういう……」

「夜までお説教です‼︎」

 

…………なんかすっごい怖いんですけど……。まぁ、大和さんってオタク趣味とか嫌いだろうしなぁ。

 

「それと二つ目です。お二人共、どうぞ」

 

言われて、瑞鳳さんと瑞鶴さんは前に出た。で、俺を見下ろしながら言った。

 

「提督さん?瑞が付く艦娘の何が無いのか、」

「教えてもらってもいい?」

「魚雷とか主砲」

「「えっ?」」

「ないでしょ?」

「な、ないけど……」

 

はい、論破。貧乳はバストアップ体操に帰れ。

 

「との事ですが?」

「…………飲みに行こっか」

「そだね」

 

二人は執務室を出た。俺を怒っていいのは大和さんだけだ。

 

「………なんだったんですか?」

「さぁ?」

 

そもそも、これに関しては本当に怒られるいわれはない。大鳳さんがついた嘘だ。

 

「で、次です。お二人はどこで何をしてたんですか?特に提督、仕事をサボってまで」

「あーどこでとか言われても……」

「二人で出かけてた、としかなぁ?」

「真面目に答えなさい!」

 

武蔵さんと顔を見合わせてると、怒られたので背筋を正した。

 

「………えっと、それが、ですね……」

 

俺は左手首に掛けてある袋を大和さんに手渡した。

 

「…………なんですかこれは?買収は通用しませんよ?」

「や、違うから」

 

人にプレゼントを渡すのって初めてなんだけど、こんなに照れ臭いものだったのか。………まぁいいか、渡そう。

 

「あの、大和さん」

「はい?」

「この前、ハンカチダメにしちゃったから……その、これ、」

 

俺はハンカチを手渡した。大和さんは目を丸くして瞬きをする。

 

「ええっ⁉︎そ、そんなっ……!」

「あの、どうぞ」

 

驚いて、口をに手を抑えてる大和さんに手渡した。大和さんはボンヤリと、ハンカチを袋を眺めた。

 

「開けても、いいですか?」

「ハンカチですよ?」

「言っちゃうんですね……」

「いや、だってハンカチダメにしたのにハンカチ以外買います?」

 

大和さんは箱からハンカチを出した。

 

「………わぁ」

「まぁ、それを買いに行ってて仕事サボりました。仕事遅れた分はちゃんと取り戻すんで。だから、怒らないで……!」

 

ていうか、さっさと仕事に戻りたいんだが……。

と、思ってると、大和さんの目から涙が流れた。

 

「あぇえっ⁉︎や、大和さぁん⁉︎」

「………すみません、提督。でも、その……嬉しくて……提督から、物を頂いたのは初めてで……」

 

………だからって泣くかお前。最早、半ば呆れてると大和さんが、俺の手を握った。

 

「ありがとうございます、提督………。このハンカチ、大切にしますね」

「え、あ………」

 

おい、涙ながらに微笑むな。うっかりときめくだろうが。

 

「………確かに、男はチョロいみたいだな」

 

武蔵さん、余計なこと言うな。

 

 

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