俺は大和さんに怒られたい。   作:LinoKa

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眠気に堪えて書いたので、少し雑かもしれません。申し訳ない


第17話 安心して、と言われて安心できる奴は大抵不安になってないから

 

 

時の流れ、というのは本当にナメくさった存在だと思う。例えば、時間の流れが遅く感じる時。苦しい時や辛い時の様なマイナス的時間は長く感じるが、ゲームの発売日までのプラス的時間も遅く感じやがる。ジャンプを毎週買ってる身としては、月曜日までの時間がクッソ長い。

対して、時間が短く感じる時。楽しい時や授業の合間の休み時間みたいな時間は早く感じるが、来て欲しくない日も早く感じる。………今回みたいに。

 

「提督っ、お待たせ致しました!」

 

駅前で俺は大和さんと待ち合わせていた。今日は、大和さんと遊園地に出かける日である。

 

「………いや、全然待ってないです。てか、なんで待ち合わせなんてしたんですか?」

「その方が、デートの雰囲気が出るじゃないですか」

 

その言葉に、俺は若干顔を赤らめた。これ、デートだったのか………。

しかし、大和さんの私服か………。なんか、胸がすごく大きく見えんな………。

 

「あの、今日もパッド装甲してるんですか?」

 

直後、シュビッと俺の頬を突手が掠めた。

 

「提督?」

「すいませんでした………」

「まったく……デートの初っ端から何を言いだすんですか。私だから良いものの」

 

いや、お前少し掠ったぞ。それは「良いものの」と言えるのか?

 

「ちなみに、今日はしていません」

「教えてくれるんだ……え?じゃあそれ素の大きさ?そんなに大きいのにいつもパッドしてるんですか?」

 

今度は本当に外さなかった。脳天に拳が直撃した。

 

「提督……最初の頃に比べて随分と私にはハッキリ言うようになりましたね……」

「いや、なんかもう大和さんだから良いかなって思って。それに、さっきの質問下心とか一切ありませんでしたから」

「………まぁいいです。この服は、胸を少し強調するように組み合わせてあるんです」

「え、なんでそんな服装にしたんですか?」

「えっ?」

「だって、大和さんってエロいのあんま好きじゃないですよね?なんでそんな格好に?」

「……………」

「別に普通の私服着てくればよかったろうに。なんでわざんざそんなボディラインを強調するような服を?」

「…………」

 

思ったことを口にしてると、気が付けば大和さんは顔を赤くしていた。

 

「………大和さん?」

「い、良いから行きますよ!提督!」

「えっ。ちょっと……」

「………行きますよ?」

「……………」

 

それ以上聞けば殺す、と、目が語っていた。俺は仕方なく従い、改札を通った。

電車が良いタイミングで来て、二人で乗ると大和さんが辺りを見回してるのに気付いた。

 

「どしたの?」

「いや、電車って初めて乗るので……」

「ああ。たまに、痴漢してくる人がいるので気を付けてください。痴漢されたらその人の頭がサイバイマンみたいになるまでチョップして良いですから」

 

二人で立って、吊革につかまった。途中、揺れたりしたが、漫画やアニメのように自分の胸で大和さんを抱えるような事はなかった。そもそも、大和さん俺より身長大きいし。

 

「………あ、提督」

「何?」

「お願いが一つあるんですけど……」

 

大和さんは少し気恥ずかしそうに言うと、モジモジしながら続けた。

 

「………大和のこと、呼び捨てで呼んでください」

「ブフッ」

 

吐き出して、前に座ってる人に睨まれた。すみません、と会釈してから、大和さんに聞いた。

 

「な、なんでですかっ?」

「だ、だってこれはデートですよ……?さん付けなんておかしいじゃないですか」

「………断ったら?」

「明日から提督の事は無視します」

「……………」

 

この女、本当いい性格してやがる。

 

「…………分かりましたよ。大和」

「〜〜〜ッ‼︎」

 

呼び捨てすると、大和さんはなぜか嬉しそうな表情を浮かべるとともに顔を赤くした。

 

「や、大和?」

「なんでもありませんっ」

 

 

++++

 

 

電車から降りて、遊園地に到着した。二人分のチケットを(俺の自腹で)買い、中に入った。

 

「ここが遊園地なんですね〜!」

「何乗りたいですか?」

「何、と言われても……」

 

大和さんは辺りをキョロキョロ見回すと、ジェットコースターを指差した。

 

「………………」

「行きましょう♪提督!」

「待って。いきなり?もう少しメリーゴーランドとかでジャブを入れてから……」

「嫌です♪」

 

なんて楽しそうな声でサディスト宣言するんだこの人は。いや、純粋に楽しんでるだけか。純粋に楽しんでる姿が可愛いからこそ、ジェットコースターに乗る事を拒絶できなかった。

 

「や、乗るのは良いけどもう少し時間を……」

「怖いんですか?」

「え?怖いって何?意味わかんない。誰か教えてくれ、俺に怖いっていう感情を」

「じゃ、乗りましょうか」

 

引き摺られる形で俺はジェットコースターの列に並んだ。

列に並びながら、大和さんはニコニコしながら聞いて来た。

 

「楽しみですねぇ、提督」

「少し深呼吸させて下さい」

「いくらでもして下さい。あと20分はここで並びますから」

 

た、確かにその通りだな……。俺は深呼吸しようと、列から半歩分だけ外れて、軽く両手を広げてると、前から走って来た男の子が身体にぶつかった。

俺の身体は後ろに倒れ込み、大和さんの胸の中に顔を突っ込んだ。

 

「っ⁉︎」

「っ!」

 

殴られる、と思い俺は咄嗟に仰け反って、顔を防御するように両手で頭を抱えようとしたが、大和さんは、俺が顔を胸の中に突っ込んだまま、俺を抱き抱えた。

 

「まったく、何してるんですか提督。落ち着いて下さい」

「っ⁉︎」

「大丈夫ですよ、ただのアトラクションですから」

 

な、慰められてるぅうううう⁉︎しかも、怖いのバレてるぅうううう‼︎

…………というか、なんかこの人、今日テンションおかしくないか?

 

「あ、あのっ……大丈夫ですから、やめて下さい。そのっ……恥ずかしいんで………」

「へっ?………あっ」

 

どうやら、正気に戻ったようだ。大和さんは顔を真っ赤にして、ジェットコースターに乗るまで一言も話さなかった。

 

『お次にお並びの方、どうぞー?』

 

ジェットコースターの席に座り、安全バーがガコンと降りて来た。大丈夫………大学の時はジェットコースター乗れたんだから、ダイジョウブ………。

自分を超励ましてると、俺の手を大和さんが握った。ふと横を見ると、ニコッと微笑んでいた。何故か分からないが、その笑顔を見て、何となく俺は安心してしまった。そうだ、大丈夫だ。隣には、大和さんがいるんだから。

すると、ジェットコースターは発進した。

 

 

++++

 

 

やっぱり、怖いものは怖かった。

俺は、大和さんにおんぶしてもらっていた。

 

「………大和さ……大和、ほんと面倒かけてすいません」

「いえいえ。私も無理矢理乗せてしまったようで申し訳なかったです」

 

いや、大和さんが行きたいところに来てるわけだし、こっちが付き合うのは当たり前の事だ。それなのに、おんぶしてもらってるとか……いい大人が何してんだよ。

 

「それにしても、提督軽いですね。ちゃんと食べてますか?」

「いや、大和が筋肉お化けなだけでしょう」

「あ、なんかジェットコースター乗りたく」

「やめて下さい死んでしまいます」

「普段、何を食べてるんですか?」

「あー、俺って迷うと必ずラーメンにしちゃう癖があるから、曜日毎に食べるもの決めてるんですよ」

「へぇ、どんな風に?」

「月火水木金はラーメンで、土曜が唐揚げ定食、日曜は執務室のダーツで決めてます」

「ほとんどラーメンじゃないですか」

「ちゃんと中身変えてますよ。月曜から、醤油豚骨塩味噌油そばです」

「最後のラーメンじゃないですし……」

 

いや、最後のだけ油そばって区切って言うと、「それも結局ラーメンじゃん」って言われる気がしたんだよ。

 

「では、明日は大和が栄養バランスをちゃんと考えた昼食をご用意しますね?」

「え、いやいいですよそんな。面倒かけたくないですし」

「面倒なんかじゃありませんよ、提督。提督のためなら、面倒な事なんてありません」

「っ」

 

ねぇ、ちょっと?なんなのかなこの人。さっきから人をドキドキさせるようなことばっか言って来てさ。

なんかもう、心臓の鼓動がうるせぇんだけど。星の鼓動は愛かよ。スイカバーになって動けるデブに特攻すんの?いやいやいやいや、落ち着け俺。

大和さんはメチャクチャ良い人だ。俺に構ってくれるし、優しいし、厳しい所は厳しい。だが、良い奴ってのは誰にでも良い奴なんだ。俺だけに良い奴なわけじゃない。つまり、今の大和さんはデフォであり、別に俺に意識してるわけじゃないんだ。

だから、勘違いするな、俺。

 

「…………よし、落ち着いた。下ろしてもらって良いですか?大和」

「大丈夫なんですか?」

「ダイジョウブ。というか、そろそろ周りの視線が突き刺さって、さっきから裂傷ダメージ入りまくって力尽きそう」

「わ、分かりました……?」

 

大和さんに降ろしてもらった。

 

「さて、次は何乗りますか?」

「そうですね……アレにしましょうか」

 

大和さんが指差す先には、シューティングのアトラクションがあった。アレは、乗り物に乗って、光る幽霊を撃つ奴だ。

 

「…………いつも深海棲艦撃ってるのにアレやるんですか?」

「い、良いんです。言っておきますけど、今日はここのアトラクションを全部制覇するつもりで回りますからね」

「えっ………?ここ、ジェットコースター四つあるんだけど……」

「滅多に来れないんだから。全部乗ります」

 

こいつ、謝ってた割にさっきの反省してねえだろ。

俺はそう思いながら、掌に「人」と書きまくっていた。

 

 

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