ていうか、飽きたらケッコンカッコカリさせて終わらせる可能性まである。
本編はこれで終了です。
「………と、いうわけで、提督とお付き合いすることになりました……」
私は頬を掻きながら、いつもの飲みの席で2人に言った。
「そうなんですか?おめでとうございます」
「しかし、あの提督が……」
鳳翔さんと武蔵が呟いた。
「はい。早速、帰り道は年甲斐もなく手を繋いで帰っちゃって…………っていうか、『え?なんで手繋ぐの?もう冬でもないし別に良くね?』とか言われたから無理矢理繋がせた」
「ああ。それはナイス判断」
「あの提督には少し強引なくらいが丁度良さそうですからね。………はい、ネギチヂミ」
鳳翔さんが新メニューを私と武蔵の間に置いた。それを武蔵が一枚摘んで食べた。
「おお、これ美味いな鳳翔。なんだこれ」
「ネギチヂミです」
「やはり、遊園地の高いレストランなんかより、鳳翔の料理の方が落ち着くな……」
「えっ?武蔵遊園地に来ていたの?」
直後、鳳翔さんが武蔵の頭を掴んで、ネギチヂミにダンクした。
「いえ。鈴谷さんと熊野さんがデ○ズニーランドに行った時のポップコーンをいただいたんですよ」
「ポップコーンとネギチヂミは比べようがないわよ、武蔵」
「あ、ああ……危うく私がネギチヂミにされる所だった……」
おでこから血を流しながら、武蔵は起き上がった。
「武蔵さん、そのネギチヂミ全部食べなさいね」
「えっ?いやこれ血が……」
「食べ物を粗末にするのは許しませんから」
「え?私が粗末にしたのこれ」
「良いから食べなさい」
「はい」
武蔵が血みどろネギチヂミを食べる中、鳳翔さんが私に聞いて来た。
「それで、デートはどのような感じだったのですか?」
「ほとんど私が連れ回す形になりましたね。提督は物事を否定する事に関しては右に出る者がいない程ですから。有無を言わさずに連行しましたね」
「まぁ、あの提督の場合はその方が良いかもしれませんが、今後はちゃんとお二人の意見を聞いてデートして下さいね」
「分かってますよ……」
「提督、ずっと死屍累々としてましたよ」
「へっ?見てたんですか?」
「してたと思いますよ?」
「へ?いやなんで言い直」
「言い間違いです」
ニッコリ微笑んだ鳳翔さんが怖かった。それ以上、追求すれば殺す、とでも言わんばかりの笑顔だった。
「うう……鉄臭かった……」
武蔵がようやく食べ終えたのか、箸を置いた。
「で、他に何乗ったんですか?」
「えっと、ジェットコースターとバイキングとフリーフォール……あと、お化け屋敷?」
「へぇ、大和。お前怖いの苦手だっただろ」
「で、でもせっかく滅多に行けない遊園地に行ったんだから、全部のアトラクション楽しまないと……」
「同じ事言ってんなよ」
「はっ?初めて言ったわよ?」
「武蔵さん、その血みどろの皿、洗いに行きなさい」
「えっ?わ、私が?一応客なのに?」
「あなたが血みどろネギチヂミになりますか?」
「…………行って来ます」
武蔵はお皿を持って店の奥に消えていった。
もしかして、この二人………、
「あの、鳳翔さ」
「それで、お化け屋敷で何かあったんですか?」
質問しようとしたら、質問で遮られたので、私は仕方なく答えた。
「はい。………実は、お恥ずかしながら、あそこのお化け屋敷すごく怖くて……。私、序盤から一人で走って逃げちゃったんですよ。で、提督を置いて来ちゃって……」
「そんなに怖かったですか?あのお化け屋敷。お化けが出てくるタイミングとか、全部想定できる場所ばかりで割と普通でしたかと」
「やっぱり遊園地にいましたよね、鳳翔さん⁉︎」
「人違いです」
「いや似てる人を見たとかじゃないですから!」
こ、この人は……!多分、武蔵と二人で私を尾行してたんだわ!
「なんでつけてたんですか⁉︎」
「つけてません」
「いや、さっきから口滑らせ過ぎですから!」
「つけていません」
「流石にそれは無理がありま」
「つけて、いません」
「……………」
どう言ってもしらばっくれる気なのね……。
「それで、どうやって見つかったんですか?」
よくもまぁ、すでに知ってる話を聞けるものだ。まぁ、一応言うけど。
「提督が見つけて下さいました。その時に提督が色々とお話ししてくださって……」
「ああ、あの正直よく分からない、絶対誰かからの受け売りの台詞ですか?」
「やっぱり絶対いましたよねあそこに‼︎」
「いません」
この人、マジでどういうつもり⁉︎なんでそこまで認めないつもりなの⁉︎
「嘘です!いました!絶対!」
「落ち着きなさい、大和さん」
「これが落ち着いていられますか⁉︎」
「私は間宮さんや大鯨さん、翔鶴さん、妙高さん、高雄さん、雷さんといった方達と普段から、鎮守府の家事を任されています。今日は私の当番でしたので、鎮守府の外に出ている暇はありません」
………確かに一週間、それぞれの曜日に七人は割り振られている。今日が鳳翔さんの当番であることも知ってる。
鳳翔さんが自分の仕事をサボるとは思えないし……。
「………すいませんでした」
「分かればいいんです」
一応、謝った直後、間宮さんが居酒屋に入って来て、鳳翔さんに声を掛けた。
「鳳翔さん、今日の分の家事終わりましたよ」
「ご苦労様です、申し訳ありません。急に代わっていただいて」
「いえいえ。明日、私の分お願いしますね?」
「やっぱり来てたでしょ鳳翔さん⁉︎」
ガッツリ代わってもらってるじゃない‼︎
「行ってません」
「なんでそんなにしらを切るんですか⁉︎別に怒りませんから!」
「それで、お化け屋敷の後どこに行ったんですか?」
「…………コーヒーカップ」
「へ?ベンチで休憩した後に観覧車に行ってませんでした?」
「はいイィィ!現行犯逮捕ですよこれ!なんでそんな細かく私達のこと知ってるんですか⁉︎」
「間宮さん、何か飲みますか?」
「いえ、明日の仕込みしちゃわないと」
「聞いてるんですか、鳳翔さん⁉︎」
すると、鳳翔さんはジロリと私を見た。
「大和さん」
「な、なんですかっ」
「私は別にあなたをつけてなんていません」
「嘘です!完全につけてました!」
「年甲斐もなく、子供みたいにはしゃぐあなたの姿も」
「へっ?こ、子供みたいでした?」
「お化け屋敷で開幕で号泣しながら走り出すあなたの姿も」
「な、泣いてません!目から汗が流れただけで……!」
「非常口の前で座り込んで『ていとく……はやく来てよ……』呟くあなたの姿も」
「な、なんでそこまで知ってるんですか⁉︎」
「提督に来てもらって、安心して腰を抜かしかけたあなたなんて見てません」
「す、すいませんでした!確かに来てませんでしたからもう許してください!」
とりあえず、マジで謝った。