落第騎士の英雄譚~もう一人の騎士王~   作:翡翠の咆哮

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今回は刀華と結城がメインになります。
処女作ですのでおかしい点があると思いますので温かい目で見守っていただけると嬉しいです。


第3話:雷切と騎士王

「と、刀華?!」

 

結城は目を覚ました瞬間に驚いた。なぜなら自分は気絶していたはず。それなのになぜ

 

か自分の部屋にいてさらに1人部屋のはずなのに刀華がいるからだ。

 

「ゆう君の寝顔かわいかったよ。」

 

「ど、ど、どうして刀華が俺の部屋にいるんだ!」

 

「あぁ。ゆう君覚えてないの?第2訓練場から漏れ出した魔力がすごかったから何かあっ

 

たのかなって見に行ったらゲートからゆう君が出てきて倒れたんだよ?そこを私が助け

 

てあげたわけ。」

 

「すまん...余計な迷惑をかけて。もう大丈夫だから出てってくれないか?」

 

「え?なんで??私たちルームメイトだよ?」

 

「....は?」

 

新しいルームメイトが誰なのか理事長からの通達を受けてなかった結城は驚いた。今目

 

の前にいるのは結城の幼馴染である刀華であると同時に、

 

「(理事長めぇ...!!)」

 

「刀華、ちょっと待ってろ!理事長のところに行ってくる。」

 

 

あの事件の日、結城が救った命なのだから

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

試合が終わりステラは寮の部屋にもどってきた。

 

「おかえり、ステラさん。」

 

「ん.....」

 

ステラは半ば不機嫌そうでいた。それもそのはず。結城との試合に負けルームメイトになることを賭けていたのだから。

 

「ごめんなさい一輝、あのときはわざとじゃないってわかってたのにあんな言い方をして...」

 

「いや、あれは僕にも非があるよ。ルームメイトがステラさんだったのを知らなかったからだし...」

 

「お互い様ね。」

 

「そうだね...。じゃあステラさんは僕の下僕ってことでいいんだよね?」

 

「えっ?」

 

「負けたほうが勝ったほうに生涯服従でしょ?」

 

「え?!あれはその言葉の綾で

 

「へ~、ヴァーミリオンの皇族は自分から言った約束も守ってくれないんだ。」

 

「誰が守らないって言ったのよ!下僕にでも犬にでもなってやるわよ!なんでもいうこと聞かせればいいじゃない!変態!バカ!大嫌い!」

 

ステラはそっぽを向いてしまった。

 

「じゃあ命令なんだけど、ステラさん。僕と友達になってよ。ステラさんともっと仲良くなりたいと思ってさ。」

 

「わ、わかったわよ...」

 

「じゃあこれからよろしく。ステラさん」

 

一輝は手を差し出す。しかしステラは自分の手を出さない。

 

「ステラ...」

 

「え?」

 

「そう呼ばないとよろしくしてあげない!」

 

「.....よろしく、ステラ!」

 

「しょうがないわね!」

 

二人は互いの拳を軽くぶつけここに一輝・ステラのコンビが誕生した。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「じゃあステラ。僕は結城に用事があるから出ていくけどステラはどうする?」

 

「えっ....」

 

一輝が結城を訪ねようとしたのには理由があった。ステラとの模擬戦、確かに彼の魔力

 

による伐刀絶技は凄まじいものだった。しかし

 

彼は自らの剣術を使っていない。この疑問が心の中にあったため一輝は直接本人に聞き

 

 

たかったのだ。

 

 

「でも一輝、彼の身体能力はCよ?剣術なんて私より弱くてもおかしくないわ。」

 

「それは僕もわかっている。でも日ごろ結城と僕は体感のトレーニングと剣術のトレー

 

ニングをしている。Cランクとはいえ魔力を使わない純粋な剣技ならステラと同格でも

 

おかしくないと思うんだ。でも彼はそれを使わなかった。きっと何か理由があるんじゃ

 

ないかと思う。」

 

「確かに...ねぇ私もついて行っていいかしら?」

 

「うん、せっかくだし行こうか。」

 

2人は一緒に行くことに決め結城の部屋へ向かった。

 

「確かこの部屋だったはず...。」

 

一輝は{結城翡翠}とネームプレートが貼ってある部屋のインターホンを鳴らす。イン

 

ターホンが鳴ると

 

中から本来結城しかいないはずの部屋の中から女性の返事が聞こえてきた。そしてドア

 

が空くと

 

「はーい....ってどちら様ですか?」

 

中から出てきたのは{雷切}こと現破軍学園生徒会長の東堂刀華だった。

 

「く、黒鉄一輝と申します。」

 

「ステラ・ヴァーミリオンです。」

 

「あー!あなた達がゆう君の言ってた二人ですね!中へどうぞ。」

 

結城を訪ねてきたはずが二人は刀華のもてなしを受けることになった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「理事長....」

 

その頃、結城は刀華と同じ部屋のルームメイトにされた件について直談判するために黒

 

乃のもとを訪ねていた。

 

「不服か?翡翠」

 

「不服ありありですよ!なんでよりによって刀華と俺が一緒の部屋なんですか!?」

 

「ほう、結城ならわかると思っていたが...。」

 

「わかるわけないですよ!」

 

 

「はぁ...お前たちは幼馴染でもあるし他の生徒に比べ仲がいい。

 

それにあの事件でこの学園に残る数少ない生徒だからな。それが理由だ。」

 

「そ、そんな理由で?!」

 

「あぁ、今のお前と東堂の実力ならお互いの力を高めあえるだろう。これは来る学内選

 

抜戦に向けてのわたしなりの配慮だ。ヴァーミリオンを倒してしまった今、彼女と同じ

 

部屋でも何の意味もないしな。それに黒鉄の剣に対する取り組む姿勢は

 

ヴァーミリオンを刺激するだろう。お前も休んでばかりいると去年と同じ結果になりか

 

ねないぞ。」

 

これを聞き結城は去年の選抜戦を思い出した。当時、まだ自分があの事件に巻き込まれ

 

る前結城はBランク。伐刀者からみれば刀華と同等だが実力面ではかなりの差があっ

 

た。それ故の敗北。生半可では本戦出場はかなわない。それを誰よりも結城は知ってい

 

た。

 

「選抜戦が近いのは知っています。」

 

「なら結構。今度は手を抜くなよ。ヴァーミリオンの時のようにはいかないぞ。」

 

結城は違和感を感じた。まるで自分の能力のすべてを知っているかのような黒乃の言い

 

方。もしかしたら...彼女は自分の能力を知っているのではないか。もしそうだとしたら

 

それは事件の始まりから終わりまで現場にいたということになる。

 

「理事長はどこまでご存じで?」

 

「さぁな。私は見ただけだ。あの騒動に駆け付け、解放軍と戦闘を起こした地に立って

 

いたお前の姿をな。だが皮肉なものだ。退学処分を取り消して留年という処分で済ませ

 

た私に能力すら明かさない無礼者がルームメイトの件で不服を申し立てるんだから

 

な。」

 

「わ、わかりました...」

 

結城が外部に自分の能力が漏れるのを嫌っているのは七星剣武祭で自身の戦略がばれる

 

のを防ぐためだ。

 

相手にしてみれば当然、対戦相手の能力が未知だと苦戦するのは必然。つまり、相手が

 

どのような能力を持っているかを知っているほうが戦局を左右するといっても過言では

 

ない。だが今結城の目の前にいるのは黒乃。大会運営者でもある彼女は中立の立場を保

 

つはず。そして黒乃は結城にとって処分を軽くしてくれた恩人でもある。それを踏まえ

 

た結城は

 

「理事長は俺の能力についてどこまで把握していますか?」

 

結城は黒乃に尋ねた。

 

「さぁな。おおむね黒鉄からは聞いている。あらゆる能力を自分のものとして使用でき

 

る<完全なる具現化>。そしてそれを保存する<騎士王の蔵>。遠距離戦の場合かなり

 

優位に立てる固有霊装だろう。だが...」

 

「ではなぜ<騎士王の聖剣(エクスカリバー)>がでてきたのか、ですね。」

 

結城の指摘は黒乃が抱いていた疑問を見抜いていた。本来<完全なる具現化>という能

 

力は他者のコピーに特化した能力。他人の能力か、それを応用した技しか使えないはず

 

なのだ。黒乃は元世界ランク3位の強さを誇っていた伐刀者。名だたる伐刀者の固有霊装

 

は熟知しているはず。それがステラの天壌焼き焦がす竜王の焔(カルサリティオ・サラ

 

マンドラ)の攻撃を真正面から吹き飛ばした<騎士王の聖剣>なら尚更だ。しかし実際

 

に黒乃は所有者が誰なのか全く見当がつかなかった。

 

Aランクの一撃必殺といってもいい技を真正面から防いだ代物であるというのに。

 

「本来この<騎士王の聖剣(エクスカリバー)>は<騎士王の蔵>の最奥に眠っている

 

武具の一つです。ここまで言ったら理事長もお分かりのはず。」

 

「つまり、あの剣は<騎士王の蔵>の伐刀絶技の一つということだな?」

 

「はい。今の俺だとありったけの魔力をためて引き抜いたとしても幻想形態で使用する

 

のが限界でした。」

 

通常、幻想形態とは物理的ダメージを与えず体力を削ることしかできない。物理的ダメ

 

ージをあたえる通常の固有霊装に比べ体にかかる負担は少ない。だが実際に結城にかか

 

った負担は大きかったのだ。Bランクの彼の魔力のほとんどを幻想形態でもっていかれ

 

るほどの固有霊装。

 

「(とんでもない代物だな...)」

 

「これでいいでしょうか。説明できる分は説明したので俺はこれで失礼します。」

 

結城はそう言い残し理事長室を後にしようとした。しかし黒乃は引き留めた。

 

「待て。まだ聞きたいことがある。」

 

「はい?」

 

黒乃はもう一つ気になっていたことがあった。それは結城の魔力だった。

 

<血の日曜日>の事件日、現場に駆け付けた黒乃は荒れた地にたたずんでいたまるで白

 

銀の姿の結城を見ていたがその当時と今を比べると魔力量に明らかに差があった。

 

「あの事件の日に比べてお前の魔力量は明らかに落ちている。いったい何があった?」

 

「...!理事長はあの日の俺の姿を見たんですね。」

 

結城は半ば呆れ顔で黒乃に答えた。

 

「わかりました、説明しましょう。」

 

「俺の固有霊装による能力は他人のコピーや保存だけではありません....

 

 

 

     オリジナルがいくつか存在します。」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

その頃結城の部屋を訪ねたステラと一輝は刀華と話していた

 

「え?!じゃあ二人は幼馴染なんですか?!」

 

「はい!私とゆう君は幼いころからの仲なんです。そして今はルームメイトでもありま

 

す。」

 

ステラと一輝は驚いた。そもそのはず、校内序列1位の東堂刀華とステラを破った結城翡

 

翠。

 

お互いBランクの上実力者でもある。そんな二人が同じ部屋で幼馴染など最強コンビと

 

いってもいいほどだ。

 

「そして彼とは実際に剣を交えたこともあります。」

 

この発言にステラが反応した。

 

「去年の校内選抜戦の決勝ですね?」

 

「よくご存じで!そうです、私とゆう君は去年の予選グループが同じだったんです。私

 

たちは順当に勝ち進み決勝にあたることになりました。」

 

「でもゆう君は手を抜くことはありませんでした。騎士として誇りある姿勢で私に挑ん

 

できてくれました。私はそんな彼の

 

まっすぐなところが好きです。」

 

「「え?」」」

 

ステラと一輝は固まった。二人の反応に刀華は自分が何を言ったのかようやく気付き顔

 

を真っ赤にして

 

「あ、ち、ちゃいますこれは..!!いや違ぉてもないけど!!」

 

「(なんか印象と違うというか...。)」

 

「(意外と接しやすい人なんだね...)」

 

二人は最初に抱いていた印象と違う刀華の姿にそう思った。

 

「それに...彼は命の恩人でもあるんです。」

 

この言葉にまたステラが反応した。彼女が言ったのはおそらくあの事件のことだろう。

 

しかし実際に口を先に開いたのは一輝だった。

 

「東堂さん、実は今日ここに来たのは結城に聞きたいことがあったからなんです。」

 

「ゆう君に聞きたいこと??」

 

「はい、今日ステラと結城は模擬戦をしました。二人とも凄まじい試合でしたがなんか

 

こう....結城が出し惜しみをしてる感じがしてならないんです。」

 

「.....」

 

刀華は少し間を置き一輝の問いに答えた。

 

「実は私も訓練場から少し離れたところにいましたけどゆう君の魔力を感じることはで

 

きました。確かに私も同意見です。ですがはっきり申し上げることはできませんが考え

 

られる理由があります。」

 

「なんなんですかそれは?」

 

一輝が重ねて質問したところに刀華が答える。

 

「先ほど私は彼のことを<命の恩人>だといいました。おそらく彼の魔力量が少ないの

 

はそれが理由なのではないのかと思います。」

 

「<血の日曜日>ですね」

 

ステラの言葉に刀華は驚いた。あの日の出来事は一定の数の関係者しか知らない出来事

 

だ。本来ステラが知っているはずがない。

 

もし誰かが教えたとすればおそらく理事長だろう。彼女はそう思った。その上で、

 

「その通りです。当時、私はゆう君との予選決勝で勝利し本戦へ出場することになりま

 

した。そして本選でも順調に勝ち進みベスト4という結果で終わったんです。」

 

「すごい...」

 

「ですが事件はそこで起きました。順位が確定した後、私は観戦に来ていたゆう君と大

 

阪市内の観光に出かけたんです。その途中で....解放軍が襲撃。たくさんの一般市民が

 

犠牲になったんです。私は選手として会場に来ていたので彼らを止める義務はなかった

 

んですが私は少しでも被害を少なくするために彼らと戦いました。でも裏社会のプロの

 

殺し屋と私の実力差は歴然。そこで私は瀕死の重傷を負ったんです。」

 

「「えっ...?」」

 

七星剣武祭とは学生騎士の頂点を決める戦い。そのベスト4である彼女がランク付けされ

 

ていない裏社会の殺し屋に殺され掛けたという事実は

 

二人を震わせた。

 

 

「でも、私は見たんです。意識が朦朧としているなかで私の視界にかすかに見えた、か

 

つてないほどの魔力量で解放軍を蹴散らす彼の姿を。私が予選で当たった時の彼と、当

 

時私が見た彼はまるで別人でした。」

 

「ですがそれと先ほどの質問との関係がよくわからないのですが...」

 

「本来であれば私がその時に負った傷はiPS再生槽(アイピーエスカプセル)でさえも治

 

療不可能な重症だったんです。ですが

 

彼が何らかの方法で治療してくれたおかげで私は後遺症もなく元気に今を生きれていま

 

す。ですがその治療後、彼が解放軍との戦闘で見せた魔力による威圧感は全く感じなく

 

なりました。」

 

「その、当時の結城の魔力量はどれくらいだったんですか?」

 

気になったステラが尋ねた。

 

「ステラさん。あなたの魔力量は確かにすごい。とても常人の物とは思えないです。で

 

も....」

 

 

 

 

 

「彼はそのはるか上を行く。」

 

「っ!!!」

 

刀華が言った事実ほど驚愕するものはないだろう。事実、ステラの魔力量は通常の伐刀

 

者の30倍。それにくらべかつての結城は

 

遥かその上を行くというのだから。

 

 

 

「(化け物...)」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

理事長室では結城が理事長に説明していた。

 

 

「しかし本来、助かるはずのない人間の命を救ったんです。現に今日にいたるまで俺の

 

伐刀絶技は彼女の中で発動させ続けていました。他人に発動させ続けるため

 

魔力消費量は尋常なものではありません。これが俺の魔力が極端に落ちている理由で

 

す。」

 

「なるほどな」

 

「今年の選抜戦は本気を出します。自分の強さを証明して刀華に心配させないために

 

も」

 

「あぁ、わかった。今日はもう遅い。寮へ戻れ。その扉の後ろにいるルームメイトと一

 

緒にな。」

 

黒乃がそう言い理事長室の扉を開けると刀華が立っていた。

 

「と、刀華...」

 

「ご、ごめんねゆう君。帰りが遅かったから...」

 

部屋に尋ねてきたステラと一輝が帰った後、帰ってこなく心配した刀華が立っていた。

 

「あぁ、すまん。理事長、今日は失礼しました。」

 

「気にするな。通達するのが遅かった私の責任でもあるんだからな。」

 

二人は黒乃に礼をし理事長室を後にした。

 

 

 

 

「ねぇゆう君...怒ってる?」

 

「怒ってない」

 

「むぅー、怒っとるやん!」

 

「ごめん....」

 

結城が謝ると刀華は駆け足で結城の前に立ち

 

「今年の選抜戦がもうすぐ始まるけどもう隠し事はしないでほしい。すべてを知ってい

 

るわけじゃないけど私はもう一度あの決勝の結城の戦いっぷりを見てみたいな。」

 

刀華が微笑みながら言う。

 

「「今年こそは二人で本選に進もう!!」」

 

二人は拳を合わせ誓い合った。今度こそあの舞台へ。たとえどんな苦難が待っていよう

 

と予選を必ず突破して見せる。結城はそう誓った。

 

自分のためにも、彼女のためにも。

 

 

 

 

「ところでさ、お前メガネとったほうがかわいいな。」

 

「そ、そないなこといわれると恥ずかしいねん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




2話の試合の賭けでステラが下僕になるのを付け忘れていました。
後日修正しますので、評価、感想をよろしくお願いします!
おかしい点があれば指摘をお願いします!
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