転生したら海の悪霊?   作:ヨシフ書記長

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短いですが…どうぞ。


道化と赤髪の幽霊船探検

「ん…うぅぅ…。」

 

シャンクスの顔にぽとりと水滴が落ちた。シャンクスは呻き声をあげながら目をゆっくりと開けた。そして、目をカッと開いて叫んだ!

 

「ハッ!バギー!」

 

ガバッとシャンクスは起き上がって辺りを見渡した…そこは牢屋で鉄格子には、海の生物達がたくさん張り付き蠢いていた。

 

「…。ここは…何処だ?俺は確か…バギーを助けに…」

 

シャンクスはゆっくりと立ち上がると鉄格子の扉を触った…。すると、扉はギィィっと気味の悪い音を立てながら開いた。

 

「船の牢屋か?何で…船何かに…?」

 

シャンクスは牢屋から出ると暗い船倉を見渡した。そこは色々な壁や床に、珊瑚やフジツボが張り付き気味の悪い所だった。

 

「…!そうだ!思い出した!俺は、バギーを追って海の底に…!そしたら、海底が迫ってきて…それで!」

 

シャンクスはハッとしながらそう言うと、近くの牢屋をふと見た。その牢屋の床にバギーが寝ていた。

 

「…!!。バギー!」

 

シャンクスは隣の牢屋で寝ているバギーを見て、慌てて隣の牢屋の扉を開けた。

 

「おい!バギー!しっかりしろ!」

 

牢屋の中に入ると、床で寝ているバギーの体を揺すった。

シャンクスに揺すられてバギーは眉間にシワを寄せながら呻いた。

 

「うぅ…俺の…地図…俺の…!ハッ!」

 

バギーは目をカッと開くと急に起き上がってシャンクスを見た。

 

「無事だったか!バギー!心配したんだぞ?」

 

シャンクスの言葉にバギーは眉間に青筋を立てると叫んだ!

 

「シャンクスゥゥゥ!テメェェェ!お前の!お前のせいでぇぇ!」

 

バギーはシャンクスに掴みかかるとシャンクスの顔に唾が飛ぶくらいにまくしたてた。シャンクスはバギーの反応にキョトンとしていたが…暗闇の中から何か大きなものが歩く音が聞こえ、その何かが歩く度に船倉の床板がギシッと軋む音も聞こえた。

 

「バギー!隠れろ!」

「ぐむ!もが!もが!」

 

シャンクスはわめくバギーの口を抑えながら、牢屋の中にある樽の影に身を潜めた…。

足音は段々…牢屋の前に近づいてきた。シャンクスは身を隠しながら、牢屋の入口の所を見た…。

そこには、暗い闇の中にカンテラの光がユラユラと揺れていた。光が揺れる度にカンテラの取っ手がギィッ…ギィッ…と音を立てた。

カンテラを持った何かは牢屋の前に差し掛かると、カンテラの光がその何かの正体をあらわにした。シャンクスはカンテラを持った何かを見て驚きの余り目を見開いた。

 

そこには、人間とサンゴが合体した化物がいた。その化物はカンテラで照らしながら牢屋の中を見渡すと、片手に持った錨を引き摺りながら…ゆっくり奥の方へと歩いていった。

 

「何だ…あれ?」

 

シャンクスが驚きの余り呆然としていると、バギーの口を抑えていた手が緩んだ。バギーはすかさず口を塞いでいた手を剥ぎ取るとシャンクスを見て言った!

 

「何をしやがるぅぅ!シャンクス!テメェェ!コラァ!あわゆく窒息する所だったじゃねぇか!」

 

バギーはシャンクスに怒気を孕んだ声でそう言った。シャンクスはゆっくりとバギーの方を見ると言った。

 

「おい…バギー。さっきのやつ見たか?あの…化物。」

 

シャンクスはそう言ったがバギーはまるで気にしないような口振りで言った。

 

「あぁ?化け物?何言ってやがんだ?そんなやつ…?」

 

バギーは立ち上がると周りを見た。そこはいつもの船の甲板でも、海の底でもない、気味の悪い船の牢屋だった。

 

「なな…!なんだ!ここぉぉぉ!」

 

バギーはそう叫ぶとシャンクスを見るとまた胸ぐらを掴んだ!

 

「おい!シャンクス!テメェ!俺の宝の地図を海の藻屑にして、更には!俺に悪魔の実を食わして!海に落として!これ〜だけ俺に酷い事をしたのに!それだけでは飽き足らず!こんな訳の分からんところに閉じ込めるたァ!どう言う了見だァァァ!?コラァァ!」

 

バギーはそう言ったがシャンクスはゆっくりと立ち上がると、牢屋の扉を音を立てないように開けるとバギーを見て言った。

 

「バギー…!ここは危険だ!この船倉から甲板に出るぞ!」

 

シャンクスは腰に差していたナイフを抜くと、構えながらそう言った。バギーはシャンクスのその反応に少しギョッとしながら、渋々シャンクスのあとをついて行った…。

シャンクス達が出ていった暗い牢屋の暗闇の中から、シャンクス達を見ている者がいた事を彼らはまだ知らいない…。

シャンクス達は、薄暗い船倉の中で上の甲板へと続く階段を探していた…。

 

「ちくしょぉ…なんだよォ…。ここはよォ…なんで船の中なのに海藻ががあるんだよ…。」

 

バギーはそうボヤきながら、暗い闇の中をゆっくりと進んでいた。シャンクスは周りに並んでいる樽の焼印を見て言った。

 

「ワインに…ビール…それにラム。どれも製造されたのは最近のやつだな。」

 

シャンクスがそう言うと、バギーは反論する様に言った。

 

「あぁ?こんな沈没船みてぇな船なのに、一丁前に積荷があるってのかよ!」

「ああ…バギー。この船は出向してまだ日があまりたってないらしい。」

 

シャンクスはそう言うと、上に吊るされている籠からレモンを、取りバギーに見せた。

 

「見ろよ…!もしも…この船が幽霊船ならこんな新鮮なレモンがある筈がないさ…!」

「うぉ!本当だ!」

 

バギーはシャンクスに見せられたレモンをマジマジと見ると思いついた様に言った。

 

「だが…新鮮なレモンがあるという事はよぉ?壊血病にならねぇ様に予防しなくちゃならねぇ奴が居るってことだ!」

「その通りだ…!バギー!普通の人間がいる筈だ!」

 

シャンクス達は奥へと進むと、甲板へと出る階段があったのでシャンクス達はそれを登っていった…。上の船倉につくと、そこには沢山の大砲が並んでいた。

 

「それにしても…気味の悪い船だぜ…。こんなに船の中は、ボロボロなのに…砲弾なんかはピカピカに磨かれてやがらァ…!」

 

バギーは大砲の横に積まれていた砲弾を掴むとそれを見ながらそう言った。シャンクスはバギーを尻目に周りを警戒しながら、前へと進んでいた。

すると、シャンクス達の耳に何かが聞こえてきた。

 

「…!!。バギー!」

「うぉ!なっ…!なんだよ!驚かせんじゃあねぇよ!」

「聴こえねぇか?この音?」

「音ォ?音って…何言って…」

 

バギーはシャンクスに言われて、耳をすますと何かを調理する音が聞こえた。

 

「なんだぁ?何かを切る音が聞こえるぜ?」

「何処からだ…?こっちから聞こえるぞ!」

 

シャンクスは音のする方に歩くと、そこにはボロボロの木のドアがあった。ドアの所々に空いた穴からいい匂いが漏れていた。

 

「お!なんだぁ?いい匂いがするじゃねぇか!」

「止せ!バギー!」

 

バギーはドアの穴から中を覗き込んだ…。部屋の中は蒸気で全貌が見えなかったが、火にかけられた鍋がグラグラと煮えていた。

 

「おい!ここは調理場みてぇだ!シャンクス!少しなにか食おうぜ!」

 

バギーは隙間に目を当てながら、シャンクスにそう言った。シャンクスは呆れた様子で言った。

 

「おいおい…バギー!こんな所に来て変な食い意地張るなよ…。何かあるかもしれ…」

 

シャンクスがバギーにそう言おうとしたその時!シャンクス達の後ろの通路から、何かが走ってくる音が聞こえた。

 

「…!!バギー!逃げるぞ!」

「お…おい!」

 

シャンクスはバギーの腕を掴むと引っ張って走り出した。シャンクス達が走り出すと暗闇の中から、異形の姿をした水夫が手と一体化した剣を、振り回しながら走ってきた!

 

「ウゴガァァァァァ!」

 

水夫は叫び声をあげながらシャンクス達を追い始めた。バギーは後ろを振り返ると涙目になりながらシャンクスを睨んで言った。

 

「シャンクス!なんだよ!あれは!」

「だから!言ったろ!ここには化物がいるってよォ!」

 

シャンクス達はそのまま走っていたが、異形な水夫はシャンクス達に追いつくと、手の剣をバギーに振り下ろした!

 

「うわあああ!」

「バギー!」

 

しかし…振り下ろされた剣はバギーを傷付けることは無かった。バギーの体が縦に真っ二つに割れたからである。

 

「ぎゃああああ…?…あれ?」

 

バギーは叫び声をあげたが…2つに割れた状態になりながらでも、体は足を止めなかった。シャンクスはバギーを見るとギョッとしながら言った。

 

「おい!バギー!大丈夫なのか!」

「ああ…何ともねぇみてぇだ。もしかして…!」

 

シャンクスの言葉に自分の体の変化に、驚きの声をあげていたが…バギーはあることを思い出した。

 

(ま…!まさか!この力って…!)

 

バギーは顔を青ざめさせると、シャンクスを見ながら叫んだ。

 

「これが俺の悪魔の実の能力ゥゥゥ?」

 

バギーはワナワナしながら、自分の手見てそう叫んだ。異形な水夫は、床に刺さっていた剣を抜くとまたシャンクス達を追いかけ始めた。

 

「やべぇ!バギー!驚くのは後だ!さっさと逃げるぞ!」

 

シャンクスは、固まっているバギーの手を掴むと引っ張りながら走り出した!シャンクス達が狭い船内を走っていくと、甲板上へと出る階段があった。

 

「あったぞ!バギー!ここから甲板に出られる!」

「お!おう!」

 

シャンクス達は急いで階段を駆け上がった!バギーも二つに分かれた体で苦戦しながらも階段を登った。

 

「やったぞ!甲板に出れた!バギー!入口を閉じるんだ!」

「わかってらァ!」

 

シャンクス達は甲板へと出ると、化物が追って来れないように船倉への入口を閉めた。

 

「ふぅ〜。一時はどうなるかと思ったぜ…!」

 

バギーとシャンクスが額ににじんだ汗を拭った。その瞬間!船にパイプオルガンの音が響いた!

 

「うぉっ!何だァァァ!?」

「…!一体どこから!?」

 

バギー達はオルガンの音にびっくりして、辺りを見渡した。辺りは船倉の光景と同じでボロボロな感じだった。シャンクスはふとマストの一番上を見た。

そこには、タコの頭にドクロが描かれた海賊旗(ジョリー・ロジャー)が風もないのにはためいていた!

シャンクスはその海賊旗を見ると、みるみるうちに顔を青ざめさせると言った。

 

「いっ…!ま…まさか!この船って…!」

 

シャンクスがそう言おうとした瞬間!オルガンの音が止むと、義足で歩く音が鳴り響き船長室の扉が開け放たれた!

 

「へっ?」

「クソっ!」

 

シャンクスは船長室から出てきた男を見るとナイフを構えた。バギーはと言うと素っ頓狂な表情になりながら船長室の方を見た。ジョーンズは、シャンクス達を見るとニヤっと笑いながら言った。

 

「おやおやぁ?誰かと思えば、勝手に俺の船に乗ってきたガキ共じゃないか…。やっと目が覚めたようだな?ガキ共ぉ…?」

 

男はそういうと、更にシャンクス達に近づいた。シャンクスはナイフを構えながらこう言った。

 

「何もあんたの船に乗りたかったんじゃない!俺はこいつを助ける為に海の中を潜っただけだ!」

「ほう?お前は美しき友情の為に、俺の船に乗ってきたのか?」

 

ジョーンズは嘲笑いながら、さらに近づいた!月の光に照らされジョーンズの顔があらわになった。

 

「ああっっっ!あんたは!」

 

バギーはジョーンズの顔を見ると目を飛び出させながら尻餅をつくと言った!

 

「あの"海の死神"とやり合ったあぁぁぁ…!"海の悪霊"デイヴィー・ジョーンズ!」

 

バギーがそう言うとジョーンズは満面の笑みを浮かべながら言った。

 

「ほう!俺の事を知っているのか?嬉しいぞぉ?赤っ鼻」

「赤っ…鼻…?誰にいうとんじゃ!こらァァァ!」

 

バギーはジョーンズの言葉に怒り狂ったが…ジョーンズの雰囲気に気圧された。シャンクスが近づいてくるジョーンズに対してナイフを突き刺そうとした瞬間!シャンクスの後から手が伸びてきてナイフを掴むと、ドロドロに溶かした。

 

「ガキがそんな危ねぇもん振り回すもんじゃねぇ…。うちの船長を殺したけりゃ…俺を倒してからにするんだな?」

 

シャンクスは後から聞こえた声に反応して振り向くと、長い髪を無造作にくくり、ポニーテールにした男がいた。ジョーンズは男を見ると言った。

 

「おいおい…あまり怖がらせてやるな…?小便でもチビられちゃ〜面倒だ…。そうだろう?ジョン?」

「そうだな…船長!あまり怖がらせすぎるのもいけねぇか…。」

 

ジョーンズ達はニヤニヤとシャンクスを見てそう言った。シャンクスはジョーンズ達を睨みつけていた。

ジョーンズはそれに気づくとシャンクスに笑いかけながらこう言った。

 

「何はともあれ〜?我が悪名高き船への乗船を歓迎しよう!」

 

ジョーンズは両手をわざとらしく広げながらこう言った!

 

「我がフライング・ダッチマン号へようこそ!バギー君とシャンクスくぅん?」

 

ジョーンズはそう言い終えるとニヤリと笑った。




次はロジャーと絡ませます。
その次はジンベエの親分に絡ませたいなぁ



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