ラブライブ!魔法使いのIFルート   作:そらなり

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どうも、そらなりです。

今回はようやくリクエスト企画第二弾ということで、ポケットモンスターとのクロスオーバー作品になります。
リクエストしていただいた方に満足いただけるように頑張りましたので読んでいただけたらと思います。

それではポケモンとラブライブが直接的に交わったらどうなるのかを……ご覧ください!


空間を司る伝説と空間を操る者

 ここはシンオウ地方のやりのはしら。そこにいたのは伝説のポケモンだった。

 

『ぱるぱるぅ~!!』

 

 空間を司ると言われているポケモン、パルキア。そのパルキアは空間に異常を感じたのか空間が震えるほどの鳴き声を上げていた。

 

「パルキア!! いったいどうしたんだ!!」

 

 その反対側にいる少年、サトシはバトルしていたパルキアの様子がおかしいことに気が付き語りかける。しかし、パルキアはもうバトルなんかはどうでもいいと思っているのかサトシの言葉に耳を傾けようとしない。

 

「パルキア……。ピカチュウ!! 10まんボルトだ! パルキアを元に戻してやってくれ!!」

 

『ピッカ!!』

 

 サトシの相棒ピカチュウに指示を出す。明らかに普通じゃないパルキアがもとに戻ってくれることを信じて。

 

 でも攻撃がパルキアに当たっても全くも気にせずにいた。それどころか余計様子がおかしくなる。なぜ? そんな感情がサトシの、ピカチュウの頭の中から離れない。

 

 刹那、パルキアの腕が赤白く輝き始める。パルキアだけがつかえる特別な技"あくうせつだん"。それをピカチュウに向けて放つのかと思われた。

 

「サトシ! あくうせつだんが来るぞ!」

 

「サトシ!!」

 

 後ろで観戦していたタケシとヒカリも攻撃を仕掛けてきたと思ってサトシに注意を促す。

 

 けどパルキアはピカチュウのほうを見ているようで見ていなかった。サトシにはそれが分かる。

 

(こっちを見ていない……?)

 

 パルキアはピカチュウに攻撃することはなかった。ではなぜあくうせつだんを発動したのか。それは……。

 

 あくうせつだんがやりのはしらの空間を切り裂いたのだ。赤白い残像が見えると完全に切り裂かれた空間が見える。そう。パルキアは空間を司るとされる伝説のポケモン。空間を切り裂くなんてことはすぐにできるし、空間を移動することさえもできる。

 

 このシンオウ地方では神様として扱われている存在のパルキアが空間に異常を感じたためにこうなってしまったのだ。ただただ逃げるというわけではなく空間の歪みを直すために。

 

 けどそれは周りのサトシたちも巻き込んでしまいかねない方法だった。パルキアによって切り裂かれた空間から吸い寄せられるような感覚を覚えたサトシはピカチュウに戻るように指示をする。ただのポケモンが、人間があの場所に入ったらただでは済まないと直感で感じ取ったようだ。

 

「ピカチュウ! 戻れ!」

 

『ピッカ!』

 

 サトシの指示通りピカチュウは戻っていったのだがまだ吸い込まれるような感覚は消えない。むしろ強くなっているような気がした。そんな間にもパルキアはその場所に入り込もうとしている。いや入り込んでしまった。パルキアが作った空間の裂け目はパルキアが入ってしまえばだんだんと小さくなっていく。これで一件落着になると思われたがそうはいかなかった。

 考えてみればわかることだ。パルキアが入れるほどの大きく切断された空間。それが小さくなっていけば吸い寄せられる力は自然と大きくなる。であればぎりぎり耐えていたサトシたちはどうなるだろうか?

 

 少しずつ少しずつサトシとピカチュウは吸い寄せられる。タケシとヒカリは柱に抱き着いてなんとか無事な様子だ。けど先ほどまでバトルしていたサトシの近くに柱なんてものはない。確実に吸い寄せられて、抵抗むなしくサトシとピカチュウはパルキアが作り出した裂け目に吸い込まれてしまった。

 

「うゎあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 そんな状況でもピカチュウのことを抱きしめて何とか安全な場所までと流れに身を任せ空間のはざまをさまよい始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わって関東地方にある東京都の秋葉原と神田、神保町の間にある音ノ木坂学院ではある男子生徒が異変を感じた。

 

「……っ!!」

 

 わずかだが、確実な空間の歪み。まるで他の世界の何かがこの世界にやってくるような異常な歪みを俺は感じた。

 

「全く……帰って来て早々なんだよこれ?」

 

 音ノ木坂学院の屋上にいる俺は感じた違和感が今までにないものであったことに驚いていた。空間を操る魔法を使えるのは基本的には俺だけのはず……。場所を移動するとかならほかの人にできるかもしれないけど、別の空間を作ってそこに入るといったことができるのは俺だけ。なのに、他の人がそれを使ったような感覚が俺にはあった。

 

「空也君? 何かあったの?」

 

 俺が感じた違和感にきょろきょろしていると穂乃果が俺に話しかけてくる。……でも、どういう風に説明したらいいのかわからない。

 

「あ~。まぁ、あったと言えばあったかな」

 

 だから少し曖昧な返事をしてしまう。

 

「どうしたんですか?」

 

 最初に気が付いた穂乃果につられ、今度は海未も俺に対して何があったのかを聞いてきた。それに続いてことりや真姫、他のμ'sのメンバーが俺の周りに集まってくる。……魔法のことを話して以来、何か不思議なことがあるといつもこうして集まってくるんだから……。

 

 まぁ、ここは正直に自分のわかっている範囲でみんなに説明をしますか。

 

「いや、ちょっと魔法関係で感じたことがあって」

 

 でも、俺が言えることはこういうことだけ。詳しくは空間魔法関係となるがそこまで説明しても穂乃果たちが理解することができないだろう。だからわかってくれる範囲での説明になった。

 

 こと魔法のことになると、未知のことからなのかみんなが不安そうにしている。俺が隠していたからあまりよくないことだとは思っているみたいだけど、魔法関係で感じた=確実に悪いことということでもなかった。

 

「それって大丈夫なの?」

 

 だから俺は不安そうにしていることりの問いを断言することはしなかった。

 

「わからない。使ってるってことはわかってるんだけど、それが悪影響になるかまでは……。って!」

 

 現状は悪いことが起こっているのか、それとも何か良いほうに転がるようなものなのか判断が付かない。ただ、違和感を感じた。それだけの状況なのだ。

 

 そんな話をしていると不意に見上げた空に大きな穴が開いていることに気が付いた。

 

 あれは……!! 親方! 空から女の子が! ……じゃなくて男の子が落ちてる!? 何がどうなってるのかわからないけどあのまま背中から落ちたんじゃ、絶対に助からない。なんとか……間に合え!!

 

 俺は赤い帽子をかぶって何かを抱えている少年が落下すると思われる地点まで走りこんだ。

 

 なんとか屋上の範囲内で落ちてくれて助かったよ。しっかりと抱え込んで少年はぎりぎり受け止めることができた。

 

 にしても、パラシュートなしでスカイダイビングするような体勢じゃなかったし、何よりこの場所は適さないだろ……。じゃあなんでこの少年は降ってきたんだ?

 

「空也! その子は大丈夫だった!?」

 

 俺から遅れて絵里たちが心配そうにまた駆け寄ってきた。こうして目に見えて危険な様子の子供が降ってきたらそれは心配になる。

 

「あぁ。今は少し気を失ってるだけみたいだ。真姫、念のため見てやってくれないか?」

 

 けど、本当にけがのない少年の姿を見せるとみんなは安堵の様子でその少年を見つめていた。

 

「えぇ。でもどうして空からなんて……」

 

 医療知識がこの中では一番ある真姫にも目立った外傷が見られず脈も正常であることから大丈夫であると判断する。そのあとに気になってくるのはこの子が現れた現象について。なぜ何もなかった空から少年が降ってきたのか。

 

「それはまだわからないけど……とりあえず保健室までこの子を連れてくか。ことりもついてきてくれ」

 

 それについては現状全く分からないけど、こうして降ってきた少年をこのままにしておくわけにはいかない。

 だから俺は保健委員のことりと医療知識のある真姫に助けを求めてこの少年の様子を見ることにした。詳しくはわからないけど、このタイミングからしてきっと空間に異常となにがつながりがあるのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ことりが保健室の先生に話を通してくれたおかげでスムーズに彼を休ませることに成功した。本当だったら仰向けで眠らせてあげたかったんだけどずっと何かを抱えているからそのままの恰好で寝かせている。……にしても何かを抱えているんだろう?

 

「本当に、どうなっているのかしら?」

 

 だんだん落ち着きを取り戻し始めたことりと真姫だけど、気になってくるのはやっぱり一つだけだった。

 

「うん……。空から男の子が降ってくるなんて……」

 

 どうして少年が空から降ってきたのか。非日常すぎる体験を初音島でしてきたばかりだったけど、こうして完全で意味の理解できない非日常を目の当たりにするとどうしても平常心のままではいられなかった。

 

「これも、空也と同じ魔法が原因なの?」

 

 でも考えてみれば、今日先ほどまでの会話を考えてみれば何かしらのヒントがあるのかもしれない。そう思ったようで真姫は魔法だと思い俺に尋ねてくる。

 

「近いものだとは思う。けど、この子は魔法使いじゃないよ」

 

 確かにこの子が出現した穴のようなものからは魔法と似た何かを感じ取ることができた。けど、それはこの子が出現させたわけでもないし、この子からは魔力が何一つ感じ取ることができなかった。

 

「そんなこともわかるの?」

 

 魔力の有無に関してわかるということは、そういえば言ってなかったっけ。初めて聞くことりは首をかしげながら俺に聞いてくる。

 

「あぁ……。でも、今一番気になってるのは……」

 

 けど、俺にはほかにも気になることがあった。

 

「気になってることは……?」

 

 それが何なのか真姫は俺に聞いてくる。そんなのは一つしかない……。

 

「この子が抱えている黄色い何かは何なのかということだ。なんか動いてるし……」

 

 呼吸しているかのようにもぞもぞと動いていることから生き物であることはわかる。けど、人間というには小さすぎるし、黄色のぬいぐるみを着ているようにも見えなかった。黄色い動物なんて早々みることはないし、いったいどんな生物なのか俺はそこが気になっていた。……もしかしたらこの世界のものではないのかもしれないという仮説を立てながら俺は少年と生き物をじっくり見ていた。

 

「あ! 本当だ……。なんなんだろう?」

 

 俺が気になり始めるとことりも目が行ったようでじっくりとその黄色い何かを見つめる。

 

 と、そんな話をしていると少年の目がぴくぴくと動き始めた。少しうるさかったかな? けど、これで話が聞ける。この黄色い生き物についても、空から落ちてきた理由についても。

 

「うぅん? ここは?」

 

 ……ただ、この少年、どこかで見たことがある気がするんだよな……。でも、混乱しているようだからまずは説明か。

 

「学校の保健室だよ。目が覚めたみたいだ良かった~!」

 

 ことりはその少年に向かってここがどういうところなのかを説明する。突然知らない場所で目が覚めればそういう反応を示すのも当然だし、何の不思議もない。

 

「がっこう……? あ! ピカチュウ!!」

 

 けど、学校に疑問を持つものなのか? 見たところ日本人みたいだし、学校を知らないなんてことはないと思うんだけど……。

 それに少年は目が覚めると何かを思い出したかのように抱えていた何かに向けて話しかける。……ピカチュウ? どこかで聞いたような……。

 

『ピカ?』

 

 黄色い姿で雷のような形をしているしっぽを持った明らかにこの世界のどこにもいない獣を少年は大事そうに抱きしめていた。目は真ん丸で可愛らしくもどこかりりしいその姿は……。

 

 ……思い、出した!! これポケモンだよね!? この子、サトシ君だよね!? なんで!? アニメの中のキャラクターが何でこの場所で寝てるの!?

 

「いいいいい、一応名前を聞いてみてもいいかな?」

 

 ヤバい! サトシ君だとわかった瞬間に緊張してきた。だって!? 本来会うことすらできないような人物なんだよ!? しかも、子供から大人まで知っている作品の主人公だよ!? 興奮せずにはいられないでしょ!!

 

「何そんなに緊張してるのよ。ただの子供でしょ?」

 

 って!! 真姫は知らないんかーい!! マジで!? この有名人知らないの!?

 

「かわいい! ねぇ、ちょっと抱っこさせて!」

 

 しかもことりはサトシ君のことを放っておいてピカチュウに夢中だし……。

 

 けどそんな中でサトシ君はしっかりと自己紹介をしてくれる。

 

「あ、俺はマサラタウンのサトシ。俺をここに運んでくれたのって……?」

 

 生で……生で聴けたよこのセリフ!! でも、これで確定した。この少年、サトシ君はアニメ『ポケットモンスター』における主人公のサトシ君であることが。

 

「やっぱりあってた~!!!(あぁ。俺たちだよ)」

 

 そう分かった瞬間……。あ、心の声としゃべろうとしたことがあべこべになった。え!? 俺ってこんなに混乱してたの!?

 

 自分がいかに混乱していたのかを理解すると不思議と緊張感がとけ、何とか冷静を取り戻すことができた。

 

「何なのよさっきから……」

 

 でも、情緒不安定な俺の様子を見ていた真姫は何事かと思って若干引きながら見ていた。……アハハ、うん。客観的に見るとその反応になるよね。本当にアツくなってた。

 

「あれ? マサラタウンって確か……」

 

 ただ、ピカチュウにお熱だったことりもサトシ君の自己紹介は聞いていたみたいで気になった単語に反応する。それはサトシ君の出身地であるマサラタウン。

 

「お姉さん、マサラタウン知ってるの!?」

 

 自分の出身地を知っているような口ぶりで話していたことりにサトシ君は嬉しくなったのかかなり食い気味に話を聞こうとする。

 

 けどそんなことりが思い描いているマサラタウンとはこっちの世界でのもの。

 

「うん……確か、ゲームで出てくる町だよね?」

 

 そう、この世界ではポケットモンスターという作品がゲームやアニメとして存在している。そして今目の前にいる人物がその空想上の主人公ということだった。だからこそ、ことりはその場所が出身であるということに疑問を持っていたのだ。……今目の前にいるサトシ君がこの世界の住人であると勝手に思い込んで。

 

「……? ゲーム?」

 

 ことりの言葉を聞くとサトシ君はまた首をかしげる。それはそうだ。だって自分が住んでいた町がゲームで出てきたと聞いてピンとくるわけがない。

 

 でも、ことりの言っていることは少しだけ間違っている。それは俺が先ほど答えを出したに等しいのだが、このサトシ君のいたポケットモンスターの舞台はゲームではなく……。

 

「ことり、確かにそうだけどこのサトシ君はゲームの中のキャラクターじゃない。彼はアニメのほうのサトシ君だよ」

 

 アニメであるということだ。帽子についているモンスターボールのマークが青色だからこのサトシ君はダイヤモンドパールの時代からやってきたのだろう。そこまで考えはつくのだけど、やっぱりこうしてこの世界に来た理由が全く予想が付かなかった。

 

「アニメ……?」

 

 けどサトシ君は、そんな俺たちの話はよくわかっていない様子だった。まぁ、説明もしていないし無理ないか。

 

 そしてそれは真姫も同じ。ありえないことを話している空也に対してツッコミを入れる。

 

「いったい何の話をしてるのよ!? アニメのキャラがここにいるわけないでしょ!」

 

 そう、アニメのキャラがこの場所にいるなんてことはあり得ない。では、なぜこうしてサトシ君がここにいるのか。ここにいられるのか。

 

 それは俺が考えればすぐに検討が付くものだった。なぜなら……。

 

「俺がどんな魔法が得意か忘れたのか? 空間関係なら右に出るやつはいないぞ。空間。つまり別空間の話がこの世界ではアニメや漫画になっていることなんてよくあることなんだよ」

 

 俺がカテゴリー5の魔法使い、"時空の覇者"時坂空也だからだ。二つ名の通り、俺は空間に関係することならこの世界で誰よりも知識と技術があると自負している。だからこそ断言ができる。人の想いが詰まった世界が平行世界として存在しないわけがないということを。

 

 って、そんなことを語っているとサトシ君を置いてけぼりにしていたことに気が付いた。……やっぱりまだ興奮していたみたいだ。リラックスリラックス……。

 

「あ、ごめんね。ちょっと取り乱してたよ。それで、なんで君は空から降ってきたのかな? 思い出せる範囲で教えてくれないかい?」

 

 やがて落ち着いた俺は現状の打開策を考えるためになぜこの場所にサトシ君がやってきたのかを聞いてみる。

 

 突然の俺の問いにサトシ君は首をかしげながら考えるように腕を組んだ。ピカチュウはもうサトシ君の肩に移動している。

 

「え? ……あ。俺パルキアとバトルしてて、途中でパルキアがおかしくなっちゃって、空間に亀裂を入れたら吸い込まれて……」

 

 サトシ君が思い出しているそばでピカチュウもうんうんと頷いている。……可愛いな。ってそうじゃない! 今すごいポケモンの名前を聞いたような気がするんだけど……。

 

「パルキア? 確か空間を司るポケモンだったよな……。ん? 空間を司る……?」

 

 しかもそのポケモンの名前がパルキア。作中で空間を司るポケモンとして描かれた存在だったはず。司るということは言ってみれば統括しているということで……。

 

 もしかして……俺が初音島でやったことが原因なのか? 司るとなれば空間が一時的に増えればそれは異常が発生したのと同じ状態になる。だとすれば……。

 

 そう考えているとパルキアについてある程度知っていることりが反応する。

 

「じゃあもしかしてあのおっきなポケモンがこの場所に来てるってことなの!?」

 

 そうだ。パルキアの大きさは4メートルをはるかに超える。そんなポケモンがこの世界に出現したとすれば大惨事になっていることだろう。

 

 けどそんなニュースが入ってきた覚えはないし、出現したとすれば普通に避難警報が出てもおかしくない。なのにそれがないということは……。

 

「え? 大きいの?」

 

 今は真姫の質問に答えている余裕がなかった。すぐにでも推測を立てないといけない。だから真姫はいったん置いておいて話を進めると……。

 

 サトシ君がこの世界に来たという経緯はきっと……。

 

「君がこの場所に来たのもきっとパルキアがその場所からこの世界に来る時に作った亀裂に飲まれたんだと思う。だから、パルキアはもっと先にこの世界にやってきていると考えていい」

 

 亀裂に飲み込まれて流され続けたサトシ君よりも絶対にパルキアのほうがこの世界にやってきたのは早いだろう。なぜならパルキアでないとその空間を切り裂くことはできないから。入り口でそんな行動を下となればきっと出るときも空間を切り裂いて出てくる。きっとサトシ君はその出口に流されるようにして出てきたんだろう。

 

「こうしちゃいられない! 何とかパルキアを助けないと!」

 

 自分より先にこの世界にパルキアがやってきたということを聞いたサトシ君はベッドから立ち上がり外に出ていこうとする。

 

「うん。それには同感だよ。何とかしないといけない」

 

 サトシ君の考えであるパルキアを何とかしないといけないという部分に関しては俺も同感だ。この世界にもともといるものではない存在がいつまで原形をとどめていられるかという問題も出てくるし、何より未知の生物を一般人が見つけてしまった時にどうなるのかを考えるだけでも背筋が凍ってしまう。

 

「でも、考えてみると大きな何かが突然現れたなんて聞かないよ?」

 

 けど、探すとなれば大きなポケモンが出現したという部分を考えようとする。

 

 しかし、その情報はもうすでに出ていたっておかしくない。出ていないということはパルキアが透明になっているか、それとも……。

 

「そうだろうな。世界には整合性というものが存在する。他の言ってしまえば異分子がこっちの世界に合わせて変えられてしまうということ。ピカチュウがこのまま来たってことは形自体は変わらなかったんだと思うけど、きっと犬や猫と同じような大きさになってると思う」

 

 この世界の整合性によって大きさが変えられているかの2択だった。透明になることはパルキアの特性上できないことはわかっている。というか、この世界にきてできるはずがなかった。だってこの世界にはパルキアが大きいままで行動できるほどのエネルギーがないのだから。

 

「それなら情報がないのもうなずけるわね」

 

 俺の話を黙って聞いていた真姫はどこか納得するようにして考えていた。だからこそ、この大きな世界の中で小さいパルキアを見つけないといけないのだが……。

 

 けど周りに被害を与えることはないからそこの部分に対しては安心できる。

 

「だからその分力もない。空間を移動することはもちろん、他の技を出すことさえ」

 

 きっと今できるのは猫や犬にもできるようなことくらいだろう。

 

 そんな話を聞いたサトシ君は大きさの変わらないピカチュウに向けて確認のためある指示を出す。

 

「じゃあピカチュウはどうなんだろう? なぁ、俺に10まんボルト」

 

 ……サトシ君のドM行動が出たね。時々こうやって自分に技を出させるんだもんな……。サトシ君の体ってどうなってるんだろ?

 

『?』

 

 サトシ君の指示を聞いたピカチュウの技は見事成功する。やっぱりか。この世界にいても大きさが一緒であれば体内でエネルギーを生成することができる。そうなら技が繰り出せる。

 

「え!? 何をやってるの!?」

 

 まぁ、サトシ君の行動を見るとその考えをする前に驚いちゃうよな。

 

「ピカチュウは大きさがそのままだからここでも技を使えるよ。要は体内でエネルギーを作れるかどうかの問題だからね」

 

 けどその行動だって俺の予想通りだし、結果も同じだった。何故ピカチュウが技を使えるのかを説明するとサトシ君は安堵の様子でピカチュウを見つめている。……髪の毛アフロだけど。

 

「そうか、良かった……」

 

 けどサトシ君はピカチュウがいつも通りであることにほっと一安心する。余程大切なんだろうな……。

 

「あ、他のみんなはどうなんだろう?」

 

 ピカチュウのことが大丈夫だとわかった今、サトシ君が気になるのは他のポケモンだった。いつも同じ時間を共にしていたのだから心配になるのは当然か。でも、モンスターボールが機能するかどうか……。

 

「え? まだいるの?」

 

「見せてみせて!」

 

 まだほかにポケモンを持っているということを聞いた真姫は少し戸惑いながら、ピカチュウを見たことりは他に可愛いポケモンがいると思って興奮気味にサトシ君に聞いていた。

 

「あぁ! ってこの場所だと出せるのは……」

 

 自分のポケモンに興味を持たれたことに嬉しく思ったサトシ君は元気よく返事をする。けど保健室内を見渡してここでは出せないと判断した。

 

「じゃあ屋上に戻ろうか。いつまでもここにいられないし、あまり見られるのもよくないだろうし」

 

 まぁ、いつまでもここにいたって意味はないし、広い屋上に向かうのが今は一番いいか。

 

「それもそうね。穂乃果たちも心配しているだろうし、戻りましょうか」

 

 俺の提案に真姫が乗り俺たちは屋上に戻ることになった。……サトシ君、さっき俺の言ったこと覚えなかったのかな? 大きさはこっちの世界に合わせられるのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺たちは屋上に戻ってきて一通りサトシ君のことについて、この場所に来たことについて話をした。

 

「空間を司るポケモン……ですか」

 

 その中には当然パルキアがこの世界に来たということも含まれている。

 

「なんか、現実感ないね……」

 

 こんな話を聞かされてすぐに納得できるかといわれればほとんどの人がノーと答えるだろう。

 

「それを言うなら空也君も十分現実感ないにゃ」

 

 けどμ'sは違った。俺という非日常の権化たる人物がいるからなのかいつも通りのまま話を聞いていた。

 

「でも、スピリチュアルでいいやん!」

 

 というか、驚くどころか興奮している人もいるし。

 

 でもとりあえず今やることは……

 

「じゃあ出すぜ。みんな! 出てこい!!」

 

 他のポケモンの様子を見ること。

 

 サトシ君は上半分が赤、下半分が白の球体を投げる。その球体は空中で開き、青白い光と共に猫や犬と同じくらいの大きさのポケモンたちが出てきた。やっぱりね。現状出てきたポケモンはドダイトス、ゴウカザル、フカマル、ムクホーク、グライオン。

 

 元の大きさとの違いが顕著なドダイトスをはじめとするみんなを見ているとサトシ君はかなり驚いていた。

 

「あ……。そっか。ここだと大きいポケモンは小さくなるんだっけ……」

 

 俺の先ほど言った言葉を思い出したサトシ君は驚きながらもすぐに納得する。

 

「そうだよ。大きさが変わってないポケモンっている?」

 

 けど、今重要なのはその大きさ。もし全員が変わってしまっていたのなら少し考えようだけど、俺の記憶上きっと変わらないポケモンもいるだろうとは思っていた。

 

「そうだな……。ピカチュウと、フカマル。後、ムクホークにゴウカザルかな」

 

 サトシ君が大きさの変わっていないポケモンたちをリストアップする。じゃあ大きさが変わったのはドダイトスとグライオンだけってことか。

 

「わぁ~!! かっこいいし可愛いし! 本物ってやっぱすごいね!」

 

 ポケモンを知っている穂乃果も目の前に広がるこの世のものではない新しいものを見て興奮していた。

 

 ポケモンがつかえるのであればポケモンたちが独特に感じる空気感も知ることができる……。だとしたらパルキアを見つけるのも幾分楽になるかもしれない。

 

「サトシ君。ムクホークとか空を飛べるポケモンで空からこの近くをさがしてくれないか?」

 

 俺はそう考え、空を飛べるムクホークに偵察に行ってもらえるように頼んだ。飛べるポケモンが通常のサイズで出てきてくれた本当に助かったよ。

 

「大丈夫だ。……でも、どこまでをさがすか見当をつけないと」

 

 確かにこの星全体をさがそうとすればそれ相応のスタミナが必要だし、時間もかかる。だから場所を検討づける必要があった。

 

「確かに、この世界?に来ていたのだとしても地球を丸々探してたら時間がいくらあっても足りないわよ」

 

「でも、空間を司るポケモンで何か異変を感じてこの世界に来たんだとしたら……」

 

「あの場所かもね」

 

 けどその検討は俺以外にもついていたみたいだ。そう、その場所というのが……。

 

「……初音島」

 

 俺の第二の故郷であり、初めて魔法使いであることをみんなに教えた場所。そして空間を作って練習した場所だった。

 

「あぁ。俺もそのどっちかだと思ってる。だからムクホークには悪いんだけど初音島まで飛んでいってほしいんだ」

 

 だから先にムクホークには全体を観察してきてほしかったのだ。

 

「大丈夫だ! な! ムクホーク!」

 

 その俺のお願いにサトシ君は快く引き受けてくれる。良かった……。

 

「その言葉、心強いよ。それで場所なんだけど……」

 

 サトシ君からその言葉が聞けたから俺はムクホークに初音島の場所を教える。ここから少し遠いから頑張ってもらわないといけないけど、今は少しでも早くパルキアを見つけないといけない。

 

「じゃあ、ムクホーク。頼んだ! あとで俺たちも向かうから!」

 

 そして今すぐにムクホークは初音島に向かう。サトシ君は自分のポケモンを励ましエールを送った後、しっかりと真っ直ぐな目線でムクホークを見送った。

 

 どれだけ初音島とこの音ノ木坂が離れているかを知っている海未たちはムクホークに対して不安になる。

 

「……大丈夫なのでしょうか?」

 

「うん……心配だね」

 

 しかも今まで見たことのない世界でいろいろ戸惑うことだってあるはずだ。だから心配になるのだってきっと自然なものなのだろう。

 

「きっと大丈夫だよ! あの子は強いから!」

 

 けど穂乃果のように信じて送り届けるのも今は必要だ。一刻も早くパルキアを見つけるためには絶対に。

 

「にしても、あとはこっちを何とかしないといけないのね」

 

 さて、あとはやることが決まった。

 

「うん。早くしないと困っちゃうしね」

 

 一刻も早くパルキアを見つけるために。

 

「でもなんとかしないといけないんだから早く探しに行くにゃ!」

 

 俺たちも行動を始めないと……。

 

「じゃあ、行くぞ。初音島に」

 

 向かうはムクホークと同じ目的地の初音島。絶対にパルキアはそこにいる。そんななく賞が俺にはあった。

 

 




まさか終わらないという……。

大まかな流れに関しては全部できているのですがこれ以上なると長くなるので今回はここまでとさせていただきます。

長らくお待たせしたポケモンクロスなのに力不足で申し訳ないです。けど、意外なクロス内容になって驚いていただけたでしょうか? 次回はこの続きを更新します。なのでそれ以外の話をここに投稿する予定はありませんのでゆっくりとお待ちください!

この作品では今年が最後になります。それではよいお年を!
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