今回はリクエスト作品第二弾の後編です。1話で終われると思ったら長引いてしまいました。
さて、空也のいる世界にやってきたパルキアはいったい今どんなところにいるのでしょう?
それでは、今回も物語が始まります!
真姫の伝手で俺たちは水越病院から医療用のヘリを使って初音島にやってきた。乗れる人数上、俺とサトシ君、真姫とことりの4人でこの場所にやってきた。
「まさかこんな早くにここに戻ってくるとはな」
夏休みに入って1年ぶりに合宿で一時的にこの初音島に帰ってきたけどまたこんなすぐに戻ってくるとは思ってもみなかった。この場所は瀬戸内に浮かぶ1つの島。つまり東京からは普通に離れた場所にあるのだ。それをこんなにすぐに来てしまうとは思う方が無理があるというものだ。けど、それはこの話を通してくれた人にも言える。
「ほんとだよー。話し通すのに苦労したんだよ~」
それがこのさくらだ。俺が通っていた学校風見学園の学園長にして島の人に顔のきく有名人。だからこそこの飛行機が通ることのない島に空からやってくることができたのだ。ヘリポートなら病院にあるからな。
そしてこのおかげでこの島にいるパルキアを探すことができる。
「さくら……。ありがとな。これで探せる」
くたくた気味に話してくるさくらにありがとうを伝えたところで病院の外に出る。すると空のほうからこちらに向かってくる影が一つ。その影に俺は心当たりがある。だってそれは俺が指示を出して出した結果だ。
「ムクホーク! お疲れ様! 見つかったか?」
サトシ君は自分のムクホークを抱きかかえる。しかしサトシの問いに首を横に振るムクホーク。その答えを聞いたサトシ君は疲れ切っている様子だったのですぐさまボールに戻した。この場所にポケモンセンターはない。人間の医療が通用するとも思えないのでその判断は賢明だと思う。
でも、あとは自分たちの手で探し出さないといけなくなってしまったということで……。それはかなり骨が折れる。この場所に来てしまえば俺は魔法が思う存分に使える。であれば、おびき出すことも可能。なのだが、パルキアの様子を考えるとそうも言っていられない。
いくら世界の整合性が保とうとするために大きさやパワーが変化するとはいえ見た目が変わるわけではない。だからこそ、この世界で見ることのできない姿のパルキアが見つかってしまうのは何としても避けていところだ。
こうなったらまた、ここに来たように範囲を絞るしかないか……。
「じゃあ手分けをして探すか!」
そう俺が考えているとサトシ君が全くの反対の作戦を提案する。
「……いいや、一か所だけみんなで行こう」
けど自分が考えた作戦のほうが確実性があると考えた。小さい初音島だと言ってこの島全体をさがすのは時間がかかる。だからこそ、可能性の一番高いところをみんなで探す方が見落としが少なくなるとそう考えたのだ。この作戦の欠点は的外れな場所を探してしまう可能性があるということだけど、俺は1つの確証があった。きっとそこにいるだろうという確かな予感が。
「心当たりがあるの?」
自信満々にそう宣言した俺にことりが聞いてくる。そう。心当たりがあるのだ。
「あぁ。おそらくいるとしたらあの周辺しかない」
パルキアがここに来ることになった原因を考えてみると俺が魔法を極限まで使える場所にいるだろうということが感覚的に伝わってくる。
「そこってもしかして……」
こんな表現をしたからか俺が考えている場所が真姫にもことりにも、そしてさくらにも伝わる。この場所で一番パルキアがいるであろうという場所。それは……
「枯れない桜。だよね?」
そう。枯れない桜。1年中枯れることのない魔法の桜。そして俺が魔法を使う上で一番必要な依り代。俺の空間の魔法を使うのに必要な場所。
「そうだ。じゃあ行くぞ!」
だからこそ、そこにいるだろうという確証を得たのだ。
「おう!」
そんな確証があるから俺たちは枯れない桜に向かう。ゼッタイにそこにいるパルキアを探すために。
走って病院から枯れない桜の下へたどり着いた俺たちはいち早くパルキアを見つけ出すためにこの場所を手分けして探すことになる。今は長期休業中でないため観光客もこの近くにいないから行動もしやすい。
「この周辺にいると思う」
だから俺はこの周りにいるであろうパルキアの存在をみんなに伝える。ここに来てから近くにパルキアがいるような予感がより強くなってくる。
「なんでそう思ったの?」
感覚的に理解している俺の予想に疑問を持ったことりがその理由を尋ねてくる。
それも普通のことだ。魔法についてパルキアが反応したのであれば初めて空間移動の魔法を使ったさくらの家に出るはず。なのに枯れない桜にやってきたのか。そんなのは簡単なこと。
「この木は俺の魔法の依り代だ。俺が原因で呼び寄せてしまったのであれば、この場所に来るのは当然だと思ったんだ」
それは依り代だから。単純な話だけどこれで俺にとっては十分すぎるほどの判断材料だったのだ。そしてさくらの家の可能性を切ったのが誰からも連絡がないことからだ。あの家にさくらはいた。なのに気が付かないなんてことがあるわけがない。だからこそ、候補の1つであるさくらの家が選択肢からなくなったのだ。
「じゃあこの周辺にいるかもしれないってことね」
この確証はきっとことりにも真姫にも伝わっていないだろう。けど確実な自信のある俺の言葉は信じてくれる。だから真姫も周りを簡単に見まわしてパルキアがいないかどうかを確認している。
「だったら早く手分けをして探そう!!」
ここにいる。そういう確信があるのだということだけは理解したサトシ君の言葉に全員が頷き周りに散っていった。一刻も早くパルキアを見つけるために。
手分けして探し始めてから俺は文字通り単独行動をしていた。そして地面を見て探していた。その理由はなんてことはない、ただパルキアが空中を飛べないと思っていたから。けど一向に見つけることができなかった。異質な足跡も何かが通っているような気配もない。
ということは考えられることは一つしか思い浮かばない。確かな自信を持ってここにパルキアがいる筈だと思って来たのに、一向に成果が見られない。
「おかしいな……。俺の考えが間違ってたってことなのか?」
もしかしたら他のみんなのところでは変化があるのかもしれないから一概に俺の感覚が間違っているとは言い切れない。これは他のみんなの結果に期待しないといけないか。
ということを考えていると俺の耳に聞きなれない声が聞こえてくる。しかもそれは人間が発しているような声ではなくもっと違うもの。本来この世界にいる者からの声には聞こえなかった。
『貴様が、空間に異常を作った者か?』
この声を聞いた覚えは当然ない。けど、ひとつだけ俺が知っている可能性があるのは確かだ。この世界にもともといない生物で人間ではない者。そんなのはサトシ君が連れてきたポケモン以外には一つしかない。それを裏付けるように話してきた内容が後押しをしてくれる。俺たちがこの初音島に戻ってきた理由。
「もしかして、パルキアか!?」
そう。パルキアだ。ポケットモンスターダイヤモンドパールの世界で空間を司るポケモンとされている伝説のポケモン。そして俺がこの世界に呼んでしまった存在。その声が今まで耳に聞こえていたように感じていたがどうやらテレパシーの一つのようなもので話しかけてきているようだということもわかった。
『いかにも、我が空間を司るポケモン、パルキアだ』
俺の予想通り話しかけてきたこの声はパルキアのものだった。パルキアが自身のことを空間を司るポケモンだと言う自覚があったのは驚きだが、今はそんなことを気にしている場合ではない。とにかく今はなんとかしてサトシ君を元の世界に戻してあげないといけない。今はポケモンが元の世界に生きている生物のサイズに変化しているだけで済んでいるもののこれからどんなことが起こるのかはわからない。もともと異世界の住人はそんなに滞在していいわけではないのだ。特にこの世界における非日常の世界からやってきているサトシ君やパルキアを含むポケモンたちはより変化が出てくるだろう。
「早く姿を見せてくれ! お前のせいでこっちの世界に来てしまった少年だっているんだぞ!」
だからこそ、早くサトシ君たちを元の世界に戻すために今はまだ見えていないパルキアに姿を見せてくれるようにお願いをする。
しかし、俺の願いはパルキアには応えてくれないかった。
『それは出来ない』
なぜそんなことを言うのかはわからない。パルキアにはパルキアのやるべきことがあって答えているのかもしれないし、それがどうしても重要なのかもしれない。けど、今はそんなことを優先するよりも犠牲者であるサトシ君を元の世界に戻すことが重要だと俺は思っている。
「なんでだ!!」
だからこそ、俺はパルキアの答えに納得がいかない。が、冷静に声がどこから聞こえてくるのかを考えているとどうやら上の方から聞こえてくるようだ。テレパシーなのにはっきりとパルキアが声を発している場所がわかる。それが枯れない桜を取り囲むようにして生えている桜の木の上から。
気になった俺は声のした方向の上を見てみた。するとそのタイミングで強い風が俺を取り囲むようにして吹き荒れる。そのせいだろうか? 桜の花びらが舞う中俺は確かにパルキアの姿を見た。それはサトシ君の手持ちにいたドダイトスのようにこの世界にあった大きさの小さなパルキア。だけど俺が見た先にあったのはそれだけではなかった。俺の視線に映し出されているそれには……
そこには、桜の木に引っかかっているゲームで見たことのあるパルキアの姿があった。
「…………」
それを……木に引っかかっているパルキアを見た瞬間にさっきの納得のいかない気持ちがどこかに行った。ゲームでは、アニメでは伝説のポケモンらしくかっこいい姿を見せてくれたパルキアが小さくなっているだけなら、理解はできる。伝説のポケモンだって大きさは変わる。問題は状況だ。あれだけかっこいい姿を見せてくれたパルキアが桜の木に引っかかっていると言うところを見ればどこか覚めた目で見てしまうのはきっと仕方のないことなんだと思う。
『な、なんだその目は! そんな目で我を見るでない!』
きっと俺の目はジト目と大差がないほど呆れているような瞳をしているんだと思う。けど、それをするなと言う方が無理であるし、今はパルキアのペースで話すものなんだか変に感じていた。それに、きっと姿を見せて欲しいと行った時に断った理由もこの状況から考えることは容易い。
だから俺は交渉で有利に発つために周りで探しているサトシ君たちを呼んだ。
「おーい!! サトシくーん! パルキアいたぞ!!」
俺の言葉はみんながすぐさま反応し、全員集まる。手を泥だらけにして探し回っていたであろうサトシ君を始めとして汗をかきながら探してくれていたことりと真姫、さくらの全員が俺の視線の先にいるパルキアの存在に気がついた。
「あ! パルキア! 早く俺たちと元の場所に戻るぞ!」
そしてたびの仲間を残してこの世界にきているサトシ君は一刻も早く戻りたいのかパルキアに強気で当たる。……パルキアってサトシ君の世界では神にも等しい存在だったんじゃなかったっけ?そんな存在に強気で当たれるなんてサトシ君はすごいな……。
『それは出来ない……』
そんな強気のサトシ君に少しバツが悪そうな感じで答えるパルキア。……アレ? でもこれもしかしてみんなに聞こえてないんじゃ……。
周りを見渡してみるとどうやら本当にパルキアの声はサトシ君たちには聞こえていないようだった。普通ならなんで元の世界に戻せないのか聞くと思うからそれが判断材料になる。
「それは出来ないってさ」
だから聞こえていないみんなにパルキアが言っていたことを伝える。……さくらも聞こえてないってことはどう言うことなんだろう? てっきり魔法使いだけが聞こえるとかそう言うのだと思ったんだけど……。
「空也君何言ってるのかわかるの!?」
まぁ、ことりの反応も当然だと思う。だって理解不能な言語を話しているパルキアの言葉が理解できているんだからそれは驚くだろう。
「……空也だもんね」
が、驚くのも一瞬のこと。次の瞬間には納得した表情になる。そして真姫の言葉で何が言いたいのかなんとなく察することができた。
いや確かに俺だからできたのかもしれないけど、それでもそんなストレートに言われるとなんか複雑なんだけど……。
「なんだよその『俺だから仕方ない』って認識は!?」
喜んだ方がいいのか? それとも人外だと言われてショックを受けた方がいいのか……。ただ、ぶっちゃけこの程度ではもうショックは受けないんだけど。けど、真姫にはいつかこの分のお返しをしておかないといけないかな。
と関係ない話をしているとさくらが話の本題に戻してくれる。
「そんなことより、なんでできないの?」
そう。今一番知りたいのがなぜできないのかと言うこと。空間を司るポケモンだからすぐにできると思っていたけどそれが通じないとなるとどうしてもわからない人からすれば疑問が出てくるだろう。
『この者の異常の原因がわからないことだ』
そう言って俺の方にみんなの視線を向ける。あぁ……。やっぱり俺のことで来たのね。だったら話は早い。パルキアを納得させればいい。
「あぁ。それなら俺が勝手に空間作ってるだけだから問題はないぞ。この世界では俺しか開けないし」
俺が勝手にやっていること。無責任に感じてしまうかもしれないけど絶対に空間に異常ができないように集中してやっていることから安全であると俺は言い切る。それにこの世界で空間魔法が使えるのは俺だけだ。だからパルキアが気にするほどのことでもない。空間を司ると言っていることからそれだけじゃ済まないとは思うけど、それは実際に見てもらうしか方法はない。
「……なんか空也がニャースみたいだな」
『ぴかぴか』
翻訳することなく俺はパルキアと話していたせいでサトシ君が俺を奇怪な目で見始める。しかもそれをサトシ君自身から見て最も近いものに例えられる。……確かにアニメ版のロケット団ニャースはポケモンとの翻訳の役割を持っていたことから確かに今の俺はニャースのような存在なんだろう。ピカチュウも納得してるし。……けどピカチュウの言葉はわからないんだよな……。
そして一番の理由がパルキアから告げられる。
『それと……、降りられないし技も使えない……』
「降りれないし自分でも戻れないって」
そのパルキアの言葉を俺はみんなに伝える。気まずそうに話していたパルキアの言葉を簡潔にまとめて言う。やっぱりか。まぁ木に引っかかってるところを見ていると降りられなくなってるのはわかるだろう。
「にゃはは! 面白いね!」
俺がみんなにパルキアの今の状況を告げるとさくらはお腹を抱えて笑い始める。
「じゃあ早く降ろしてあげないと」
そしてことりは降りられなくなっているパルキアのことを案じて、パルキアが引っかかっている木の下で両手を広げて降りてくるのを待っている。……おいパルキア。今飛び降りればことりの胸に合法的にダイブできるみたいだぞ。
「ちゃんと受け止めてやるから落ちてきていいぞ」
俺はと言うと早く降りて来て欲しいのはことりと一緒のためことりと一緒にパルキアのいる木の下に向かう。
だけど、それでもパルキアは降りてくる気配はなく、その理由が……。
『怖い!!』
あれ? パルキアって本当に伝説のポケモンだったっけ? 思った以上に情けないと言うかなんと言うか……。ポケモンにとって技が使えないことが不安につながるのかな? いつでも空中に移動できるから大丈夫なのかと思ったけど、そういえば落ちる感覚はそうそうないだろうし当然といえば当然なんだろうか。
仕方ない。
「……サトシ君、悪いけどムクホークをもう一回出してもらっていいかな? 本当にすぐ戻していいから」
サトシ君の持っている唯一の飛行ポケモンにお願いするしかない。ここに来るまでとこの島を大まかに探しに行ってくれたせいで疲れてしまったムクホークをもう一度というのが非常に心苦しいがここは頼らせてもらおう。
「わかった!」
俺の言葉通りにムクホークを出してくれるサトシ君。そのムクホークも水越病院であった時よりは体力が回復しているようでそのままパルキアの近くまで飛翔する。そして背中にパルキアを乗せサトシ君の元に戻ってくる。……サトシくんたちの元では絶対にありえない光景だよな、これ。
ムクホークはサトシ君の元に戻るとモンスターボールの中に戻されて行く。きっと今日一番頑張ったポケモンであるムクホークにお疲れ様と感謝をしながら。そして残ったパルキアを大事に胸に抱える。わずかに震えているようなパルキアがサトシ君に抱えられるとどうやら落ち着いたようでその震えも止まり、このまま話をすることができるだろう。
「さてと。これであとは戻るだけだな」
パルキアが無事にサトシ君の元に降りてこられたのであればもうやることはひとつだけだ。サトシ君たちを元の世界に戻すだけ。
『しかし、貴様の言葉を信じていいものか……』
しかし、先ほどの俺の言葉だけではやはり信じきれないみたいで元の世界に戻るのを躊躇い始めるパルキア。だけど、技が使えないからパルキア1体じゃ戻れないんだよね。
「また異常があった時に来ればいいじゃないか」
それに異常があった時にまたくればいいのだ。帰れなくはなるけどパルキアは空間を司るポケモンなのだ。だからこそいつだってこの世界にくることはできる。
『そんなに簡単に言うがな……』
ただ、それにもパルキアは反論する。確かにここの世界に来るためには特別な技を使わないといけないし、それに使う労力だってバカにはならないだろう。けど、こうしてサトシ君を巻き込んでしまったことには変わりない。だから今は一刻も早く帰って欲しいのだ。ポケモンたちに異常が出ないうちに。
「まぁ、俺が空間移動ができるとわかれば納得してくれると思うけど」
だから俺はこの島にいる間しかできない空間移動を使ってパルキアに俺が空間を移動できることを作り出せることを証明することにした。自分ができる範囲で確実にパルキアに納得させることのできる方法はやっぱりこれしかない。
けど、こうしてパルキアとタイマンで話しているとパルキアの言葉を理解できないみんなは置いてけぼりの状態。けど、俺の言葉からどんな話をしているのかはサトシ君以外は理解しているようだ。さすが、俺が魔法使いであることを納得した人たちだ。
「でもそれは、サトシ君たちを戻してからな」
そう言って俺は懐からワンドを取り出す。魔法使いの補助アイテムのような存在のこのワンドを使えば、大きい魔法も今の俺には発動することができる。それに今回は俺自身が空間に入るわけではなく他者だけを送る魔法。この世界とサトシ君たちが元いた世界を繋いで一瞬で送り届ける。そのために少し意識を集中する。
「ほら、サトシ君も疲れてることだし、さっさと戻るよ」
そして魔法が発動できる準備が整い、俺はワンドを振るう。するとそこにはいつもの、俺が空間を作る時に出て来る白いゲートが出現した。その瞬間に俺の依り代でもある枯れない桜が急激に光り出し、ゲートの感性とともに光は弱くなっていく。これは俺がゲートを開いていることのできる残りの時間を示している。だからこそ、開いた今のうちに早くゲートをくぐって欲しい。
『……!? どうやら本当らしいな。貴様なら空間も整合性と保ったまま何とかできるだろう』
ただ、今の魔法を見たパルキアは俺が空間を関係する魔法を使えて、それを使いこなしていることを理解してくれたようだ。今まで言葉で説明しても信用してくれなかったのに見れば一発って……。最初から見せてればよかった。
「それはどうも。じゃあサトシ君、これをくぐったらもう元の場所だから」
でもまぁ、認めてもらったんだ。このままサトシ君たちが帰ればきっとこの世界に来ることはもうないだろう。
「わかった! 今日はいろいろありがとう! 助かったよ」
それがわかっているのかどうかは定かではないけど、サトシ君は俺たちに向かってお礼を言ってくれる。
「困ったときはお互い様。向こうの旅仲間が待ってるよ」
そんなサトシ君に向けて俺は一言そう言った。向こうにいるのはきっとシンオウ地方を一緒に旅している仲間だろう。その人たちが待っている。俺は手を振ってサトシ君たちを見送る。さくらたちも同様に大きく手を振ったり肘までの動きで手を振ったりととにかく手を振っていた。
「もう少しかわいいポケモンたちも見たかったな~」
「そうも言ってられないでしょ。あの子にはあの子のいる場所があるんだから」
「そうだね。元気でね!」
さくらたちも同様に大きく手を振ったり肘までの動きで手を振ったりととにかく手を振っている。ことりと真姫は少しだけ寂しそうにしながら、さくらはとにかくサトシ君たちが元気であることを願ってお見送りをする。
そしてサトシ君たちがゲートをくぐり終わると、俺たちの方からはゲートが見えなくなり、それと同じタイミングでわずかに輝いていた彼ない桜の光が消える。つまりこれが示すことは魔法が成功したということだ。繋いだ世界を一瞬で移動できるからこそわかるこの感覚に俺は少しだけ嬉しくなった。
「これにて一件落着ってね」
これは俺が招いた事故だったのかもしれないけど、このことがきっかけで出会うことになったサトシ君たちやポケモンのことを俺はいつまでも忘れないだろうとそう思った。それほどまでに濃度の濃い時間を過ごしたと、若干の達成感とともにいい気分になった。
まぁ、この後はまた医療用のヘリを使って音ノ木坂に戻るのだった。
場所は戻りシンオウ地方。少年、サトシがいなくなってしまってから旅の仲間のタケシとヒカリはサトシの帰還を待っていた。
「ん? あ、あれはなんだ!?」
「白い……白い光?」
そんな2人の前には白いゲートのようなものが展開される。それも一瞬だけ。突然出てきた変化にタケシとヒカリの2人は驚くが、それすらも一瞬で感情が変わってしまう。そのゲートからくぐるようにして出てきた一緒に旅をしてきた仲間、サトシが帰還したからだ。
その隣には相棒のピカチュウ、そしてここにいるときは敵対していた野生の伝説のポケモンであるパルキアがいた。
タケシとヒカリの2人はサトシたちの帰還に喜び、駆け寄る。当然近くには元の大きさになったパルキアがいるのだが、今回の一件でバトルする気にもなれなかった。
というより桜の木から降ろされた時に震えていたパルキアを落ち着けるかのように抱きしめた温かいぬくもりを感じたパルキアはのちに、サトシの手持ちポケモンの1体となったのだった。
ようやく、ポケモンのクロスオーバーが書けました! やり遂げたよ! 最後まで!
ぶっちゃけ言うとポケモンはそこまで詳しくなくてゲームはBW2からしばらくやっていなかったのをUSUMで若干復帰したような私が私なりに書いてみました。
アニメも、BWまでしか見ていなかったためにどこの世界観とつなげるのかを考えると自ずと答えが見えてきてしまい、DP時空のサトシ君に登場していただいたわけです。
なぜその時空を選んだのか、それは物語を読んでいただけたら分かると思います。一番大きかったのが……。パルキアの存在ですね。空間をつかさどるとされているポケモンであるパルキアはこういったクロスオーバーにはもってこいのステータスを持っていたのです。
そのおかげで私が私らしくこの作品を書ききることができました。
物語の最後の最後でちょろっとサトシ君がアニメ本編と違う手持ちを増やしてしまいましたがこれもやりたかったことだったり。……このサトシ君はもしかしたらリーグ優勝してたかもしれませんね。
それでは今回はこの辺で。ここまで読んでいただきありがとうございました!