フォルテをBBにぶちこんだら   作:ほよ

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初戦闘シーンです。

時間をかけたらかけたでクオリティーは上がらなかったのですが、難産でした。

感想、評価をくれた皆様ありがとうございます!
励みになります。

それでは、どうぞ。


3話:surge of power

とある初心者狩りは今日はついている!と感じていた。

 

用心棒(バウンサー)」なる者が現れて、タッグによる初心者殺しが難しくなり仲間と共に組んで初心者を楽に狩ろうと思っていたにも関わらず負け続けの日々は続き、ソロで戦おうにも初心者とばかり戦っていたので勝つ事は難しい。こんなことばかりしていたら、いつの間にかBP(バーストポイント)は枯渇していた。

 

このままではいけないと対策を考えていたそんなある日、朝から対戦表を開くとそこにはレベル1の見たことのない名前が記入されていた。どうやら、明らかに何も知らないペーペーの初心者がBBへと入って来たらしい。自分のBPが無くなりそうになって焦っていた所に舞い降りたチャンスに興奮を隠しきれない。

 

(こいつはいい()()になりそうだ…ソロだが、見た事の無い名前だな……やる価値はある。行くしかねぇ!)

 

なりふり構ってはいられなかった。このまま自分のBBが消えることは時間の問題であったのだから、このチャンスを絶対に逃さないように震える指でそのボタンを押して対戦の場へと向かっていった。

 

圧倒的勝利であった。

前方のアバターは既に瀕死。踏みつけて地に伏せさせ、手に持った燃え盛る剣を振り上げて興奮の余り気持ち悪い笑いを上げて剣を振り下ろす。

 

「バーストポイントを恵んでくれてありがとう……ククク……これからもヨロシクな……まずはこの剣の味をゆっくりと味わうがいい…………死ね!!」

 

そう言って剣を振り下ろした。敵のアバターは青いポリゴンとなって砕けちり、目の前には「YOU WIN!!」の文字が広がる。

清々しい気分であった。観客たちは自分を気に入っている者で構成されているから、勿論歓声が巻き起こる。

 

「流石だぜ!!」

 

「初心者殺し復活だな!!」

 

「また、あの楽しいショーが見れるのね!!」

 

「またタッグ組んでやろーぜ!!」

 

当然、今日から気持ちよく生活できると感じていて、周りの見えなかったこの初心者狩りのプレイヤーは気づいていない。既に消えていたアバターの()()()に。

 

 

〇〇〇〇〇〇〇

 

次のラッキーは、駅前で起こった。

 

気を良くしたこの初心者狩りは、駅前でリアルで会っている仲間とプレイヤーが多く集まるこの場所で復活の舞台を整えるために初心者を探す。対戦表を下にスクロールし始める。やはり初心者というのを見つけるのは難しくなかなかに名前は現れなかった。

 

そんな中やっと見つけた初心者のタッグの文字。直結の会話(XSBケーブルを繋いだ者同士、相手と自分は言いたいことを思うだけで伝えられるニューロリンカーの機能)にて、報告しようと意気込んでその名前を見ると、

 

「blood Leopard & aqua current」の文字が。

 

("aqua current"?………まずい!用心棒がいる!)

 

と見て苦虫を噛んだような顔をして相方に直結の会話でその事を伝えると流石に用心棒相手に危険は晒せないと返答があり、残念な想いではあったが今日は解散しようと2人でケーブルを外して相手は帰っていった。

 

が、諦めきれなかったこの初心者狩りはソロでもやれると今日で確信したのか対戦表を見て初心者を探す。

 

すると、対戦表には今朝見たプレイヤーと同じ文字が浮かび上がった。どうやら対戦終わりで負け続けらしい。

 

(やっぱり今日はついている!!)

 

と、カモを二度も刺せることの喜びを噛み締めて神に感謝をした。そして浮ついた心でその名前を軽くタッチする。

 

「gold forte」と書かれたその名前を。

地獄への入口を。

 

〇〇〇〇〇〇〇

 

それは圧倒的な力だった。

 

その腕から放たれる弾幕は力の奔流であり、残像を残して揺れるような動きに敵は攻撃も与えることができない。

 

これは現実なのか?初心者が無様に負けることを期待して見ていた観客たちも、その力を間近で見た対戦者も現実を直視する事はできない。いや、きっと()()()()()()のであろう。自分の死に目を向けたいと思う者は誰もいない。

 

(なんでだ?!今日はついていたはずだ!これが今朝戦ったやつと同じアバターだと!!ありえない!こんな事はありえないんだぁ!!)

 

切り付けているのに届かない。黒い幻影はゆらりゆらりと蜃気楼のように揺らめいて剣閃をかわしていく。

 

「………なぁ、オレのことを()()とか呼んでいたな…弱いヤツを倒して俺TUEEEEEEE!!!に浸る感じはどうだった?ククク…………」

 

「な……なぜだ!!なぜ勝てない!?そ、そうだよ!!お前チートを使っているんだろ?そんなことをしてまで勝って楽しいのかよ?!卑怯だぞ!なぜ俺の攻撃が当たらない!?」

 

必死に燃え盛る剣を振る初心者狩り。しかし、横へ後ろへ回避しながら光弾を撃つ黒いアバターには当たらない。それどころか、ダメージを負い、絶望に近づいて行くことを感じて剣を振るスピードに勢いが無くなっていく。黒いアバターの動きはもうあの朝の初心者のような動きではない。まるでその動かし方は()()()()()()()かの様であった。

 

「くそっくそぉ!!なぜ当たらない!だったら……オラァ!!」

 

「なっ………!!」

 

(接近すればやつの光弾は届かない!!このまま一気に行かせてもらう!!)

「ウォォォォォォ!!!"フレイムエンチャント"ォア!!」

 

初心者狩りが必殺技ゲージを使い、剣に炎を纏わせて懐に接近し剣を両手持ちにして上に構えて切りつける。

 

手応えと共に剣に切ったという感触が伝わりそのまま振り抜いて叩きつけた。ドゴォ!という音と剣を叩きつけた時に発生した爆炎に周辺が包まれる。

 

(よし!当たった!!)

 

確実に一撃が入ったことを確信した初心者狩りはその場をバックステップで離れて大きく土煙が上がるその場所に燃え盛る剣先を突きつけて叫んだ。

 

「っ…ハハハハ!!見たかこのチート野郎!!俺を舐めたからそうなるんだよ!!ハハッ!フハハハハハハ!!!……………は?」

 

高らかに笑って少し冷静さを取り戻し、そのままの調子で相手のゲージを見ると明らかにおかしい点があった。

 

 

 

 

()()()()()H()P()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

それを確認したとき、ブワッと冷や汗をかいたような気持ちになり、土煙の方へと体を向き直して剣を構えて警戒する。しかし、その行動は遅かった。自分の周りに影が出来ている事を察知した初心者狩りはすぐに上に視線を移すと、上空には太陽を遮って飛び上がっている黒きアバターの姿が見えた。黒いアバターは両腕を突き出して、こちらに向けて構えると光弾を一斉掃射した。光弾は直撃。全てをその身体で受けきった初心者狩りはHPを全損させて速やかにポリゴン片となって爆発四散。光の柱がその場所から立ち上っていった。

 

ギャラリーは完全に沈黙。バトルが終わって興味を無くした様な雰囲気の黒いアバターはそのまま閑散とした荒野を去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は昇くん視点からスタートの予定。
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