Aqours☆HEROES   作:ルイボス茶

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英雄は戦う

デッキがあり、ベルトがあり、変身をして鎧を身に纏う。

それだけ見ればこれまでのライダーと変わらない。

けれどそれは、ライダーと呼ぶには抵抗のある姿だった。

例外であるアビスでさえ仮面ライダーであると認識したにも関わらずそう思うのは、きっとその雰囲気だろう。

「千歌さん、言ってませんでしたか?最初は別のライダーであった、と。」

果南は千歌との会話を思い起こした。

たしかに千歌は言っていた。最初はタイガであったと。

「でもそれがどうしたの?それ、どう見てもタイガじゃないよね。」

黒ベースの機械チックな姿は、タイガのそれとは似ても似つかない。

「ええ。あの時タイガのデッキは梨子さんの手で破壊されました。それが恐らくこの戦いにおける最初の脱落者。私はそのデッキを回収し、それを元に生まれたのがこのオルタナティブ。」

「どうしてそんなもの作ったの。龍騎のままでいいじゃん。」

「ミラーワールドを、閉じるためですわ。」

ダイヤはデッキからカードを取り出し、スリットの入った右腕の召喚機にスライドした。

 

『ソードベント』

 

女性声の機械音がカード名を告げる。

棘のようなものがついた剣が現れた。

ダイヤはそれを構えると果南に言った。

「これ、変身できる時間が短いんですの。」

 

 

『ソードベント』

 

果南も剣を召喚し、その先をダイヤに向けた。

 

「そう。じゃあ、続きは倒してからだね!」

 

果南が素早く間合いを詰め、剣を振るう。

ダイヤはそれを剣で受け、鍔迫り合いに持ち込んだ。

仮面越しに、両者睨み合う。

「偽物ライダーがどこまでやれるかな?」

「油断していると、死にますわよ。」

果南の剣を払い、その隙を狙って斬り付ける。

ダメージを受けた果南は声を漏らしながら距離を取った。

「・・・!この・・・!」

再び距離を詰め、剣を振る。

剣と剣がぶつかる音があたりに響く。

 

それは、異様な光景だった。

イレギュラーとイレギュラーの戦い。

どちらが勝ってもライダーバトルには何も影響しない。

言葉を選ばず言えば、この戦いは無意味なものだ。

「じゃあ、どうして二人は戦っているずら・・・。」

花丸はわからなかった。

鳴り続く金属音、そして吐息。

その戦いの果てに、二人は何を見ているのか。

花丸の困惑を他所に、戦いは過熱していった。

 

「なんだ、鞠莉よりやるじゃん。」

「・・・鞠莉さんは?」

果南はそれに淡々と答える。

「ベルトを破壊する前に逃げられちゃった。今にも泣きそうな顔で、まるで手が届かないものを見るような目で私を見ていた。」

「そう・・・。確かに、今は届かないでしょうね。」

 

『アクセルベント』

 

「それは果南さん、あなたも同じでしょう?」

花丸は目を疑った。

今まで果南と向かい合っていたはずのダイヤが、今はその背後に移動していたから。

「なっ・・・!」

反応するより先に、ダイヤが剣を振るう。

背面に攻撃を受けた果南が膝をつく。

そのまま後ろに剣を回すが、ダイヤは果南の目の前に移動していた。

再度、ダイヤは攻撃した。

「くっそ・・・!」

 

『ストライクベント』

 

体制を崩したまま、高圧の水流をダイヤに放つ。

ダイヤがそれを防ぎ切り、視界が戻る。

そこに、果南の姿はなかった。

 

「撤退・・・ですか。」

ダイヤは変身を解除し、自身のスマートフォンを確認した。

「6分32秒、私も危なかったのですね。」

一人そう呟き、立ち尽くす花丸に声をかける。

「一先ずは終わりましたわ。傷が癒えぬうちは仕掛けても来ないでしょう。」

まるで戦闘などしていないかのように話を進める。

「・・・どうして。」

「はい?」

「どうして、ダイヤさんは戦うんですか。」

抱いた疑問をぶつける。

質問しかしていないことはわかっていた。

それでも、これだけは聞きたかった。

ダイヤはそれに考える間もなく答える。

「決まっていますわ。ミラーワールドを閉じるためです。」

「何がダイヤさんをそこまで・・・。」

何かを考え、それからダイヤが口を開く。

「二人とも、大切な友人だったのです。」

だった、という言葉の真意を問おうとしたとき、自身の名を呼ぶ声が聞こえた。

 

「花丸ちゃん!ダイヤさん!」

名を叫ぶ千歌。その横には曜とルビィに身体を預けるように歩く善子がいた。

「善子ちゃん!?ひどい怪我・・・。」

「私は・・・大丈夫。けど・・・リリーが・・・鞠莉さんに・・・。」

その名にダイヤが反応した。

「鞠莉さんが、どうしたのですか。」

「紫のデッキで・・・変身して・・・最悪のライダーだって・・・」

何度もせき込み、痛みに耐えながら言葉を絞り出していく。

「・・・わかりました。皆さん部屋に。まずは善子さんを安静に。」

「ダイヤさん、どうしたの?」

明らかに変わったダイヤの表情に千歌が問う。

「答えてお姉ちゃん。」

突然、ルビィが千歌の前に立ちダイヤに問いかけた。

「ルビィ、お姉ちゃんに対する感情がないの。おかしいよね?普通、姉妹なら好きにしろ嫌いにしろ何かしらの感情はあるはずだよね?それなのに、ルビィがお姉ちゃんに抱く感情は無。何も無いの。」

それを聞いて花丸は思い出した。

ライダーバトルの真実。

想いの奪い合い。

戦わなければ、ライダーは自分の想いを契約モンスターに奪われてしまう。

そう、戦わなければ。

花丸は自分の行いを思い出した。

ルビィのデッキを隠していたことを。

ルビィに、戦わない時間を与えてしまったことを。

「あぁ、ああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」

「ど、どうしたの花丸ちゃん!?」

千歌とルビィが慌てて駆け寄る。

善子も不安げな顔でじっと見つめる。

ただ二人、曜とダイヤはそれがどんな叫びであるのか気付いていた。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!!!!」

花丸は悔いた。

気付いてしまった。

ルビィが戦わなかった期間。

その間に、姉であるダイヤへの想いがモンスターに奪われてしまっていたことに。

これまでほとんど二人が話しているところを見ていなかったから気付かなかった。

私たちが戦っている間にも、徐々にモンスターはルビィを蝕んでいた。

「花丸ちゃん落ち着いて!どうしたの!?」

千歌たちの言葉は耳に届かず、花丸は叫び続ける。

「花丸さん、あなたは間違ったことはしていませんわ。」

聞こえていないとわかりながらも、ダイヤは花丸に語りかけた。

「千歌ちゃん、ルビィちゃん。まずは善子ちゃんを。私から話すよ。本当はダイヤさんからまとめて話してほしかったんだけど、私にもこれは予想できなかったから・・・。ダイヤさん、花丸ちゃんをお願いします。」

「えぇ、それと曜さん。」

「はい?」

「善子さんが回復したのち、皆さんを広間へ。」

「・・・わかりました。」

 

 

 

「花丸さん。」

「ごめんなさい、ごめんなさい・・・。」

「あなたが泣いていては、あの子は誰を想えばいいんですの。」

「ごめんなさい、ごめんなさい・・・。」

「・・・はあ。私はあなたに言いました。感謝していると。正直、こうなることはわかっていましたし、私も覚悟をしていました。そりゃあ、実の妹に他人だと言われているのと変わりませんから、辛くないわけはないのですが。」

「・・・!あぁ、あああああああああ・・・!!!!」

「でも、あなたがいてくれて良かった。あなたがいて、皆さんがいて、だからあの子はまだ人を想うことができる。ありがとう。」

「でも・・・でも・・・!!!!」

「私があなたの立場であれば、同じことをしていたでしょう。戦いから遠ざけるために。」

「でも、おらと違って二人は姉妹だから・・・」

「ええ、だから私は信じています。また、元通りになると。まだまだ私たちは未熟ですから。」

「未熟だから・・・」

「そうです。あなたも、私も、皆さんも。だからまずは、顔を上げて。涙を拭いて。顔を洗って来なさい。広間で待っていますから。」

そう言い残し、ダイヤは屋内へ入っていった。

袖で涙を拭き、ダイヤの背中を見る。

そして心に決める。

オーディンを倒し、姉妹の救済を願うと。

 




いつもありがとうございます。
久しぶりの定時更新です。

それでは内容のお話から。
AZALEA回終、そして最終章へ・・・。
姉妹の掛け合いがほとんど無かったのはこれが原因でした。序盤、千歌が黒澤家でお世話になっているときはまだ戦いが始まったばかりなのでそこまで影響を受けていません。けれど、ダイヤがどうするかとルビィに問うシーンではもうその想いは奪われてしまっています。
そしてオルタナティブ。序盤、梨子の前にダイヤが現れたもう一つの目的はタイガの回収でした。調査できないほど破壊されては困る為に梨子を止めた、って感じ。

近況です。
更新日の今日は梨子ちゃんHBD!!!!!
おめでとー!!

それではまた。
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