Aqours☆HEROES   作:ルイボス茶

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想いのかけら

流れる血と煙で視覚は無いに等しい。

聴覚も砲弾の爆発音で一時的に機能を奪われている。

遠のく意識の中、浮かび上がってきたのは一つの記憶。

手を伸ばす。

少女に届くように。

どれだけ近づこうとも遠のいていくその子に触れるために必死になる。

ふと顔を見れば、少女の口が動くのが分かった。

声は聞こえず何を伝えようとしているのかわからない。

「待って、待ってください!」

呼び止める声も届かず、少女は微笑んで光の中へと消えていった。

――そこで黒澤ダイヤは意識を取り戻した。

これも一種の呪いだなとため息をつき、目線を横へとやる。

身体を動かそうともしたが、攻撃が直撃した身体ではそれは叶わない。

生きていることさえも奇跡だと思うが、それはライダーバトルの影響だろう。

隣には鞠莉がいた。

同じように飛ばされ、横たわってはいるようだが意識はある。

 

「お・こ・す・な」

 

鞠莉は微かに動く右手でダイヤにジェスチャーを送った。

限界が近いのだと察したダイヤは無事を確認しその通りにした。

やがて少しずつ視界が開かれていく。

ゾルダがオーディンのデッキを持っていることに気付く。

無理をすれば身体を動かせる状態であることにも。

口に溜まった血を吐き、その場に立ち上がった。

 

「ダイヤさん!鞠莉さん!」

千歌が呼び掛けて安否を確認する。

「心配は・・・いりません・・・。鞠莉さんも・・・無事です。限界がきて・・・意識が沈んだみたいですけれど。」

それでも立ち続けていることは厳しく、がれきに身体を預け腰を下ろした。

途中、何とか鞠莉の身体を引きずり、安全な場所へと避難させた。

その一方、善子は花丸の前に立った。

「それ、どうするつもり。」

花丸の表情は変わらない。

「決まっているでしょう?おらがなるんだよ、オーディンに。」

「そんなことしてどうなるっていうのよ。」

花丸の表情が微かに動いた。

「どうにもならないから、こうするしかないんだよ。」

「それを返しなさい。」

善子はデッキをかざし、ファムへと変身した。

「返さないってんなら、力づくでも。」

「善子ちゃんも邪魔をするの?でも、もう遅い。」

花丸がゾルダの変身を解く。

そしてオーディンのデッキを善子に向けた。

「だめ!花丸ちゃん!」

曜と梨子が変身し、止めに入ろうとする。

それより先に、花丸はデッキを挿入し宣言した。

 

「変・・・身。」

 

多くは最悪の事態を予想した。

しかし、その予想は外れる。

そこにオーディンは現れなかった。

「何が起こっているの・・・?」

ルビィが震える声で言う。

花丸は明らかに動揺していた。

「どうして!?なんで変身できないの!?ねえ!なんで!!」

何度もデッキを差し込むが、一切反応は無い。

「オーディンは無作為に選ばれた・・・誰かがなるライダー。ライダーバトルに選ばれなかった・・・弱い願いの集合体。もしくは・・・それが存在・・・しない人たちの。」

ダイヤは口を開くたびに全身を駆け巡る激痛に耐えながら言った。

「もしかして・・・ライダーである私たちはオーディンになれないってこと・・・?」

ダイヤはうなずき、

「ライダーの資格を持つものは皆何かしら強い願いを持っている。それがあるうちはオーディンには変身できません。」

と言った。

「あはは、なんだ・・・。私がやろうとしていたことは最初から無理だったってことなんだ。」

「曜ちゃん・・・。」

「大丈夫だよ、梨子ちゃん。もうそんなこと私は考えてないから。」

曜は言いながら千歌の方を見た。

千歌は何も言わず、一点を見つめていた。

「千歌ちゃん・・・?」

曜が言おうとしたとき、花丸がそれを遮った。

「あなたがいるから?」

あなた、が誰を指しているのか皆すぐに察した。

「あなたが・・・あなたがいるからおらはオーディンになれないの?あなたを殺せば・・・殺せば!そしたらオーディンになれる・・・?」

 

『ファイナルベント』

 

「ずら丸!やめなさい!」

訴えに背くようにすべての発射口が開かれる。

「まずい!ダイヤさんを守らないと!」

千歌の言葉に共感し、二年生が駆け寄ろうとする。

「させない。」

しかし花丸が砲弾を放ちがれきを崩した。

瞬間的に三人の行動を鈍らせた隙をついて、花丸は言った。

「エンドオブワールド。」

 

善子はすべての攻撃を逸らそうとした。

けれど一人の限界はある。

防ぎきれない数々の攻撃が無防備なダイヤへ向かっていく。

「ダイヤさん!!」

 

ダイヤは死を覚悟した。

死、とは言っても結局はこの戦いによって死ぬことはない。

重くて意識を失う程度だろう。

・・・違う。

私は少しでも思い出した。

少しでも取り戻した。

三人楽しかったあの頃の思い出を、二人への想いを。

自分で言っておきながらどうして気付かなかったのだろう。

私も、オーディンの資格を失っていたんだ。

私はもうオーディンではない。

そうなら、話は別だ。

今この状態でこの攻撃を食らえば、まず命はないだろう。

あぁ、そうか。

ここで私はゲームオーバーなのか。

砲弾や光弾が迫ってくる。

ダイヤは覚悟して、目を閉じた。

 

 

 

「お姉ちゃん!!!!!!!!」

 

 

 

煙幕が消えていく。

ダイヤは、自分がまだ生きていることに気付く。

開かれていく視界の中で立ち尽くす人のシルエットが見えた。

「・・・嘘でしょ。」

シルエットはガイのものだった。

鎧は多くの箇所が砕け、仮面も破壊されて変身者の顔が見えていた。

足元は赤く染まっている。

やさしく過ぎ去る風に身をゆだねるように、ガイは倒れた。

誰もが理解した。

黒澤ルビィが攻撃をすべて受け止めたと。

「ルビィ!!!!!!」

ダイヤが叫び、身体を抱える。

善子や二年生も同様にルビィの元へ駆け寄った。

「ル・・・ビィ・・・ちゃん・・・?」

変身を解き、花丸はその場に立ち尽くした。

一瞬ルビィが向けた笑みを花丸は見逃していなかった。

「あぁ・・・ああぁぁああぁぁぁあああああぁ!!!!!!!!!!!!!」

よろめきながら、花丸はその場から逃げ去る。

善子が後を追おうとしたが、ルビィがそれを引き留めた。

「花丸ちゃんを・・・責めないで上げて・・・」

今にも消えそうな声でルビィは言った。

「でもこれはいくら何でも・・・!」

梨子の言葉にルビィは首を振った。

「ルビィ、考えてたんだ。ルビィは何のために戦うんだろうって。お姉ちゃんの話を聞いてわかったよ。お姉ちゃんの力になりたかったんだ。想いは取られて感情は無いけれど、それでもお姉ちゃんはルビィのお姉ちゃんだから。だから、もう一度お姉ちゃんのことを大好きだって思いたかったんだ。結局叶えられそうにないけれど。」

聞き取ることすら困難な声を全員が必死に聞こうとした。

「今からでも叶えるのよ、ルビィ。」

「きっと、善子ちゃんや花丸ちゃんがいなかったら、もっと早くにだめになってたと思うんだ。千歌さんたちがいたから、決意できたんだ。」

「ルビィ・・・。」

「だから、ありがとうございました。それでね、負けちゃったルビィが言うのもどうかなって思うんだけど、お願い聞いてもらっていい?」

「・・・何言ってんの。あんたが自分で叶えなさいよ。」

「えへへ・・・。あのね、花丸ちゃんを助けて欲しいの。間違った方法で進むあの子を止めてほしい。それから、ありがとうって、伝えてほしい。」

「・・・任せなさい。だからあんたはゆっくり休みなさい。」

「うん・・・ありがとう。」

ルビィは静かに目を閉じた。

 

 

 

仮面ライダーガイ、脱落。

残る仮面ライダーはあと8騎。

 




いつもありがとうございます。
定時更新です。

それでは内容のお話から。
誰も死なせませんよ・・・!
これだけは絶対のルールです。
なので、ルビィちゃんも生きてはいます。
目を覚ますかどうかは・・・次回以降。
あと、オーディンの記述について、回復してるのに資格はない、みたいな矛盾が生じていますが理由は一応、というかちゃんとあります。
後に記述はしますが先に簡単に言っておくと、その世界で誰がどのライダーになるのかは決まっている、というルールがあるからです。
それが行動に影響を及ぼすことはありません。
ただ、「この人物はこの時間軸でこのライダーに変身する」という事実だけは必ず存在します。ややこしいいいい。
ん?てことは・・・。


近況です。
平ジェネ見に行きました。
引くぐらい面白かったです。

それではまた。
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