Aqours☆HEROES   作:ルイボス茶

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どうしてあなたが敵なのか

 自室で一人、千歌は考えていた。

誰かを助けるためにあると思っていたこの力が、元をたどれば

自分の願いをかなえるための私欲の力だったなんて。

 

いや、それよりも。

 

私の叶えたい願い、この力はそれに導かれた・・・?

私の願い?わからない、どうして私なの。

 

いや、もしかしたら。

 

その先は考えたくなかった。

答えを出すことを、自身が拒絶した。

 

 

 

キイイイイイイイイイイイイイイイイン

 

 

 

 悩む千歌をあざ笑うかのように、音が鳴り響く。

今は目の前の敵を、そう自分に言い聞かせてカードデッキを鏡にかざした。

 

 

 

 

 「最後・・・!」

斧型の武器-デストバイザー-がカード名『ストライクベント』を告げる。

昨日、梨子がこの武器は召喚機と呼ばれていると教えてくれたことを思い出しながら、出現した鉤爪で

敵にとどめを刺す。

 

しかし、千歌は違和感を覚えた。

 

敵は確かに撃破した。目の前の残骸も消え去ろうとしている。

しかし、手ごたえがなかった。

悪い予感が、千歌の脳裏をよぎる。

振り払いながら、視線を横に移す。

 

 

 

予感は的中した。

 

 

 

「昨日ぶりね、高海さん。」

 

 

 

心臓は、今にもはちきれそうだった。

 

 

 

「『次に会ったとき』、こんなに早いなんて。でも、覚悟してね。」

 

 

『アドベント』

 

 

梨子は契約するエイ型のモンスター-エビルダイバー-を召喚し、攻撃の令を下した。

エビルダイバーの攻撃を鉤爪で受けながら、千歌が問う。

 

「どうして・・・。なんで戦わなきゃいけないの・・・。」

「私にも、願いがあるからよ。どうしても叶えたい願いが。」

そう言うと、小さく梨子が呟いた。

「『次』がここでなければ、もしかしたら・・・。」

 

千歌はその言葉の意味を考える間もなく、エビルダイバーに押されていた。

 

このままでは話すこともできない。

猛攻に耐えながら、デッキからカードを取り出した。

 

『アドベント』

 

千歌の契約モンスター、デストワイルダーが現れる。

白虎のようなそれが、エビルダイバーを抑え込む。

 

千歌が叫ぶ。

「やっぱりライダー同士が戦うなんておかしいよ!」

梨子が問う。

「じゃあ、あなたはその力をどうしたいの?」

一瞬ためらいながらも、千歌が答える。

町の人を救う力であってほしい、私利私欲のためでなく、みんなが平和に生きていけるために、と。

 

梨子はその言葉を聞き、思った。そしてそれを口にする。

 

「高海さん、あなたのそれは、エゴでしかないわ。

ミラーワールドで起こったことは、私たち以外には認知されない。もちろん、ミラーモンスターが、例えばクラスメイトを

襲ったとしても、他の人はそれに気付かないのよ。その人は最初からいなかった、と思われるの。」

 

千歌が動揺する、でも、それでも・・・。

 

「それでも、と思うでしょう?

高海さん、あなた、なにか特別になりたいと思っていたんじゃないかしら。

仮面ライダーになったとき、こう思ったでしょう?『ヒーローになれた、と。』」

 

梨子が続ける。

 

「でもね、周りから見たらあなたは今までと同じなの。戦ってることも知らない。救われてることも知らない。

あなたは、言うならば孤独のヒーローなのよ。それでもあなたは戦わないというの?それが願いなのに。」

 

千歌に言葉はなかった。

最後に、梨子はこう告げる。

 

「それにね、ヒーローはなろうと思ってなるものじゃないでしょう?ヒーローになろうとした

その時に、失格なの。だから、あなたもいきなり、ね。」

 

千歌はなにも考えられなくなった。

考えたくなかった。

考えようとしなかった、考えることを拒んだ、この言葉のすべてを、梨子に言われたから。

 

「ああああああああああああ!!!!」

千歌が言葉にならない声で叫ぶ。1枚カードをデッキから取り出しデストバイザーの挿入した。

 

『フリーズベント』

 

発生した冷気でエビルダイバーが凍り付く。

千歌はそれを確認し、攻撃を繰り出そうとした。

 

しかし。

 

『コピーベント』

「そのカード、私も使わせてもらうわ。」

 

千歌のデストワイルダーも同じように凍り付く。

思考が追いつかない千歌は状況の整理がつかずただただ立ち尽くす。

 

「終わりね。」

 

『ファイナルベント』

 

動揺で攻撃が甘かったのだろう。エビルダイバーの氷が砕ける。

そうして、千歌に攻撃を繰り出した。

 

無防備に攻撃を受けた千歌の身体が舞う。

 

タイガの変身が解ける。

 

千歌はもう一度変身しようと、身体から離れたバックルに手を伸ばす。

しかし・・・。

 

 

「嘘・・・。」

 

 

バックルは、梨子の攻撃により破壊されていた。

梨子が歩み寄る。

 

「じゃあね、高海さん。」

 

梨子がとどめを刺そうとする。

 

 

 

 

その時、別の声が聞こえた。

 

 

 

 

「あら、もう攻撃する必要はないのでは?

それ以上攻撃するというのであれば、容赦しませんわよ。」

 

声の主を見た梨子はその姿を見て呟いた。

「龍騎・・・。」

 

 

 

 

千歌の意識は、そこで途絶えた。




こんにちは。いつもありがとうございます。

やっと龍騎の名前を出せたなあ、とおもいつつ。

補足をしておくと、千歌は梨子に一通りの知識を教わっているので
武器の固有名詞も理解はしています、使うかは別。

梨子ちゃん、辛辣・・・。

でも、かわいい。

それでは。
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