Aqours☆HEROES   作:ルイボス茶

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「・・・ちゃん」
声が聞こえる。
「・・・こちゃん」
聞きなれた優しい声。
「善子ちゃん!」
あぁ、私を呼んでいるのか。
おそらくこれはバッドエンド。
堕天使の私に定められた運命。
「・・・なんて、やられただけなんだけどね。」
「善子ちゃん、聞いてるずら?」
こういう役回りだなんて言ったけれど、もしかしたら。
みんなこういう道を辿るんじゃないかなって、思えてきた。
救いなんて、きっとない。
それでも・・・
「聞こえてるわよ。さ、ルビィのもとへ行きましょ。」

少女は静かに眠り続ける。


叶えたい願い

呻き声が聞こえる。

聞きたくないと耳を塞いでも掌を貫いて耳まで届く。

千歌、梨子、曜は近づいてくるモンスターたちをじっと睨んでいた。

「数、増えてるね。」

千歌はそう言うとデッキを構えた。

三人とも気付いていた。

それが、攫われた人々の想いだということに。

自分たちが戦うのは誰かが叶えたいと思った願い。

いままで戦ってきたはずなのに足がすくむ。

「ルビィちゃん、まだ目を覚まさないの?」

曜が千歌の問いに首を振って答える。

「今は、あれをなんとかしなきゃね。」

ダイヤを起こさないように、なんてのは無理だろう。

それでも、目が覚めた時にこの状況を見せることは避けたい。

それぞれ考えは一緒だった。

「花丸ちゃんが帰ってきてこれを見たらびっくりしちゃうし。」

「善子ちゃん、びっくりして腰抜けちゃいそう。」

「鞠莉さんがまた家を粉々にしないようにも、ね。」

 

三人とも目を合わせ、頷いた。

「「「変身」」」

 

剣を取り、一体ずつ片付けていく。

背中を取られないように円になって。

「これ、一人何体!?」

足で寄り付こうとするモンスターをよけながら曜が叫ぶ。

「なるべく多く!」

剣で一突き、答えながらモンスターを消していく梨子を見て曜の口が緩む。

「わかりやすいね、了解!」

一体、また一体。

順調に倒していく。

数が減った様子は感じないが、手ごたえはしっかりある。

これなら、いける。

千歌は勝利を感じた。

 

しかし、その自信はすぐに消え去ることになる。

大量のモンスターの壁を崩したその先。

それ以上の数のガルドサンダーが待ち構えていた。

それだけじゃない、その亜種であろうモンスターたちも群を成していた。

言葉は無い。

言い表すことのできない絶望。

浮かべたくもない言葉があふれだしてくる。

無理だ、勝てない、逃げることもできない。

足が動かない。

手は酷く震えている。

諦めてしまおうか。

ここで終わってしまっても、きっと次の世界で・・・。

 

気を持ち直して戦おうとする。

剣は当たる、攻撃は効いている。

それ以上に三人へのダメージが蓄積されていく。

ガルドサンダーだけでなく、倒せるはずのモンスターにまで攻撃を食らう。

耐えきれず、曜が膝をついた。

千歌もだんだん視界がかすれていく。

ここでゲームオーバーなのだろうか。

勢いだけで剣を振る梨子の視界に一体のモンスターの姿が映った。

ダメージを負い、動きが鈍っているモンスターはこの状況ではよく目立った。

目立つ理由はそれだけではない。

剣が背中に刺さっていた。

サーベルの形をしたその剣が誰のものか、梨子はすぐに分かった。

「それ・・・ファム、よっちゃんの・・・。」

鼓動が速くなる。

はちきれそう、止まってくれない。

この感情は何だろう。

わからない、そも、わかろうとしていない。

無意識のうちに、梨子はそのモンスターの元へ進んでいた。

爪で裂かれようと、殴られようと、歩みを止めない。

歩んだ道が赤く色づいている。

道しるべのようなものだ、これでもう迷わない。

やがて剣の目の前にたどり着き、モンスターに向かって言った。

「絶望とか、悲しみとか、いろんな感情の名前を考えたわ。」

剣に手を伸ばし、それを勢いよく引き抜いた。

そのままその剣で辺り一面に斬撃、周囲を一掃した。

「けどね、この感情はもっと単純だった。」

善子の剣がここにあることが何を意味するのか、すぐに分かった。

斬撃の後、剣は光となって消滅。

それは確信に変わった。

「怒り。あなたたちに向ける感情はそれだけで十分よ。」

デッキからカードを引き抜く。

青い風に召喚機が包まれ、形を変えた。

「誰かの想いとか、願いだとか、倒していいのかなって悩んでいたけれど。」

変化した召喚機にカードを挿入する。

 

 

『サバイブ』

 

 

ナイトサバイブ。

金色が加わった鎧を身にまとい、周囲をにらむ。

「そんなこと、守るべき人を守ってから考えるべきだった。」

 

 

『ファイナルベント』

 

 

「よっちゃんはこれよりもっと痛かったはずよ。」

言葉とともに、多量のモンスターが消滅していく。

千歌と曜に集っていたモンスターたちも梨子によって倒されていく。

「二人だけは守る、何があっても。」

 

 

 

 

霞む視界を必死に開き、梨子の姿を見ていた千歌は違和感を覚えた。

二人とは決定的に違う何か。

何か別のこととこの違和感がつながっているような・・・。

「ううん、それよりも!」

痛む身体に鞭を討ち奮い立たせる。

自分も強化を、とサバイブのカードを引こうとしたところで、曜の叫びが聞こえた。

 

「おおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」

こんなところで負けていられない。

骨の折れる音がする。

どうせ回復するのだから関係ない。

この力は飾りか?

いいや違う、守るための力だ。

おぼれたっていい。

今は梨子ちゃんのように私も戦わなきゃ。

 

『ソードベント』

『ストライクベント』

『ガードベント』

『アドベント』

『ファイナルベント』

 

ありったけのカードを突っ込む。

それらをすべて敵へ、敵へ、敵へ!

焼き尽くせ、切り刻め、滅べ!

どんどん敵が消えていく。

武器も消滅していく。

ならば素手だ、足だ、頭突きだ。

「もっと、もっと、もっと!!!!!」

 

「曜ちゃん、ストップ。」

千歌の手がリュウガに触れる。

どうして?止まったら敵を倒せない。

「それは本当に曜ちゃんの意志?」

曜が動きを止める。

「私の意志?そんなの当たり前・・・。」

「ううん、それは違うと思う。」

違う?そんなことない。

「ほら、梨子ちゃんだってあんな風に・・・。この前とは違うよ。これは私の・・・。」

「違う。今の曜ちゃんは戦うことが目的になってる。」

戦うことが目的に・・・?

掴まれた手を見る。

千歌の腕は無数の切り傷で埋め尽くされていた。

そこで我に返る。

「え・・・?千歌ちゃん変身・・・。」

「解いたよ。危ないのはわかってるんだけど・・・。でも!」

掴んだ手を放し、手をデッキへ。

そして千歌はリュウガのデッキを取り外した。

「!返して!それが無いと・・・!」

千歌は確信した。

曜にリュウガの影響が及ばないわけではないと。

 

リュウガを呼び出すためには曜が必要であったが、決して抗える身体ではないこと。

以前自分の身に起きた異変と同じことが今起こっている。

それでも曜は自分には影響なく変身できると信じていた。

自分の名前は渡辺曜。

千歌という光に魅せられて、輝こうとする影。

そう思い込んでいた。

 

「曜ちゃん、聞いて?」

自分の手を曜の頬にそっと添える。

頬に血が付き、ごめんと軽く微笑んだ。

「曜ちゃんはきっと、もっと自分で戦える。こんな力に頼らずとも。だってあなたは渡辺曜、光り輝くって意味の「曜」なんだから!」

目を見開いて千歌を見る。

私が、光。

照らされていると思っていた自分が、光。

千歌ちゃんと同じように、輝いている、光。

そうか、オーディンになることがとかそんなことじゃなくて、もっと単純なことが違っていたんだ。

「二度目、だね。」

「何度でも止めるよ。だから、はい。曜ちゃんにはこっちがいいでしょ?」

渡されたものを見て曜は動揺した。

「これ・・・。」

「タイミングをうかがってたんだ。いつ渡そうかって。梨子ちゃんがあれだけ戦っているのは予想外だけど。あ、あとで理由は聞かなきゃね。でも、うん。それを使って?」

「でも、千歌ちゃんは・・・。」

「大丈夫!対策はあるから!千歌なりに、だけどね。」

あははと笑う千歌をみて曜は思う。

本当に、どうにかしてくれる気がする。

「わかった、行ってくる。」

 

 

 

 

「梨子ちゃん、助っ人に来たよ!」

声を聞き、梨子が振り向く。

握られたデッキを見て、納得する。

「千歌ちゃん、今渡したんだ。」

「ねぇ、梨子ちゃん。千歌ちゃんが何する気か、知ってる?」

梨子は首を振る。

「ううん。でもあの子ならきっと、やってくれるわ。」

「うん、そうだね。」

「じゃあ曜ちゃん、私ね目の前のモンスターたちが憎いの。倒したいの。怒りがどんどんあふれてくるの。」

「・・・何を見たの?」

「剣よ。堕天使の女の子の。」

「そっか、手、貸すよ。」

「・・・ありがとう。」

「変身!!!」

かつての黒い鎧は今は無い。

曜を包むのは赤き龍。

牙だと名乗った自分はもういない。

赤い炎に身を覆い、形を変化させる。

 

『サバイブ』

 

龍騎サバイブ。

千歌と梨子と共に戦うため、曜は剣を取る。

 




いつもありがとうございます。
時間遅れです、すいません。
それでは内容のお話から。

千歌と梨子は話していました。
曜とリュウガについて。
いつかリュウガ曜がに支配される日が来るだろう、と。
けれどそれを伝えるタイミングが無いまま、敵の襲来。
敵にやられていく中で千歌はある違和感に気付きます。
それはまたいずれなんですが。
それと梨子の戦いの姿が絡み、曜が暴走、千歌は今言わなきゃと。
そんな感じです。
ちなみにダイヤさん寝てます。
寝てるというか、意識を失っている。
そりゃあ、もう何百、何千日も寝てないんですもの、目を閉じれば意識は消えますとも。

近況です。
冬休みに入りました。
ソシャゲ三昧・・・。

それではまた。
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