仮面ライダーARTHUR 王の名を持つ仮面の騎士   作:名もなきA・弐

61 / 67
 お待たせしました、ここから第二クールのスタートとなります。同時に、タイトルにもあるように新たな仮面ライダーが…それでは、どうぞ。


NEXT COMBO
COMBO36 ネオ×新たな仮面ライダー


『神宮博士』は白髪の混じった髪を掻きむしりながら額を冷たい研究机に押し付けていた。

どうすることも出来ない諦めと裏切者への憎悪が入り混じった複雑な感情を抱いている彼は何度も自分の額を机へとぶつける。

許せない…自分の発明を奪ったあの男を。

許さない…日本の未来のために発案した計画を我が物顔で朗々と語るテレビに映っているあの男を。

やがて、彼が憎悪と絶望に染まり始めた時だった。

 

『ナァーゴ♪』

「っ?」

 

誰もいないはずの研究室に猫の唸り声にも似た音が聞こえた神宮博士はゆっくりと声の方向を振り向いた。

そこにいたのは、「猫」と呼ぶには不恰好で…「道具」と呼ぶには些か無骨過ぎる一体のガジェットだった。

全体的に黒猫を彷彿させるような外観をしており、腹部にはデフォルメされたオーラを纏い武器を持った戦士の絵柄のあるカセットテープが見える。

見たこともない機械に戸惑う彼を横目に、机を軽快に上ったガジェットは赤い目を光らせると、驚くことに自分の声色で言葉を発した。

 

『…ピロピロ。お前、復讐したいか?』

「…はっ?」

『自分の研究を奪っておいて我が物顔でテレビに映る奴に復讐したいか?』

「な、何を言ってる?悪戯なら…」

『答えろ』

 

誰かの悪戯だと思った彼はガジェットから逃げるようにその場を後にするが、機械的な口調で問い詰める機械に思わず頷いてしまう。

その反応に喜んだガジェットは嬉しそうに鳴き声をあげると、次の言葉を発する。

 

『ピー、認証完了。ゲームを開始する』

「な、何を…」

 

自動的に手足を折り畳んだガジェット…『ネオエラーカセット』は神宮博士の右手に収まった彼は反射的に起動スイッチを押してしまった。

 

【EVOLUTION! LOADING…GAME START…】

 

低い電子音声が鳴り響いた瞬間、まともな人間としての神宮博士の意識はそこで終了した。

 

 

 

 

 

鈍痛と共に彼は意識を取り戻した。

まだ意識がはっきりとしていなかったが、周囲を見渡してここが何処なのか確認をする。

第一印象は洞穴…しかし、テレビやノートパソコンがあり鍋やまな板があることから誰か…少なくとも数人で暮らしているのは確定だろう。

そして彼はある結論を下す。

 

「ここは…地底人のアジトか…!」

 

そう一人ごちた彼は納得したように何度も頷く。

もし第三者がいれば「何を言ってるんだ」とツッコミが入るかもしれないが、この時点での彼は本気でそう思っているし至って大真面目なのだ。

彼は考える……一体地底人は何を目的として自分を助けたのか。

『奴』との戦闘で敗北をした自分はミラージュカセットの力で日本に来ることが出来た…結果として地底人に助けられたがその理由が分からない。

近くに干してあった自分のスーツを着用したと同時に、左目に眼帯を付けた長い黒髪の…何処となく猫を思わせるような少女が顔を見せた。

少女…『未来』は自分が助けた青年が起きたことに安堵し、声を掛ける。

 

「あっ、目が覚めたの。大丈夫?」

 

やや警戒しながらも、安否を確認するその言葉に彼は衝撃を受けた。

何のことはない…自分を助けたのに理由や利点などなかったのだ。

下心や野心もない純粋なその言葉に熱い物が込み上げてくるのを感じた青年は最大限の感謝の言葉を口にした。

 

「いや、問題は無い…ありがとう、地底人さん」

「いや、地底人って何っ!?」

 

結果的としてすぐに未来にツッコミを入れられたが……。

 

 

 

 

 

「なるほど…つまり君たちは地底人ではなく、色々な事情で地底人のような生活をしていると」

「うん。まぁ、そうなんだけど…その地底人発言はそろそろやめてくれない?」

 

意識が目覚め、目の前の幼女の説明を聞きながら彼は詠特製の野菜炒め(もやしのみ)を頬張りながら説明を聞く。

二人以外にも仲間たちが集まっており彼を興味深そうにみたり、警戒しているのに気付きながらも彼はマイペースに「御馳走様」と食事を終える。

 

「助けてくれた礼だ。俺の名前は『潮田空良』…好きな野菜はトマトだ」

「何で好きな野菜を言ったんですの?出せと、トマトを出せと?」

 

「もやしに人生を捧げている」と言っても過言ではない詠が青年…空良の自己紹介を聞いて立ち上がったのを春花と焔が抑える。

水を飲んでいる彼に未来は気になったことを尋ねる。

 

「ねぇ、どうしてあんなところにいたの?あんな傷だらけになって」

「む……実は海外でパンケーキを焼いたら失敗して…」

「そんなわけあるか!!あんた嘘が下手過ぎるだろ!!」

「な、なぜ分かったんだ!?」

 

八割の真実に二割の嘘を混ぜて相手を信じさせる手法を使った彼だったが案の定、未来に指摘されて動揺してしまう。

そのコント染みた光景に毒気を抜かれた他のメンバーたちは脱力したような態度となっており、そんな中で日影が無表情のままある物を掲げて尋ねる。

 

「…これあんたのか?」

「そうだ。えっと…パンケーキを作るために必要な…」

「しつこいっ!!…てか、何で事あるごとにパンケーキを言い訳に使うのっ!?」

 

メカニカルなデザインをした青と白のバックルのような物体を見た空良は動揺しながらも、はぐらかそうとするが結果的にボケとなってしまう。

未来にツッコミをされながらも、「ありがとう」と手渡されたバックルを受け取った空良は身支度を整える。

 

「お、おい。大丈夫なのか?」

「問題はない。こう見えても鍛えているからな」

 

焔の言葉に、そう返した彼はもう一度お礼の言葉を言うと洞穴から青空が見える外へと出る。

穏やかな風と何処までも見える空に少しだけ笑みを見せた彼は、彼女たちのアジトから離れたところで懐にあるミラージュカセットを取り出して確認する。

灰色のルーペと赤い矢印が交差しているデザインのカセットは見たところ、破損している様子はない。

「試しに」と空良はカセットのスイッチを押して起動する。

 

【SOCIAL!!】

 

電子音声が響いた途端、彼の近くに青を基調とした緑色の装飾があるバイクが出現する。

自身の愛機が召喚出来たことに安堵しながらも、マシンのあちこちを触って不備がないか確認をする。

異常がないことを確認した彼は附属していたヘルメットと手袋を装着した彼は、この地にいるはずの『彼』と合流するべくバイク『マシンユニバース』を走らせた。

 

 

 

 

 

その数時間後、多くの人が賑わう場所でorzしている空良の姿があった。

考えたら、彼はあの激闘の際に持っていたスマートフォンを壊したか紛失してしまったことで連絡が取れない状況だったのだ。

しかし、場所を調べてもらおうにも上手い言い訳が思い浮かない……「もはやここまでか」と地面に手を付いていた時…ある少女と出会った。

 

「何してるの?潮田さん」

 

そこには未来が呆れた様子で立っており、ついさっきぶりの再会に空良はすぐに立ち上がる。

 

「未来ちゃんか!君こそどうしたんだ?」

「どうしたって…バイトだけど」

「君みたいな小学生がか?」

「私は高校生だっ!!」

 

彼の言った禁句に、未来は大声を出すが小柄な見た目と相まって今一説得力がない。

文句を言っている彼女をスルーしながらも、空良は今後のことを考えていたが…。

 

「な、何すんだっ!!」

 

誰かと言い争うような聞こえた彼と未来は気になってしまい、その場を振り向く。

見れば、尻もちをついたスーツを着ている神経質そうな男性と白衣を着た初老の男性が立っており恐らく彼が突き飛ばしたのだろう。

睨みつけている男性に気にせず、初老の男性は不気味な笑みのまま口を開く。

 

「それはこっちのセリフだ。『中田』君、君は私の助手でありながら私の研究成果を持ち逃げした…あれは大事なんだ。返してくれないか?」

「神宮博士、あれはあなただけの成果じゃない。あの場にいた私も関係しているんですよ?それに、私は博士よりも華がある。研究一辺倒のあなたとは違うのですよ」

 

敬語を使ってこそいるが、見下した言動をする中田に対して潮田は深くため息を吐く。

「呆れて物が言えない」と言わんばかりの態度に流石の彼も怪訝な表情となる。

 

「それなら仕方がない。意地でも返してもらおうか」

 

神宮博士が両手を広げた途端、何処からか凄まじい速度で走る物体が現れる。

黒猫のようなデザインのネオエラーカセットを折り畳んだ彼は、スイッチを押して起動させた。

 

【EVOLUTION! LOADING…GAME START…】

 

瞬間、カセットは淡い緑色の魔力へと変化して全身を包み込んで融合を遂げた。

ゲームパッドのようなユニットとカメラレンズのようなモノアイに両肩の白いキャノン砲、機械仕掛けの黒いボディと左肩と腕には赤い巨大なアームがある。

ロボットのような異形『マシーン・エラー』の姿に、中田は腰を抜かしてしまう。

しかし、マシーンはぎこちない動きで彼に近づく。

 

『ピー…ピコピコピコ。システム起動』

 

機械的にそう告げた彼は、そのままアームで中田の身体を捻り潰そうとするが空良がそれを蹴り飛ばしてのけ反らせる。

 

「逃げろっ!」

「ひっ、ひいいいいいいいいいっっ!!?」

 

訳も分からぬまま、中田は情けない悲鳴と共に逃げ出したことに安堵したのか空良の力が僅かに抜けてしまう。

その隙を逃さなかったマシーンの強い力によって突き飛ばされてしまい、未来は慌てて駆け寄る。

 

「ちょっと!?何エラーに挑みかかってんのっ!!」

「ぐっ…んっ?何で君はあれのことを知っているんだ?」

「えっ?それは…」

 

彼女の発言を聞いて気になった彼が訪ねてきたことで、未来はどう話すべきか悩む。

だが、タイミングが良いというべきなのか赤い甲冑のバイク『ドライグハート』が割って入る。

同時に、飛鳥や焔…琴音も到着する。

 

「門矢っ!」

「未来、その人を頼む」

 

嬉しそうに名前を呼ぶ未来に対して、戒は人がいないのを確認した後、赤を基本カラーとした赤と緑のボタンと左側にスロットがあるバックル『アーサードライバー』を腰に軽く当てる。

シルクの生地が編み込まれた赤を基調としたベルトが伸びて腰に巻き付いたのを確認した彼は自身に宿った精霊の力を引き出すミラージュカセット『ドラゴンカセット』を取り出す。

 

【DRAGON!!】

 

具象化した精霊である炎と冷気を纏った赤いドラゴンが戒の周辺を浮遊する。

それに気にせず、彼はアーサードライバーのサイドグリップのトリガーを引いた。

 

「変身っ!!」

【RIDE UP! DRAGON! 牙の連撃!RED KNIGHT!!】

 

掛け声と同時に鳴り響く電子音声…中央のディスプレイにはドラゴンの赤いグラフィックが映る。

すると、彼の身体を赤い複眼を持った黒と紫のアンダースーツが纏わりつくと西洋の甲冑へと展開された『霊装』が覆い被さる。

装備した赤い軽鎧は荒々しい牙のような白いパーツが装飾されており、マスクの上部にはV字型のホーンが生えたドラゴンを彷彿させるバイザーが覆っている。

首元に出現した赤いマフラーが変身の余波で靡かせながら彼の変身は完了した。

 

「あれは…仮面ライダー…?そうなると、彼が?」

 

考えるように思考の海へと沈んでいく彼を気にせず、戒が変身した騎士はマシーンへと直線に向かう。

 

「オラッ!!」

 

「先制攻撃」と言わんばかりの跳び蹴りを浴びせるのは『仮面ライダーアーサー』……。

バトルゲームアプリの術式が施されたドラゴンカセットで自身に宿った精霊の力を引き出した彼の攻撃はマシーンに躱されてしまう。

しかし、着地をしたアーサーは態勢を整えると下段から上段へのキックを浴びせる。

 

『ピピピピッ!?強烈な一撃を確認、これより仮面ライダーの消去を開始する』

 

マシーンが機械的に告げた途端、黒いエラーカセットから戦闘員『ポーントルーパー』が現れる。

人海戦術で相手を追い詰めようとするが、戦えるのは仮面ライダーだけではない。

 

『はぁっ!!』

 

忍転身を遂げた飛鳥が両手に構えた小太刀二刀流による斬撃を行い、焔は六刀で巻き起こす炎と斬撃で薙ぎ払う。

琴音もハルバードを振るってポーントルーパーを蹴散らす中、未来と共に遠くに避難している空良は観察をする。

一方でマシーンとの戦闘を開始していたアーサーが戦闘の剣であるグレンバーンを振り下ろした時だった。

 

『警告、マシーンの破壊は不可能』

「っ?…がっ!?」

 

突如アーサーの腹部に鋭い衝撃が走ると吹き飛ばされてしまう。

ロケットパンチのようにアームを飛ばしたマシーンは両肩からエネルギー砲弾を躊躇なく放つ。

 

「ぐあああああああああああっっ!!!」

「カー君っ!」

 

強烈なダメージを受けたアーサーは変身解除こそされなかったが、グレンバーンを杖代わりにして立ち上がろうとする。

同時に、ある違和感も覚えた。

 

「こいつ…ただのエラーじゃない。寄生型にしては力が…!」

『回答不正解。コードネーム、マシーン・エラー。ネオエラーカセットで我々は肉体及び、精神を完全同化させた』

『ネオエラーカセットだと!?槇村の仕業か…』

 

聞き覚えのない単語にウェルシュとアーサーが動揺する中、マシーンがアームを放とうと左腕を突き出した時だった。

 

『っ!?』

 

突如感じた気配にマシーンは思わず振り向く。

そこには未来の制止を無視して歩く空良…手にはメカニカルなデザインをした青と白のバックルを持っており、その瞳は真っ直ぐにマシーンを見つめている。

 

「下がってろ」

 

アーサーを庇うように立った彼は短く言うと、左側には歯車型のダイヤルと中央に長方形を縦にしたディスプレイがある、操縦席やゲーム筐体を彷彿させるそれを軽く腰に当てると青いベルトが伸びる。

バックル『ギアルドライバー』が完全にセットしたのを確認した空良はミラージュカセットを取り出す。

 

【SOCIAL!!】

 

『ソーシャルカセット』のスイッチを押して起動した彼は、そのまま上部のスロットに装填する。

その際、「FLIGHT UP! Are You Ready? FLIGHT UP! Are You Ready?…♪」と軽快な待機音声が鳴り響く中、空良は短くはっきりと呟いた。

 

「変身」

【RIDE UP! SOCIAL! 検索しながらFLY HIGH!!】

 

ダイヤル『トランスギア』を右側に回して変身音声を鳴り響かせた途端、白いスーツが身体を覆う。

マシンユニバースが信号をキャッチしたマシンユニバースが霊装へと変形して宙を旋回すると、青を基調とした緑のメカニカルなプロテクターが胴体と両腕に装備された。

プロテクターにはブースターがあり、バイクハンドルは相手のデータを受信するアンテナへと変形する。

右側にルーペ型のパーツがある灰色に縁取られたゴーグル状のエメラルドカラーの複眼で対象を睨みつけた。

 

「俺は、『仮面ライダーギアル』。これより任務を開始する」

 

宣言したギアルは地を蹴ってマシーンとの距離を詰めると、渾身の力で相手を殴り飛ばした。

To be continued……。




 新たに登場した仮面ライダーギアル…どのような能力を秘めているのかは次回で。
 ではでは。ノシ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。