その名も尊き課金魔術《完結》   作:ゆっくり番目

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本日二話目。


第四話 決戦の始まり

 

 さて、バイト(死徒狩り)したり、ガチャ回したり、セイバーの戸籍を偽造したり、ガチャ回したり、借金を返したり、ガチャ回したりと、穏やかな日々を過ごしているうちに一ヶ月が経ち、海外旅行に向かう当日となった。

 

 ごろごろとキャリーバッグを転がしつつ、空港の中を歩く。視線を集めているのは隣を歩く金髪美少女(セイバー)が原因だろう。ファッション雑誌のモデルすら圧倒する彼女は特に空港に驚くこともなく、目をキラキラさせながら旅行雑誌を読み(ふけ)っている。本来なら歩き読書は危ないと注意するところだが、まあ英霊たるセイバーに関して言えば無用な心配だろう。…ところでグルメコーナーばかり読んでいるようだが本来の目的を忘れてはいませんよね?まあ別に俺は構わないんだが。

 

 「…ビーフストロガノフ、シュラスコ、その他様々な料理群。素晴らしい。マスター、資金の貯蔵は十分ですか?」

 

 「おう、セイバーのおかげでな」

 

 「アルバイトを手伝った甲斐がありました…」

 

 幸せそうに微笑みを浮かべるセイバーちゃん。こうして見ると彼女が過去に名を馳せた戦士だということを忘れそうになる。そう言えばもう一ヶ月の付き合いになるのに彼女の真名を聞いていなかったな。

 

 「…どうかしましたか?」

 

 …まあ今はいいか。楽しそうにしている彼女にわざわざ水を差すこともあるまい。

 

 

 ▼

 

 

 彼と彼女は共に異郷の街を歩く。

 

 初めての料理に舌鼓を打ち、

 

 雄大な景色を眺め、

 

 現地の人々と笑い合う。

 

 この旅が、いや今までのごく普通の日々ですら

 

────彼女にとって、どれだけの奇跡だったか

 

 どこにでもいる少女のように、変わりばえのない今日という一日を過ごす。

 

  そんな当たり前の日常が、なによりも────

 

 

 ▼

 

 

 セイバーは嬉しそうに/寂しそうに、夜の街並みを見下している。

 ホテルの一室、窓越しに見える世界に、彼女は何を思っているのだろうか。

 

 流れ星が瞬いた。

 

 願うことなどないとばかりに、静かに外から視線を外し、こちらを見詰める彼女の顔は先程までと違い戦士のそれに戻っていた。

 

 「…時が来たようです」

 

 彼女は、あらゆる感情を押し込めて、毅然とした態度で、夜空の星のような日常の終わりを告げた。

 

 「うっし、じゃあ行くか」

 

 ならば、マスターとして彼女の覚悟に応えよう。

 

 「…よろしいのですね?」

 

 「当然だ」

 

 そして、彼女の手を取った。

 

 

 

 

 『決戦の始まり』

 

 

 

 

 「ワイバーンよりはやーい(ずっとはやい)!」

 

 そこは人の気配のない大森林。

 

 俺たちはセイバーが取り出した舟のような宝具に乗って夜空を駆けていた。宝具とはセイバーのような英霊にとって自らの象徴となる装備のことであり、神話や歴史に詳しい人間ならそれを一目見るだけで真名を看破できるらしい。

 

 空飛ぶ舟を持つ英雄かぁ。女性らしき意匠があるのもポイントだろう。…え?サーフィン?なんか変な電波が…。

 

 「マスター、追い付きました」

 

 おっとどうやら仕事らしい。…追い付く?

 

 彼女が臨む夜空には流れ星一つ。あっれさっきの流れ星じゃん。

 

 天空を往く彗星は涙を一つ地上へと落としながら(もや)のように消えていった。

 

 欠片は落ちゆく。そして────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────巨大なナニカがその姿を顕した。

 

 

 

 

 

 計り知れない魔力量だった。

 絶対的なまでの存在だった。

 見上げるほどの怪物だった。

 

 

 全貌を把握するのは難しいほどの、(おお)いなるモノだった。

 

 

 それが人型と形容できると気付いたのは、天駆ける舟よりも遥か上空に不気味な二つの光を視認できたからだ。

 

 ただその手を伸ばすだけで自分など(ゴミ)のように砕け散るだろうと確信できるほどの偉容。

 

 

 「────────────」

 

 

────それは、破壊だった。

 

 

 その叫ぶ声だけで世界はひび割れる。

 

 身じろぎするだけで世界は砕け散る。

 

 それは、ただ在るだけで世界を壊す。

 

 

────白い、巨神だった。

 

 

 其は遥か太古の時代、古の神々すら打倒した外なるもの。

 

 

 

 「遊星ヴェルバーの尖兵…」

 

 

 その名は────

 

 「────セファール」

 

 

 

 かつて世界の全てを破壊した、究極の災厄が其処にいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「いやこれは無理だろ」

 

 冷静に考えよう?無理だろ。なんなのアレ?常識って知ってる?英霊どころか神霊、いやそれすらも上回っているかもしれない化物だ。なんであんな存在がここに現れたのかは分からないが、こんなもん抑止力案件であって個人が手を出していい代物ではない。

 

 幸いと言ってはなんだが、白い巨人はこちらに見向きもせずただ一点を見つめている。

 

 「セイバー?」

 

 「マスターはここで…」

 

 突如として巨人は甚大な魔力を一点に集中させると、それを前方へと吐き出した。それは明確な敵意を伴った攻撃。視界を染めるほど眩い一条の光線。余波だけで吹き飛ばされそうになるのを耐えながらその向かう先を見やる。森の木々はもはや跡形もなく消え去り、大地は直線上に抉れ取られ、その破壊の跡の先では────、先では?

 

 

 

 

 「…水晶?」

 

 

 

 

 水晶でできたクレーター。今の攻撃でできたものではなく、そこに元からあったものだ。あーこれは聞いたことがある。それは魔術世界のアンタッチャブル。…死んだかな、俺。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────立ち上がるは絶望。

 

 

 緑の炎が闇夜を照らす。蒼と銀の肢体が水晶の渓谷から現れ出でる。

 

 一目で地球上の存在ではあり得ないとわかるその異様。

 

 蜘蛛のようにも見えるその姿には傷一つない。それも当然、地球上のいかなる材質より硬く、柔らかで、鋭い外皮はあらゆる攻撃を受け付けることは無い。

 

 それが一歩踏み出すと世界は結晶と化し、それの住んでいた環境へと地球の物理法則は改竄されてゆく。

 

 

 其れは死という概念さえない来訪者。

 

 其れは地球を異星に塗り替える侵略者。

 

 其れは次元違いの能力を誇る攻性生物。

 

 

 

 「水晶の蜘蛛…」

 

 

 その名は────

 

 「────ORT」

 

 

 

 其れは星々が誇る究極の一(アルテミット・ワン)、どうしようもない絶望の具現である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「いやこれは無理だろ」

 

 まじで無理だろ。立ってるのがやっとのレベルなんだが。なんなの?今日で世界滅びるの?抑止力仕事しろ。…死んだな、俺。

 

 「おいセイバー、逃げるぞ」

 

 これはどうにもならないだろう。

 

 「マスターは全速力でここから離脱してください」

 

 「…セイバー?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────其は星々を守る騎士(セイバー)の中の騎士(セイバー)

 

 

 そこに在るのはもはや儚い少女ではない。

 

 その夜空の星々の如き瞳はただ冷たく、人類に害為すモノたちを見据えている。

 

 光の翼を羽ばたかせ、はためくマントは銀河そのもの。その手が担う聖なる剣は、あらゆる災厄(てき)を打ち払う。

 

 その清廉にして膨大な魔力を前に、二体の怪物は乱入者の存在を悟る。

 

 

 

 

 

 「────ギャラクティカセイバー、参る」

 

 

 彼女こそ、人々の希望を一身に背負う最強の聖剣使いである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────ここに役者は集った。

  始まるのは世界の命運を懸けた一大決戦。

 

 

 

 

汝、自らを以て最強を証明せよ(Sword, or Death)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「…俺死んだ」

 

 

 

 

 

 

 

 




セファール
Fate/EXTELLA登場。
アルタミラの壁画の巨人。一万四千年前に地上のすべてを蹂躙した。
ちょっとウサギに似ている。


ORT
TYPE-MOON界で長らく最強の呼び声高かった存在。設定だけの登場なので戦闘方法などは不明。…不明なのだ。
ただ最近は根源接続者だったり、魔性菩薩だったり、遊星だったり、ビーストだったりとヤバい奴らが多数登場してきているので最強の座は揺らいでいる。最近のFateのインフレはヤバい。いいぞもっとやれ。…月姫2でインフレバトルしてもいいのよ?




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