その名も尊き課金魔術《完結》   作:ゆっくり番目

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第六話 エピローグ(仮)

 

 目を開ける。

 

 大地は蒸発し、空気は焼け焦げた。眩い光が通り抜けた道には何も無い。無くなった。

 

 そして、倒れ伏す水晶の蜘蛛(ORT)

 

 その光景を呆然と眺める。

 

 「…っ、セイバーは!?」

 

 空を()ける光の翼を見つけ安堵する。無事であるようだ。

 

 光は巨人へ突貫する。

 

 セファールは三色の剣を鞭のようにしならせてそれを迎撃する。

 

 先程までの力任せの攻撃とは違う、確かな技量を伴った斬撃。

 

 紙一重で避け続けるセイバーだが、避けながらの攻撃は大したダメージにはなっていない。

 

 一見互角にも見える戦いだが、あの体格差では一撃もらうだけで致命傷だろうし、こちらの魔力も無限という訳ではない。それに先程の剣による突撃。おそらくは宝具、かするだけで跡形もなく吹き飛ぶだろう。連発できないと考えるのは楽観的だな。

 

 長期戦は不利。ならば。

 

 

 

 

 

 「────やれるか、セイバー」

 

 「お任せを」

 

 

 

 

 

 

 

 掲げるは聖剣。

 

 輝けるかの剣こそは、人が懐く尊き夢、絶望に打ち勝つ『希望』という名の祈りの結晶。

 生き抜くという意志を誇りと掲げ、その生命を貫けと糾し、いま銀河の騎士は高らかに、手に執る奇跡の真名を謳う。

 

 「レーザー・────」

 

 

 

 

 

 対するはセファール、軍神の剣。

 

 其れは世界を焼く大宝具。地上に於けるあらゆる全てを破壊する(つるぎ)

 虹の如き魔力光を放ち、聖剣に対抗するように唸りを上げる。

 

 「軍神の(フォトン・)────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「令呪を以て命ずる────

 

  ────勝て、セイバー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「────エクスカリバァァァァァァァ!!!」

 

 「────(レイ)!!!」

 

 

 

 

 

 

 激突する二つの極光。

 

 二振りの剣の光が世界を覆い尽くした。

 

 暗転。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『エピローグ(仮)』

 

 

 

 

 朝焼けの眩しさに目を覚ます。

 

 近くに誰かの気配を感じる。

 

 「目を覚ましましたか、マスター」

 

 優しい声が耳元をくすぐる。

 

 太陽の光にその金糸をきらめかせ、セイバーは静かに微笑みを浮かべている。

 

 「あー、終わったのか?」

 

 その言葉に、セイバーは目線だけを遠くに向ける。

 

 仰向けに倒れ伏す巨人の身体には大穴が空いている。致命傷だろう。

 

 

 「…が、」

 

 セファールは消えかけの月に手を伸ばした。

 

 それにどんな意味があったのかは、俺には分からない。

 

 そうして最期に彼女(セファール)は一つの言葉を(こぼ)した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ガチャは、わるい文明だ…」

 

 「いや最後の台詞(せりふ)がそれでいいの?」

 

 セファールは死んだ。

 

 

 おおう、もう。しかし今の台詞で確信できた。話に聞いた破壊の化身ほどの力を持たなかったセファール。彼女はおそらく…。

 

 おや?ふと気付く。真上にあるセイバーの顔を見る。後頭部には柔らかな感触。これは…、これはまさか!

 

 ひ・ざ・ま・く・ら!!!ふぅー!!!

 

 よし起きるか。

 

 立ち上がり首をこきこき鳴らす。

 

 

 「それにしても先程の魔術は素晴らしかった。貴方は凄腕の魔術師だったのですね」

 

 セイバーはどこか誇らしげだ。

 

 「ああ、課金魔術か」

 

 そしてその顔はすぐに凍った。

 

 「…か、課金魔術?」

 

 「おう、現金を代償に夢を手に入れることのできる初歩的な魔術だな。礼装と資金さえあれば誰にでも行使できるからな、魔術師はまず初めに課金魔術から覚えるものさ」

 

「…う、嘘ですよね?嘘だと言ってください!」

 

 初めに覚えるってのは流石に嘘だが、初歩的な魔術であることは常識だろ?セイバーの時代だと違うのか?

 

 「あ、そうだ。さっき(課金)し過ぎで多額の借金ができました」

 

 「…」

 

 天を仰ぐセイバー。その背後。

 

 

 

 

 

 

 

────ゆらり、と立ち上がる影一つ。

 

 

 水晶の蜘蛛(ORT)はその身にキズを負いながらも健在だった。戦闘続行に少しも支障はないだろう。

 

 しかし即座に戦闘態勢に戻るセイバーに待ったをかけ、息を潜める。

 

 ORTはきょろきょろと辺りを見回して、セファールの亡骸を見つけるとそれに近づいていく。

 

 ぺしぺしと叩いて反応がないことを悟ると、それにかぶりついた。

 

 もしゃもしゃ。もぐもぐ。

 

 セファールの死骸を食べ終えたORTはどこか満足そうにしながら自らの巣へと帰っていった。

 

 

 

 

 

 「…ふぅ」

 

 なんとかなった。後はここから逃げ出すだけだ。流石に暴れすぎだ。協会あたりにバレたらただではすまないだろう。すまない。

 

 「帰るぞセイバー…、セイバー?」

 

 セイバーは寂しげに微笑む。

 

 「…いいえ、これでお別れです、マスター。私の役目はこれだったのでしょう」

 

 暖かな黄金の陽光に照らされる彼女は幻想的な美しさで────

 

 「さようなら、マスター。貴方との日々は、本当に、楽しかった」

 

 別れを告げる彼女に俺は何も言えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「…?」

 

 一向に退去する気配がないことに首を傾げるセイバーちゃん。それはそうだろう。まだなにも終わっていない。今回の事件の()()は判明すらしていないのだから。

 

 しかしこの空気どうしよう。やっぱり俺がなにか言わなきゃいけないの?

 

 「あー、セイバー?」

 

 顔を赤くしながら、びくっとするセイバーに俺は手を差し出す。

 

 

 

 「────これからもよろしく」

 

 「あ……、はいっ!こちらこそ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ▼

 

 

 後日談。

 

 

 事件も一段落着いて(着いたよね?)、久々の家の布団で惰眠を貪っていると、何かの重みを感じて意識が浮上していく。

 

 なんだろう。起きたくない。

 

 絶対面倒事じゃん。

 

 しかし、いつまで経ってもその重みがなくなることはない。ずっとこのままでいるわけにもいかず、うっすらと目を開けていく。

 

 

 

 それは少女だった。

 

 こちらを覗く水晶のような緑の瞳。

 

 銀色の髪は滑らかで。

 

 身に纏う青と銀の衣装は、どこか宇宙的なものを連想させる。

 

 可愛らしい(異質に過ぎる)少女だった。

 

 

 

 

 …いや、現実逃避は止めよう。

 

 だって掛け布団が見覚えのある綺麗な水晶になってるもの。ははは、高値で売れそうだなぁ。

 

 

 

 「…ORT?」

 

 戦慄と共に呟く。

 

 

 少女はこてんと首を傾げた。

 

 

 

 

 

 

 

 どういうことなの…?

 

 

 

 

 

 

 




ドジっ子ぐーたら美少女ORTちゃん!
うん。
ひと昔前にちょっとだけ流行った気がしないでもない人化ORTちゃん。
端末の作成方法をセファールから学び、主人公に小さな蜘蛛の状態でくっついてきた。
人化は帰宅後のちょっとした事件の際に学んだ。
鋼の大地の天使ちゃんみたいなものだし(言い訳)。



もともと今後公式で出番がほとんどないだろうキャラたちが大集合みたいな話を書くつもりだったのに、ほとんど出せてないのは秘密。
マジカル紙袋とか、ゴレンニャーとか、「混沌」の後継者とか、江練木コロナとかね。





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