ほぼ衝動書き。
俺氏、桐谷出雲から質問がある。
ゲームをする時ソロプレイとマルチプレイ、皆さんはどちらを選ぶだろうか。
答えは人によって様々だと思う。
少なくとも俺の場合、全てソロプレイだ。
理由はなぜか? 簡単なこと、何も考えなくていいからである。
何も考えなくていいからである。
何 も 考 え な く て い い
大事なことなので三度言った。
マルチプレイに必須なのは戦術だ。そして役割分担。仲間との掛け合い。
MMOなら特に、己の仕事を意識したキャラメイクが必要だ。
そして何よりも必要なのが、コミュ二ケーション能力。
さて、これでもまだマルチプレイをやりたいと思うだろうか?
思うなら結構。この話はなかったことにしてくれ。
コミュニケーションというのは、何者にも勝るほど難儀だ。
もし入試がコミュニケーション能力を問うのなら、俺は確実に落ちる。そもそも受けない。
常に人間は答えを求めている。
学者が何かを追究する。学生が問題を解く。自分の価値を見出す。エトセトラエトセトラ。
勉学には全てにおいて答えが用意されている。決まったたった一つの結果を見つけ出せればこちらの勝ち。ダメなら負け。
なんてわかり良いルールだろうか。
片やコミュニケーションについては、答えなどどこにもない。
ギャルゲー乙女ゲーなら話は別だが、日々の会話の中に選択肢すらない。もうだれか日常にオート機能でもつけてほしい。心から尊敬するだろう。
つまり俺が言いたいことは、人との会話は無駄に体力精神力を労する。
しかも、俺が必死に絞り出した回答をあまつさえ奴らは馬鹿にするのだ。
やってられるか、という話である。
もうさっさとゲームの中にでも逃げたい。本気でそう思っていた。
その願いが叶った。
叶ってしまったのだ。
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〈ソードアート・オンライン〉
VRMMOというジャンルを確立し、リリース前から大きな話題を呼んでいた作品だ。
ゲーマーとしてはやっておくべき代物。
当然俺も配信日に入れていた予定を全てキャンセル。
しかも配信日までに初期設定はもちろん、与えられた情報を全て整理して表にまとめるという用意周到さ。ふっ、完璧だぜ…………
そして当日。VRゲームをするために必要なヘルメット型ゲーム機である『ナーヴギア』を装着し、言葉を唱えた。
「リンクスタート」
途端、俺の体は謎の浮遊感に襲われ視界がホワイトアウトした。
目を開けると、現実と変わらない景色………いや、現実「らしき」景色が広がっていた。
昔のヨーロッパってこんな感じなんだろうな………という街並みだ。らしき、と言ったがかなりリアルだと思う。ただ現物を見たことがないのでなんとも言えん。
基本引きこもりだから外国なんて行くはずもないし、興味もないのでググったりしないのだ。
とにかく、かなり再現度は高い。これをお造りになられたGMはどんな頭してらっしゃるのだろうか。この再現度の中にいるとゲームの中にいることを忘れてしまうが、今の俺は桐谷出雲ではなく、アバターネームの『イズモ』としてこの世界にいるのだ。こらそこ、名前が安直とか言わない。
「何から始めるか………町巡り、レベル上げ、パーティーを組む……は絶対ない」
例えVRMMOという新ジャンルだろうと自分の信念を曲げるつもりはない。
つーかさっきから違う人がログインした時の光がチラチラして少々鬱陶しい。
さっさと場所を移そう、と思った直後に大量の光がその場を埋め尽くした。
眩しさに閉じた目をゆっくりと開けると、先ほどとは比べ物にならないほどの大量のプレイヤーがいた。
ざっと数えても、4桁はいる気がする。なんの為に集まったのかは不明だ。大方イベントでもあるのだろう。
その鬱陶しさにウンザリし、早くもログアウトしようとした。
のだが。
「ログアウトボタンがない……………」
メニューを空間に開いたが、ログアウトボタンが見つからなかった。否、正確には見つかっているのだが、〈LOG OUT〉の文字が半透明になってタッチしても反応がない。
周囲の反応も俺と似たようなもので、場がどよめきで埋まる。
その直後、空中に巨大な人影が現れた。人の背の2倍はある体躯。赤い、フード付きのコートを被り顔はよく見えない。十中八、九このエラーのような事態の首謀者………GMだろう。
GMは厳かに語り出す。
『ようこそ、アインクラッドへ。茅場明彦だ』
茅場明彦。このゲームの開発者であり、GMでもあるらしい。
ゲームプレイヤーからすると「神」と仰いでもいい存在だ。
『諸君はログアウトできないことに気づいただろう。それはバグや不具合ではない。ソードアートオンラインの仕様だ。諸君らにはゲームクリアを目指してもらう。外部からのナーヴギアの解除はできない。この世界の死は現実での死………それを忘れないでほしい。では、健闘を祈る』
口を挟む間も無く、茅場明彦は煙のように消えてしまった。
つまる所、ログアウトできませんよーゲームで死んだらリアルでも死にますよーコンテニューなしの縛りプレイでゲームクリアしてね!ってことだろう。
数秒の沈黙の後、その場に轟く阿鼻叫喚の嵐。
まあ、そりゃそうなるわな。一瞬、「ゲームし放題かよやったねイズモちゃん!」とか思ってしまった俺を誰も責めないでほしい。
とはいえ、今騒いでいる連中と違ってこれは俺にとってデメリットはない。強いていうならゲームの死=現実の死というデスペナが痛すぎるくらいだ。
このルール無かったら天国なんだけどなぁ………まあ人生そう上手くはいかない。
ゲームも運動神経も人並みよりは出来る自信がある。この世界を舐めるつもりはないが、慎重に立ち回ればソロでもやっていけるだろう。
今日から俺氏、桐谷出雲はVRゲームの中で生きていくことが決定した。
衝動書きでした。
感想、誤字脱字報告よろしくお願いしますm(_ _)m