「ふーん……天の声のイストワールに鍵の欠片ねぇ~………正直、夢ってだけじゃ信用は出来ないわよ」
「夢じゃなくて、あの森に居た時にも聞こえたんだよ」
朝になり、リオとアイエフは朝食を摂る為に街へと向かい、朝食を摂りながらリオは夢の事を話した。
「で、リオはそれを真に受けて四つの大陸にあるっていう鍵の欠片を探すって言うの?」
「正確にはネプなんとかって奴と合流して、一緒に鍵の欠片を探してほしいらしい」
「そのネプねんとかって何よ……」
アイエフは呆れ気味に紅茶を飲む。
「とにかく、俺はそのネプ何とかってのを探しつつ、鍵の欠片を探すつもりだ。残念だけど、アイエフとはここで「何言ってるのよ、最後まで付き合うわよ」え?」
アイエフは飲み終えたカップを置き、頬杖をつく。
「リオ一人じゃなんだが危なっかしいし、ここまで着て“はい、さようなら”ってのね。それに、プラネテューヌに留まらないといけない理由もないし、丁度いいから一緒に付いて行くわ」
「いや、でもこれは本当に俺の個人的な旅になるし、態々アイエフが付き合う理由は………」
「付き合わない理由も無いでしょ?それに、ソロよりコンビの方が戦闘でも有利よ。旅は数が多いに超したことはないわ」
「………じゃあ、折角だし頼めるか?」
「ええ、いいわよ」
アイエフもリオの旅に同行することになると、二人は早速行動しようと店を出る。
宿屋に帰りアイエフは荷物を纏めると、二人はプラネタワーに向かおうとする。
「なぁ、聞いたか。例の洞窟の噂、聞いたか?」
「最近発見された洞窟の事だろ?まさか、森の下にあんた洞窟があったなんてな」
「実はそれだけじゃないんだ。なんでもそこには大量のモンスターがいるらしい。ネット掲示板じゃ、そこがモンスターの巣なんじゃないかってもっぱらの噂だ」
「おいおい、大発見じゃん!」
「でも、調査しようにも人手が足りず、ギルドに仕事を出して冒険者に調査してもらってるそうだ」
「マジかよ?他の国じゃ、女神様や守護者様が率先してモンスターを退治してるらしいのに、この国は大丈夫なのか?」
途中、男たちがそんな話をしてるのを聞き、アイエフは思わず足を止める。
そして、少し考えると、リオに提案をした。
「ねぇ、リオ。旅に出る前に、最後に一つ仕事をしない?」
「それって、今の洞窟の調査のか?」
「ええ。私もモンスターの出所には興味があったし、気になるの」
「なるほど。……いいぞ、どうせ急がないといけない理由は無いしな」
「ありがとう」
プラネタワーからギルドへと目的地を変え、二人は洞窟調査の依頼を請ける。
ギルドの話によると、もう何人もの冒険者たちがモンスターの数に圧倒され、怪我人が続出してるらしい。
「ここがその洞窟ね」
「おお、思った以上にモンスターが多いな」
「注意していくわよ」
洞窟の中に入り、モンスターとの戦闘は極力避け、慎重に奥へと入って行く。
「しかし、こう暗いと調査も楽じゃないな」
「岩とか結構あるから気をつけなさいよ………きゃっ!」
リオに注意した矢先、アイエフが転ぶ。
リオはとっさにアイエフのコートを掴み、引き寄せる。
そにおかげでアイエフは転ばずにすんだ。
「ふぅ~。アイエフ、大丈夫か?」
「だ、大丈夫だから放しなさいよ!」
アイエフは、急に抱き寄せられたことに驚き、顔を真っ赤にして怒る。
リオもアイエフが手を出してくる前に放す。
「さっさと終わらせるわよ!痛っ!?」
「ねぷぅっ!?」
前を向いて歩き出そうとした瞬間、突然現れた人影とぶつかり、アイエフが転ぶ。
「ねぷねぷ!大丈夫です!?」
「いったーい!もう誰!?暗いんだから気をつけてよ!」
アイエフがぶつかったのはアイエフよりも小さい女の子で、紫がかった銀のショートヘアーに十字ボタンの様な髪飾りをとめ、パーカーを着た子だった。
その隣にはカチューシャを付けた女の子も居る。
「いったぁー…ぶつかってきたのはそっちでしょ!だいたいあんた達みたいな子供が、こんな所で何してんのよ」
「そう言う君だって大して変わんないじゃん。だいたい誰?」
「私はアイエフ。ゲイムギョウ界に吹く一陣の風、とでも名乗っておくわ」
アイエフの自己紹介に少女はぽかーんとする。
「え、えと…ゲイムギョウ界に吹く…なんだっけ?」
「一陣の風よ。まぁ、簡単に言うとギルドの仕事で生計を立てながら世界中を旅してる旅人みたいなものよ」
「へぇ…じゃそっちの子も?」
今度はリオをを指差し、女の子が言う。
「俺はリオディール。訳合って今はアイエフと一緒に旅をしてる。呼ぶ時はリオでいいぜ」
「で、あんた達こそ、どうしてこんな危険な所に?」
「私達も、ギルドのお仕事で来てるんだ。あ、因みに私はネプテューヌ!そんでもってこっちは、コンパ」
「コンパですぅ」
隣の少女を指差し、ネプテューヌは自己紹介をする。
(あれ?ネプテューヌってまさか………!)
リオは少女の名前がネプテューヌで、イストワールが言ってた名前の最初の二文字、ネプが被ってることに気付く。
(まさか、この子がそのネプなんとかって子か?)
「嘘でしょ…」
リオがそんなことを考えてる中、アイエフは頭を抱えていた。
「むー…失礼だなー。洞窟の調査くらい私達だって出来るもん!」
「あのねぇ、調査に入った人達が何人も謎のモンスターに襲われて大怪我負ってるのよ!」
「……え」
「呆れた…。そんな事も調べないで仕事を受けたのね」
再び頭を抱え、アイエフはぼやく。
「ねぷねぷ…それって…」
コンパが何かを言おうとした瞬間、突如咆哮が響く。
「出たぁぁぁぁー!!!」
そして、魔物が咆哮と共に現れた。
「どうしよう、こんぱ!あいつ絶対私のこと探してたんだよ!」
「何!?あんた達、あいつ知ってるの!?」
「はいです。この間、あのモンスターさんをねぷねぷが、ボッコボコにやっつけたんです」
「あわわわっ!どうしよう、これが噂に聞くお礼参りって奴だよー!」
「…にわかには信じられない話ね。けど、戦えるなら協力してもらうわ」
「ねぷねぷ、プラネテューヌの人達の為にも、ここであのモンスターさんを倒すです!」
「おっけー!なら、最初からクライマックスでいっちゃうよー!」
ネプテューヌがそう言うと、光を纏い、ネプテューヌが変身する。
「ふぅ、こちらの準備は出来たわ」
ネプテューヌはいつの間にか、やたら扇情的な服装になり、胸も身長も大きくなり、モデル顔負けの抜群の美女になった。
「はいっ!?ちょ、ちょっと…何が起きたの!?てか…デカくなってる!?」
「ねぷねぷはなんと、変身する事が出来るんです。そうすると…とーっても強くなるんですよ」
「へー、俺みたいなことが出来る奴がいたのか」
リオは一人で納得する様に呟く。
「どう?これなら私が、あいつに一度勝っている事を信じてくれる?」
「信じるも何も、そんなの見せられたら信じるしかないわ…ねぇリオ」
「そうだな…じゃ、俺も最初っから本気で行くか!」
昨日の森での守護者化の感じを思い出し、リオは守護者化する。
そして、変身した姿でネプテューヌの隣に立つ。
「わぁ!?リオくんも変身したです!?」
「私以外にも変身できる人がいたのね。驚きだわ」
「ああ、こっちも驚いてる。だが、今はあっちの始末が先だ。違うか?」
「ええ、その通りね。まずはアイツを倒すのか先よ!」
ネプテューヌは剣を構え、リオも銃を抜き構える。
「殺る気満々ね。けど…それはこちらも同じよ。これ以上被害を出させない為にも…今ここで討たせて貰うわ!」
蜘蛛の顔の上に人型のモンスターがくっついた様なモンスターが手にした剣で切りかかってくる。
それをネプテューヌは剣で受け止め、受け流し胴体に一撃を入れる。
そこにすかさずリオが銃撃をし、モンスターの腕を狙う。
リオの銃撃に耐えきれず、剣が片方ヒビが入る。
「ネプテューヌ!」
「はぁ!」
そのチャンスを逃さず、ネプテューヌは自身の剣で、モンスターの剣を砕く。
「魔界粧・轟炎!」
アイエフが火属性の魔法を使い、モンスターを攻撃する。
モンスターは火の熱さに耐え兼ね、奇声を上げ、逃げ出そうとする。
「させるか!」
逃げようとしたモンスターの足に向かってリオは更に銃を撃ち、モンスターの足にダメージを与える。
モンスターはそのまま崩れ落ち、動けなくなる。
「これでトドメよ!クロスコンビネーション!」
最後にネプテューヌの攻撃が決まり、モンスターは消滅する。
「所詮は手負いのモンスター。私の敵じゃないわね」
「やるじゃない。正直私とリオだけじゃ危なかったわ。ありがとう」
コンパは戦いは危なっかしいものの、リオたちの怪我を戦闘中に治療したりと、上手い具合にサポートし助けていた。
「元は私が仕留め損なったのが原因だもの。気にすることはないわ」
「にしても変身って凄いのね。もう別人じゃない」
「私も最初見たときはビックリしたです」
「ぷはぁ…疲れたぁ!」
変身を解いたネプテューヌを見て、リオも変身を解く。
「なぁ、ネプテューヌ」
「ん?何?」
「お前さ、イストワールって名前知ってるか?」
「え!?いーすんの事知ってるの!?」
リオがイストワールの名を口にすると、ネプテューヌは驚きで跳び上がる。
「その様子だと知ってるみたいだな。実は、俺もイストワールに頼まれて鍵の欠片ってのを探してるんだ。それで、一つはお前が持ってるって聞いたんだ。で、お前と合流して一緒に鍵の欠片を探してくれって頼まれたんだよ。記憶喪失を治すってのと引き換えに」
「リオも記憶喪失なの?いやー、気が合うね!実は私も記憶喪失で鍵の欠片を見つけて封印を解くのと引き換えに、記憶喪失を治してもらうんだ!」
「本当か?つまり俺達は記憶喪失フレンドってわけか!」
「そうだね!私達は友達!」
「同志とも言うな!」
「今ここに、我ら記憶喪失同盟が結成された!」
「「あっはっはっはっはっはっは!!」」
出会って数秒、記憶喪失コンビは一気に意気投合した。
「なんか盛り上がってるわね……」
「です……」
そんな二人について行けず、アイエフとコンパは呆れ気味に笑う。
「あ、そうだ!ねぇねぇ、リオ、あいちゃん。良かったら私達のパーティーに入らない?」
「あいちゃん?それって…もしかして私の事?」
キョトンとした顔でアイエフはネプテューヌに問い掛ける。
「そうだよー。アイエフだからあいちゃん!その方が可愛くて良いでしょー?」
「…あいちゃん、か」
恥ずかしそうに、それでいて嬉しそうにアイエフが呟く。
「どったの?もしかしてそのあだ名で昔、苛められたとか?」
「そんな過去無いわよ。名前くらい好きに呼んでくれて構わないわ」
「本当?じゃこれから、あいちゃんって呼ぶね!で、話は戻るけど私達と一緒に行かない?経験者が居ると心強いし…何より人数は多い方が良いでしょ?それに、私もいーすんに言われて、一緒に鍵の欠片を探す人を探してたんだ」
「そうなのか?」
「うん。でも、名前だけ聞き取れなくて困ってたんだ。でも、リオの方から来てくれて助かったよ!」
「なるほど。……なぁ、アイエフ。俺としてはこのままネプテューヌたちと一緒に行動しようと思う。それに、俺が探してたネプなんとかであるネプテューヌも見つけたことだしな」
「その子が、リオの探してた子なのね。…………そうね、じゃあ一緒に行きましょ」
「やったー!これから宜しくね、リオ、あいちゃん!」
「えぇ…此方こそ」
「よろしくですぅ!」
「よろしく頼むな」
「よし、話も纏ったし、どんどん行こー!」
「おー!」
元気良く歩き出すネプテューヌとそれに便乗して騒ぐリオを先頭に、四人は洞窟の奥へと進んだ。