インフィニットサムライズ~Destroyer&Onishimazu~ 作:三途リバー
2人の少年が、教室にはいた。別段彼らの外見がどうという訳では無い。額に刀傷がある訳でもなく、眼帯を付けているわけでもない。それなのにクラス中の視線が彼らに集まっているのは、ひとえに場所のせいだった。
『IS学園』。
女性にしか扱えないと
そこに2人も男がいるのだ、好奇の視線に晒されるのは自明の理であろう。
そもそも、彼らは何故そんな女の園に不機嫌な面をして身を置いているのか。簡単だ、
ところで、今更ながら…
廊下から2列目、最前列に座っているのは菅野直。宮城生まれの宮城育ち、夢は航空機のパイロットというピカピカの一年生。
対して廊下から3列目、同じく最前列に座っている…と言うよりヌボーッとしているのは島津豊久。宮崎生まれの鹿児島育ち、剣道全国大会二連覇を成したちょっとした有名人だ。
女性専用のパワードスーツだったISを男として初めて動かしたのは菅野直。そして彼がISを動かしたことにより、世界で実施された男性適合者テストの唯一の反応者が豊久だ。2人は自分の意思などお構い無しにこの学園に強制入学させられ、国際IS委員会なるものにより約2ヶ月の間自由を奪われてきた。中学の輩と過ごす最後の時間をいきなり奪われ、あまつさえ住む場所すら政府が用意した警戒バリバリのホテル。そして、ようやっと解放されたと思ったら客寄せパンダの如く異性から好奇の視線に晒される。不機嫌にならない訳が無い。
「…おい、豊。」
「なんぞ。」
「お前、自分から話しかけて来いよ。こちとら女子の『アンタ話しかけてきなさいよ』オーラにあてられんのはもう懲り懲りなんだよ」
「自分で行けば良かではなかが。俺(おい)は嫌じゃ。」
「自分が嫌なこと人に押し付けんじゃねえよ、ったくいい性格してるぜ…」
「殺すぞ貴様(きさん)」
この2ヶ月、彼らは同じモルモッ…ゴホン、男性操縦者として共に政府管理下でISの基礎稼働訓練を受けてきた。ゆえに、それなりに気心が知れあっているのである。
「あァ?殺すだァ?てめぇコノヤロウ上等だよ今まで模擬戦で俺に勝てたことあんのかコノヤロウ」
「模擬戦もクソも、ぬしゃいつでん『打鉄』ば自分で壊して堕ちてたじゃろが。ハッ、今すぐにでん首ばもいじゃる」
…仲が良いかは別として。と、その時。
「あ、あの……」
「はん?」
「あ?」
うわぁ、話しかけたー、出遅れた、という女子の声がソワソワと響く中、その原因たる1人の女子が2人に声をかけた。この互いの牽制の雰囲気の中たった1人で特攻したのだ。勇気があろう。対応は完全に喧嘩腰一歩手前であったが。
「島津忠豊、だよな…?」
どこか恐る恐る、と言った感じの問いかけ。
「箒か…!」
大和撫子と言うにふさわしい、黒黒としたポニーテールの美髪に、服の上からでもよく分かるスラリとした体。
彼女は篠ノ之箒。豊久…旧名忠豊の幼なじみにして剣友である。
「…!覚えていたか…!」
嬉しそうに顔を綻ばせ、顔をほんのり赤くと染める。誰が見ても一目瞭然な思慕の情が、そこにはみてとれた。
「当たい前でなか!なぁんが、お前ぁもこん
「な、なっ!?どこを見て言っている貴様!」
「む?」
豊久としては身長の事を言ったのだか…あらやだ箒さんったらムッツリ~。
「身の丈ぞ。何を怒っとる?」
「ッ…~~~!」
当たり前と聞いて嬉しそうにしたり、大きくなったと言われて顔を赤らめたり、表情豊かな女の子である。
「んだァ?豊の知り合いか?」
「あぁ、すまない。幼なじみの篠ノ之箒だ。たd…豊久とは小学生以来になる。お前は…」
「菅野直。知ってるだろうが世界初の男性操縦者だ。よろしくなコノヤロウ。」
「あ、あぁ、よろしく…」
初対面の挨拶で初っ端からコノヤロウなどと言われ若干引き気味の箒。ゴメンなー、ゴメンなー、モッピー。そういう子なんです。
side 直
忠豊ぉ?あんだよ旧名かよコノヤロウ。初耳だぞバカヤロウ。つーかなんだこの武士女?俺を無視すんじゃねぇぞバカヤロウ!
「んだァ?豊の知り合いか?」
「あぁ、すまない。幼なじみの篠ノ之箒だ。たd…豊久とは小学生以来になる。」
幼なじみねぇ…こりゃぁ苦労するタイプだなァオイ。
「お前は…」
「菅野直。知ってるだろうが世界初の男性操縦者だ。よろしくなコノヤロウ」
「あ、あぁ…よろしく…」
あ?何ちょっと引いてんだよぶっ飛ばすぞコノヤロウ!つーかなんだァ?篠ノ之?
ってことは豊も
「直。初対面でそん言い草か。」
「るせーな年中謎方言の蛮人には言われたくねぇ」
「んだとごんぐぞボケェ!!」
「やんのかバカヤロウ!!」
戦闘になった途端訳分からねぇこと喚きながら相手をドン引かせるてめぇに言えた事じゃねぇだろうが!?
つーかてめぇ俺よりコミュ力やべぇだろうが!?
よぅし分かった、てめぇとは今ここでどっちが野蛮が決着付けなきゃならねぇみてぇだなコノヤロウ!!
「ふ、2人とも落ち着『うるぜぇ!!』
「うるさいのは貴様らの方だ」
べシン!
べシン!
sideout
鬼女、降臨。
出席簿の一撃を後頭部に喰らって撃沈した2人を通り過ぎ、1人の女性が教壇に立つ。
「入学おめでとう、諸君。私がこの1年1組を受け持つ事になった島津千冬だ。」
島津千冬。ISの世界競技大会「モンド・グロッソ」の優勝者にしてブリュンヒルデの称号を持つ最強の女である。
「「「「キャァァァァァァ!!!!」」」
「本物の千冬様よ!」
「おねぇ様って呼んで良いですか!?」
「私、千冬様に会うためにここに来たんです!北海道から!」
凄まじい人気だ。まぁ、当然だろう。世界中のIS操縦者が憧れる最強の称号を冠している日本、いや世界で名を知られる存在が目の前にいるのだ、はしゃぎも騒ぎもするだろう。
「私の役目は諸君を1年間で使い物になる操縦者に育て上げる事だ。私の言うことはよく聞き、そして素早く実行しろ。私の命令にははいかイェスで答えろ。無茶だろうがはいかイェスだ。」
暴君もいい所だ。こんなんだから24にもなって浮いた話しの一つも…おっと誰か来たようだ。
「何か失礼な事を言われた気がしたが…まぁ、良いだろう。そこの馬鹿共、とっとと起きろ。」
「いきない叩く事なかじゃろが!嫁ん貰い手がいなくなるど!」
閃光一閃。豊久?あいつはいい奴だったよ。
「自己紹介の前に副担任の2人を紹介する。では、お2人。お願いします。」
「はいっ!」
「うむ」
答えたのは緑髪の巨乳メガネと、着流しに右目眼帯という壮年の男。
「副担任の菅野麻耶です。皆さんとは普段のSHRやISの稼働で関わって行くことになりますー。1年間、お願いしますね~」
…背丈の割に胸でかくね?
大半の生徒の第一印象がこれだろう。童顔で巨乳というどこかミスマッチな雰囲気があり、実は同級生でしたーというドッキリも通じるほどの背丈。
事実、入ってきた瞬間には豊久は遅れた生徒かと思っていた。
「…え?菅野?って言うことは…」
「はい、男性操縦者の菅野直の姉です!直ちゃんと仲良くしてあげて下さいね!」
「「「ええええええええええええ!!!!」」」
本日2回目の女子の叫びを耳にしながら、直は1人ため息を吐く。
弟に、外でちゃん付けはねぇだろう、と。
はい、そんな訳で第1幕です。どんな感じでしょうか。中途半端なのは許して下さい。
次回
ブラコン
魔王
金髪淑女
『サムライハート』