インフィニットサムライズ~Destroyer&Onishimazu~ 作:三途リバー
コロサナイデー
一人称をかなり変えてみました。どうでしょうか?
誠に誠に申し訳ありません。次回予告、少し変えました…
「むぅ!外人!鬼畜米英だコノヤロウ!」
金髪を目にした途端、半ば反射的に直はそう叫んでいた。
高級なシルクを束ねたような美しい髪、不機嫌そうに釣り上げられた碧い瞳…常人が見れば思わずため息の一つでも吐きたくなるような容姿だか、それに目もくれない。なぜなら彼は常人ではないから。
「な、ななッッ!?あ、あなた!!なんですの、その返事とも言えぬ雑言は!!極東の猿がこうまで蛮族だったとは…!!」
何を言っているかなどどうでもいい。コイツが誰であろうと関係ない。
「俺に話しかけんじゃねぇ!!どこの出だてめぇ、あァ!?アメリカだったらぶん殴る、イギリスだったら蹴っ飛ばす!!」
ただ一事、
豊久&箒、帰還。
「…何ぞ、こいは。」
「私に分かると思うか?」
帰ってきたら菅野君がなんか叫んでクラスメイトに取り押さえられてました、まる。
外人がどうの、蛮族がどうのとか怒声が聞こえるが訳が分からない。
「何をやっとる、イカレたか直。お前ぁが何を騒いじょるんかさっぱい分からん。といあえず姉上が来っど、早う座れ。」
一応
とにかく、豊久は冷静(と言うよりむしろ無関心)に直を宥めにかかった。
が。
「うるせぇぞコノヤロウ、どけよバカヤロウ!」
ブチイッ
「人が親切ば言うを貴様ッ!やっぱり殺す、首置いてけぇぇぇッッ!!」
怒りの蓋の天井をえーいと投げ飛ばし、拳を唸らせ飛び込んだ。
「えっ、コレわたくし蚊帳の外?」
金髪淑女の呟きを他所に、男子2人の殴り合いは続く…
案の定千冬に鎮圧され、始まった2時間目。
千冬は馬鹿どもが、と吐き捨てて眉間を揉み、麻耶は直君が乱暴を、と慌てふためいて行動不能。
入学初日にしてこのカオスっぷりに、信長は愉しそうに嗤うのみ。大丈夫か、1年1組。
「授業の前に、一つ決め事がある。」
ようやっと動いた信長の声に、クラスの注目が集まる。
「クラス代表だ。まぁ、あれだ、学級委員みたいなモンよ。委員会の出席やらクラス対抗のトーナメントやらに出るクラスの顔だ。自薦他薦は問わんからホレ、10代の活気を見してくりゃれ。」
自薦も他薦も、既に結果は見えきっている。
このクラスには世界で2人だけの
「はいはーい!島津くんを推薦します!」
「私も!島津くんって剣道の全国大会優勝者でしょ?トーナメント戦に出ても不思議じゃないよ!」
「あ!?ちくと待てい!俺が頭か!?」
「私は菅野くん!尖ってて、まさに男の子って感じが良い!」
「それはそれで面白そう!」
「てめっ、コノヤロウ勝手に決めんな!つか面白そうってなんだバカヤロウ!」
男子2人は揃って抗議の声を挙げるが、民主主義とは恐ろしい。数の暴力によってあっさり2人の声は抹殺される。
豊久は
「他におらんか?ならば、こ奴ら2人で決選投票となるが…」
「「待てぇぇい!!」」
「なんだ、不満があるのか?良いだろう、暴れる機会が増えるぞ小僧ども。」
信長の言葉は尤もであり、豊久の要望にも半ば沿っている。が…
「やらされうのは好かん」
「右に同じ」
「お前らホント残念な子だな…」
クラスの雰囲気が決選投票で決まりかかった、その時。
バンッ!!
「納得出来ませんわ!」
両手で机を思い切り叩き、金髪淑女が立ち上がった。
「物珍しいという理由だけで『男』にこのクラスの顔を任せるなど、そんな馬鹿な話しは認められませんっ!実力から行けばこのイギリス代表候補生、セシリア・オルコットが代表を務めるのが自明の理!」
(ま、当たい前じゃな。)
言わずもがな、現在世界の風潮は女尊男卑。この金髪が反感をもつのも不思議ではない、と豊久は特に怒りもしない。それに実力で代表を決めるべきという点ではむしろ賛同できる。
「それに1年間男の下につくなど…わたくしはそのような屈辱、受け入れられませんわ!」
だんだんヒートアップしていく金髪、もといオルコット。
流石に屈辱云々言われるのは腹立たしく、豊久の顔が僅かにゆがむ。直に於いてはいわずもがな。
「そもそも、このような文化的に後進した極東の島国で過ごすこと自体が「うるせぇよ」なぁっ!?」
あまりの発言にクラスの大半がイラつき始めたとき、口を挟んだのは直。先ほどとは打って変わって冷たい怒りを感じさせる声音で、オルコットを睨みつける。
「極東の島国?てめぇんトコも島国だろうがバカヤロウ、だいたい嫌なら来んじゃねぇ。わざわざ日本に喧嘩売りに来たのかコノヤロウ」
先に喧嘩売ったのはどっちだ、と皆が心中突っ込むが直はお構い無し。
一方オルコットの方はあまりの怒りに肩を震わせ…爆発した。
「あなた!!わたくしの祖国を馬鹿にするんですの!?粗野で野蛮な猿の分際で!!まぁ、猿相手にわたくし達の誇りを説く事自体無理な話しだったようですね!!」
最早怒りの矛先が完全に別の方向に向いているが、誰も間に入らない。直も直で真っ向からそれを迎え撃つ。
「野蛮上等だコノヤロウ!!生憎だがなグレートブリテン、俺達は
「ッッ………!!!」
ここまで来たら、もう国同士の争いとなりかねない。流石に見かねた千冬が声を上げる、直前。
「なら、戦って決めれば良い。」
その謳うような声は、信長のものだった。待ってましたとばかりに顔を嬉しそうに歪め、不気味な笑いを漏らしながら続ける。
「島津と菅野はやらされるのが気に食わない。オルコットは男に任せるのは耐えられない。だったら話は簡単だ。お前ら3人で決闘すりゃえぇ。」
「決闘!?」「代表候補生とじゃ無理でしょ…」「でもあそこまで啖呵切ってたし」
クラスがざわめく中、当事者3人は声を揃えた。
「「「構(わん)(わねぇ)(いませんわ)」」」
オルコットと直はともかく、豊久までもが応じた事に若干驚く信長。てっきり俺には関係なかーなどと言って話しが面倒になるかと思っていたのだが…
「意外だな豊久。お前、完全に巻き込まれだからもうちと拗ねると思っていたわい。」
「やらされうのが好かんち言うたろ、そこまでやりたくないわけでんなか。そいに、こいは
すんごい良い笑顔で返された。
シマヅコワイ。
「千冬、お前らどーいう教育してんだこいつに」
「島津の家風だ」
さて、と千冬が仕切り直し、改めて決闘の要旨が決まる。
日時は1週間後の放課後。菅野に比べて遅れている島津の専用機の到着をまつ、となった。
「専用機!?1年のこの時期に!?」
「いいなぁ、私も欲しいなぁ」
「これはもしかしてもしかするかも!!」
ちなみに、現在世界に存在するISのコアは500もなく、自分だけのオンリーワンを持てるのは本の1握りの者だけ。無論、国家代表候補生たるオルコットは既にそれを手にしている。彼女のプライドや態度も、一応は実力に見合ったものなのだ。
しかし、今回の男性操縦者の場合少々事情が異なる。国はISを稼働して2ヶ月ほどのトーシロに実技面でハナから期待しておらず、データ収集というのがまず第1の目的。その位は2人も理解しており、
『専用機あげるから取り敢えずモルモットになってね』
という政府の言い分に腹を立てている。
「菅野のISはもう完成していて後は後付けの武装を持たせるだけだそうだ。島津、お前のISは…正直特殊すぎて説明できん。決闘の3日前には届くよう手筈はしておく。では各自、怠るなよ?」
「あなた、よろしくて?」
豊久がオルコットに声を掛けられたのは、4時間目も終わり、さぁこれから昼飯という所だった。
「何が用か」
とっとと昼飯を食べたい豊久は対応がぞんざいになるが、これは仕方ないだろう。彼にとって飯とは至上の命題、それを邪魔されるというのはなかなかにこたえる。
「島津豊久と言いましたわね。わたくしはイギリス代表候補生セシリア・オルコット。あなた方を1敗地に塗れさせ、世の男の弱さを証明してみせますわ。精精泣いて詫びる練習をしておくのですわね。」
根っからの女尊男卑に染まった女か、と豊久は辟易していた。別に男を馬鹿にされたからと言ってそんなに激怒するほど拘っていないし、正直戦えれば理由なぞ気にしない。
豊久は他者に興味が薄い。と言うより自分の敵対者、もっと言えば己の前に立ち塞がる者以外は割りとどうでもいいと考えているのだ。だから、セシリア・オルコット嬢がただ嫌味を言ってきただけならば彼は完全にスルーし、存在すら忘れていただろう。
だが、今は違かった。
セシリア・オルコットは島津豊久にとって『敵』なのである。
奪るべき『首級』なのである。
故に、彼が取った行動は単純明快。
「何言いやがるクソボケが。首置いてくのは俺じゃない、貴様の方よ!」
「いかん、やいすぎた。あげんに怒るとは思わんかった。」
「下らん事に付き合うからだ馬鹿者め。」
時と場はうつり、昼食時の食堂。豊久と箒は2人で向かい合って食事をとっていた。
直も共にと思ったのだが、麻耶に呼び出され職員室に行ってしまったので、(直には申し訳ないと思うが)箒は内心ガッツポーズの2人きりだ。
それはともかく、豊久がやりすぎたとボヤいたのは先ほどのオルコットとのことである。豊久としてはれっきとした宣戦布告のつもりだったのだが、先方は侮辱と受け取ったらしい。あの後激怒してもう許さないやら手加減はしないやら叫んで出ていった。
「…それで、豊久。勝ち筋は見えるのか。」
無愛想を装いながらも心配を隠せない箒。彼女は豊久の剣が強力な事を知っているし、何より信頼している。だが、セシリア・オルコットがもつ国家代表候補生の名はそれすらも凌駕する称号なのだ。先程も述べたがISを操れる1握りの、更にその爪の先ほどの存在が国家代表。候補生とはいえ、ISに触れて2ヶ月の素人が叶うはずがない。
「見えん。恐らくあやつは今ん俺より遥かに上じゃ。」
「見えないのか!?!?あれだけ大口を叩いて!?散々挑発しておいて!?」
「挑発なぞしとらん。あいは貴様の首ば貰い受けるちう口上ぞ。そいに見えんなら自ら探し当てるだけ、負けるつもりも毛頭なか。」
焦る箒とは対照的に、何の気負いもない様子で白飯を掻っ込む豊久。傍から見れば心配でしかないが、
(ま、全くこの馬鹿は….だ、だが、その、今の言葉と眼差しは、その…かっこよかった、な…)
篠ノ之箒さんの恋の病は、もう手遅れのレベルに到達しているらしい。
一方その頃、デストロイヤーは…
「なんだよ
IS科準備室にて、副担任ではなく完全に姉の顔をした麻耶と向かい合っていた。
「直ちゃん。よく聞いて。直ちゃんが
「…おう」
苦々しい顔だが、素直に受け止める。
姉は自分を唯一認め、愛情を注いでくれた存在。
その姉の思いを無碍にすることは出来ない。
「あっ、えっ。ええっと、そんな怒ってるわけじゃないよ!?直ちゃんの感情を無視しようとか、そんなことは思ってなくて…だから、えぇと、その…」
直がしょげているとおもったのか、必死に言葉を紡ぐ麻耶。実の弟にそんなにキョドることもないのに、と思いつつ直はクスリと笑う。とにかく姉は優しいのだ。
「わぁーってるよそんぐらい。もう15年も姉ちゃんの弟やってんだ、言いてぇことは分かる。」
「直ちゃん…」
うるうると目を潤ませる様は小動物と言うにふさわしい。
「やっぱり、変わってなかったぁぁ〜!放課後はお姉ちゃんの部屋においで〜!」
「だァれが行くかこのブラコン!!ってか俺昼飯食ってねェェェ!」
――――――あぁ、私だよ。菅野直と島津豊久の機体が完成したらしい。…いや、IS学園の教師がそう言っていた。十月機関に潜らせた奴から設計図は送られたが…これはシャレにならん。何よりパイロットがあのイレギュラーだぞ?
使いこなしてしまうかもしれん、早く潰すに越したことはないさ。あぁ、それでは。
はい、そんなわけで第3幕です。
今回で決闘直前まで持ってきたかったんですが…流石に無理でした。次回1回日常会(?)を挟んで、皆様お待ちかねデストロイヤータイムです。
次回
乙女
のほほん
呵呵大笑
『During a week Ⅰ』