インフィニットサムライズ~Destroyer&Onishimazu~   作:三途リバー

9 / 16
厚顔無恥!!!
3年ぶりの投稿ッッッ!!!!!!!



第5幕 Shall we dance?

決闘当日。直と豊久はハンガーにて鎮座する霹靂・紫電の前でその時を待ちわびていた。

 

「結局間に合わなかったのかよバカヤロウ。先手は俺が貰ってくぜ」

 

仕方(せんかた)なか。じゃっどんあん金髪もお前の首も纏めて俺が()うから問題なか」

 

結論から言えば、豊久の専用機は完成はした。しかし輸送が間に合わず、直とセシリアの戦いを最初に行い、一定の時間を開けてからその勝者と豊久の戦いを行う事となった。

豊久は『客席で観戦してはどうか』と麻耶から勧められたものの、両者の手の内を見てからでは功名首の価値が下がるとこれを一蹴。格納庫にて専用機を待つことに。

 

 

「打鉄だから負けましたなんて言い訳もう聞かねぇぞコノヤロウ、テメェこそ首洗っとけバカヤロウ!!」

 

お互いいがみ合いながらも、自然に拳を突き出し合う。

互いの健闘を祈る事など、自分達には不要。そう言わんばかりの不遜な顔つきのまま、二つの拳は打ち鳴らされた。

 

「あ、見つけたぞ」

 

「おーい、ナオシ〜」

 

そこへ、それぞれの相部屋の2人が声を掛けながら歩み寄っていく。

なんだかんだ言って世話焼きな箒は尖り過ぎて周囲から浮きがちな直とも友誼を結び、本音も持ち前のフレンドリーさで豊久を『トヨトヨ』と呼び慕う。一途な箒を本音がからかう場面もしばしば見られ、傍から見れば仲良し4人組である。

 

「あのいけ好かん金髪…名前なんだったっけか、たしか…えと…オ、オロロコットとやらに目にもの見せてやれ、菅野!」

 

「オルコットだよー。応援してるからね、2人ともー。私とモッピーだけがナオシーとトヨトヨのW勝ちに賭けてるんだから、しっかりねぇ〜」

 

「勝手に賭事のネタにしてんじゃねぇよバカヤロウ!」

 

「直は知らんが俺は勝つど」

 

「俺の1人勝ちだゴラァ!」

 

そして、時は来る。

 

 

 

 

『直ちゃん、オルコットさん、ISを展開してアリーナへ入ってきてください。』

 

 

 

 

 

「っしゃあ!目にもの見せてやらァ!待ってろ外人ンンンンンンン!!!」

 

「ナオシー、頑張って〜」

 

本音に向かって軽く手を挙げ、紫電を纏った直はアリーナへ続く道をしかと見据える。

 

「霹靂・紫電、菅野直!我突撃ス!目標金髪!目標金髪!!」

 

爆音すらも置き去りにしながら、その身が戦場へと躍り出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「目標金髪って…」

 

「にゃははは、ナオシーは面白いなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうれ、手並み拝見といこうかのー」

 

一方こちらは管制室、信長と千冬、麻耶が待機している。

ディスプレイの中では、飛び出してきた直とオルコット嬢が舌戦を繰り広げる様が映り込んでいた。ちなみに、直の側には霹靂のスペックデータが、オルコット嬢の側には専用機、『ブルーティアーズ』のそれが表示されている。

ふと蒼い機体の方へ目をやった信長が、怪訝そうに声を挙げた。

 

「なんだ、イギリスにしちゃ随分洒落たISだな。ユナイテッドキングダムといえば実弾超火力での殲滅戦がウリだろうに」

 

「何時の話をしている。それは私が退いてからすぐの頃だ。麻耶、お前あの婦警上がりのイギリス代表とは仲が良かっただろう」

 

「懐かしいですねぇ、『ハルコンネンII』。質量兵器ですり潰すしか能のないデカブツでしたけど、パイロットが凄腕でしたからね!」

 

「個の力に頼る愚昧さを思い知ったんだろうさ、誰でも取りまわせる長銃と隠し武器、後はBT兵器と数年前とは見違える」

 

イギリスの第三世代IS、ブルーティアーズ。主武装は中距離用エネルギー銃スターライトMkIIだが、その最たる特徴は自立型射撃兵装、通称BT兵器であるブルー・ティアーズだ。6機のビットが操縦者の思うままに稼働し、使いようによっては近接戦闘を一切許さず封殺する事も可能という代物である…カタログスペック上では。

 

「あのIS、半ば実験機だろ?ついこの間まで超火力一点張りだったイギリスが、唐突にあんなスグレモノを完成させられる訳がねぇ。一見菅野の圧倒的不利だが…」

 

五分(ごぶ)です。直ちゃんは確かに素人ですが、自分の為だけに作られたISに搭乗している…。ISに合わせなければならないオルコットさんとは互角程度の条件かと。姉バカかもしれませんが、直ちゃんは互角の相手に負けるような子じゃありません」

 

「かもじゃねぇよ、確実に姉バカだ。」

 

 

弟の事となると途端に饒舌になる麻耶に引きながら、信長は千冬の方へと視線を移した。

 

 

「おい、千冬」

 

「なんだ」

 

腕を組み、絶えず右足で床を叩き続ける彼女は不機嫌さを隠そうともしない。信長の声にギョロりと目を向けて反応するが、心ここにあらずと言った状態だ。

 

「そんなイライラしてる奴に居られてもおっかなくて試合どころじゃにゃー。ちと外せ」

 

一瞬大きく目を開いたが、それも本の一瞬の事。柔らかく微笑む麻耶の視線も受け、彼女は足を踏み出した。

 

「…日替わり定食1回だ」

 

すれ違いざまに掛けられた、不器用な感謝の言葉に魔王(笑)はヒラヒラと手を振った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この期に及んで貴方の謝罪一つで終わらせるつもりはありません。存分にわたくしの手の上で踊ってくださいまし、お猿さん。」

 

「俺が猿ならテメェは犬か?負けた時の言い訳は準備してきたのかよ、外人」

 

セシリアと直、双方共に言動を改めようとはしない。視線に憎しみを載せ、ぶつけ合う。

 

「そうですか…」 「上等だ…」

 

セシリアの長銃が、直の右拳が、相手に痛撃を与えるべく()()()()()()

さながらそれは、獲物にとびかからんとする獣のタメ。

 

『試合開始まで三十秒…』

 

「堕ちやがれ、コノヤロウ」

 

「無様に舞いなさい、蛮人」

 

麻耶が時を刻むごとに、二人の間の殺気が膨れ上がっていく。コップの水が満たされていくように、ゆっくり、ゆっくりと…

 

『2、1、0!試合開始っ!!』

 

決壊。

 

「ウ オ リャ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ !!!」

 

すぐさま動いたのは直だった。愚直な特攻、と見せかけての右手への急旋回で青いレーザーをやり過ごす。セシリアがビットを迸らせる隙に、右手に何かナックルガードのような物を展開した。

しかし急制動を掛けた必然、次の行動に移るまでのタイムラグは深刻。

 

(あれだけ啖呵を切っておきながら、この程度の基礎も理解出来ないとは…。所詮、男など!)

 

嘲りと怒り…そして無意識に微々たる失望を感じながら、セシリアは冷徹に命令を下す。

 

「お行きなさい、ブルー・ティアーズ!」

 

4方向からの射撃で手足をそぎ、嬲り殺す。

そんな意思がこもったレーザーが、紫電へと殺到する。

 

 

 

が。

 

 

 

 

 

 

「何処狙ってんだノーコン貴族!」

 

「!?!?」

 

背後。

慌てて振り返ったセシリアの眼前には、雷ような光をスパークさせ、自分に狙いを付けている直の姿があった。

 

セシリアの端正な顔が驚愕で歪む。それもその筈、直線距離にして40mは離れていた敵が突如として零距離に、しかも背後に迫っているのだから。

 

「っ、イン「飛べや!」あぐぅっ!!!」

 

唯一の近接武器を呼び出す暇も許されず、腹部に強烈な一撃を食らう。

封殺をコンセプトにしたセシリアの愛機は、一般的なISより遥かに耐久性に劣る。たった一撃でシールドエネルギーの3分の1を持っていかれ、地面に叩き付けられた。

 

「いっ…たい、何…グッ、ゴホッ…」

 

思い当たる事はただ一つ。

エネルギーを莫大に消費し、対価として音速に勝るとも劣らぬ加速を得るISの操縦技術、瞬間加速(イグニッション・ブースト)

それを、ぶっつけでやってのけたのだ。

 

(だ、だとしても!)

 

直は、セシリアの目の前に現れたのではない。もしそうであるならば、腰部に隠されているミサイルビットで迎撃ができた。彼は、()()()()()()()()()()()()()

ISを起動してから3ヶ月足らずの直が瞬間加速を使える事自体驚きに値するが、彼はそれ以上の事をしでかした。

即ち、斜め前方への瞬間加速を行ってからの急停止、さらにセシリアの背後に回り込むため再びの瞬間加速。

有り得ない、と内心で繰り返すが、絶対防御すら突き抜けんばかりの衝撃が()()が事実だと語っている

 

 

(多段瞬間加速(リボルバー・イグニッション)なんてっ…!国家代表候補レベルの技術ではないですか!)

 

 

「立てよホラ、いつまで寝てやがる?タコ殴りはこっからだバカヤロウ」

 

空中から自分を見下ろす直の顔が、悪魔のように映る。

 

「ハッ…失、れ…ぐぅッ…少し、呆けてしまいましたわ。猿も、人間に近い動きをするものですわね」

 

だが驚き、恐れたとしてもそれを殺してセシリアは立つ。相手が誰だろうと、何をしようと勝たねばならぬのだ。

グラつく頭を抑え、銃身を固く握り込む。ブルーティアーズを浮遊させる。

 

「さて、お待たせいたしましたわ。今度は私の調べに乗ってくださいまし?」

 

「…あいっ変わらずムカつくアマだが、ちぃと見直すぜ外人。オメェ、()()()()()()()()か」

 

彼女はオルコット家第13代目当主、セシリア・オルコット。誇り高き貴族にして、誰よりも強くあろうとする騎士。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………………………姉上?」

 

「なんだ」

 

「そん…試合、良かと?」

 

「私はお前の専用機搬入の見届け人だ。あちらは信長と麻耶に任せてある」

 

「はぁ、そいは分かりもした。じゃっどん……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺を抱き寄せっのはやめてくいやったもんせ!しかも前から!!誰ぞに見られたら死ぬる!!」

 

現在の格納庫前の様子は、カオスの一言である。

『ブリュンヒルデ』『世界最強』と恐れられた女性が、ふんすと満足げな顔をして1人の少年の頭を抱き抱えている。いくら姉弟とは言え、教育の場でコレはやり過ぎである。

 

「何故だ、この一週間忙しすぎて一緒に飯も食っとらんだろう。多少のスキンシップは必要だ」

 

「担任と生徒じゃろうが、俺達ぁ!」

 

「それ以前に1人の女と男だ」

 

「姉と弟でんなか!?!?」

 

豊久が完全にツッコミに回るという非っっっっ常に希な状況にも、姉君は顔色一つ帰ることなく腕に力をこめ続ける。

そもそも、2人の身長は豊久の方が拳2個分程高い。それを胸元に抱き寄せられるのだから、豊久としては気恥ずかしさと共に腰の限界が近づきつつあった。

しかし、彼女を無理に押しのけようとは決してしない。

 

(…俺のせいか、姉上が()()()になったんは。)

 

以前から自分を可愛がってくれた千冬だが、それが過剰とも言えるほどになった原因は3年前の自分だと豊久は自覚している。

 

(俺は功名のみを求めて姉上を省みんかった。そんしっぺ返しかの、こいは)

 

世界最強、島津の女傑と謳われた千冬は疲れ果てた。父母を亡くし、()()()()()の夢を殺し、彼女を喪い…挙句の果てに弟に血を流させた。

そしてそれは、戦人(いくさびと)としての島津千冬に最後の止めを指すこととなった。

周囲に気取られぬよう、常に冷静沈着な豪傑を演じ続ける…それが今の千冬の本質。豊久と伯父のみが知る、彼女の真実。

 

『なんで、どうして!()()()()()()()()()()()()!!もう嫌だ、嫌なんだ…だからたのむ…こたえてくれ…おきてくれ…とよひさ…』

 

 

 

体中を返り血で赤く染め、自分を抱き起こそうとする姉の悲痛な叫び。聞こえるのに、応えたいのに手も口も動かない。

あの瞬間、姉は、『兵子』島津千冬は死んだ。他ならぬ、実弟たる己の軽挙によって。

そんな後悔が今でも胸の中でのたうち回る。

 

 

(じゃっどん、やはい俺には戦しかできん。)

 

 

その後悔に苛まれながらも、豊久は自らの在り方を変えようとはしない。

 

(勝てばよか。奪ればよか。こい以上姉上に心配かけんよう、決して負けん兵子であればよか。そうでなくば…)

 

これこそが、島津豊久が数多の人間に恐れられる最大の理由。

後悔もする。悼みもする。自分のおかしさを理解もする。

それでも変わらない。止まらない。

歪さを認めながら、亡き者への哀惜を感じながら、狂ったように(はし)り続ける。

 

 

(生きる価値なぞ、俺にありはせん)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「逃げんな外人!殴らせろやゴラァ!!」

 

「誰が黙ってやらせるものですか!!貴方こそそろそろ落ちなさいな!」

 

開幕と共に一撃を与えた直だが、スイッチが入ったセシリア相手に後手後手に回っていた。

愚直な突進を想定し、ティアーズで進路を誘導してからスターライトで墜す作戦を立てていたセシリアは直の変態起動を見るや否や作戦変更。チクチクチクチクと嫌がらせを行い、ひたすら距離を詰めさせないよう務めている。

見事にその手がハマり、思うように接近できない直は20分近く極限の集中を強いられた事で精彩をかく。

加えて彼の武装は近接格闘用のナックル武器『雷華』と腕に取り付けられた機銃二丁、ロングナイフ3本のみ。近付かなければどうにもならない。

 

「クソッタレこの腰抜け野郎が!貴族なら貴族らしく正々堂々としやがれバカヤロウ!」

 

「これは戦術と言うのです、負け惜しみはみっともないですわね!と言うかわたくし野郎ではなくてよ!」

 

(((あれ、この人らもしかして馬が合う?)))

 

居合わせる観客が一斉にそう思う程の軽妙な掛け合いだが、当の2人は互いに必死だ。

 

(あと1発!あと1発で決まる!被弾覚悟で真正面ぶち抜いてやらァ!!)

 

(このままでは決定打足り得ない…刺し違える覚悟で、真正面から撃ち抜いて差し上げましょう!)

 

2人が切った札は、奇しくも同じ。

 

陽光を背に全速力で降下する直と、身じろぎもせず日輪に銃口を向けるセシリア。

 

視線が、咆哮が、2人の気迫が中空で交わる──

 

 

 

 

 

 

「「おぉぉぉぉぉぉぉおおおおおぉぉぉぉッッッッッ!!!!!!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

菅野麻耶は、素晴らしいIS操縦者だった。狙撃手でありながら最強と謳われた島津千冬に真っ向から立ち向かえる唯一無二の存在であり、その常人離れした空間把握能力は間違いなく当代最強。

 

空に憧れ、紺碧に焦がれた直にとって姉の姿はまさに希望。

ISと航空機という違いはあれど、いつの日か自分も姉のように自在に空を飛びまわり、出来ることならば肩を並べて大空を駆けたい…そんな夢を実の弟に持たせるのに十分なほど、菅野麻耶は優秀だったのである。

しかし、千冬と共にモンド・グロッソのワンツーフィニッシュも夢ではないと噂されたその矢先、事件は起きた。

 

準々決勝直前、テスト飛行における大事故により脊椎損傷。

IS操縦は当然、歩くことすらままならなくなる大怪我だった。

 

幸い、体内に電磁パルスを流す装置を取り入れるという最先端の医療技術で日常生活には支障が出なかったが、麻耶はIS操縦者としての人生を永遠に絶たれた。

原因は麻耶の操縦能力に付いていけなくなった霹靂の故障、並びに整備不良とされているが、その場に居合わせた直ははっきりと目撃してしまったのだ。

麻耶が墜落する瞬間、心底嬉しそうで、これ以上なく邪悪な対戦相手の笑顔を。

 

あの時、あの瞬間から直は変わった。

空に焦がれる純粋な少年は、翼をもがれた憧れ()の復仇を願う暴君へ。

 

物的証拠も何も無い、子供の被害妄想と片付けられて然るべき暴挙だったが、それでも直は己の怒りを抑えられなかった。

 

姉を傷付け、彼女の、そして自分の夢を奪った連中がのうのうと空を飛んでいる。許せない。許して良い筈がない。

 

あのアメリカ人パイロットも、一緒になって笑っていたイギリス人の整備士も、狙撃の皇女脱落を喜んでいた米英初め外国人のファン達も。

 

 

「纏めて叩き潰す!!あの時笑った全ての人間を叩き潰して、目を開かせて!俺が飛ぶ様を焼き付ける!!思い知らす!!」

 

 

故に、菅野直は叫ぶ。

()に向かって獅子吼する。

 

 

 

「だからここで堕ちる訳にはいかねェんだ、コノヤロォオオオオオオッッッッッッ!!!!!!!!!」

 

 

 

叫びに応じて、紫電の脚部が展開した。

大地を踏みしめるための足は最早なく、ブラスターのような銃口がセシリアを指す。

 

「ッ!?遠距離兵器…!?」

 

セシリアが僅かに動揺する間にも、紫電は翠色のエネルギーを迸らせてその足先へ破壊力を伝えていく。しかも、機体の落下スピードは微塵も落ちていない。

 

翡翠の流星はそのまま地へ降り、蒼の熱線を弾き返していく。

 

「ぶち抜くッッッ!!!!!」

 

天を揺るがす轟音と共に、蹴撃が大地を抉った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれが固有兵装かっ!よもや足に仕込むとは…!」

 

管制室で直の咆哮を聞く信長が唸りながら顎をさすった。

十月機関から送られてきた資料には、紫電はISが稼働することで生じた熱エネルギーなどを蓄積させ、破壊エネルギーに転用するという無茶苦茶なシステムが搭載されていると書いてあった。

二・五世代ISたる紫電はワンオフアビリティを持たないが、それに準ずるのが独自の兵装、鳴御雷(なるみかづち)

 

「動き回る直ちゃんにはもってこいの一撃必殺ですね。継戦能力が高い紫電だからこその威力です」

 

「やっぱデストロイヤーじゃねぇかお前の弟。なんちゅー整備班泣かせの奥の手じゃ、アレ。一発蹴り打つ度に脚部総とっかえとか殺しに来てんだろ」

 

自前のエネルギーに蓄積していた熱エネルギーを加算して繰り出す一撃の威力はまさに絶大。

敵ISのシールドエネルギーは勿論、自身の脚部も潰れるほどの文字通り一撃(であてないと自分が)必殺である。

 

トンチンカンすぎる性能に信長がドン引きしていると、試合終了のブザーが鳴り響いた。

観戦していた生徒がどよめき、土煙が舞い上がる中から高々と拳を突き上げるのは────

 

『っっしゃオラァァァァ!!!!!!』

 

「ま、初陣にしちゃ上出来だ。あの馬鹿技をここぞでキメる腕前は認めてやろうぞ」

 

「言ったでしょう、なんたって直ちゃんは直ちゃんですから!」

 

菅野直、搭乗IS霹靂・紫電。

彼の初陣はかくして白星に終わる。

 

無邪気にはしゃぎ、両腕を突き上げて喜びを爆発させる姿は年相応の少年だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




土下寝です、はい。
この3年間色々ありました。ドリフ6巻出たり元号変わったと思ったら巨大化したISSAが平成額縁キック食らったりアズールなレーンにハマったり俺のアイバがうまぴょいだったり。

それ以外は特になかったです。

そんな感じで本当にすいませんでした、これからチマチマ続きを更新していく所存です……


次回


闖入

ノブレス・オブリージュ

緋色のアイツ


『情熱は覚えている』
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。