少年士官と緋弾のアリア   作:関東の酒飲

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 遅れてしまい、申し訳ありません。
 もはや、ほぼ各話の枕詞になりつつありますが……理由としましては中間テスト&レポート。来週まで中間テストがあるので、それさえ終われば……今度は期末テストですね、分かります。
多分次話も一週間以内に投稿できない……よなぁ。


 なお、この小説は『体罰』を肯定した小説ではありません。


Die Hard3 in Tokyo 『復讐』じゃなくて『盗み』かよ……

「「「すいませんでしたー!!!」」」

「……(ガタガタガタ)」

 

女子大生三人が土下座している目の前で、俺はパンツ一丁のまま毛布に(くる)まって震えていた。

 

 

 別に俺が特殊な性癖に目覚めたわけではない。‘‘冤罪’’でボコしていた女子大生三人が愛里寿ちゃんに叱られ、俺はその間に‘‘四次元倉庫’’から毛布を急いで取り出して暖を取っていたのだ。

 

 

「……真剣に謝ってるの?」

 

女子大生三人の後ろで、愛里寿ちゃんは圧をかける。その圧に比例して、女子大生三人が地面に頭を擦る回数が増えていく。

 

「……い、いや。もう、いいから。だ、誰だって、間違いはあるから。」

 

俺は寒さに震えながら、絞り出すように言った。

 周囲にいる人達の俺を見る目がとても痛い。俺は早くこの場から逃げたかった。

 

「「「ははぁ~!!!」」」

「…………」

 

俺はこの場から去ろうと立ち上がり、急いでこの場から離れようと……できなかった。

 

「……村田お兄ちゃん、行くの?」

 

俺が(くる)まっている毛布を掴み、目を潤ませながら愛里寿ちゃんは聞いてきた。

 

 ……実質毛布(これ)一枚だから、掴まないで欲しいんだけど。

 

「あ、あ……ビエックシ!!!

 

俺は愛里寿ちゃんを安心させるため、少し格好つけて言おうとして……寒さのせいで失敗した。

 

「無事に帰ってきて……ね」

 

愛里寿ちゃんは抱き着いた後、とても小さな声でつぶやいたが……俺にはしっかりと届いた。

 

 ……こんな小学生ほどの子に心配されるなんて、俺はそんなに信用できないか?

 

一瞬そう思ったが、今までの戦闘を思い出した。いつもいつもボロボロになって帰ってくるため、信用できるはずがない。

 

「……あぁ、少なくとも死ぬ気はねぇ。大丈夫、ちゃんと戻ってくるから。」

 

俺は愛里寿ちゃんの頭を軽く撫でた時、愛里寿ちゃんはその手をガシっと掴んだ。

 愛里寿ちゃんはもう片方の手で頭のリボンをほどいた後、そのリボンを俺の手首に()わいた。

 

「……お、御守り!!」

 

愛里寿ちゃんは顔を真っ赤にしながら言った。土下座している女子大生三人が殺気を放っているが……そこまで怖くないので無視する。

 

「……ありがとな。じゃぁ、行ってくる。」

 

俺はそう言って歩きだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「(英語)何やってるんだアイツ?裸に毛布で。」

「……あ、アハハハ」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)と西住さんの言葉で現実に戻った。‘‘裸に毛布の男’’と‘‘ロリ少女’’……‘‘変態’’と‘‘騙されている幼女’’にしか見えないだろう。

  俺はジョニー・マクレー(おっさん)の言葉で……心に大きな傷を負った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの後、俺は‘‘四次元倉庫’’から着替え(武偵高校の制服)を取り出し、トイレで着替えた。そして、シャツに血が染みるのを無視しながら、俺は二人と合流した。

 

「あぁ~……何やってるんだろ、俺……」

 

 ついさっき俺は黒歴史を作ったため、悶々(もんもん)としながら旧芝離宮恩賜公園を出ようとしていた。

 

「(英語)坊主、戦争映画の主人公にでもなったつもりか?」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)揶揄(からか)うネタができたと笑いながら言った。

 ついでに、ジョニー・マクレー(おっさん)の手にはさっき解除したアタッシュケースの爆弾がある。民間人を巻き込ませないため、渋々持ってきたのだ。

 

「(英語)……実際、本当に映画の主人公になってるだろ?」

 

俺はため息をつきながら言った。前話でもある様に、俺とジョニー・マクレー(おっさん)は映画『Die Hards』の主人公のモデルになっている。

 

「(英語)そりゃそうだったな。」

「(英語)いつまでもニヤけてるんじゃねぇよ。いい年こいた親父がよ……」

 

俺とジョニー・マクレー(おっさん)が軽口を叩きあっている中、西住さんは……慈愛(?)の目で俺を見ていた。

 

 ……なに、この『同志よ、歓迎します』みたいな瞳は。

 

俺はそこで、西住さんが警察庁で『犯人を(あお)る』と言う黒歴史を作っていたことを思い出した。

 

 ……うわぁ、変な仲間意識持ってやがる。

 

俺はため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えば、どこから着替えを出したんですか?」

 

西住さんは不思議そうに聞いてきた。

 

「ゴメン、機密なんだ」

 

 ……‘‘四次元倉庫’’なんて言っても理解できないだろうしなぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、俺達三人は旧芝離宮恩賜公園を出て、鏡高組から奪った(借りた)センチュリーに乗り込もうとした時だった。

 

「おい!!待てぇ!!!このクソガキぃいいい!!万引きだァ!!」」

 

俺はその声が聞こえた方向を見ると……学生服を着た中学生三人が俺達の方へ走って逃げてきた。その中学生達の手には……スナック菓子や菓子パンが握られている。

 

「(英語)なんだ?アレ?」

「(英語)万引きだって」

 

 俺とジョニー・マクレー(おっさん)ため息をついた後、その万引き中学生二人の襟をつかみ、残った一人に足をかけて転ばせた。西住さんは転んだ中学生に馬乗りになり、背中に腕を回して取り押さえた。

 

 ポキッ……

 

「い、いてぇえええええ!!!!」

 

西住さんが取り押さえている少年が悲鳴をあげた。その少年の腕は……可動範囲外まで引っ張られている。

 

 ……西住さんも大分アグレッシブになったな。

 

俺がそう思った時、襟をつかんでいる少年達が暴れ出した。

 

「おい、離せこの野郎!!!」

「このハゲ!!離せ!!」

 

 バキッ!!べキッ!!

 

『体罰?何それ?』とばかりに、俺とジョニー・マクレー(おっさん)は捕まえた少年を殴った。そのおかげか、さっきまで暴れて逃げようとしていた万引き中学生二人は大人しくなった。

 

「(英語)こんな菓子と引き換えに少年院にぶち込まれたいか?」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)は落としたスナック菓子を拾い、呆れながら言った。

 

「こんなのを盗んでどうなる?遊び半分で少年院にでも行きたいのか?」

 

俺はジョニー・マクレー(おっさん)の言葉を(さと)すように訳して言った。

 

「いや……あの、石川君が『今は警察がいない』って……」

「『今なら盗み放題だ』って……」

 

少年達は俺達の顔を見ず、地面を向いて小さな声で言った(西住さんに取り押さえられている一人を除く)。

 

「その‘‘石川君’’が命令したら何でもするのか?……って、おい!!今『警察がいないから盗み放題』って言ったか!?」

「「……ハイ」」

 

俺はあることが引っかかった。上野には『東京国立博〇館』・『国立科学博物館』・『国立西洋美術館』・『東京都美術館』・『上野動物園』など貴重な物を収める博物館が多い。その上野の一つ隣、爆発が起こった鶯谷も博物館から近いはずだ。今、東京中……いや、首都圏中の警察が爆弾探しをしているため……博物館の物が盗まれやすくなっている。

 俺は慌ててスマホを持ち、鶯谷の駅を調べようとしたが……自分のスマホが壊れて使えない事を思い出した。

 

「おい!!スマホ持っているか!?」

「「え……?」」

「いいから早く!!」

 

俺はスマホを受け取ると、『Goo〇le Map』を開き、『鶯谷駅』を検索した。その結果……『鶯谷駅』は『東京〇立博物館』にとても近いという事が分かった

 

 ……おい、もしかして東京国立博物館の展示物が盗まれるとかねぇよな!?

 

俺は『東京国立〇物館』のホームページを検索すると……明日から『特別展:日本の刀』が開かれるそうだ。その特別展は日本全国から刀が集まり、『天下五剣』・『天下三名槍』などの有名な物だけでなく、御物すら展示されるそうだ。

 

 ……盗む。俺が犯人だったら絶対盗む。

 

俺の勘も『博物館』へ警報を発している。

 

「(英語)おい、坊主……」

「(英語)おっさん、犯人の居場所が分かったかもしれねぇ。おっさんの携帯は繋がるか?」

「(英語)あぁ……。場所は?」

「(英語)……博物館だ。」

 

俺は事の重大さに気が付き、冷汗を流しながら……スマホを少年に返した。

 

 

 

 

 

 

 俺はその‘‘万引き三人組’’を店員に引き渡した後、西住さんにセンチュリーの鍵を渡した。

 

「西住さん。‘‘サイモン’’は今、『東〇国立博物館』で物色している可能性がある!!『東京国立博〇館』は鶯谷駅近くで、しかも明日から全国から集めた日本刀を展示する予定だったらしい。俺なら……絶対それらを盗む。」

 

その言葉を聞き、西住さんは困惑していた。

 

「え……でも、確信はないんですよね!?」

「あぁ、確信はないが……その可能性が高い。すまないけど、神宮球場へは一人で行ってくれ!!何かあったらおっさんへ連絡だ!!何もなかったら俺達も神宮球場へ向かう!!」

 

俺はそう伝えると、浜松町駅に路駐してあるボロ車(ビュート)へ向かって走り出した。旧芝離宮公園から浜松町駅は目と鼻の先、歩いても1~2分かからない。

 

「(英語)残り2時間半だ!!気をつけろよ!!」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)は旧芝離宮恩賜公園で拾ったスマホを西住さんに投げ渡し、走って俺を追いかけた。

 

「え……?は?……なんで一般人にこういう重大な事を任せるんですか!?」

 

 ……西住さんは『一般人』じゃなくて、『逸般人』だろ。

 

 俺はボロ車(ビュート)にたどり着き、車のキーを探し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はポケットからキーを探し出し、運転席のドアの鍵穴に差し込もうとした時……『駐車違反』のステッカーを発見した。

 

「ウソだろ!?なんで違反になってるんだよ!!緊急事態だぞ!?」

「(英語)坊主!!早くしろ!!」

 

 

 

 

 

 

 

  ブォオオオオ……!!!

 

俺はボロ車(ビュート)を猛スピードで運転し、『東京国立〇物館』へ向かっていた。しかし……車の量が多く、道も広いとは言えない。そのため、スピードは出ていても移動速度は遅い。

 

 ……あぁ!!イライラする。

 

「(英語)なんだって博物館に行くんだ?」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)はそう言いながら助手席の窓を開けた。そして胸元からタバコを取り出し、火をつけた。

 

「(英語)おっさん、この車は借りものなんだけど!?」

「(英語)ここまでボロいんだ。タバコの臭いだってバレやしねぇよ。」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)はお構いなくタバコの煙を吐いた。煙は開けた窓から逃げていく。

 俺はため息をつきながら、ボロ車(ビュート)の窓全てを全開にした。

 

「(英語)おっさん、鶯谷駅で爆発があっただろ?」

「(英語)午前中の、あの列車の件か?」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)はそう訊ねながら、タバコの灰を外へ捨てた。

 

「(英語)おっさん……。まぁいい。その爆発現場近くには『東京国立〇物館』がある。とりあえず、『日本最大の博物館』と思えばいい。」

「(英語)‘‘スミソニアン’’みたいなものか?」

「(英語)‘‘スミソニアン’’ほどじゃないけどな。そこで、明日から日本全国から集められた『日本刀の特別展』が開かれるらしい。」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)はため息交じりの紫煙を吐き出した後、携帯灰皿を取り出して吸殻を捨てた。

 

「(英語)……そいつは盗むな。」

「(英語)だろ?……それに日本刀だけじゃない。仏像・壺・茶碗・絵画も貴重なものが沢山あるうぅうう!?」

 

俺は前の車を追い抜くために反対車線に入った瞬間、目の前に‘‘黒のバン’’とギリギリですれ違った。

 

  プルルルル……

 

そんな時、ジョニー・マクレー(おっさん)の携帯が鳴った。

 

「(英語)はい、もしもし!?」

『ま、マクレーさんですか!?ハァ…ハァ……。私です……西住みほです!!神宮球場に着きました!!』

「(英語)なんだ?早いじゃねぇか。」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)はスピーカーモードにし、俺に聞こえるようにした。

 

 ……ん?やけに早くないか?

 

 俺達と西住さんが分かれてから5分ちょっと。俺達は猛スピードを出し、やっと行程の半分を過ぎたところ。

 

 

 ところで、旧芝離宮恩賜公園から俺達が向かう『東京国立〇物館』までの所要時間は約20分。そして、旧芝離宮恩賜公園から西住さんが今いる神宮球場への所要時間も約20分かかる。要はだいたい同じ距離なのだ。

 それなのに……西住さんはもう明治神宮に着いているという事は……

 

 

 ……え!?どうやったらそんな魔法ができるんだよ!?戦車道やっていれば‘‘走り屋’’並みの運転技術を持てるの!?西住みほは化け物か!?

 

「に、西住さん!?どんだけ飛ばしたんだよ!!ケガしてないか!?」

『……え?特に怪我はありませんよ?』

 

俺は思わず大声で聞いたが……西住さんは不思議そうに答えただけだった。

 

「(英語)なに大声で叫ぶんだよ。余計に頭が痛くなる。」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)鬱陶(うっとう)しそうに俺へ文句を言った。

 

「(英語)お、おっさん!!‘‘西住さんの場所’’と‘‘俺達が行く博物館’’の距離はだいたい同じなんだよ!!……しかも俺達はやっと半分を過ぎたくらいだ!!」

「(英語)……!?おい、嬢ちゃん!!大丈夫か!?」

『…?あー……いえす、いっつ おーけー』

 

ジョニー・マクレー(おっさん)は西住さんの声を聴いた後、頭を押さえた。

 

『と、とにかく!!指定された席に向かったら‘‘トランプのジョーカー’’2枚が置かれていました。両方とも穴が開いていて、‘‘Game Over’’って書かれてます。』

 

 ……‘‘トランプのジョーカー’’?穴が開いていて‘‘Game Over’’が書かれている?どういう意味だ?

 

「分かった!!そっちは危険だから『東京国立〇物館』に向かってくれ!!そこで落ち合おう!!……くれぐれも安全運転で。」

『分かりました!!』

 

 ッー、ッー、ッー……

 

電話が切れた。ジョニー・マクレー(おっさん)はそれを確認すると、スマホを自分の懐にしまった。そしてタバコを咥え、火をつけた。

 

「(英語)で、なんだって?」

「(英語)‘‘トランプのジョーカー’’が二枚置かれてたってよ。両方とも穴が開いていて‘‘Game Over’’って書かれてあったそうだ。意味が分かるか?」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)はタバコを咥えながら肩をすくめた。ジョニー・マクレー(おっさん)も意味が分からないようだ。

 

「(英語)とにかく先を急ごう。……って坊主、嬢ちゃんに運転負けてんのか?」

「(英語)うるせぇ。西住さん(あっち)は今までこういう事をずっと習って来てるんだよ。」

 

とは言え、西住さんが『東京〇立博物館』に到着する前には着きたい。

 俺はボロ車(ビュート)をさらに加速させた。

 

 

 

 

 

 

「(英語)坊主!!前!!前!!!」

「(英語)うわぁあああああ!!!」

 

 首都高速上野から降りた後、上野公園通りを爆走し『東京国立博物館』の敷地に入ろうとした時、急にトラックの車列が現れた。

 俺は慌ててハンドルを切り……左のドアミラーが吹っ飛んだが、何とかトラックとの衝突を避けることができた。

 

「(英語)坊主!!ちゃんと前を見ろ!!」

「(英語)見てこれなんだよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 ボロ車(ビュート)はトラックの車列にぶつかりそうになりながらも、『東京国立博〇館』の敷地に滑り込んだ。

 俺は時計を確認し……12分で到着したことを知った。

 

 ……何とか無事に到着したな。

 

俺とジョニー・マクレー(おっさん)はヨロヨロと車から降りた。その様子を、ここの警備員たちは遠目から見ているだけだった。

 

 ……おかしい、なぜ俺達に駆け寄らない。

 

 いきなり‘‘不審な車(ビュート)’’が敷地に入り込んだのだ。普通なら警備員たちは‘‘不審な車(ビュート)’’に近寄って確認を取るか、武器を取り警戒するはずだ。

 しかし、ここの警備員たちは呑気に見ているだけ。しかも一人は無線機を使い誰かと話している。

 

 ……絶対におかしい。ここは‘‘国立博物館’’だ。少なくとも‘‘無線の使用は禁止’’という事は伝わっているはず。

 

「(英語)おっさん……」

「(英語)あぁ……限りなく‘‘黒’’に近いぞ……」

 

俺とジョニー・マクレー(おっさん)は警戒しながら、博物館の本館へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ‘‘サイモン’’はトラックに乗っていた。

 さっき『東京国立博〇館』を出ようとした時、ボロ車(ビュート)と衝突しそうになったのだが……有難い事に事故が起こらなかったため、ホッとしていた。

 その時だった。無線に報告が入った。

 

『奴らです……奴らが来ました。』

 

この声は、『東京国〇博物館』で警備員に変装している‘‘ギュンター’’の声だった。

 

「奴とは……?誰のことを言っているんだ?」

 

‘‘ギュンター’’は最近入った隊員であるため、報告が不明瞭だった。そのために‘‘サイモン’’は‘‘ギュンター’’に聞き返した。

 

『マクレーと村田です。さっきぶつかりそうになった古い車に乗っていました。車から降りて本館の方へ来ます。』

 

‘‘サイモン’’は頭が痛くなってきた。

 『最終的に神宮球場で‘‘村田’’とマクレーを狙撃によって殺す』計画だったのだが、来たのは‘‘巻き込んだ少女’’だけだった。‘‘サイモン’’は‘‘巻き込んだ少女’’に手をかけず、神宮球場にいる部隊を引き上げさせたのだった。

 確かに、あの二人ならば狙撃から逃れ、生き延びることも考えていた。しかし、 ‘‘村田’’と‘‘マクレー’’が『東京国立博〇館』に来るなど……完全に想定外だった。

 

「あぁ、全く予定外な事ばかりだ。」

 

‘‘サイモン’’はそう言った後、懐からアスピリン錠を取り出して水と一緒に飲んだ。

 

「(独語)構わん!!殺させろ!!遊びは終わりだ!!!」

「……」

 

運転中の‘‘マシアス・タルゴ’’は苛立たしそうに大声で言い、その妻‘‘カティア・タルゴ’’は無言だった。

 

 

‘‘サイモン’’が雇ったこの‘‘タルゴ夫妻’’は……正直言って面倒だった。

 夫の‘‘マシアス・タルゴ’’はそこらにある物で繊細な爆弾を作れるのだが……性格は真逆で大雑把・浅慮・脳筋だった。その性格のせいで時々‘‘先生’’に考えてもらった計画の邪魔をしてくる。

 妻の‘‘カティア・タルゴ’’は美女で、無口であまり人と関わらないタイプの人間なのだが……血の気は多いのか、ナイフを持って敵へ‘‘イの一番’’で突っ込んでいく。そのおかげで計画にはない殺傷沙汰も多かった。

 

 

「そこで眠ってもらおう。ロビーの‘‘カール’’には俺から連絡しておく。‘‘カール’’以外の部隊は全て撤収だ。引き揚げろ。」

『了解しました。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺達が本館のエントランスに入ると同時に、警備員達は近くに止めてあった‘‘青のセダン’’に乗って何処かへ行ってしまった。

 

 ……おい、警備員達が警備を放棄して何処かへ行くなんて、絶対に怪しいぞ!?

 

俺は思わず腰の銃剣を握った。

 

「(英語)何か?本日は休館ですが。」

 

俺が銃剣を握ったと同時に、階段を降りていた学芸員(?)に声をかけられた。

 

 ……おかしい。この学芸員はやけに体格が良くて、しかも歩き方が軍人・警官・武偵の様な訓練された人間の歩き方だ。

 

「(英語)ジョニー・マクレー、警察だ。」

「武偵の村田です。」

 

すると学芸員はゆっくりと近寄ってきた。

 

「(英語)その怪我、大丈夫ですか?」

 

学芸員はジョニー・マクレー(おっさん)の格好を見て、笑顔で聞いてきた。

 

「(英語)あぁ……まぁな。」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)はそう答えた。

 ついでに、俺はさっき着替えたために、‘‘服装は’’キレイなままだ。多少シャツや上着に血のシミが出来始めているが。

 

「(英語)ご用件はなんです?マクレー警部補、村田大尉?」

 

 ……俺は‘‘武偵’’と言ったはずだ。それにおっさんも警察としか言っていない。それなのに『俺の軍の階級』・『おっさんの階級』 を当てれるはずがない。

 

俺はさらに警戒する。

 

「(英語)今朝から変わったことはないか?」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)はごく普通にその学芸員(?)に質問した。

 

「(英語)えぇ、山手線のb……」

「(英語)もちろん『山手線の爆発』以外の事です。そうだな……午後から変わったことはありませんか?」

 

俺はそう言いながら周りを見た。

 よく見ると……床がキラキラと輝いている。きっとガラスの細かい破片が散乱しているのだろう。もちろん、『普段もガラス片が床に散らばっている』ことなどありえない。

 

「(英語)別に?爆破騒ぎから外は警官であふれています。ご心配なら一緒に中を見回りますか?」

 

そう言って学芸員(?)はエレベーターの方へ向かって歩き出した。

 

「(英語)あぁ、ぜひ頼む。」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)は鋭い目で回りを見ながら言った。

 

「(英語)それは有難い。」

 

俺はそう言いながら、その学芸員(?)を見た。やはり……訓練された人間の歩き方だった。

 

 

 

 

 

 

「(英語)全く、酷い寒さですね。」

「(英語)あぁ、全くだ。」

 

学芸員(?)の言葉に、ジョニー・マクレー(おっさん)は頷いた。

 

「(英語)この後きっと、降るでしょうね。」

 

そして、エレベーターの前に着いた。そこには……他の学芸員が4人にスーツ姿の男が一人いた。

 

「(英語)お仲間です。彼は、えっと……‘‘オットー刑事’’」

 

案内をしてくれた学芸員(?)はスーツの男を紹介した。

 

「「(英語)よろしく」」

「……。」

 

その刑事は無言で俺達と握手をした。しかし、その刑事は……何かおかしかった。

 

 ……なんだ?こいつ?

 

 この刑事、名前も見た目もほぼ外人……しかも、スーツの胸ポケットに警察手帳を引っかけ、バッジを見せびらかすかの様に身に着けていた。まるで『自分は警察だ』と主張したいかのように……。

 俺はその刑事を見て確信した。ここは敵陣だと……

 

「(英語)おっさん……」

「(英語)分かってる。ゴチャゴチャ言うな」

 

  キーン……

 

ちょうどその時、エレベーターが着いたようだ。ドアが開くと学芸員(?)が『先にどうぞ』とばかりにエレベーターを指した。

 俺とジョニー・マクレー(おっさん)が先にエレベーターに入った後、学芸員達や刑事が入り、俺達二人を囲むようにエレベーターの隅に陣取った。

 

「(英語)運動のため、普段は階段を使っているんですが……こんな寒い日にはつい‘‘リフト’’に乗ってしまいます。」

 

最後に、俺達を案内した学芸員(?)が入り、‘‘二階’’へのボタンを押した。そしてエレベーターのドアがゆっくりと閉まり始める。

 

 

 

 

 

 ……ヤバい!?こいつら自然に俺達を囲みやがった!?

 

改めて観察すると……俺達を囲む学芸員(?)達と刑事は、俺達を優に超える身長の持ち主だった。俺は170㎝未満の身長、ジョニー・マクレー(おっさん)は180㎝強の身長なのだが……それを超える身長となると、180㎝後半以上と算出される。

 

 ……ガタイでも、人数でも負けている。そうなると、奇襲しかねぇ!!

 

「(英語)おい、警察庁長官の名前はなんだっけ?未成年との不倫で今問題になってるんだろ?」

「そう言えば、今年のプロ野球はどこが優勝してるか覚えてます?」

『上へ参ります』

 

エレベーターのドアが完全に閉まると同時に、ジョニー・マクレー(おっさん)は英語、俺は日本語で他愛もない質問を投げかけた。しかし、誰も答えることができなかった。

 

「(英語)なんだ、そんなことも知らねぇのか?今見せてやるよ」

「みんな知らないんですか?なんだ、調べるしかないかぁ」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)と俺は手を懐にやった。

 

 ……さぁ、奇襲の始まりだ!!!

 

  ダァンダァンダァンダァン!!ザシュッ!!

 

ジョニー・マクレー(おっさん)は上着越しに(学芸員)目がけて発砲し、俺は銃剣を抜き刑事(偽)と学芸員の顔を斬った。

 

「「「「ぐぁあああ!!!」」」」

「ッ~~!!」

 

撃たれたor斬られた(奴ら)は悲鳴をあげ、無事だった学芸員の一人が銃を慌てて握った。

 ついでに、俺はジョニー・マクレー(おっさん)の撃った弾が跳弾し、横っ腹に被弾したのだが……無視する。

 

「(英語)チクショウ!!クソッタレ!!」

「あぁ!!‘‘降る’’ってのは血か!?」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)は暴れる最後の一人に掴みかかった。そして俺は銃剣で ‘‘顔を切り裂いた二人’’の首を落とした後、ジョニー・マクレー(おっさん)と掴みあっている最後の一人の背中に銃剣を刺した。

 俺が背中を刺した時、最後の一人の動きが一瞬止まった。ジョニー・マクレー(おっさん)はそれを見逃さず、敵の頭に銃口をつけて発砲する。

  

  ダァン!!

 

 俺とジョニー・マクレー(おっさん)は返り血で真っ赤に染まった。

 

  キーン

  『二階です。』

 

俺達は血まみれになりながら、何とかエレベーターを出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 西住みほはセンチュリーを飛ばし、『神宮球場』から『東京国〇博物館』までを7分ほどで到着した(普通は20分以上かかる)。

 途中トラックの車列にぶつかりそうになりながらも、東京国〇博物館に滑り込んだ。西住みほは車から降りると……博物館がやけに静かな事に気が付いた。

 

 ……もしかして、村田さんとマクレーさんは死んだかも……

 

嫌な考えが脳裏をよぎる。

 西住みほは……目の前にある、見事な帝冠様式の『東京国〇博物館本館』へ走った。

 

 

 

 本館へ入ると、中は静かだった。まるで中には誰もいないような……

 

 ……なんだろう、これ。

 

やけに床がキラキラと光り輝いているために疑問が生じた。西住みほは床に顔を近づけて観察すると……細かなガラス片があたり一面にバラまかれていた。

 

 ……なんでガラス片が……

 

  ダァン!!キーン!!

 

上の階でエレベーターの音が聞こえた。西住みほはその音の元へ走って向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(英語)はぁ、はぁ……なんでこんな目に……」

「(英語)チクショウ!!おっさんがいるといつもこうだ!!」

 

俺達は返り血を浴び、ボロボロの体で何とかエレベーターから這い出てきた。

 すると、ジョニー・マクレー(おっさん)は死んだ敵達の所持品をあさり始めた。何か証拠品や敵につながる物を探しているのだろう。

 

  カツッ…カツッ…カツッ……

 

 ジョニー・マクレー(おっさん)が所持品をあさり始めた時、階段から足音が聞こえた。

 

 ……もしかして、残党か?

 

俺はため息をつきながら銃剣をしまい、代わりに14年式拳銃を取り出した。

 

「おっさん、行ってくる。」

「……あぁ。気をつけろよ?」

「分かってらぁ……」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)は敵の所持品の確認で忙しい。それに、俺は敵の所持品から情報を得るなんてことはできない。そのため、俺が残った敵の対処に行くのは必然だろう。

 

 ……軍じゃなくて警察に入るべきだったかな。

 

俺は足音を消し、そう思いながら音がする方へ移動した。

 

 

 

 

 

  カツッ…カツッ…カツッ……

 

敵が至近距離に来た時……俺は14年式拳銃を構えて、敵の前に出た。

 

「動くな!!両手を上げろ!!」

「え!?……待って!!待ってください!!」

 

 靴音の主は西住さんだったらしい。西住さんは慌てて両手を上げ、無抵抗の意思を俺に伝える。

 俺は西住さんだと確認すると、14年式の銃口を天井へ向けた。

 

「……お、驚かすなよ。」

 

俺は14年式をしまいながら……ホッと胸をなでおろした。

 

「……って村田さん!?その血は!?」

 

すると、西住さんは俺が血まみれな事に気が付いたらしい。彼女は慌てて俺に近寄ってきてその部分に触れようと……

 

「大丈夫、ただの返り血だ。……手が汚れるぞ」

 

俺は西住さんの手を払いのけ、ハンカチを取り出して血をぬぐう。

 

「な、何があったんですか!?」

「あっちにおっさんがいる。その場を見ればわかるさ。」

 

俺はそう言ってジョニー・マクレー(おっさん)を指さした。西住さんがその方向へ走って向かうのを確認すると、俺は近くのベンチに倒れこんだ。

 

 ……あぁ~、血が足りねぇ。

 

俺はボーっとする頭を押さえた。

 今はアドレナリンやら脳内麻薬やらで痛覚がマヒしているが……あちこち被弾し、多数の打撲を受け、血を流し過ぎた体はもう限界だ。

 

「え!?これ……し、死んでる!?」

「(英語)あぁ、そうだ。……おい、嬢ちゃん。これはなんだ?」

「……『入港証』?」

「(英語)なんだって?……まぁ良い。目的は復讐じゃない、盗みだ。さっきのトラック達に乗せたんだろう。追いかけるぞ!!」

「わ、分かりました!!」

 

奥でジョニー・マクレー(おっさん)と西住さんの話が聞こえてくる。

 

 ……はぁ、あのトラックの車列を追いかける必要があるな。こんなところで寝てる場合じゃない。

 

俺は重い腕で自分の頬を二回叩き、強制的に意識を覚醒させる。

 

 ……これじゃ足りないな。

 

俺は‘‘四次元倉庫’’からラム酒を取り出し、それを傷口にぶっかけた。

 

「ぐ……ウァ……」

 

痛みで脳が刺激され、さらに意識がはっきりする。

 

 ……あぁ、クソッ!!今日はなんて日だ。

 

俺はため息を吐きながら立ち上がった。

 

「(英語)坊主、さっさと行くぞ」

「(英語)あぁ、分かってるよ。」

 

重い体を動かし、ボロ車(ビュート)へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「劉先生、‘‘サイモン’’が例の物と人を確保したそうです。」

「よし……腹ごしらえもすんだ。そろそろ調布へ向かうか。」

 

劉翔武御一行は東京のラーメン屋にいた。

 そのラーメン店は狭くて汚いのだが、知る人ぞ知る有名店だ。そのラーメン店に劉翔武と司馬鵬、そしてサングラスに黒スーツ数人がラーメンを啜っている光景は……完全にコントだった。

 

「あの……劉先生?こんなところでラーメンを食べててもいいのですか?」

 

司馬鵬はそう言いながらも……美味そうにラーメンを啜る。

 東京は……敵の懐の中。警察・軍・武偵が慌てて爆弾探しをしているが、それでも襲撃の危険性はある。

 

「日本では‘‘腹が減っては戦が出来ぬ’’と言うらしい。何をやるにもまずは‘‘腹ごしらえ’’だ。せっかく日本に来たのだ。日式拉麺(日本のラーメン)でも食っていこうじゃないか。」

 

劉翔武はそう言った後、美味そうにラーメンのスープを飲み干した。そして『食った食った』とばかりにティッシュで口元を拭き、爪楊枝を咥えた。

 

「司馬鵬、お前は鏡高組本部へ行け。諸葛静幻が心配だろう?」

「……しかし。」

 

 そして、劉翔武は雰囲気を変えて司馬鵬へ言い放った。

 

 

 司馬鵬は『諸葛静幻に拾われた過去』があった。そのため、司馬鵬は遠山キンジと戦う諸葛静幻のもとに向かいたかったのだが……『劉翔武の護衛』が今回の任務であったため、向かう事が出来なかったのだ。

 

 

 

「いい、調布飛行場まで襲撃があるとは思えん。それに諸葛の方へ向かいたいだろう?……ただし、飛行機が出るまでには戻れ。」

「……分かりました。」

 

司馬鵬はラーメンのスープ一滴も残さず完食すると、走って店を出ていった。

 劉翔武は『若いっていいなぁ』と思いながらその背中を見送った後、財布を探し始めが……見つからない。

 

「お、おい。お前たち財布は知らないか?」

「財布なら司馬鵬様が管理しているはずですが……。」

 

サングラス黒スーツの一人が『何を言っているんだ』とばかりに不思議そうに答えた。

 

「……お、お前たちの中で財布を持っている者は?」

 

その言葉に……全員が首を横に振った。劉翔武は冷汗をかき始めた。

 

「し、司馬鵬を呼び戻せ!!早く!!」

 

 

 

 

 1時間後、財布を返しに来た司馬鵬が戻るまで‘‘劉翔武御一行’’は店で皿洗いをやっていた。

 そのせいで軍に‘‘劉翔武’’の居場所がバレてしまったのだが……それを ‘‘劉翔武御一行’’はまだ知らない。

 

 

 

 

 




 愛里寿ちゃんとは『閑話:高校生活2学期編 BOKO HARD 2.5』でイブキと一緒にテロリストと戦って(?)います。

 西住みほ……今日一日で何度も修羅場をくぐったため、結構アグレッシブになっています。そのせいで『ガールズ&パンツァー』に結構響いてくるのですが……その事は閑話で。


 スピードと移動速度の違い……簡単に言うとA→Bまで行くとき、時速100キロ以上で移動しても、蛇行運転や遠回りをすれば到着までの時間は遅くなります。
  スピード=時速100キロ以上
  移動速度=A→Bまでの時間
 厳密には違いますが、こういう考えと思って下さい。


スミソニアン博物館は……ヤバいです。マジヤバい。
 国立航空宇宙博物館本館、国立アメリカ歴史博物館、国立アメリカ・インディアン博物館、国立自然史博物館に行った事がありますが……あれは日本じゃ無理です。膨大な敷地・膨大な物品・膨大な資金が無いとあんなもの建てられません。しかも入館料はタダ……(ただし、危険物持ち込みのチェックはある)。
 一回は行ってみてください。人生観が変わります。


 ジョーカー……切り札であり、番狂わせのカード。それが二枚ダメになる……。要はジョニー・マクレーと村田イブキの事です。



 Next Ibuki's HINT!! 「勝鬨橋」 


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