少年士官と緋弾のアリア   作:関東の酒飲

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 遅れて申し訳ございません……何とか書き上げました。試験中でストックを作れなかった&帰省のコンボを受けてまともに書けませんでした。

 次話も遅れそうな気がしますが……何とか早急に投稿できるように頑張ります。




 炎天下の中、洗車ってきついんですよ?昼頃に来て、洗車&車内清掃(メチャクチャ汚い)を2時間でやれとか……それが毎日3台。もうヤダ……


Die Hard3 in Tokyo  高鏡組壊滅……

 遠山キンジは東池袋高校でできた友人を高鏡組に人質に取られ、その友人を奪還すべく高鏡組本部へ単身殴り込んだ。

 そのキンジを尾行していたGⅢとかなめに合流してその友人達を助け出し、3人は本部の大きな庭で鏡高組の幹部たちと相対(あいたい)した。

 

「やっと連れましたか。遠山キンジ君ですね?あなたも鏡高菊代(姐さん)と一緒に香港のマフィアに売られることになっていますので……大人しく投稿してもらえませんか?もちろん、キンジ君以外の二人も」

 

東大卒の幹部がメガネの位置を直しながら言うと……30~40人組員達がキンジ達を取り囲み、自動小銃(アサルトライフル)の銃口を向けた。

 

「そーゆー事だからキーンジくぅーん、結構いい金になるんだよ?香港でヨロシクやってよ。奴隷の鏡高菊代(姐さん)と仲良くさぁ~?」

 

ホスト風の幹部は汚らしくピアスが付いた舌で口元をなめ、大型のリボルバーをちらつかせる。

 キンジは冷汗をかき始めた。今は丸腰の状態であり、しかもHSS(ヒステリア・モード)でもない。敵は素人ばかりとは言え大量にいる。GⅢやかなめが居ても、無傷では済まないだろう。

 

 

 

「あなたが遠山キンジさんですか。なるほど……HSSになる前でも、一般兵以上の働きをしてくれそうですね。諸葛先生」

 

 その時、鏡高組の家屋の屋根から声が聞こえた。キンジは ‘‘HSS’’という言葉にギョッとしながらその方向を向いた。

 屋根の上には諸葛静幻・曹操(ココ)(メガネをかけているため末っ子か?)、そして‘‘老け顔の男’’と‘‘名古屋武偵高校の制服を着た少女’’がいた。

 

「再会を心よりお(よろこ)び申し上げます。遠山キンジさん、ジーサードさん」

 

諸葛静幻は張り付けた笑顔でそう言いながらお辞儀をした。

 

 ……クソッどうすればいい?

 

 曹操(ココ)(メガネ)や諸葛正弦はともかく……初見の二人、‘‘老け顔の男’’・‘‘名古屋武偵高校の制服を着た少女’’はHSSでなくても強者という事が分かった。

 ‘‘老け顔の男’’は厳しい訓練によって研ぎ澄まされた軍人の様な気配を感じ、‘‘名古屋武偵高校の制服を着た少女’’はブラドの様なバケモノの気配を感じる。

 

「へっ……その‘‘ガキ’’と‘‘老け顔’’が藍幇(ランパン)の代表か。極東戦役(FEW)の」

 

GⅢは威嚇の様な鋭い眼で二人を睨む。ジーサードも注目すべきはこの二人だという事に気が付いたらしい。

 本来、裏で行われている国際的な抗争である極東戦役(FEW)は大きな被害を出さないようにするため、互いに何人かの代表だけで戦うのがルールだ(なお、藍幇はそのルールを破り、東京でテロを起こしているが)。

 

 

 

 

「えぇ……。そうなのd……」

「バカキンジィイイイイ!!」

 

小さい声ながらもよく響くアニメ声が静幻の声をかき消した。

 

 ……アリア!!

 

 キンジは声が聞こえてきた方向を見ると、アリアが平賀さんによって作り直した『ホバー・スカート』と言う飛翔ユニットで飛んできたのを確認した。アリアにキンジ、GⅢ、かなめの4人ならば、何とかこの場を乗り越えることができそうだ。

 

「やはり来ましたか……。(ほう)?」

「すでに準備してあります。」

 

諸葛静幻に‘‘(ほう)’’と呼ばれた‘‘老け顔の男’’はまだ空の上に居るアリアに『筒』を向けた。

 

 ……す、携帯式地対空ミサイル(スティンガー)!?

 

 ‘‘老け顔の男’’が持っていたものは、『FIM-92 スティンガー』だった。それは低空を飛行するヘリコプター・対地攻撃機はもちろん、低空飛行中の戦闘機・輸送機・巡航ミサイルなどにも対応できるよう設計されている。そんなものが(平賀さんには悪いが)ちっぽけな飛翔ユニット『ホバー・スカート』に当たったら、アリアは……

 

「アリア!!避けろ!!!」

 

  バシュッ……

 

キンジは自分でも驚くぐらいの大声を上げた。それと同時に‘‘老け顔の男’’が引き金を引き、筒から火炎が噴き出る。

 『ホバー・スカート』はレーダーを感知したのか、フレアを発射するが……ミサイルはアリアに向かって一直線に飛んでいく。

 

  チュドーーーン!!

 

 

 

 

「アリアーーーー!!!」

 

『ホバー・スカート』は大爆発を起こし、破片が宙を舞う。アリアの生存は絶望的に思えた。

 

「馬鹿キンジ!!会いたかったわよ!!」

 

しかし、それでもアリアの声が聞こえる。キンジは声が聞こえた方向を向くと……ピンク色の何かが空から落ちてくる。あれは……アリアだ!!

 アリアはキンジへ向かって落ちてきた。キンジはそれを受け止めようとし……

 

  ドシュッ!!

 

「へブッ!!」

 

失敗した。その結果、キンジはアリアのスカートの中に頭を突っ込む形で地面に倒れた。

 

「……って馬鹿キンジ!!何してんのよ!!変態!!死ね!!か、風穴!!風穴流星群!!!」

「…………アリア?久しぶりの君とのダンスも楽しいけど、今はちょっと部外者が多いかな。」

 

アリアは地団駄を踏むようにキンジを蹴ろうとするが、HSSになったキンジはスルスルと避けて立ち上がり、アリアの手を取ってキスをした。

 

「ッ~~~~!!」

 

アリアはまるで赤鬼の様にその白い肌が真っ赤になる。キンジはその真っ赤なお姫様(アリア)を見てキザっぽく笑った。

 

「……流石に俺も兄貴ほどキザにならねぇよ。」

「うわぁ……やっぱり‘‘イブキにぃ’’方がいいや……」

 

遠山家次男(キンジ)の行いに三男(GⅢ)長女(かなめ)がドン引きしているのだが……キンジは無視する。

 

「……ん?」

 

HSSになったキンジは高鏡組の屋敷の柱に違和感を覚えた。よく凝らしてみてみると……柱に何かが埋められ、隠蔽された形跡がある。その事を意識して周りを見ると、そんな形跡が至る所に、家屋だけではなく壁や(へい)にすらある。

 

……良く隠蔽されているが、隠蔽部分が若干明るい。ごく最近にやったものだ。しかし、あの中には何が埋まっている?

 

「投降はしてくれない様ですね。お前ら、やれ」

 

東大卒の高鏡組幹部が命令を下し、チンピラの兵士たちは引金を引いた。

 

  チュドーーーン!!

 

その瞬間、爆音が響き渡った。高鏡組本部は爆炎と爆風、そして破片が飛び交い、家屋や(へい)が瓦礫に変わった。

 

 

 

 

 

 

 HS部隊第一中隊の藤原少佐とその部下数名、そして第二中隊の田中曹長は高鏡組本部が良く観察できるビルの一角に陣取り、爆破の様子を観測していた。

 

「爆破確認……昨日の夜、短時間の突貫工事で細工した割には、うまく行ったな。なぁ、少佐殿?」

「本当に助かりました。ありがとう、田中曹長。」

 

 昨日、第二中隊の田中曹長はテレビ電話で‘‘苦々しい顔をした’’第二中隊中隊長:辻大佐から命令を受け、藤原少佐の指示のもとに高鏡組本部へ密かに爆弾を仕掛けたのだった。

 

「……でもなんであんなことを?テロを日本にいれた諜報人だからって、幹部達(その証拠)ごと爆破ですか?」

「僕だって鈴木大佐と瀬島中佐からの命令に従っただけですよ?田中曹長だって辻大佐の命令を受けて、その裏にある物は理解していないでしょう?それと一緒ですよ」

 

 藤原少佐はそう言って双眼鏡をしまいながら立ち上がり、今時珍しい電鍵(モールス信号を打電する時に使うあれ)を組み立て始めた。

 

「佐官でそれはマズいでしょうに。」

「勘弁してくださいよ。あんな謀略に能力を振りまくった上司について行くのでやっとなんですから。」

 

藤原少佐は電鍵を操作し、『高鏡組(タカ) 爆破(フンカ)』と3回打ち込んだ。

 

 ……こんな重大な事、下士官兵どころか尉官にだって言えない。

 

藤原少佐は操作を終えた電鍵をしまっている時、頭痛を覚えた。この事件の重大性を思い出したからだ。

 

 

 

 

 今回の『東京でのテロ』はテロリスト(‘‘サイモンとその仲間)と藍幇(ランパン)・高鏡組だけではなく、政治家・官僚・警察・軍部の一部も関与していた証拠が数日前に見つかったのだ。そのため、2日前に軍部はすでに憲兵隊・近衛師団を使って関与した軍人を一掃していた。

 そして、今後国内で主導権を得るため、その‘‘証拠’’を改竄(かいざん)し(軍部は関与していないと改竄(かいざん))、政治家・官僚・警察を脅す(一部は‘‘見せしめ’’のため暴露するが)という事を考えていた。(その改竄(かいざん)がバレないようにするため、高鏡組本部を爆破)

 警察庁長官はすでに‘‘不倫疑惑&強制わいせつ罪’’で記者会見を開いており(『Die Hard3 in Tokyo  爆風は避けられない……』より)、それに加えて一部の警察官がテロに関与していたと暴露されれば……警察の威信は一気に低下する。

 よって相対的に軍の信用・権力に上がり、日本が極東戦役(FEW)やその後の抗争でも優位に立てると考えていた。

 

 

 

 そんな重要な事を藤原少佐は軽々と話すことはできなかった。藤原少佐はため息をついた後、シガリロを取り出して火をつけた。

 

「……少佐殿、もう少し腹芸を学んだ方がいいと思いますよ。」

「忠告ありがとうございます。もっと精進しなくちゃなぁ」

 

田中曹長は藤原少佐の表情・態度で何か悟ったのだろう。ヤレヤレと肩をすくみながら忠告し、荷物をまとめる。

 

 ……『東京〇立博物館の宝物』は任せたぞ、村田。

 

藤原少佐はそう思いながら紫煙を吐き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺達は元(?)高鏡組組長:高鏡菊代の案内により、武藤が運転するボロ車(ビュート)で高鏡組本部へ向かっていた。

 

「おい武藤!!もっと飛ばせ!!車輛科(ロジ)だろ!?俺が運転するよりもだいぶ遅いぞ!!」

 

俺は運転席を2~3回蹴り、運転手の武藤を急かす。

 

「(英語)おい!!ババアの運転の方がまだ早いぞ!?」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)も苛立たし気に、タバコをふかしながら運転席を足で小突く。

 

「うるせぇなぁ!!!重い大人が二人も増えてるんだぞ!!スピードが出ないなんて当たり前だろ!?」

 

武藤は怒鳴りながら110~120キロのスピードしか出ないボロ車(ビュート)のハンドルをさらに強く握る。

 

 ……それを考慮したとしても、だいぶ遅いんだよなぁ。

 

勝鬨橋を飛んだ時は速度計の針が千切れるぐらいの速度が出たのに、今は110~120キロ程度しか出ないのはおかしい。おそらく、前話で武藤が悪口を言ったせいでボロ車(ビュート)がまだ少し拗ねているのだろう。

 

「何?アタシが重いって事?」

 

  チャキッ……

 

助手席に座る高鏡菊代はテロリストから奪った短機関銃(サブマシンガン)の銃口を武藤の側頭部に向け、殺気を込めて言った。

 

「ち、違います!!俺が、俺が人よりも重いせいです!!スイマセン!!」

 

武藤は隣から殺気をもろに受けるせいで涙目になりながら謝る。

 

 ……流石は元ヤクザ組長。その美貌で睨むことにより、ただでさえ恐ろしい殺気が何倍にも大きく感じる。……辻・神城・鬼塚(バケモノ上司三人組)ほどじゃないけど。

 

「無駄口叩かないでサッサと目的地まで移動してください。本当に車両科(ロジ)何ですか?」

「す、スイマセン!!!!」

 

後部座席にいる西住さんにも怒られ、武藤は必死になって車を運転する。

 バックミラーに武藤の顔がチラリと見えたのだが、彼の目から溢れ出る汗は見間違い……だと思いたい。

 

「やったな武藤!!ある意味女の子にモテモテだぜ!!」

「俺は‘‘白雪さん’’や‘‘千聖ちゃん’’のような‘‘お(しと)やかな子’’がいいんだよぉおお!!」

 

 ……二人とも『腹黒』だってことは教えなくていいか。

 

俺の軽口に反応し、車内に武藤の慟哭(どうこく)が響き渡る。

 

「アタシは‘‘お(しと)やか’’じゃないって?(チャキッ)」

「『口じゃなくて手を動かせ』って言ってるんですよ?(ゲシッ)」

 

 ……ゴメン、武藤。今回ばかりは振った俺が悪い。

 

俺は心の中で武藤に謝った時、前方で巨大な爆炎が上がり、轟音がビリビリと車に伝わった。

 

 

 

「おい!!あの方向って!!」

 

俺は思わず叫んだ。あの爆炎が起こった方向には……俺達が今向かっている『高鏡組本部』があるのだ。

 

「もしかして中国の先生方とキンジが……おい!!もっと飛ばせ!!」

 

高鏡菊代は武藤(運転手)の頬に短機関銃(サブマシンガン)の銃口をグリグリさせ、焦る心を無理やり押さえつけている様だった。

 

「分かってるから銃を向けないでくれ!!……お願いだから、機嫌を直してくれ。スピードをもっと上げてくれよ……

 

武藤の謝罪が届いたのか、ボロ車(ビュート)はゆっくりと加速を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……大丈夫かい?お姫様?」

 

爆発による破片が降り止んだことを確認し、キンジは胸の中にいるアリアに話しかけた。

 

「……ッ!!……ッ!!ッ~~~!!」

 

キンジに抱きしめれていたアリアの肌は‘‘赤鬼の如く’’真っ赤になっていた。そして言葉にならない声を上げながら、力が入っていない(こぶし)でキンジを叩く。

 キンジはそんなアリアを見て苦笑した後、彼女を抱えながら立ち上がった。

 

「……何が起こった?」

「うわぁ……先端科学兵器(ノイエ・エンジェ)が壊れるぐらいの爆発って……」

 

  ブォオオオオオン!!!

 

GⅢとかなめは先端科学兵器(ノイエ・エンジェ)である『天女(てんにょ)の羽衣』の様な布で爆風や破片を防いだようだが……その布がボロボロになっている。

 

「先生!?大丈夫ですか!?諸葛先生!!」

「う……あ……。ほ、(ほう)、私の事はいい。それよりも早く(遠山キンジ)を……早く……」

「しかし!!」

 

  ブォオオオオオン!!!

 

藍幇(ランパン)の諸葛静幻は瓦礫(がれき)の下敷きになっていた。その瓦礫(がれき)司馬鵬(老け顔)は必死になってどかし、助け出そうとしていた。

 

(ほう)!!大局を見失うな!!」

 

諸葛静幻はその体と風格に似合わない大声を出した。司馬鵬(しばほう)は苦々しい顔をした後、諸葛静幻に背を向けてモーゼルM712を取り出した。

 

「…………分かりました。(こう)、準備しろ。」

「……(シイ)

 

司馬鵬(老け顔)の言葉に、(こう)と呼ばれた‘‘名古屋武偵高校の制服を着た少女’’は頷いた。そして(こう)の頭に金色の粒子が集まって周りだし、‘‘天使の輪’’の様な物を形成していく。

 

藍幇(ランパン)秘蔵の必殺技がやっとお目見えか!!」

 

GⅢは不敵な笑顔を浮かべながら‘‘ビームサーベル’’の様な物を抜刀し、(こう)へ一気に近づいた。

 

「待て!!サード!!」

 

キンジはとても嫌な予感がし、叫んだ。(こう)の‘‘天使の輪’’は高速回転し、目が赤く光る。

 

  ブォオオオオオン!!!ベキャ!!!

 

その時、100キロ以上出ている一台のボロ車(ビュート)がいきなり飛び出てきて、空中で(こう)司馬鵬(しばほう)・GⅢにぶつかった。

 

「「「ガハッ……!!」」」

「「くらえぇえええ!!」」

 

  ダダダダ!!!

 

 そのボロ車(ビュート)からイブキと高鏡菊代は上半身を出し、ギャグマンガの様に宙へ吹っ飛ぶ3人へ銃弾をばらまく。

 

「……は?」

 

キンジはまるでコントの様なバカバカしい光景に唖然とした。

 

「……何やってるのよ、アイツ。」

「さっすがイブキにぃ!!かっこいい~!!」

 

 アリアは呆れて、かなめはイブキへ称賛を送る。

 

 ……コイツ、だいぶイブキに毒されてるな。

 

キンジは思わずため息をついた。

 

 

 

 キンジが呆然としている間にも、事態はさらに急変する。

 ボロ車(ビュート)は3人を()き、そしてスピードを保ったまま『瓦礫で下敷きになっている諸葛静幻』向かって突進した。

 

「……これが、これが天命ですか。」

 

 さっきまで必死に瓦礫をどかそうとしていた諸葛静幻だが、死期を悟ったのだろう。今は穏やかな顔をしたまま固まっている。

 

  ブォオオオオオン!!!

 

ボロ車(ビュート)は諸葛静幻をあっさりと()いた。ボロ車(ビュート)の運転席には、涙を浮かべながら運転をする武藤が見えた。

 

  キキッーーー!!!

 

敵味方問わず攻撃したボロ車(ビュート)がやっと止まり、武藤・イブキ・高鏡菊代、そして‘‘スキンヘッドの大男の白人’’と‘‘茶髪ボブカットの軍服風学生服を着た少女’’がその車から降りてきた。

 

 ……ッ!?

 

その時、キンジの横で並々ならぬ殺気を感じた。キンジは思わず殺気のもとに振り向いた。

 

「へぇ~……イブキにぃ、また女作ったんだぁ。義妹(いもうと)がいるのに。へぇ~……」

 

どうも、かなめが嫉妬に駆られて殺気を漏らしていたらしい。

 

 ……イブキも苦労しているんだな。

 

キンジはため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 武藤の運転するボロ車(ビュート)が敵(味方もいたような気がするが)を轢き、やっと止まった。

 

「おい!!お前の言う通り轢いちまったけど大丈夫なのか!?俺あと(運転免許の点数が)1点しか残ってないんだぞ!?」

「安心しろ武藤!!轢いたのは敵だし、敷地内だ!!せいぜい殺人罪くらいだから(運転免許の)点数には関係ねぇ!!」

「いや!!!それはそれでマズいだろ!?武偵法で殺人禁止だから!!」

 

 武藤はギャンギャン叫んでいるのを無視し、俺はボロ車(ビュート)から出た。

 

 ……もし死人が出ていれば俺が運転していたことにするさ。一応この事件限定で殺人許可証(マーダーライセンス)は持っているからな。

 

だが、今の武藤の反応が面白いため、そのことはあえて伝えない。

 

 

 

 さて、ボロ車(ビュート)から降りると……さっき轢いた、‘‘司馬鵬(老け顔)’’と‘‘名古屋武偵高校の制服を着た少女’’がヨロヨロと立ち上がり、武器を構えていた。

 

「貴様が……村田イブキ!!お前が不死の英霊(イモータルスピリット)か。」

 

‘‘司馬鵬(老け顔)’’はそう大声を上げながら、まるで親の仇の様に俺を睨んできた。

 

「あぁ、そうだ。……お前が司馬鵬(しばほう)か。写真でも見たが、そうとう老けてやがるな。」

「余計なお世話だ。……お前は曹操(ココ)姉妹を(たぶ)らかせ、そして藍幇(ランパン)の今後の進退に関わる。(こう)(遠山キンジ)よりも不死の英霊(村田イブキ)を狙え。」

 

司馬鵬(老け顔)はそう言って、今時珍しいモーゼルC96系の拳銃を取り出し、‘‘馬賊撃ち’’の様に、横に向けて構えた。その横で‘‘名古屋武偵高校の制服を着た少女’’の頭に金冠が出来始める。

 

「いや……曹操(ココ)の件、俺は悪くないと思うんだが……」

 

 曹操(ココ)四姉妹のうち、二人が変態(ドM)になって俺に懐いたのだが……その件で俺は関係ないはずだ(詳細は‘‘高校生活2学期編’’参照)。

 

 ……まぁ良い。ここには東京国立〇物館の宝物は無いはずだ。なら……こいつらを早急に倒して、場所を白状させるだけだ。

 

 俺は38式歩兵銃を取り出し、銃剣をつけたと同時に……声が聞こえた。

 

「はっはっはっはっは!!あーはっはっは!!君達!!この私が来たからにはもう安心だ!!

「誰だ!!」

 

 司馬鵬(しばほう)(こう)が向いた先には……コートを着た変態がいた。

 

「股間のもっこり伊達じゃない。陸に事件が起こった時、海パン一つですべて解決!!特殊刑事課三羽烏最後の一人、『海パン刑事(デカ)』再び参上!!」

 

‘‘海パン刑事(デカ)’’は口上を述べた後、コート脱いで投げ捨てた。もちろん‘‘海パン刑事(デカ)’’が下に着ていたのは海パンだけだ(作中では現在12月)。

 

 ……なんでまた登場するんだよ!!!

 

俺は頭痛を覚え、アスピリンの錠剤を取り出し、それを飲んだ。

 

「嘘でしょ!?検挙率100%の‘‘海パン刑事(デカ)’’!?」←アリア

「‘‘特殊刑事課’’の噂は聞いていたけど……本当にあったなんて!?」←高鏡菊代

「クソッ!!特殊刑事課は想定外だ!!これは逃げるしかない……」←司馬鵬(しばほう)

 

敵味方問わず‘‘海パン刑事(デカ)’’の登場にドン引きしていたのだが…‥上記の三人は‘‘海パン刑事(変態)’’の実力を知っているため、その男を警戒する。

 

 

 

 

 

「……想定以上の戦力だ。(こう)、撤退だ。」

「……(シイ)

 

司馬鵬(しばほう)は撤退の命令を出し、ポケットから煙幕弾を取り出したが……その命令はすでに遅かった。

 

  ダァン!!

 

「グッ……!?」

 

 ‘‘海パン刑事(変態)’’の‘‘早撃ち’’によって煙幕弾が司馬鵬(しばほう)の手から離れた後、俺達の目の前で海パン(ほぼ唯一の衣服)を脱いだ。

 

「「「「「「……」」」」」」

 

 海パンを脱ぎ終わり、フルチンになった海パン刑事(変態)は、急いで逃げだす司馬鵬(しばほう)と‘‘名古屋武偵高校の制服を着た少女’’に向かって走り出した。

 

「ゴールデンクラッシュ!!」

「「ぎゃぁあああああ!!!」」

 

そして海パン刑事(変態)は走り高跳びの要領で宙に飛び、股間から司馬鵬(しばほう)と‘‘名古屋武偵高校の制服を着た少女’’に突撃した。

 

 ……これはR18 にはならないはず。地上波のアニメでもこのシーンはあったし、ハーメルンさんも許してくれる……よな?

 

醜い逮捕現場に、俺は思わず顔をそむけた。

 

 

 

 

 海パン刑事(変態)は二人を簡単に倒した後、瓦礫に挟まって動けない諸葛静幻(瀕死)へゆっくりと歩いていく。

 

「待ちなさい!!いや、待って!!や、やめろぉおおおおお!!!……ぎゃぁあああ!!!」

 

海パン刑事(変態)はあまりの恐怖にキャラ崩壊した諸葛静幻の顔面に突撃し、無力化した。

 

「「「「「「……」」」」」」

「オェッ!!オロロロロ……」

 

海パン刑事(変態)が検挙率100%の理由』を知って俺達がドン引きしている中……キンジは顔を真っ青にして吐いていた。

 

 ……ん?どうかしたのか?

 

顔色が‘‘真っ青’’から‘‘真っ白’’に変化しても気持ち悪そうに吐いているキンジを観察してみると……さっきまで‘‘HSS’’だったキンジはすでにその状態が解け、いつもの『ノーマルキンジ(?)』の状態で吐いている。

 

 

 そう言えば、HSS(ヒステリア・サヴァン・シンドローム)は思考力・判断力・反射神経・視力・聴力などが通常の30倍にまで向上するそうだ(この前調べた)。という事は海パン刑事(変態)による逮捕の瞬間(大惨事)も、単純計算で一般人の30倍も詳しく・細かく認識されるというで……

 

 

「ゴホッ!!オェッ!!」

「キンジ!!大丈夫!?」

 

 弱り切ったキンジの背をアリアが(さす)る。このままではキンジは戦力にならないだろう。

 俺は思わずキンジに合掌した。

 

 

 

 

 

 

 キンジに合掌した後、俺はジョニー・マクレー(おっさん)・西住さんと合流し、一緒に司馬鵬(しばほう)(こう)を縛り上げ、所持品のチェックをしていた。

 

「(英語)……偽造パスポートに国際運転免許証(IDP)・スマホ、それに現金と弾薬だけだ。」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)司馬鵬(しばほう)のポケットから取り出した物を地面に放っていった。

 

「こっちなんて所持品一つもありませんよ」

 

西住さんは(こう)の衣服のポケットを裏っ返した後、ため息をついていた。

 

「……しょうがない。無理にでも聞き出すしかないか。」

 

俺は‘‘四次元倉庫’’から水の入ったペットボトルを取り出した。すると、ジョニー・マクレー(おっさん)司馬鵬(しばほう)の鼻をつまみ、口を開けさせた。俺はその司馬鵬(しばほう)の口に向かって水を注ぎ入れた。

 

「……グゴゴゴ!!ゴホッ!!ゲホッ!!」

 

司馬鵬(しばほう)は気道を塞がれたため、咳き込みながら強制的に起こされた。

 俺はそれを確認すると、14年式拳銃を抜いて司馬鵬(しばほう)の額に突きつける。

 

「おい、単刀直入に聞く。司馬鵬(老け顔)、博物館から盗んだ物は何処にやった。」

「ゲホッ、ゴホッ!!…………言うと思うか?」

 

 ……こいつは面倒だ。

 

司馬鵬(しばほう)は覚悟を決めた、キリっとした顔つきをしていた。こういう奴は並みの拷問(尋問)では口を割らないことが多い。

 一応、えげつない(ちょっと強めの)拷問(尋問)方法もあると言えばあるのだが……ジョニー・マクレー(おっさん)はともかく、武偵や民間人の前でやるのは色々と問題がある。

 

 ……でも、今は手段を選んでいる場合じゃないか。

 

 俺は司馬鵬(しばほう)の膝に狙いを定め、引き金を引こうとし……

 

「……村田さん。少し待って居てください。」

 

西住さんに止められた。

 

 

 

 西住さんは海パン刑事(変態)のところへ行って少し話をした後、諸葛静幻を担いだ海パン刑事(変態)(ともな)って戻ってきた。

 

「西住少女、ここでいいか?」

「えぇ、ここに置いてください」

 

海パン刑事(変態)は西住さんの指示のもと、司馬鵬(しばほう)の目の前に気絶している諸葛静幻を投げ捨てた。

 

司馬鵬(しばほう)さん、私が3つ数えるうちに『博物館の展示品』をどこに輸送しているのか教えてください。」

 

西住さんは司馬鵬(しばほう)にそう言うと、俺が貸した44式騎兵銃の銃口を諸葛静幻に向けた。

 

「い~ち」

 

  タァン!!

 

「「「「「ちょっと待って!!!2と3は!?」」」」」

 

西住さんは‘‘1’’を数え終わる前に諸葛静幻へ発砲した。弾は静幻の顔の右横5センチぐらいのところに着弾する。

 その行いに司馬鵬(しばほう)を含めた俺達全員が思わず突っ込んだ。

 

「今は時間が無いんです。条件が刻一刻と変わるのは当たり前ですよね?……それにこんな言葉を知っていますか?『1発だけなら誤射かもしれない』って」

 

西住さんは素朴で可愛い、今日一番の笑顔を浮かべて言った。(しかし、その可愛い笑顔は泥と血で汚れていたが)

 

「「「「「………」」」」」

 

俺達がドン引きしている間に、西住さんは44式騎兵銃の遊底(ボルト)を操作して再装填(リロード)を済ませる。

 

「に~い」

 

  タァン!!

 

弾はさらに諸葛静幻から近いところに着弾した。西住さんは再び遊底(ボルト)を操作し、今度は諸葛静幻の額に銃口を向けた。

 

「さ~……」

「調布だ!!調布飛行場!!そこにある輸送機から南沙諸島の‘‘ファイアリー・クロス礁’’の飛行場へ行った後、(中国)本土へ向かう!!」

「……ッチ」

 

司馬鵬(しばほう)が自白すると、西住さんはその笑顔のまま銃を下ろした。その時に聞こえた舌打ちは聞き間違いに違いない……はず。

 

「‘‘調布飛行場’’で間違いないですね?」

 

西住さんはその笑顔を保ったまましゃがみ、司馬鵬(しばほう)に顔を近づけて尋ねた。

 

「そうだ!!だから先生を!!諸葛先生を解放しr……」

「いえ、もちろん拘束させてもらいます。司馬鵬(しばほう)さん?もし嘘をついていたら……全員『ゴールデンクラッシュ』を再び喰らうと思っておいてください。」

「「「……(何この子、怖い……)」」」

 

西住さんはその笑顔で忠告し、俺・ジョニー・マクレー(おっさん)・武藤はこの可憐な少女の恐ろしさに思わず震えた。『綺麗な花には棘がある』とはよく言ったものだ。

 

「に、西住少女?すでに逮捕した物に『ゴールデンクラッシュ』はd……」

「嘘だったらやってくださいね?」

「は、はい!!!」

 

海パン刑事(変態)は反対しようとしたが……西住さんの笑顔(一睨み)で一蹴された。

 

 

 

 

 

「な、なぁイブキ……。あの子って民間人だよな。‘‘武偵’’とか‘‘軍人’’とか‘‘警察’’とかじゃないよな?」

「安心しろ武藤、西住さんは‘‘戦車道’’を(たしな)んでいる‘‘普通の民間人’’だ。」

「‘‘戦車道’’って……知波単学園の子達も一癖あったけどよ……」(高校生活夏休み編 ガールズ&パンツァー 畑違いなんですけど…… より)

「(英語)知らねぇのか二人とも……女ってのは怖いんだぜ?」

 

俺達がその光景を見て思わず話し込んでいた時、西住さんがいきなり首をグルっと回して俺達を見てきた。

 

「3人とも何をしているんですか?早く『調布飛行場』へ行きますよ?……武藤さん?」

「は、はい!!」

「早くエンジンを掛けてください。時間はありませんよ?」

 

  ニタァ~

 

西住さんは可憐な笑顔で、しかし目は一切笑わずに言ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 武藤は目から汗を流しながら脱兎の如くボロ車(ビュート)に飛びつき、焦りながら運転席の扉を開けてエンジンを掛ける。その時だった。

 

「ねぇイブキにぃ?あの女たちは何?」

「……!?」

 

俺の後ろでかなめの声が聞こえた。俺は後ろゆっくり振り向くと……そこにはかなめ(悪魔)が立っていた。

 

「ねぇイブキにぃ?……イブキにぃが白鷺千聖の所属する‘‘アイドルユニット’’の護衛をしていたのは知っているけど、この二人は何?」

 

 かなめが言っているのは‘‘高鏡菊代’’と‘‘西住みほ’’の事だろう。

 ついでに、高鏡菊代はかなめ(ヤンデレ)西住みほ(軍神)の気に当てられたのか……腰を抜かしてしゃがみ込み、水溜まりを作っていた。

 

「村田さん?何をしているんですか?早く‘‘調布飛行場’’へ向かいますよ?」

「おい、お前……なに‘‘イブキにぃ’’に命令してるんだよ」

 

 ……あれ?ジョニー・マクレー(おっさん)はどこ行った?

 

俺は二人を無視し、ジョニー・マクレー(おっさん)を探すと……ジョニー・マクレー(おっさん)は俺を見捨て、ボロ車(ビュート)の助手席に乗り込むところだった。

 

 ……ジョニー・マクレー(おっさん)!!俺を見捨てたな!?

 

「と、とにかく!!かなめ、説明は車内でだ!!急いで‘‘調布飛行場’’へ向かうぞ!!」

 

俺は急いでこの場を離れ、ボロ車(ビュート)の後部座席に乗り込んだ。すると、西住さんとかなめは俺を挟むように、後部座席の左右から乗り込んだ。

 

「急いで‘‘調布飛行場’’へ行くぞ!!……ざまぁ!!

「おいこの野郎!!」

 

俺は武藤の肩を掴んで揺さぶるが……武藤は笑いながらアクセルを踏んだ。

 

「イブキにぃ?……コイツ、誰?」

「村田さん……この子は?」

 

俺は思わず頭を抱えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ウァ~~~~~ッ!!!」

 

GⅢはイブキと高鏡菊代に無差別銃撃を受けた後、痛みに悶えながら転がっていたのだが……誰にも気づかれることがなかった。

 

 




 流石に戦闘ヘリ・攻撃機・低空飛行の戦闘機相手の携帯対空ミサイルに『ホバー・スカート』が耐えられないと思われます。しかし、アリアは被弾する瞬間に『ホバー・スカート』から脱出したため、ほぼ無傷で生還しています。


 Next Ibuki's HINT!! 「月光」 

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