そうして俺はこの部隊で1年を過ごした。まさか忘年会の王様ゲームで、鬼塚中尉が
「3番が、北方部隊へ島流し~。」
と言ったら、次の日、本当に北方へ送られるとは思わなかった。(その時、俺が3番だった。)そのせいで年末を家で過ごせず、家族に怒られた。
4月、キンジからメールで東京武偵高校に入学したと教えてくれた。それはめでたい、あいつはベレッタを使ってるんだっけ?俺はキンジの入学祝として9mmパラベラムを木箱で送ってやった。きっと喜ぶに違いない。
5月、かなめが家を出て行った。やりたいことがあるそうだ。きっとサードと合流するつもりなのだろう。寂しくなるな。特に可愛がっていた玉藻とネロはすごく寂しそうだった。
11月ごろ、ある事件が起こった。ニュースは
「三角諸島沖に絡み、某国外務省は緊急声明を発表しました。」
「我が国の潜水艦が領海内を潜航中、日本軍の攻撃を受け消息を絶った。国際社会の平和を乱す日本の愚劣な行為に対し、我々は厳しい対抗措置を取る用意がある。」
「某報道官は三角諸島沖を自国の領海とした上で日本を激しく批判、厳しい対抗措置とる可能性を示唆しました。」
と言っていた。これを見ていた。俺、田中さん、岩下さん、メガネさんは
「「「「ふざけるなよ!!!」」」」
「被害者面してるんじゃねぇ!!」
「不法侵入はそっちッスよ!!」
と言っていた。ニュースは続き、
「総理はこのことに対し、コメントを出しました。」
「え~事実関係は把握しておりませんが、今回の件は国の主権に関わる問題ですので、国内法に基づき粛々と・・・グー・・・」
・・・おい。
「粛々と寝やがった!!」
「現実から目を背けないでほしいッス!!!」
「・・・鬼塚中尉が見てなくてよかったですね。」
「というか、立ったままで寝られるとかすごいな。」
などとしゃべっていた。そうしたらすぐに速報が入ってきた。
「緊急速報です。某国政府は武力衝突事件の報復措置として、日本に対するレアアース輸出の全面差し止めを決定。予定された輸出分のすべてを、強制的に冷凍餃子に切り替える方針を明らかにしました。」
・・・なんで冷凍餃子?それよりも・・・
「「「「いらねぇっつーの!!」」」」
「なんで冷凍餃子なんだよ!!」
「そんなに冷凍餃子あっても冷凍庫の肥やしになるだけッス!!」
「向こうって冷凍餃子余ってるんですか?メガネさん。」
「そういう情報はないですね。イブキ君」
などと話していた。本当にこの場に鬼塚中尉、辻さん、神城さん(かなめの件で仲良くなった)、角山中隊長がいなくてよかった。絶対爆発しそうだ・・・。
ドカーーン!!この希信!!!
兵舎の一部が爆発し、爆発の中心部であろうところから騒音と妖気が出てるのは気のせいなはずだ。きっとそうだ、そうに違いない。
そして、本日は訓練がなくなり、代わりに兵舎の修復となった。
俺は起きたら海で浮かんでいた。え?どういうこと?周りには何も見えない。というか陸地も見えない・・・。俺は海パン一つと水泳帽、ゴーグルのみ・・・。は?どうして?すると近くから何かが浮かんできた。・・・それは、どう見ても手作りのタコ足を首につけた鬼塚中尉、同じく手作りのイカの足を首につけた辻さんだった。あんたら何やってるの?暇なの?
「・・・鬼塚中尉、辻さん。なにやってるんですか?」
「俺たちは、鬼塚や辻少佐じゃねぇ・・・。俺は‘‘通りすがりのタコ’’!!」
「この希信は!‘‘偶々いたイカ’’!!」
「・・・大丈夫ですか?」
「なぜこんなことをしているか、この希信が、説明しよう。今、我々、希信たちがいる場所は、三角諸島から北西に50kmの、我が国の、排他的経済水域内だ!!」
そういえば、辻さん陸軍なのに海の上で立ち泳ぎできるのか・・・。
「なんで俺がここにいるんです?」
「事前の説明は省かせてもらった、この希信が、情報の漏洩を危惧したためだ!」
「極秘の任務、ですか?一応、国内になるので第一中隊の管轄だと思うんですけど・・・。」
「「・・・・・・。」」
黙り込むってもしかして・・・。そこに違法操業中であろう漁船が通りかかった。鬼塚中尉と辻さんはその船に近寄って行った。
「なーに他人のシマで操業してんだよ!!!なめてんじゃねーぞ!!」
「我が国への侮辱行為!!!受けて立つぞ!!!キェエエエエ!!!」
そう言ったら漁船は去っていった。わかる、その気持ち・・・。タコとイカのコスプレした人たちが近寄ってきて、何言っているかわからないことを怒って言ってるんだよ。それは逃げたくなるさ・・・。
すると鬼塚中尉がこっちを振り向き、説明しだした。
「見ての通り、この海域では他国の漁船による違法操業が常態化している。このたび海保が追っ払っちゃいるが、いかんせん、いたちごっこよ。連中は三角諸島を自分の領土だと思っているからな。」
「はぁ・・・それは我が国の領土保全にかかわる問題ですね。」
そう俺が言うと、
「俺たちの海は!!!」
「俺たちが守る!!!」
そう言って、鬼塚中尉と辻さんは決めポーズを取った。あんたら元気あるなぁ・・・。
「しかし、丸腰のパンツ一丁でどうやって・・・。」
「「気合で乗り切れぇ!」」
いや・・・丸腰の3人に何ができるんだよ・・・。
「そもそも、第2中隊は海外が専門でしょう?それに特殊部隊が海上警備って・・・。」
そういうと、鬼塚中尉と辻さんは首を横に振った。
「お前は特殊部隊隊員じゃねぇ・・・。」
「イブキ少尉は、‘‘ブイ’’だ!!」
は?
「何言ってるんですか?」
そうすると・・・鬼塚中尉は俺に指をさした。
「だから、‘‘名も無きブイ‘‘と・・・」
今度は鬼塚中尉自らを指さした。
「‘‘通りすがりのタコ’’よ!」
「この希信は!‘‘偶々いたイカ’’!!」
・・・。何を言いたいんだ?
「さっきから、何を言ってるんですか?」
そうすると、鬼塚中尉と辻さんはあたりを見回した。いや・・・近くに何もねぇよ・・・。そして、鬼塚中尉はこっちに手招きし、
「おい、近くに寄れ、大きな声じゃ言えねぇんだけどよ、実は・・・。」
「出動命令出てないってどういうことですか!?まさかの独断ですか!?」
俺たち三人は漁船を追いながら話していた。
「だったらどうした!!お上の命令なんて待ってられるか!!」
「最悪、この希信が煽り、正当化すればいい!!」
「「オラ、帰れ帰れ!!!」」
これ、軍法会議クラスだよね・・・。
「いやいや、お上の弱腰な対応にいら立つのもわかりますが、それに耐えるのも軍人でしょう!?これ、バレたら軍法会議物ですよ!?」
「大丈夫!!タコとイカとブイがやったこと!!バレるはずがない!!この希信が保証しましょう!!」
「いやいやいや、政治の判断待ちましょうよ!!」
すると鬼塚中尉が
「じゃぁ何か!このまま指咥えて見てろっていうのか!?奴らがただの漁船かどうかなんてわかったもんじゃねぇんだぞ!!」
そう言うと、鬼塚中尉は急にまじめな顔をし、
「俺には政治だの、外交だのはわからねぇ。だけどよ・・・。」
「「祖国を蹂躙するが如く!!なめ腐った挑発行為は!!俺(この希信)個人に対する!!宣戦布告と判断する!!」」
「じゃぁ、俺を巻き込まないでくれませんか・・・・。」
私的な事のために俺は、こんな南方まで拉致されたのか・・・。
「ブイじゃァ!!!」
「タコじゃァ!!」
「イカだぁ!!!!!」
「べらんめぇ!!!貴様何処のもんだァ!!ケツからてぇ突っ込んで歯がたがた言わせたろか!!べらんめぇ!!!しまいにゃミンチにして餃子にして食うぞ!!この野郎!!」
色々諦めた俺は、「名も無きブイ」として、違法操業中の漁船を追い掛け回していた・・・。
「い、イブキ少尉・・・。それは言い過ぎだ・・・。流石にこの希信も引く・・・。」
え?そうでしたか?
「あらかた、追い払いましたね。」
「おう、よく頑張ったな。」
「そういえば、神城大尉はどうしてるんです?」
あの人も来そうな気がするんだけどなぁ・・・。
「あぁ、この希信が答えよう。神城大尉は今頃兵部省と総理官邸に殴り込みをかけて、我々の擁護と、違法操業中の漁船への殴り込み作戦の草案を出しに行っている。」
あぁ・・・お上にこのことバレてるのか・・・。家族とどこか遠くへ逃げようかな・・・。なるべく海外以外で・・・。
「ボウズ、お前ブイ向いてるんじゃねぇのか」
鬼塚中尉がそう言った。うれしくないんですが・・・。
「いやぁ~・・・(泣)お二人のタコとイカも見事でしたよ(お世辞)。」
「そ、そうか?」
「この希信、それはうれしい!!」
なんでそんな喜んでんだよ・・・。すると下から大きな影がゆっくりと・・・え?
「「「うわぁあああああああ!!!」」」
大きな潜水艦が浮上してきた。その潜水艦の横には「伊・U」の文字が・・・はい?
「オラオラオラァ!!潜ってんじゃねぇぞ!!!」
「我が日本の領海に来るとは!!この希信が相手になりましょう!!!!」
そうして二人は海パン一丁に手作りの足をつけたまま、その潜水艦に乗り込もうとした。
「いやいやいやいや、乗り込むのはまずいでしょ!?」
聞くそぶりはなく、二人はハッチをこじ開け、中に入って行った。追うしかないのか・・・。
そうして俺は、海パン一丁に水泳帽をつけた丸腰の格好で、イ・ウーの人たちと戦わなくてはならなくなった・・・。
実は中国潜水艦がイ・ウーのボストーク号を攻撃したため、イ・ウーも攻撃し、その後中国潜水艦は消息不明という設定。日本にしてみれば濡れ衣でレアアースを冷凍餃子にされるという・・・・。
イ・ウーとの接触は、北方への島流しか三角諸島のどっちかで迷ってましたが、三角諸島のほうが自然なのでこっちにしました。