理子は足を組み直した。
「アタマとカラダで人と戦う才能ってさ、けっこー遺伝するんだよね。武偵高にも、お前たちみたいな遺伝系の天才がけっこういる。でも・・・お前の一族は特別だよ、オルメス。」
「っ!!!!!」
理子の言葉でアリアは硬直した。確かホームズのフランス語読みがオルメスだっけ?あと「お前たちみたいな遺伝系の天才」?
「そういえば、俺のご先祖様もなんか天才がいるのか?」
「いや、イブキのご先祖は誰もいない。せいぜい一族が軍人って程度。」
マジですか・・・。orzの体勢になった。そういえば今、コックピットに人がいないんだっけ?俺はorzの体勢のまま、角山中隊長にモールスで
「コノ機体
と送った。すると角山中隊長は2階へ戻っていった。よかったバレなかったようだ。
「理子・峰・リュパン4世。それが私の本当の名前。」
話が多少進んでたようだな。ところでなんで理子の話を聞いてるんだろう?逮捕してから聞いてもいいような気がするんだけど。
「でも・・・家の人間はみんな理子を‘‘理子’’とはよんでくれなかった。お母様がつけてくれた、このかっわいい名前を。呼び方がおかしいんだよ。」
「おかしい・・・?」
アリアがつぶやいた。
「4世、4世、4世さまぁー。どいつもこいつも、使用人共まで・・・。理子をそう呼んでたんだよ。ひどいと思わない?」
とりあえず、偉大なご先祖様と毎日比べられるから嫌だ、ってとこか?徳川幕府2代将軍の秀忠とか親父の家康に散々比べられて苦労したってこと聞いたことあるような・・・。そんな感じかな?
「そ、それがどうしたってのよ・・・。4世の何が悪いってのよ。」
おい、アリア。お前自分で何でも聞くな、推理しろなんてこと言わなかったっけ?
「悪いに決まってるだろ!!あたしは数字か!?あたしはただのDNAかよ!?あたしは理子だ!!数字じゃない!!どいつもこいつもよぉ!!」
理子は俺達じゃない何かに言っているような気がする。DNA・・・?数字・・・?それにイ・ウー・・・。あとちょっとで何か大切なことを思い出せるような気がするんだが・・・。
「曾お爺様を越えなければ、あたしは一生あたしじゃない、‘‘リュパンの曾孫’’として扱われる!!だからイ・ウーに入って、この力を得た・・・。この力であたしはもぎ取るんだ・・・あたしを!!」
面倒になってきた。しかも武偵殺しの件とかキンイチさんの事とか・・・。なんか俺、邪魔な子?とりあえず理子を捕まえておこう。俺は「影の薄くなる技」を使い、理子の後ろに移動した。その瞬間
ダァンダァンダァンダァン!!
アリアが理子に撃った。もちろん、理子の後ろにいる俺も射線に入るわけで・・・。
「ぐぁああああ!!」
チクショウ!!白装束だから普通に貫通するぞ!!二人は俺に構わず至近距離の撃ち合いに・・・。
「イブキ!!大丈夫か!?」
キンジだけが俺に気が付いてくれた。
「なんだよ、理子の後ろに移動して、気絶させようと思ったのに、アリアのやつ撃ちやがって・・・。」
「おい、止血するか!?」
「・・・大丈夫だ。運よく弾が貫通してる。この服破いて止血するかr・・・ぐぁああああ!!」
「イブキ!?」
流れ弾がまた当たった・・・。計4発の被弾・・・。神様、あんた俺に恨みでもあるのか?
「キンジ!!」
アリアと理子が弾切れになったようだ。キンジは理子へナイフを向けた。
「そこまでだ理子!!」
「双剣双銃・・・奇遇だよね、アリア」
なんか嫌な予感がする・・・。
「理子とアリアはいろんなところが似ている。家系、キュートな姿、それと・・・二つ名」
「「「?」」」
「あたしも同じ名前を持っているのよ‘‘双剣双銃の理子’’でもね・・・。」
そう言って理子の髪は不自然に動いた。でも二つ名自慢とかよくできるな・・・。俺恥ずかしくてできないもん。
「アリアは本当の双剣双銃じゃない。お前はまだ知らない。この力の事を!!」
理子の髪はアニメのようにゆらゆらと動き、その髪が持っていたナイフでアリアを切りつけた。アリアは一本は避けれたようだが、もう一本に切られたようだ。
「うあぁ!!」
アリアは紅の血を撒きながら倒れた。ったく、俺がもっと早く動いて理子を拘束させれば・・・。
「あははは!!!!曾お爺様。108年の歳月は、こうも子孫に差を作っちゃうもんなんだね。勝負にならない。こいつ、パートナーどころか、自分の力すら使えてない!!勝てる!!勝てるよ!!理子は今日、理子になれる!!あは、あはは、あははは!!」
理子が狂気に取りつかれたように笑った。理子は何かから解放されるような喜びを・・・。あ、DNA、数字、イ・ウー、解放・・・。思い出した。あの獣野郎!!!だけど、まずは手当だ。
「キンジ!!アリアを手当てしろ!!流れ弾の当たらないところで!!」
「っ!!わかった!!生きて帰れよ!!」
「てやんでぇ!!別に倒してしまっても、構わねぇだろう!!」
キンジは急いでアリアを連れてどこかへ行った。この死亡フラグ、折ってみせラァ!!
「イブキは作戦の最大の障害だった。だから、確実に殺すためにあそこまでやったのに・・・。どうして生きてるの!?死んだことは確認したのに!!」
理子は俺を見て、若干怯えていた。・・・まぁ、ボロボロの白装束に三角のやつ着けっぱなし、しかも血まみれとなればどこのお化け屋敷ですか?ってなるか。
「俺は死んじゃねぇ、先生の誤診だ。だから俺はここにいる。」
俺はどうも理子を完全に敵とは見れない。背後にあるものを知っているせいだろう。それに一度刀を抜いたら確実に敵として処分することになるからかもしれない。
「思い出したよ。DNA、数字、イ・ウー。理子はブラドから解放されたいんじゃないか?」
俺がそう言うと、理子は驚いた顔をした。うまく説得すれば穏便に終わるかもしれない。俺は理子に近づいた。
「イ・ウーで、タコ、イカ、ブイが襲撃してきたとか話聞いてないか?」
「もしかして・・・。」
イイ感じだ。俺はさらに近づいた。
「そこでブイがブラドを半殺しにしたのを知っているか?もし、それをやったのが俺だと言ったらどうする?」
俺はもっと近づいた。もう、理子との間はもう1メートルもない。
「なぁ、こんな犯罪を犯さないで自首しようぜ。俺もついていくからさ。ブラドのことも協力する。そうすれば理子はもう堂々とお天道様が見てるところを歩ける。」
だって、理子は服も着ることができずに監禁されて、それから解放されるために犯罪を犯したんだ。情状酌量の余地なんて沢山あるだろ?それに武偵殺しは公式上キンイチさんしか殺してない。キンイチさんは生きているから、誰も死んでいない。それに俺を殺した、と言った時理子は顔がゆがんだ。殺そうとしたことに後悔があるからだ。だから、俺は理子に刃を向けたくない。
「なぁ、キンイチさんだって生きてるんだろ。理子は誰も殺していない。情状酌量の余地は大いにある。」
ダァンダァンダァン!!
俺は理子に撃たれた。理子が驚いたような、諦めたような顔をしたような気がした。でも、それが答えか・・・そうか、よろしい。ならば戦争だ。でもその前に休ませてくれ・・・。もうイタイっていうか熱い・・・。
何か声が聞こえる・・・。ってヤバい!!眠ってた!!
ドウウウン!!
理子は爆弾で壁を開け、そこから脱出したようだ。俺に宣戦布告し、逃げるだと!!許さん!!意地でも捕まえてやる!!
「まぁてぇえええええええ!!理子ぉおおおおおおお!!!」
俺は血まみれの白装束の格好で飛行機から飛び降りた。なんかアリアとキンジが化け物を見るような感じで俺を見ていたんだが・・・。
飛行機から降りると、下から2本の線がこっちに・・・ってミサイル!?なんで!?
ドーンドーン
「ぐぁあああああ!!」
2本のミサイルは飛行機のエンジンに当たり、その破片が俺に降りかかってきた。その破片を俺は浴び、さらに大きな傷を作った。なんか、もう痛み感じなくなったぞ、おい・・・。
破片を浴びた後、パラシュートで降りている下着姿の理子を見つけた。
「まぁああああてぇええええええええ!!りぃいいいいいこぉおおおおお!!!」
その声が聞こえたのだろう、理子はこっちを向き、驚いた表情をした。俺は空中で理子の胴体をつかみ、そしてパラシュートのロープを刀で一閃。
「イ、イブキ!?なんで!?どうして!?ってパラシュートなんで切ったの!?」
「てやんでぇ!!テメェ!!手ぇ差し伸べたら銃弾の答えとかふざけてるのか!!まだ拒否するならわかるけど、銃弾の答えはないだろ!!意地でも捕まえてやるよ!!」
「そのためにパラシュート切ったの!?」
「‘‘パラシュートはただの飾り’’だ!!」
「何言ってるの!?」
俺は理子を抱えたまま着水。衝撃は理子のほうに行ってないから大丈夫なはずだ。それにしても、海水が傷にしみてイテェ・・・。
「うわぁ・・・理子・・・生きてる・・・。」
「だから言っただろ‘‘パラシュートはただの飾り’’だって。」
俺はそう言って理子に手錠をかけた。
「時計壊れてるから時間わかんないや。とりあえず、峰理子、お前を殺人未遂で逮捕する。」
リュパン4世はさすがにつけねぇよ。あそこまで嫌がるんだから。
「・・・大人しく捕まると思う?」
「捕まんないと何するかわかる?」
その一言で理子は黙った。
「さて、じゃぁお互い頑張りますか。」
「ゴメン、イブイブ。理子わからない。」
うん、理子はある程度調子が戻ってきたようだな。
「もちろん、陸に上がるために泳ぐんだけど?」
「え?」
「見た感じ10キロもないだろ。三角諸島の時に比べれば近い近い。」
大量の血が抜けてたの忘れてたよ。しかも現在進行形で抜けてるし・・・。何とかたどり着いた俺と理子はお互い、ヘトヘトだった。そして格好は、血まみれ・びしょびしょの白装束を着た男と、下着姿の痴女、完全に俺たちは変質者だった。そこに偶然通りかかったヤンキーそうな少年達から電話を狩り・・・間違えた借り、第2中隊に連絡。基地から近かったのだろうか、10分もしないうちに来てくれた。
「辻さん、殺人未遂の現行犯で峰理子さんを逮捕しました。あとはお願いします。」
俺はそう言って、意識を失った。
大きな負傷、至近距離の発砲のため、イブキは弾くことができず被弾しました。
説明が遅くなりましたが、なぜイブキはブラドに圧勝できたか。常日頃から英霊や準英霊クラスの人たちにしごかれていたため、人外に対しては沢山の経験があるという点。またブラドは自分の不死性と怪力を主の武器として戦うために素早さは師匠の比べてあまりにも遅いという点。なのでブラドの攻撃は当たらず、一方的にボコボコにできた、という事なのです。
要は、師匠達の修行のおかげで「当たらなければどうということはない」を実現できた、という事です。
次回で一巻終了!!(だといいな)