いやぁ・・・はかどるなぁ・・・(試験から目逸らし)
俺たちは必死(まさに必死、そこ自業自得とか言わない)で艦尾から這い出てきた潜水艦の乗組員(全員女の子)を拘束した。
「この後どうするんだ?」
ハンナがマスク&鼻栓&ゴーグル装備のまま聞いてきた。うん、色々と台無しだな。
「・・・すごい適応力の高さだよ。」
理子もその装備のまま呟いた。そうだよな・・・数時間前まで空戦やってて、20分前くらいまで俺達に機関銃に機関砲ぶっ放してたのに、普通に仲間のように接してる。それに対して疑問を抱かせなかったしな。
「とりあえず、イ・ウーに殴り込むか。シャーロックにはちゃんと挨拶しなきゃいけないしな。」
それにキンジ達はすでに殴り込みに行ってるだろうしな。もし、ある程度兵がいたら苦戦してそうだし。
俺たちは鼻栓をしたせいで声が高く、しかもマスクにゴーグル着用で会議をしていた。他人が見れば不審者の集まりだな・・・。
2度目ともなると、どう行けばいいかある程度わかってきた。それに今回は案内人が二人いるから迷うことはない。ボストーク号に入りしばらくすると金の延べ棒に各国の紙幣が山積みにされている部屋に来た。
「理子・・・これある程度拝借していかないか?」
「何言ってるの!?今急いでるんだよ!?それに、そんなの持ってたら戦えないよ!!」
「ってことは時間がかからなくて、戦闘の邪魔にならなければいいってことか?」
「う・・・確かに・・・。」
理子が動揺しだした。流石は大泥棒の曾孫、泥棒集団の棟梁(リーダー?)の娘。血は騒ぐようだ。
「戦利品か・・・私の分け前もあるのか?」
ハンナさん・・・あんた敵だったんだよね?
「5秒もしないで終わるって。」
俺はそう言って「四次元倉庫」の扉を延べ棒と紙幣の下に出し、扉を開いた。すると、延べ棒と紙幣はストンと「四次元倉庫」の中に入って行った。
「すごい魔術だな・・・あれはどこにでも出せるのか?」」
「そうだけど・・・ハンナ、何に使うんだ?」
「なに、あれがあれば弾切れが無くなると思ってな。さらにテロにプレゼントできる」
「・・・なんだかんだブレないね。」
俺と理子はため息をついた。
分け前は恨みっこなしの1:1:1で分けることになった。思わぬ臨時収入、何に使おうかなと考えながら進んでいくと、大きな教会のような部屋に出た。圧倒するような美しい教会だったのだろうが、あっちこっちに弾痕があるせいで台無しになっている。
「イブイブ!!この扉開かない!?」
理子はそう言って鉄製の扉(自動扉の鉄バージョン)に手をかけ引っ張っているが、開く気配がしない。
「理子、どいて。」
俺は刀を抜くと扉に一閃、扉は切れてブロック状になり、そのままバラバラと落ちていった。
扉切りを何度か繰り返していくと、ICBMの部屋に出た。懐かしいな・・・これで辻さんと鬼塚少佐と俺で脱出したんだっけか。中に入ると、ICBMの扉に捕まった白髪交じりのシャーロックがいた。シャーロックは俺に気づいたようでこっちに手を振り、
「イブキ君!!僕が何年もかけて建てた計画をよくも壊してくれたね!!何とか緋弾は継承で来たけど、ここまで狂うとは僕の推理にはなかったよ!!」
「てやんでぇ!!人ひとりで狂う計画を立てるテメェが悪ぃだろ!!」
「いや、これは失礼。確かにそうだ。」
シャーロックがそう言うと、俺に何かを投げた。それは俺の足元でズドンと刺さった。
「僕の推理を覆してくれたお礼にそれをあげよう。キンジ君にもそれをあげよう。」
ドスッ
刺さっていたのは・・・真っ赤な槍だった。
「俺、槍なんか使わないぞ。違うものにしてくれ。」
「イブキ君・・・それ女王陛下から借り受けたもので、大英帝国の至宝だよ。」
「って言われてもなぁ・・・。こんなの貰っても博物館に寄付するだけだぞ。」
使わないのに持ってるだけなら、博物館に寄付したほうが「世のため人のため」になるしな。
「それだけはヤメテ。」
シャーロックは真剣な顔で言った。
「わかった・・・これも君にあげるから・・・博物館へ寄付はやめてほしい。」
ドスッ
そう言って、シャーロックが投げたのは・・・両刃で柄と鍔は青と金で装飾されている見事な剣だった。
「まぁ・・・これなら使えるけど・・・。」
「いいかい・・・絶対に博物館に寄付はしないでね。」
シャーロックは真顔で言った。
がすっ・・・がすっ・・・
アリアは俺とシャーロックがしゃべっている間、小太刀を両手に握り、それをICBMに突き刺してロッククライミングのように登っていた。そしてシャーロックと何かしゃべった後、そのままICBMは発射され、キンジも急いでICBMに掴まってそのまま空高くまで行ってしまった。
「イブイブ、追いかけなくてよかったの?」
「いや、走ってもどうせICBM発射されて終わりだし、アリアが登ってるの見えてたからな。せいぜいしゃべって時間稼ぎを・・・ってね。それに・・・」
そう言って俺は槍と剣を抜こうとした。って槍重っ!!俺は魔力で腕を強化し、やっと抜いた。
「アリアの曾爺さんなんだろ。捕まえる手柄はアリアにあげないとな。」
ボストーク号から出た俺たちは救命ボートに乗っている、ニト、白雪、パトラ、キンイチさんを発見した。キンイチさんは何とか生きていたようだ。よかった。
タンカーはそのまま逃げていたようで、俺達はカツェ=某の乗っていた潜水艦の見回りをしていた(途中キンジとアリアが空から降ってきたのは驚いた)。
ブロロロロロロロ・・・
飛行機の音が聞こえる。空を見上げるとUS-2が飛んでいた。大湊所属か?
ボーーーーーー
汽笛が聞こえる、あれは・・・第5艦隊か?
俺たちはこの後すぐに救助され、第5艦隊の一部を指揮していた山口少将の手によってボストーク号とカツェ=某の潜水艦は回収された。
「村田大尉、君あの小さいほうの潜水艦何やったの?中に入った兵たちから防毒マスクとかボンベの使用許可をくれってうるさいんだけど・・・。」
「え・・・えっと・・・民間人のお兄さん達からもらったイタズラ道具使っただけです。」
その後、単冠湾にいた車輛科秘蔵の水上機に乗り移り、一日がかりで東京に戻った。カツェ=某たちは大湊で尋問らしい。ハンナは大湊で司法取引をする予定で、やった後はそのままドイツへ帰国だそうだ。
「イブキ、ここでお別れだ。」
「ハンナ、なんだかんだあったけど元気でな。」
なんだかんだあったけど、なんか憎めないやつだったな。するとハンナは顔を赤くした。
「イブキ、私の後部座席はお前のために空けておこう。」
「はぁ・・・?」
「と言ってもお前には伝わらないだろう。ちょっとこっちへ来い。」
俺はハンナに近寄ると、ハンナはいきなり俺の顔を両手で固定した。
「え!なっ!?」
ガチッ
ハンナはそのまま俺へ顔を近づけキスをした。勢いをつけたせいで互いの前歯が当たり、すごい痛かった。
「さらばだイブキ!!」
そう言ってハンナは去っていった。・・・そういえば前世、中高は男子校、大学も工業系だったから彼女の一人もいなかったんだよな。前世から数えても、これがファーストキスか・・・。ッ!!口の中切れちゃってるし・・・。ファーストキスは血の味・・・。
水上機が飛んだあと、ニトと理子、操縦手の武藤が俺をボコボコにしたのは言うまでもない。
戻った翌日、家族にシャーロックからもらった槍と両刃剣を見せたところ、師匠が槍に興味を持った。そういえば師匠の使ってるのに似てるような・・・
「そうか・・・セタンタ・・・。」
師匠はそうつぶやいた後、持っていた槍を俺に渡した。
「イブキ、それを使えるようにしろ。」
「え?あの師匠?俺もっぱら銃か銃剣か刀で戦うから槍は使わないんですが・・・。まだこっちの両刃剣のほうが・・・。」
「うるさい。久しぶりに稽古をつけてやろう。」
そう言って俺をつかみ、そのまま引きずりながら歩き始めた。
「ちょ、まって!!!俺まだ怪我人!!!!!」
「そのぐらいの怪我がなんだ。私を殺せるまで・・・とはいかんが、せめてセタンタ並みの槍の腕前にしてやろう。」
「え!?セタンタってだれ!?・・・不幸だーーーー!!!」
俺は某ツンツン頭の幻想殺しのような発言をしながら、闘技場へ連行された。
ところで、皆さんはパトラの船に突っ込んだアヒルさんボートを覚えているだろうか。あのアヒルさんボートは両川さんが弁償することとなった。何でも、未成年にあんな大金を払わせることができないから。
それと両川さんの勝った一千万は勝手にコインを外に持ち出したということになり無効となった。
「そ、そんなぁあああああ!!!」
「こら!!両川!!静かに仕事せんか!!!」
次回閑話を書いて、「高校生活一学期編」は終わりです。