ロスから日本へ戻った次の日、俺はキンジがオカシクなったことを知った。
「イブキ、サッカーやろうぜ!」
「……大丈夫?病院行く?」
「…なんか勘違いしてるだろ。」
なんでも、キンジは単位が足りてなかったそうだ。そこで
「カジノの依頼で足りたんじゃなかったのか?」
キンジはカジノの依頼でギリギリ単位は足りていたはずだ。
「襲撃されたから単位が半分になったんだ。」
……それはご愁傷様。
「キンジ、人は足りてんのか?」
こいつは交友関係が狭い。最悪、11人も集まらないかもしれない。
「…何とか集める。」
現状は足りてないな。流石にキンジが留年は悲しいものがある。
「俺も誰か声かけようか?」
サッカー大会なら爆発とか誘拐とかM関係(魔術関係という意味の隠語・海軍式)に会わないはず……はず……。
「俺の任務だし自分で人を集める。ありがとな。」
人数が集まるか不安だがそこまで言うなら……。
「わかった、頑張れよ。……あ、そういえば。」
「どうした?」
「それ普通のサッカーだよな?銃器使用OKとか超能力とか超次元とかじゃないよな!?」
まさかサッカー部の密造は試合で使うためだった!?
「普通のサッカーだよ……病院行くか?」
てやんでぇ!!正常だ!!
俺はキンジと別れ、
その次の日、キンジに「サッカーの練習のため第二グラウンドに来い」と連絡があったのでそこに向かうと・・・。
「……キンジ、留年おめでとう。」
「時間通りに集まってないだけだからな。」
グラウンドにいたのはキンジ、アリア、理子、レキ、白雪、不知火、武藤の7人。俺を入れても8人しかいない。
「そういえばイブキはサッカーの経験あるのか?」
「安心しろ!俺は足よりも早く手が出る。」
やったことはあるけど、素人同然だぜ!!
「……ボール蹴ってみてくれ。」
俺はリフティングをしてみると・・・12回で落ちた。
「お前下手だなぁ~」
武藤がからかって来た。
「野球ならある程度できるんだけどな。サッカーはあんまりだ。」
俺はそれに乗らずにスルー。野球は敵から奪った野球ボールに偽装した手榴弾をトスバッティングの要領で敵陣に打ち込んだことがあるからそこそこできるんだが、サッカーはなぁ……。
現在来ている奴らのポジションは、キンジとアリアが
「遅れてすまない。サッカーとは何なのか調べていたら手間取ってしまってな。」
この声は……ブルマ姿のジャンヌだった。
「…いやね、君のコスプレ好きは知ってるし、いいと思いますよ。でも、まさかサッカーの練習でもコスプレをするt……」
ベキッ!!
「これ以上しゃべってみろ、今度は殴るぞ。」
「殴った後に言われてもなぁ…。」
俺は殴られた頬を撫でながらいった。
「それにだ、これは日本の伝統的な体操着だ。文献にあったから、わざわざ
……現在ではコスプレぐらいにしか使いません。
「いつの時代の文献を読んだんだよ……ていうかお前、この前‘‘未婚の女性は足を出すな’’とか言ってただろ!?」
キンジがジャンヌを瞳に移さないようにしながら言った。
「遠山。私は、みだりにこのような服を着ているのではない。競泳なら水着、新体操ならレオタード。いかに肌が出ようと、スポーツウェアは正装として認められるのだ。」
「という名目でコスプレをしているわk……。」
バキッ!!
痛い……。
「皆様、遅れてすいません。」
「遅れちゃったかな?」
リサとエルがグランドに来た。
「二人もサッカーをやるのか?」
それは知らなかった。
「いえ、リサはマネージャーとして皆さんをサポートします!!」
フンッと気合を入れるリサ……ということは
「イブキは僕とサッカーをやるのは嫌?」
エルは瞳孔が開いた瞳で俺を見ながら言った。正直不安しかないです。
「イエ、スゴク嬉シイデス。」
俺は自分の心を偽った。瞳孔が開いたエルが怖すぎる。
キンジがエルにボールを渡した。
「これをあのゴールに向かって蹴ってくれ。」
「これを蹴ればいいのかい?」
「あぁ。」
エルはボールを地面に置き、そのまま軽く足を振り上げ
「えい!」
パァァァン!!!
エルの足がボールに当たった瞬間、ボールは割れて
「どうだい?」
「「「「「「……」」」」」」
みんな引いてる。
「エル、ボールを壊さないでもう一回。」
俺はエルにボールを再度渡した。
「分かったよ。」
今度は道端の小石を小突くようにボールを蹴った。
ズドーーーン!!!
大砲を発射したような音が聞こえたと同時にボールは一瞬でゴールまで飛んでいき、ゴールネットを突き破り、明後日の方向へ飛んで行ってしまった。
「キンジ、とりあえずPK要員は決まったな。」
俺はキンジに言った。キンジは頭を抱えた。
キンジが何とか持ち直した時
ザァアア……
急につむじ風が起きた。
「…風魔………。」
キンジが呟いた。すると、つむじ風の中から手甲をし、手を忍者のように印を組んだ黒髪の少女が現れた。
彼女は
……これで11人にマネージャーまでついた。これで何とか試合はできるな。
キンジは風魔さんにボールを蹴らせようとしたところ…
ぐきゅるー
「…し、師匠……任務の前に、何か兵糧を…。」
そう言って風魔さんは倒れてしまった。
「…やき、そば、パン………。」
その一言を吐いて風魔さんは力尽きた。リサが慌てて風魔さんを救護する。
「その・・・サッカーってこんなに難しい競技なんだな。」
俺は不知火に愚痴った。
「…アハハ……。」
不知火も苦笑いするだけだった。
さて、まともな練習ができずに8月30日、試合当日になってしまった。対戦相手は一般校・港南体育高校。なんでもそこは去年、都大会で優勝した強豪校らしい。しかもラフプレーも得意だそうだ。
「おいおい、かわいい子ばっかじゃねぇか。」
「これは当たり甲斐がありそうだな。」
「金髪の子プルプルしたい。」
「
「ハァハァ……ちっちゃいピンクの女の子のおみ足……ハァハァ…。」
「おい、黒髪の子の写真を撮っておいてくれ!!言い値で買うから!!!」
港南体育高校のチームはお揃いのユニフォームを着て武者震いをしていた。…武者震いだよね?
体操服にゼッケンをつけた俺達は円陣を組み、キンジがひと言…
「いいか、俺達h…「俺達はまだ
「「「「「「「「おぉーー!!」」」」」」」」
…いう前に武藤が号令をかけてしまった。締まらないねぇ……。
試合前半は悲惨だった。敵は女の子の胸や尻にわざと体を当ててくる。体格で対抗できる武藤は外人選手にぶっ倒されてしまい、不知火には常に二人が守っている。一回、不知火が奇跡的に敵ゴールまで行きシュートをしたが2mぐらいある外人
リサがスポーツドリンクを配っていたが、キンジは受け取らずにフラフラと誰もいない控室へ行った。……ハァ、このやり方は好きじゃないんだけどなぁ。俺はキンジが向かった部屋に足を進めながら‘‘四次元倉庫’’から一冊の雑誌を取り出した。
「キンジ、何うなだれてんだ。」
「……わかってるだろ。」
キンジは面倒臭そうに俺に答えた。俺はキンジの隣に座ると
「なぁキンジ、勝つ確率が0から50までは上がる方法があるんだが。」
「……」
まともに聞いてないな。
「これ、どう思う?」
俺はそう言って雑誌を見せた。
「ブッ!!!」
キンジが吹いた後、
「……全く、こういうのが嫌いだって知ってるだろう?」
俺はキンジに
「嫌いなのは知ってるが、進級を天秤かけたら嫌でもやるだろ。」
俺はそう言って立った。
「後はよろしくな、キャプテン。」
そう言って部屋を出た。
「あれ?理子、お前なんでアリアの恰好してんの?」
「……何言ってるの?」
「とりあえずキンジは‘‘白馬の王子様モード’’になったから色仕掛け入らないぞ。」
「……なんでわかるの?」
「前も言ったと思うけど、お前の胸でアリアのかkk「セクハラだよ!!」」
その後、本物のアリアがキンジのいる部屋に行った。そして部屋から出てきたキンジは俺達一同を集め、二つ命令した。
・今までのポジションや理論はすべて忘れていい。
・自分らしくやれ。しかし港南高校を見習ってバレないように。
すると、俺と理子、エル以外は驚いた後、士気が高まった。キンジは何人かに個別指示を出した後、俺達は再びグラウンドに戻った。
風が少し強くなったような気がする。後半は俺達からのキックオフだ。センターサークルにはレキ、近くにエルがいる。
ピピーー!!
ホイッスルが鳴ったと同時にレキはエルに正確なパスを出した後、
ズドーーーン!!!
エルが小突いたら、ボールは消えた。
「「「「「「???」」」」」」
ピー!!
ボールは敵の
「おい!!ユンカース!!!」
「しっかりしろ!!!」
敵のキーパーは股間を抑えながら泡を吹いて気絶していた。それを見て慌てる敵チーム。
「さぁ…今度はどこを切り落とそうか。」
エルは美しい笑顔をしながら言った。……何人もの男が股間を抑えたのは言うまでもない。
敵のキーパーが担架で運ばれていった後、港南高校のキックから始まる。
ピッ
ホイッスルが鳴ると同時に俺、キンジ、アリア、不知火に
「反撃の号砲は受け持とう……
「ぐあぁあああ!!!」
急に地面から腕が出てきて敵の足を掴み、転ばせた。そこを前半では動きの悪かったジャンヌが華麗な足捌きでこぼしたボールを奪う。それをホイッスルが鳴ってから一切動かないエルが見つめる…。
エルが最初のシュートをさせた後、敵は絶対にエルへパスが回らないようにさせるだろう。なので俺はエルに一つ命令した。
「エル。」
「どうしたの?」
「次から敵がエルをマークするからボールはほとんど回ってこないと思う。だから、うまい具合に敵の妨害をしてほしい。」
「わかったよ。」
……あれ?妨害しろって言ったけど、この方法はヤバくない?……まぁ、絶対にバレないけどさ。
「星伽!!」
ジャンヌの長い生足からジャンヌは白雪にパスを出す。
「行きます……えい!!」
白雪がそのパスをもらい、蹴るとボールは文字通り火の玉になり敵陣にいる武藤へ一気に飛んでいく
「グハッ!!!」
そのボールを武藤は土手っ腹に食らい、サムズアップをしながら崩れていく。その崩れていく武藤の陰から理子が躍り出る。
「パスッ!!」
理子は不知火の方を向き……その逆方向に蹴る。
「ナイスパス!!!」
俺が‘‘影の薄くなる技’’を解き、フリーの状態で貰う。俺はホイッスルが鳴り敵陣へ向かう途中に‘‘影の薄くなる技’’を使って潜んでいた。港南高校のメンバーは理子が前線に出ているために、誰も気づかなかったようだ。
「お二人さんッ!!」
俺はキンジとアリアの中間の場所にボールをころがした。
「キンジッ!!」
「合わせろアリア!!」
キンジとアリアはボール目がけて左右から走り…
バシュ!!
交差しながら二人はシュートを放った。
ピピー!!
敵
港南高校は一気に崩れた。セオリーにポジションを無視した変則的な動きに、エルによる強制転ばしと殺人シュート(文字通り)からの恐怖心……。むしろ、ここまでやって崩れなかったら勲章物だ。
結果、キンジとアリアの交差シュートが面白いように入り、残り10分で5対4まで差を詰めた。すると港南高校は
「お前たち!!それでも男か!!正々堂々勝負しろ!!」
ジャンヌは頭に来たのか敵陣に一人突っ込み、ボールを持っている選手とボールの取り合いをしている。
「クフフフ……。」
そこに理子も加勢した。すると理子の髪が不自然に動き…なるほど。俺は近くの審判とジャンヌとの直線状に立った。その瞬間
「うっ……。」
ジャンヌが思いっきり転倒した。
「「ジャンヌ!!」」
膝を押さえ、地面に付しているジャンヌに俺とキンジは走り近寄った。
「……うっ……くっ……。」
「ジャンヌ!!うわぁあああんジャンヌの足が折れたぁああああ!!バキって言ったぁあああ!!!」
「……君さ、ボールに夢中なのはわかるよ。だけど、これで一生足が動かなくなったらどうすんの?体格差あるんだよ?その歳で責任とれるの?」
苦悶の声を上げるジャンヌに、その場にへたり込んで大泣きする理子、静かに敵選手に
審判は俺たち4人を見回し
ピッ
港南高校の反則とした。するとジャンヌと理子はスクっと立ち上がり
「
ハイタッチをした。うん、やっぱりジャンヌはえげつない。
「イブキ。」
ん?ジャンヌが俺を呼んだ。俺はジャンヌの方を向くと……ジャンヌは俺の方へ手の平を向けていた。
「……意外だな。殴られると思った。」
パン
俺とジャンヌはハイタッチをした。
「貴様の協力もあってできたことだ。……か、勘違いするな!!」
ジャンヌは顔をそむけた。……これがツンデレか。
「可愛いところあるじゃねぇか。」
ドスッ
顔を真っ赤にしたジャンヌが審判に見えないように腹パンをした。
「貴様はいつも一言多いのだ!!」
……
「武偵高、フリーキックだ。」
審判がそう言うと…‥
「エ…エル、出番……。」
地味にダメージが残ってる……。
「イブキ、大丈夫?」
エルが心配してきた。
「大丈夫だ……問題ない。」
「それフラグ!!」
理子が何か言ってるが気にしない。
「わかったよ。」
エルはそう言ってボールの置いてあるところまで歩くと……
「…良い声を聞かせておくれ。」
そう言って美しい笑顔を……。港南高校の選手たちは慌ててグラウンドの隅に避難した。おい…キーパーも避難するんかい。
「…えっと……港南高校、それでいいのか?」
審判が港南高校に聞いていった。審判さん、素が出てます。
「「「「「「ドーゾドーゾ!!!」」」」」」
港南高校の選手たちは怯えながら答えた。……うん、あのエルのシュートの壁になりたくないのはよくわかる。
……ピッ
「えい。」
ズドーーーン!!!
エルは小突くように蹴ると、ボールはゴールネットを突き破り、そのまま壁に埋まってしまった。敵の選手たちは顔を真っ青にしている。 まぁ、これで5対5の同点、しかも残り時間は5分。このままいけば勝てるぞ。
得点が入ったので、港南高校のボールからだが
「『こっちだ!!ノールックパス!!』」
理子が敵キャプテンの声を真似し、敵は俺達にボールを渡してしまう。それと同時に俺達全員攻撃の体制に移った。
この試合は引き分けになったら延長戦がなく、一次予選の勝ち点が多い方が勝ち上がるそうだ。……要は、引き分けは負けだ。
俺達は防御を明後日の方向に投げ捨て、突撃する。キンジの単位のため勝たなければならないというのもあるが……純粋に勝ちたいんだよな。この世界に来てからこういうスポーツにはとことん縁がなかった。久しぶりにスポーツをやるんだ、どうせならば勝って終わりたい。
「イブイブ!!」
ボールを頭上に浮かした理子がオーバヘッドキックで俺にパスする。
「ナイス!!」
俺は‘‘影の薄くなる技’‘を短時間に連続で使いながら敵を抜いていく。
「うおぉおお!!」
敵の一人が俺に特攻をかけた。その瞬間、
「アリア!!」
俺はボールより前に出て
「キンジ!!」
アリアのパスがキンジに届く。そのままキンジはドリブルで敵ゴールまでの突破を目指す。
「負けてたまるかぁああああ!!!」
キンジに向かって
キンジが港南高校のキャプテンとぶつかりそうになった時、キンジはその場で回転し、そのままキャプテンを抜いていった。
サッカーの素人である俺にでも、その技を練習なしの本番一発で成功させるキンジはすごいことがよくわかる。……だからあいつはすごいんだ。
「もらうぞ!」
そう言ってキンジはシュートを……大幅に外した。あ、終わった。……なんで右後ろに飛ぶんだよ。ボールの飛んで行った方向を見ると
「忍!!」
風魔さん!?風魔さんはボールに合わしてヘディングをし、ゴールに……
「おらぁあああ!!」
敵
「うかつ!!」
そう言って風魔さんが着地と同時に
ボフン!!
地面を変な動きで踏み、砂煙を発生する。…忍者の家の秘伝の動きとかか?
宙に浮いたボールを一番に取ったのは俺だった。そのボールをオーバーヘッドシュートでゴールへ叩き込む。……あ、つま先に当たった。ボールは誰もいない、斜め前方へ吹っ飛んでいく。
「自分で蒔いた種は、自分で刈り取るでござるよ!!」
ボールの吹っ飛んでいく方向にある砂塵から風魔さんが急に出てきた。よかった、これでパスということにできる。風魔さんはノーバウンドでボールを蹴り上げた。
「師匠!!アリア殿!!」
そのボールをキンジとアリアが左右から飛び・・・ヘディング!
ピーーーー!!
ボールがゴールの中に入り、笛が鳴った。……試合時間も終わったようだ。
6対5で、都大会優勝したチームに勝った。ヒャッホゥ!!最高だぜ!!!
防弾制服に帯銃・帯剣をした俺は、武偵高の第2グラウンドへ向かった。まだ、さっきまでの試合の興奮が冷めなかったのだろうか。
ポンポンポン………
ボールの音が聞こえる。
「キンジか。何やってんだ?」
「ん?まぁな。」
キンジが一人、何か考えながらボールを蹴っていた。
「あらよっと。」
俺はキンジに向かって走り、ボールを奪った。
「ってめぇ!」
キンジは俺からボールを奪いに来る。
「武藤!!パス!!」
素人の俺ではボールの維持はできない。俺は偶然来ていた武藤にパスした。
「ナイスパス!!」
武藤はキンジからボールを守ろうと
「武藤君、後ろも警戒しないとダメだよ。」
背後から忍び寄った不知火にボールを奪われた。武藤は不知火からボールを奪い返そうと必死だ。
「不知火もな。」
俺は‘‘影の薄くなる技’‘を使って近づき、一気に不知火から奪う。
「イブキは奪えても維持できないな。」
俺のボールをあっさり奪うキンジ。
「キンジテメェ!!」
「不知火パス!」
「させねぇぞ!!」
武藤が不知火へパスが行かないようマークする……。
日が落ち黄昏時、俺達はボールを片付けた後、水道の蛇口に上半身裸になり頭から水を被った。
「うぁああああ~~~気持ちぃ~~~~」
汗だくで火照った体に水をぶっかける快感を知らない人はいないはず。
「武藤水飛ばすんじゃねぇよ!!」
武藤の水しぶきが俺に当たる。
「狭いからしょうがねぇだろ!?」
「まぁまぁ、村田君も武藤君も落ち着いて。」
「お前ら見苦しいぞ。」
不知火とキンジが止めにかかるが……
「うるせぇ!!水も滴る良い男どもが!!」
「日頃の恨みを知りやがれ!!」
俺と武藤は蛇口に指をつけ、キンジと不知火に水をぶっかける。二人はたまらず逃げたようだ。
「「はっはっはっは!!」」
俺と武藤の勝利の笑い声もつかの間、キンジと不知火はホースを持ってきた。
「お、お前ら!!」
「それは卑怯だろ!?」
「先にやったのはそっちだよ?」
「これでも喰らえ!!」
その後、俺達は別れて帰ることになった。
「全くパンツまで濡れちまったよ。」
「風邪ひくなよ。」
俺とキンジは同じ部屋なので、必然と一緒に帰ることになる……。
「……普通の高校生ってのはどうだった?」
「……。」
キンジは少し考え、重い口を開けた瞬間、横からタオルが出てきた。
「キー君、イブイブ、使って!」
フリフリの制服に着替えた理子だった。
「……そう言えば理子にお礼を言ってなかったな。」
「お礼?」
「単位のことだよ。この試合…というか任務は、お前のおかげで請け負えたんだからな。ありがとう。理子。今日は楽しかったよ。たまにはスポーツも悪くないな。」
キンジは顔を背け、理子に言った。
「……勘違いするな。あたしはお前たちとなれ合うつもりなんか、これっぽっちもない。」
理子の口調が鋭くなった。
「スポーツ?そんな下らない事どうでもいい。」
理子は俺達の前に歩き、くるっと俺達の方へ向く。
「この任務はキンジとアリアをより強く結びつけるために拾ってきた道具に過ぎないんだ。お前が3年に上がれず、アリアと疎遠になられちゃあたしが困る。あたしが倒したいアリアは、キンジというパートナーと結びついて完成する。」
「それでも、俺も今回の任務はとてもよかった。ありがとな、理子。」
俺も理子に礼を言った。軍学校卒業してからスポーツなんて無縁だと思ってたからな。理子の顔が赤くなった。
「な~に顔赤くしてるんだよ。」
俺は理子をからかった。
「う…うるさい!!」
「「……ップ」」
俺とキンジは思わず吹いた。
「ちょ!!イブイブ、キー君!!これ以上はプンプンガオーだぞ!!!」
理子が俺の胸をポコポコと殴ってきた。……地味に痛い。俺は理子を無視して歩き出した。
「今日はリサが祝勝でご馳走を作ってくれるらしいから早く帰んないと。」
「ん?もうこんな時間か。」
俺とキンジは走り出した。
「待ってよ!!イブイブ!!キー君。」
たまにはこんな、武偵高
部屋に戻り、ご馳走を食べている時、キンジは携帯を見て震えだした。
「あんた、どうしたの?」
アリアが心配そうにキンジに聞く。
「……足りない。」
「は?」
「0.1単位足りない!!」
……なんでも、俺から風魔さんへの最後のパスがオフサイドだったらしい。試合の後、港南高校の猛抗議により、最後の1点が消され5対5に。結果、一次予選で勝ち点が多い港南高校の勝ちになってしまったらしい。
「嘘だろ!!!」
……俺達らしいっちゃらしいな。
次回は閑話だと思いますが、今作っているのが思いのほか長くなりそうなので一話独立するかもしれません。
Next Ibuki's HINT!! 「ガルパンはいいぞ」