少年士官と緋弾のアリア   作:関東の酒飲

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 これで長かった夏休み編が終わる……。なんか感慨深いですね。

 ダイハード3をどこで入れようかいまだに迷っています。


閑話:高校生活夏休み編

1:粉雪と俺と武偵

俺が戦車道の任務を受けた翌日、

「ただいまぁ~……。」

任務の人数を必死で集めたり、矢原嘉太郎(やわら かたろう)伍長から戦車戦のことについて教わって帰るのが遅くなった。

「違います。私は武偵高なんて大っ嫌いです。ここはお姉さまが星伽を出る原因となり、お兄ちゃんを何度も怪我を、挙句の果てには瀕死の怪我をさせた場所ですから。」

俺はリビングに入るとキンジと白雪、リサとTVを見ている粉雪がいた。……あれ?粉雪が何でここに?

「え…‥粉雪か?いやぁ……大きくなったなぁ、中三だっけか。」

ついでに美少女になってまぁ…‥。

「お兄ちゃん!!」

粉雪が俺に抱き着いてきた。

「お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん!!」

粉雪は俺を呼びながら頭を腹に擦り付けてくる。しばらくそうしていると、満足したのだろうか粉雪は離れた。そしてトロンとした顔を凛々しい顔に戻し

「お兄ちゃん!!正座!!」

「……え?」

「…お兄ちゃん、‘‘危ない真似はしない’‘って言いましたよね。」

「‘‘危ない真似はしないようにする’‘って言ったような気が……。」

「……SE・I・ZAしてください。」

「ハイ……。」

瞳孔が開いた眼で脅されれば、誰だって言いなりになると思うんだ。

「お兄ちゃん!!何回危ない目に合ったんですか!!」

「……いつから数えてですか。」

……多すぎて何時からかを言ってくれないと分からねぇ。

「武偵高に入ってからです!!」

……事件数を考えよう、そうしないとメチャクチャ多くなる。理子、ジャンヌ、ブラド、シャーロックで4つ。夏休みの2つを合わして6つ……。多すぎねぇか!?

「6回です……。」

「お兄ちゃん!!もっと危ない目に合ってるのは知ってるんですよ!!どれだけ心配したと……。」

それから粉雪の説教が始まった。俺は正座のまま延々と続く説教を聞いていた。

「……私が、お兄ちゃんが死んだって聞いた時どう思ったかわかりますか!?」

「……スイマセン。」

粉雪の目には涙が溜まっていた。……悪いのはわかってます、心配なのも分かってます。でも、俺は巻き込まれた場合が多いような気が……

「お兄ちゃん!!わかりましたか!?」

「……ハイ。」

ようやく説教が終わった。あぁ……今日は疲れたな。家に帰りたい……ここじゃん!

「あの、キンちゃん、イブキ君。」

粉雪の説教が終わり、TVを見始めた粉雪を尻目に白雪が小声で話しかけてきた。

「粉雪は星伽の伝言を届けに来ててね……できそうなら私とイブキ君を武偵高から連れ出そうとしているみたいなの。だから武偵高ってどんなお仕事なのか……少なくとも悪い物じゃないってあの子に理解してもらった方が……ご、ゴメンねキンちゃん。私情も含めちゃって……。」

うん、ちょっと待とうか。

「白雪、なんで俺を連れ戻そうと?」

何で俺を連れ戻す?星伽に軍へ介入できる力でもあるのか?

「あれ?イブキ君は聞いてないの?イブキ君は粉雪と……」

「お兄ちゃん!!こっちに来てください!!」

俺は白雪から重要な部分を聞けず、粉雪に手を引かれてソファーへ連れて行かれた。

「座ってください!」

「はぁ……」

俺はおとなしくソファーに座った。俺の横に粉雪が座り、俺の腕に抱き着いた。

「こ、これは私を心配した罰なんですからね!!」

……顔お真っ赤にさせてTVを見ながら粉雪は言った。久しぶりに会った妹分だ、わがままには付き合おう。

「……粉雪、明日の午前中、付き合ってもらうぞ。」

武偵高の見学だっけか。

「ハイ……これはお姉さまのご命令ですから。私はお姉さまのご命令にはなんでも従います……が、条件があります。」

白雪が目を見開いた。

「お兄ちゃんも一緒じゃないと嫌です!」

……。キンジが俺を見た。……ショウガナイ。

「俺も行く。これでいいか粉雪?」

「はい!!!」

そう言えば白雪は何と言おうとしたんだろうか。

 

 

 

 

 

 さて、武偵高校の施設はとても充実している。下手な軍学校より断然いい。もともと羽田国際空港の増設予定滑走路であった人工浮島のため面積はかなり大きい。その広大な面積に武偵庁や武偵企業からの援助があるからだ。……全く、羨ましい限りで。

 例えば車輛科(ロジ)だと15歳から普通免許が取得でき、情報科(インフォルマ)通信科(コネクト)だと最新のPCや携帯端末などを支給してくれるそうで……。

 そういう事で、武偵高を見学した中学生は普通、気に入ってくれるそうだ。しかし……粉雪は不機嫌だった。超能力捜査研究科(SSR)は白雪が所属のためか多少興味を持っていたようだが、その他の学科は不機嫌のまま……キンジをずっと睨んでいた。……まぁ、粉雪はキンジじゃなくて俺に懐いていたからこうなのかもしれない。

「お兄ちゃん!」

「どうした?」

「次はお兄ちゃんの学科ですね!」

「……うん、そうだね。」

俺達が向かうのは、我らがキンジの古巣にて俺の所属させられた学科・強襲科(アサルト)だ。ここに所属する生徒は血の気が多いから気を付けないと……。

 強襲科(アサルト)の黒い体育館のような訓練施設の前に着いた。

「粉雪、ここは薬莢がゴロゴロ落ちてるから足元気を付けて。結構な人数がこれで転ぶんだ。」

俺は粉雪に注意した。

「わかりました!」

そう言って施設に入ると……

ガシッ バキッ ドカッ 

「この野郎死にやがれ!!」 

「てめぇこそ死ね!!」

「そいつをよこせ!!」

5人ほどの1年坊主が軽装備で殴り合っていた。……水着写真集の取り合いでこうなっているようだ。

「……。」

粉雪は……ゴミを見るような目とはこんなこと言うんだなぁ……。

 俺はその集団に近づき

ダンダンダン!!!

14年式を天井に向かって発砲した。1年達は俺を確認し、急いで喧嘩をやめた。

「よぉ一年、随分元気が有り余ってるようだな。」

「す、スイマセン!!村田先輩!!」

坊主頭の一人が謝った。

「「「「スイマセン!!」」」」

「いやいや、俺もこういうのは元気があっていいと思う。俺は否定しないさ。でも、今入学希望者の見学が入った。見えないところでやれ、いいな?

「「「「「ハイ!!!」」」」」

「総員駆け足!!始め!!」

脱兎の如く一年は施設を走って出ていった。俺は二人の元へ戻り

「じゃ、見学開始しますか。」

 

 

 

 夏休みで誰もいないため、見学はスムーズに終わった。映画の撮影所のような実物大の突入訓練室に、動く的のある射撃場、座学室では射撃に関する初歩理論をキンジがレクチャーした。

 しかし粉雪は無関心、座学中でも俺にしゃべりかける。

「……以上で見学は終了だ。他に見たいところはあるか?」

俺達は薬莢を踏まないように廊下を歩いていた。

「いいえ、もう充分です。」

粉雪は横に首を振りながら言った。

「武偵高がいかに乱暴かわかりましたから。」

「……乱暴なのは否定できないけど、まぁ暴力的でない学科もあっただろ?」

俺は一応この学校のフォローをした。

「いいえ、彼らも同じ穴のむじなです。そもそも、金銭のために武力を用いるという行為が卑しいものですし。清廉たるべきお姉さまとお兄ちゃんがそのような場所にいるなんて……私には耐えがたいことです!!」

うーーーん……。確かに、分からないこともない。でも、今の時代で完全に無償で働くのはあまりいないわけで……。というか、近代の戦争は経済的な理由があることが多いわけで……。

「逆に考えてみろよ、粉雪。供給の逆には需要がある。金を払ってでも解決したい問題を抱えている人が、今の日本は増えているんだ。通り魔や強殺、ストーカーや窃盗と言った犯罪は増える一方だし、警察は人手不足だろ?だから世の中には武偵が必要n……。」

「逆に考えるべきは遠山様です!!」

キンジと粉雪が喧嘩を始めた。

「そんな問題に巻きk……。」

「お前ら落ち着けって。確かにどっちも正しい。巻き込まれないようにするのは当たり前だし、そうしていても事件に巻き込まれる。それでいいj……。」

「お兄ちゃん!!そんな事はどうでもいいのです!!とにかく私は!!武偵高が!!武偵が大っ嫌いなのです!!武偵高のせいでお姉さまは星伽を出て行ってしまい!!お兄ちゃんを危険な目に合わせて!!」

……ゴメン、武偵高でも軍でも危険と隣り合わせなんだ。まぁ、頻度は多少上がったけどさ。

「粉雪、いったん帰ろう。ここは議論する場所じゃない。」

俺は移動を提案した。

「そうだな……忘れ物はないな?空薬莢に気をつけろよ。また救護科(アンビュラス)を見学する羽目になるからな。」

すると、粉雪は襟元を整え、雰囲気を変えた。

「はい……では、遠山様、お兄ちゃん。お仕事が終わったようですので、お伝えしたいことがあります。」

「……どうした?急に。」

「なんだよ。」

「実は昨夜、お二人についての‘‘(たく)’’が降りました。星伽の巫女の巫女の義務で、一昼夜のうちにお伝えしなければならない事になっていますから……少々唐突ですが、今お伝えします。」

「……吉兆の一種だっけか?」

俺は昔、星伽神社で小っちゃい頃の粉雪がたどたどしく言っていたのを思い出した。

「そうです。」

そういった後、粉雪はすごく、すっごく嫌そうな顔をした。

「遠山様は今月中に求婚されます。」

「「だ、誰にだよ。」」

俺達は思わず聞き返した。

「知りません。ただ、間違ってもお姉さまではありません。それは確実です。」

「知りませんってお前無責任だn……「まぁまぁ。で、俺はどうだい?」」

喧嘩の芽は早めに摘むのが一番だ。

「お、お兄ちゃんは……」

粉雪が顔を真っ赤にした。

「変態に会います。」

……ゑ?

「へ、変態に会う?」

「……ハイ。正確にはさせてしまうというのがあってるかも……。」

……調教!?

「……お前そんな趣味があtt……「ねぇよ!!!」」

……まぁ、変態に会うのはあり得るとしても、させるってどういうことだよ。

「今日は疲れたし帰ろう……うん。」

俺は足早に帰ることにした。

 

 

 

 

「お、お兄ちゃん、まってくだs……」

ズルッ

ドンッ

ベキッ

「ッ~~~~!!!!」

粉雪が薬莢を踏んで転び、そのまま俺の背中にぶつかった。俺と粉雪はそのまま倒れ、俺の鼻と額は床に勢いよくキスすることになった。

「お、お兄ちゃん!!!大丈夫!!」

 

 

 

 俺は粉雪に部屋で手当をしてもらった後、辻さんから送られてきた軍服の試着や、今まであったことを粉雪に話していると白雪が帰ってきた。

「お姉さま!!おかえりなさい!!」

そう言って白雪に張り付く粉雪。……ちょっと度が過ぎてるような気がしないでもないけど、仲良きことはいいことだ。

 

 

 

 

 

 さて、白雪・粉雪・リサの飯を食べた後、粉雪は8時までに寝ないのは不衛生だと言って俺らを寝室に追いやった。キンジは諦めてベットに潜り、俺はシャーロックからもらった青と金で装飾された両刃剣を調べていた。

試しにその剣に魔力を通してみると発光することが分かり、以後その剣は懐中電灯代わりに使われていくことが多くなるが、そのことは割愛する。

 

 

 

 

剣のことが分かり、ベッドに潜ってウトウトしていると

ポスッ

何かやわらかいものが倒れたような音が聞こえる。俺はのそのそと起きてリビングを見ると、粉雪と目が合った。

「ッ~~~~~~!!!」

ファッションに疎い俺でもわかるほど、粉雪はおしゃれをして廊下に向かうところだった。

「粉雪。」

「……ハイ。」

「リビングで待ってて、着替えてくる。」

「え?」

俺は自室に行って着替えを始めた。……そうだな。俺の私服じゃ粉雪と釣り合わないし、たまにはこいつを着るか。

 

 

 

 

 第二種軍装に着替えた俺はリビングへ戻った。そこにはソファーに座ってうつむいている粉雪がいた。

「粉雪、明日帰るんだろ?」

「……ハイ。」

「じゃぁ、今晩付き合ってもらえるか?実は東京のことをあまり知らなくてな。私服もTシャツとズボンぐらいしかない。……一緒に東京散策にでも行かないか?」

「……!?はい!!お兄ちゃん!!」

俺は粉雪を連れて夜の東京へ出た。

 

 

 

 粉雪に切符の買い方を教え、モノレールに乗った。粉雪曰く、行先はお台場。

 お台場に着くと粉雪は大量の付箋が付いたタウンガイドを出し、

「お兄ちゃん!!こっち!!」

俺の手を握りながら歩き出す。……背後からキンジと白雪の気配を感じる、心配だから来たのか?

「そんなに急ぐと転ぶぞ。」

俺はそう言いながらついていくことにした。

 粉雪が向かったのは‘‘ウィーナスフォード’’という女性向けのショッピングテーマパークらしい。粉雪に連れられて来て初めて知ったよ。

 粉雪は雑貨、靴屋、服屋などで大量の紙袋を量産した。……本来だったら奢ってあげるところなんだろうけど、額と数がね。銀行の武器用の口座を抜いた俺の全財産より粉雪の財布の中のほうが数倍も多かったし……。

 俺は粉雪の大量の紙袋を持ち歩いた。すると、粉雪は休憩がてら洒落たオープンカフェに入った。そこで粉雪は小さな塔のようなパフェを注文した。

「おいし~~~!!」

「それはよかった。」

粉雪がパフェを食べて、ふにゅ~っとした笑顔で両手で頬を抑える。うん、可愛い。俺はそう思いながら紅茶を啜る。

「お兄ちゃん!!あーん」

「え?」

「あ~ん!」

「……あ~ん」

うん、甘い。そういえばパフェを食べたのは何年ぶりだっただろうか。そう思いながら顔を真っ赤にする粉雪を見る。照れ隠しなのかパフェをパクパクと食べていく。……たまには、こんな風に癒されるのもいいなぁ。紅茶はぬるくなっていた。

 

 

 カフェの代金くらい俺に払わせてくれ。いいからいいから外に出てて。………こんなにするのか。

 

 

 そろそろ終電が近いので帰ることにした。自由の女神像を経由し、ホテル日航を回り込むように台場駅へ向かうそうだ。……こんなのあったのか。俺はそう思いながら粉雪を見た。

「お兄ちゃん!今日はとても楽しかったです!!」

「それはよかった。」

俺は大量の荷物を持ちながら粉雪に微笑んだ。始めて会った頃に比べて、粉雪はだいぶ成長した。粉雪は潮風に美しい黒髪をなびかせながら、名残惜しそうに東京の夜景を見ている。……彼女はもう、始めて会った頃の彼女ではないことを実感させられた。時が経つのも早いものだ。

「お兄ちゃん。」

「どうした?」

「……花火の時のこと、覚えていますか?」

「リヤカーに姉妹乗っけて行ったな。」

「私……今でも覚えてます、あの時の事。」

「あの後、別れるのが嫌で泣いていた粉雪も覚えてるぞ。」

「ちょ!!忘れてください!!」

「てやんでぃ、あんなかわいい頃の事を忘れてたまるか!」

「……そういえばお兄ちゃん。」

「なんだ?」

冗談はもうやめておこう。

「星伽とお兄ちゃんの両親との約束って知っていますか?」

「……ごめん。分からない。二人とも死んじまったし。」

「星伽が軍に協力する見返りに村田家から一人m……。」

「こんばんはー!!いっぱい買い物したねぇ?お二人さん!!」

前方から6~7人程度の団体(大学生か?)が声をかけてきた。……大事な話をするときに邪魔すんじゃねぇよ。

「ちょっと悪いんだけどお金貸してくんない?」

「君可愛いね。こんな奴おいて一緒に遊ばない?」

おいおい、軍服姿の人間が隣にいるのにこんなことやるのかよ……。あ、荷物のせいで軍服が見えないのか。

「の、退きなさい!!星伽の巫女は悪従の威迫には応じません!!」

粉雪がキッと睨むと、男たちは一気に態度を急変し

「あぁ!?」

「犯すぞおらぁ!!」

「日本語しゃべれやクソガキ!!」

「ッヒ!!」

ハァ……なんでこんな奴らに合わなきゃいけないんだ。そう思いながら俺は荷物を地面に置いた。

「おまえら、これ以上にしないととっ捕まえるぞ。」

「ッ!!」

やっとどんな奴に喧嘩を売ったのか分かったのだろう。……なんで向こうは拳銃を持ってるんだよ。ガラの悪い男たちの一人に銃を持った者がいた。あれはトカレフ系統の拳銃だ。劣化コピーもあり得る面倒な奴だな。

「その銃寄越してさっさと失せろ。お前ら捕まえて警察に突き出すのは面倒なんだ。」

終電に間に合わなくなるからな。俺は銃を持った男に近づくと

「それ!」

リーさん直伝、‘‘拳銃奪い(仮)’’でその銃(純正トカレフじゃないな)を奪った。

「……そ、それはやる。う、撃つなよ!!」

そう言って男たちは逃げ出した。……こいつどうしよう。俺はとりあえず‘‘四次元倉庫’’にそのトカレフモドキを投げ入れた。

「お、お兄ちゃん……。」

粉雪は地面にフラフラとしゃがみこんだ。

「大丈夫だったか?」

俺は粉雪の頭をなでながら後ろの茂みと電柱の上を見た。やはり茂みにはキンジが、電柱には白雪がいた。俺は二人に目配せをした。

「要人警護はともかく、民間人を危険から未然に防ぐことは警察にはできない。お役所だからね。だから、武偵も一概に悪くはないとは思う。」

俺はそう言って粉雪を立たせ、モノレールへ向かった。

 

 

 そういえば、白雪は巫女服だったけど、あんなとこにいてパンツは見られないのだろうか?

「お兄ちゃん!!ほかの女の人のこと考えてたでしょ!!」

「え?……いや、巫女服って動き制限されるよなって。」

「???」

嘘はついてない。

 

 

 

 翌朝、俺とキンジの部屋に星伽の運転手のお姉さんが来た。すると粉雪は風呂敷包みを運転手に渡した後、廊下で正座し三つ指をついた。

「逗留中、何から何までお世話になりました。お兄ちゃん、お姉さま、遠山様、ごきげんよう……。」

 

 

 締まりが悪いので車まで見送ることにした。一階につくと、粉雪がキンジに話しかけた。

「遠山様、一つお謝りしたいことがあります。」

「謝る?」

「はい。私は武偵高と武偵を侮辱するようなことを言いました。」

「あ、あぁ。」

「でも、その……昨夜、私は認識を改めました。まだ好きに離れませんが……今の世の中では、このような仕事も必要になってきているのではないかと。」

昨日の件でわかったのかな。

「……そうか。まぁ気が向いたらまた見学に来いよ。」

「はい、また来ます。今度は本当の‘‘学校見学’’に……。」

「本当の?」

ん?もしかして……。

「はい、お姉さまは結局、星伽に帰る御意思はないとおっしゃり、お兄ちゃんも星伽に来てくれそうにないので……私、逆に考えたのです!それなら、私が来ればお兄ちゃんとお姉さまと一緒にいられるのではないかと……。」

そう言って、今度は満面の笑みで俺の方に振り向いた。

「お兄ちゃんにふさわしい女になってまた来ます!!不束者ですが、何ぞとよろしくお願いします!!お兄ちゃん!!!」

「てやんでぃ、あたぼうよ!!」

俺はそう言って粉雪の頭を撫でまわした。全く、この妹分は前に会った時よりも可憐に美しくなっていた。

 

 

 

 

 

 あれ?結局、‘‘星伽と俺の両親との約束’’って何なんだ?

 嫌な予感がしたのでその思考はやめた。

 

 

 

 

 

 

2:エキシビジョンマッチに至るまで

これは、翌年の第63回全国戦車道高校生全国大会の後の話。

 

 

 

 

 知波単学園はエキシビジョンマッチ参加を受諾した。

「西殿!!村田大尉殿を呼びましょう!!」

「大尉殿に我々の成長をお見せしましょう!!」

「むしろエキシビジョンマッチに参加してもらいましょう!!」

「いや、それはさすがに……。」

それは無理だろうと絹代は思った。一人で動かせる戦車ないし……。

「そもそも一人で動かせる戦車がないぞ。」

「倉庫に眠っている‘‘くーげるなんとか’’があるのであります!!」

「‘‘クーゲルパンツァー’’か……。」

確かに、村田大尉殿に我々の成長を直に感じてもらいたい。そして、あの村田大尉殿があの戦車をどう使うのか知りたい……。

「他の校の許可が出たら一緒に出てもらおう。」

「「「「「うぉおおおおおお!!!」」」」」

「い、いや。まだ決まったわけでは……。」

「「「「「バンザーーーイ!!!」」」」」

 

 

 後日、大洗、聖グロ、プラウダに問い合わせたところ許可が下りた。(なんでもどの校が調べても、知波単を改造した村田某陸軍大尉の情報は見つからなかったそうだ。)そのため試合前日に知波単学園が戦車10両以上でイブキを拉致しに来たのは言うまでもない。

「先に言っとけよ!!!というか俺、海軍出身!!!畑違いだから!!!何なの、その‘‘くーげるぱんつぁー’’って!?」

 

 

 

 

3:八神家発足?

8月31日の夜、俺は知波単学園学園艦から戻った。

「ただいま~。」

俺は寮のリビングに入ると見知らぬ4人組がいた。

バタン

俺はリビングの扉を閉め、玄関まで戻り部屋番号を確認した。……うん、合っている。

「イブキ兄ちゃん!!お帰りなさい!!」

リビングに戻ると、はやて、リサ、玉藻……そして見知らぬ4人組。……客か?

「ただいま。」

そういえば、はやては玉藻と俺の実家に住んでいる。玉藻が一人でさびしい&昼間誰も世話が出来ないためにそうなった。……うん、グレアミだったか、グレアムだったか、その人のこと批判できねぇな。

「えっと……玉藻さん?この人たちは?」

「はやてちゃんが呼んだサーウァントもどき……というか式神に近い存在ですねぇ。」

……はやて、君はどうやってそんな存在を呼び出したんだ?まぁ、とりあえず挨拶を……

「はじめまして、村田維吹です。海軍軍人で、軍の命令により武偵に出向中です。はやての兄です。」

深いことは言わないことにする。とりあえずさぁ……睨むのやめてほしいなぁって。ほら、警戒するのは分かるけど、初対面には笑顔で接しないと…ねぇ。

「烈火の将、剣の騎士シグナム。」

ピンクの髪をポニーテルにした、胸が大きい女性が言った。……さっきからこの人が一番睨んでくる。

「風の癒し手、湖の騎士シャマル。」

金髪ショートヘアでおっとり笑っているが、その目は一挙一動を見逃さないようにギロリと俺を見る。

「蒼き狼、盾の守護獣ザーフィラ。」

ガチムチの兄ちゃんが獣耳を付けている……多分、こいつがある意味一番の危険人物だ。

「紅の鉄騎、鉄槌の騎士ウィータ。」

はやてぐらいの、赤毛おさげの女の子が言った。

「ところで主はやて、この男は信用できるのですか?莫大な魔力を持っています。」

……あれか?昔、聖杯を取り込んだからか?

「イブキ兄ちゃんは私の家族や!!信用できないなんてありえへん!!」

「しかsh……」

バーーーン!!

「主殿!!宴会と聞き、漁師からアナゴとスズキをいただいてまいりました!!」

牛若がドアを蹴破り、発泡スチロールの箱を抱えて部屋に入ってきた。

「え、宴会?」

宴会なんて聞いてないぞ!?

「互いに分かり合うには、お酒飲んで腹を割って話すのが一番と、玉藻は思ったので~。あと、旅行中は全員でほとんど食事は出来なかったですし……」

玉藻が言った。

 その後、野菜を抱えてきたエル、ワインを持ってきたネロとジャンヌ、パンを焼いてきたニト、果物を持ってきた理子、それに教師陣の師匠・ベオウルフ・エジソンが来て宴会(酒あり)が始まった。

 

 

 

 

 

「あれ?そういえば何でお前らいるの?」

俺は理子とジャンヌに聞いた。

「む~、イブイブは理子りんがいるとお酒がまずくなるの?」

「いや、そういう訳じゃないけど……。」

「まぁまぁ、イブイブ、どうぞどうぞ。」

「いやぁ~悪いねぇ~。」

俺は考えるのをやめた。

「ほう…このワインはなかなかいいな。」

「そうであろう、そうであろう!!」

ネロとジャンヌは意外に仲がよさそうだ。

 

 

 

 

 この宴会によって4人組(ウォルケンリッターというらしい。)と仲が良くなった。それとシグナムさんの酔うと脱ぐ癖が皆に知れ渡ったのは言うまでも無い。

 

 




 実はもう一つ閑話で『四国R-14』のキャラ(又はモチーフ)を登場させようと思ったのですが、規約に引っかかるかどうか分からないので諦めることにしました。
「和泉君、僕たち出れないようだねぇ!!!」←額と声が大きい男
「うるさいよ!!うどんでも啜ってなさいよ!!マスターも一言言ってよ!!」←もじゃ男
「いやぁ~断念だなぁ~」←顔は二枚目、雰囲気三枚目
「……」←ビデオを撮る、離れ目メガネ
「……」←何かポーズをする着ぐるみ


上の会話はいつでも消す準備があります。



解説
・‘‘ウィーナスフォード’’という架空の場所です。
・知波単学園にクーゲルパンツァーがあるのはオリ設定です。
・同じくシグナムの脱ぎ癖もオリ設定です。

 




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