少年士官と緋弾のアリア   作:関東の酒飲

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 フハハハハハ!!この連続投稿めったにないぜ!!
(‘‘Next Ibuki's HINT!! 「陣営決め」’’と書いてしまったために、閑話と次話を一遍に投稿することになった作者の見苦しい姿)

 実は、この駄作を書いている時がとても楽しかった。

 ……早く、エキシビジョンマッチの中で、‘‘クーゲルパンツァー’’に乗り活躍(笑)をするイブキを書きたい!!
 ……大学卒業前には書きたいです。


閑話:高校生活2学期編  BOKO Hard 2.5 その3

 俺は4人を預けた後、一人で格納庫へ向かった。

 俺は滑走路に車を止め、連絡用飛行機の格納庫へ走って向かうと、そこには工事の人間が複数いた。

 ……怪しい。今は住民全員避難させているはず。

すると、現場監督っぽい人が俺に気が付いた。

「やぁすまない。武偵の者なんだが、この中を見せてもらってもいいか?」

俺はそう言って武偵高の手帳を見せた。

「分かりました。上の者に聞くので少しお待ちください。」

すると、現場監督っぽい人が無線で話を始めた。

 ……なんか怪しい。現場監督っぽい人は、俺を観察するようにジロジロとみる。

「許可が下りました。案内するのでついてきてください。」

俺は現場監督(?)の人の後について中に入っていった。

 

 

 

 

 

 中に入ると案内人が増え、5人ほどに囲まれながら俺は進む。

 ……どうしようか。殺しはご法度、この5人をすぐに無力化できるのか?

「そういえば避難指示がされているはず……なんで避難しないんですか?」

俺は現場監督(?)に訊ねた。

「滑走路の邪魔になるから早く片付けないと……本土からの物資も届きませんから。」

一理あるが……まるで初めから定められたような答えだ。

「下の戦車用の格納庫は大丈夫でしたか?」

「爆発の衝撃でセンサーが逝ったそうです。幸い床がこれ以上崩れる事はないようです。」

現場監督(?)が飄々(ひょうひょう)と答えた。

 ……うわぁ。床に穴が開いて、戦車用格納庫が丸見えだ。

「戦車に被害は?」

「えぇ、戦車には被害がないと我々は知っています。」

  カチャッ

俺の背中に銃が付きつけられた。

「やれ。」

  ダンダンダンダン!!

現場監督(?)の言葉でその銃は発砲された。

「この野郎!!」

俺は数発貰ったがこの包囲を抜けて壁に隠れ、14年式を脇のホルスターから出し応戦する。

  カランカラン

すると、俺の目の前に手榴弾が転がってきた。

「ウソだろ!?」

俺は走って逃げだした。

  ダダダダダダダダダ!!

 ……敵は機関銃まで持ってんのかよ!!

  ドカン!!ドカーーン!!

手榴弾の爆発と共に俺も吹っ飛ばされた。

「う、うぅ……。」

俺は何とか壁に隠れて、敵の銃弾の嵐から身を守る。

 ……2度の爆発で体はボロボロだ。こいつらをヤらないと死ぬ!!

俺は拳銃をしまい、‘‘四次元倉庫’’から紅槍を出した。

 

 

 

 

 

 俺は‘‘影の薄くなる技’’を使って一気に敵へ接近した。俺はリーダー格であろう現場監督(?)に狙いを定め、槍を思いっきり振った。

「うぁああああ!!」

現場監督(?)は野球ボールのように飛んでいき、壁に勢いよくぶつかると、そのまま気絶した。

「お、お前どうしてここに!?」

「や、やれ!!」

俺は銃弾を槍で弾きながら一人ずつ吹っ飛ばしていく。

 

 

何とか最後の一人になった時、

「へ、へへ…‥‥これでみちづr!?」

  バコン!!

「アニメじゃねぇんだ!!セリフ全部言ってから倒すなんてことはやんねぇんだよ!!」

俺は最後の男がセットしていたものを見ると……爆弾!?トラファルガー広場(偽)にあった爆弾の10倍は少なくてもあるぞ!?あの野郎何処から持ち出した!?

『残り30秒』

「チクショウ!!なんでこんな目に!!」

俺は一目散で逃げだした。

 

俺は何とか格納庫跡から出た瞬間、

  ドカーーーーーーン!!!!

「うわぁああああああ!!!」

爆風と共にまた吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「い、生きてるのか……?」

俺は何とか死なずに済んだようだが……全身が痛い。

「ッ!!」

俺は左手を骨折したようだ。ついでに胸と足も尋常じゃなく痛い。ヒビでも入ったのか?

「ハァ……とりあえず連絡だな。」

俺はヒビだらけの携帯を出して駐在さんに電話した。

「やっとつながったか!?」

駐在さんは大分慌てている。

「爆弾を見つけて解体中だが、それ以上のことが起こった!!」

「どうしたんです?」

爆弾の発見以上にやばいことだって!?

「例の嬢ちゃん達が(さら)われた!!」

 ……は?駆逐艦の乗員達に預けたはずだが。

「おめぇが預けたあと、敵に襲われたんだ!!軍人たちは死んじゃいねぇが重症だ!!」

「分かりました!!探します!!」

  ピッ!!

俺は電話を切った。

 ……何処だ……どこにいる?敵はもう、あらかたの戦車は運び出している……。待て、どうやって運んだ戦車を学園艦の外に出すんだ?あんなものを運ぶなんて……ランプウェーで揚陸するくらいしか……。そうかランプウェーだ!!ほかの船を横付けさせて、そこにランプウェーを渡せば簡単にできる!!古代ローマの‘‘コルウス’’と同じようにすればいい!!学園艦の右舷には駆逐艦がいるから……左舷か!!

 

 俺は学園艦の左舷にあるランプウェーに向かおうと、車に乗り込……めなかった。車が爆風の影響で横転している。

「クソッタレ!!大事な時に使えないなんて!!」

俺は周りを見渡すと……あった。爆風の影響で荷台からずれ落ちている戦車が……。

 俺は走って近寄った。

 ……この戦車は……‘‘クルセイダー’’だったっけ?

俺はソロバン玉のような垂直砲塔を見ながらそう思った。見た感じ損傷はしてないようだ。

 

 急いで操縦席に乗り込み、エンジンをかけようとするが……かからない!!

「クソッタレこの野郎!!かかりやがれ!!テメェは戦車だろうが!!」

  ドゥルン!!!

俺が口悪く罵った瞬間、この戦車は眠りから覚めた。

「ハハハ……相棒!!この学園に全く相応(ふさわ)しくない、泥臭い戦い方するぞ!!」

  ドドドドドドドドド……!!!

戦車は勢いよく荷台から飛び降り、風になった。

「鬼塚少佐直伝の操縦技術なめんなよ!!」

 ……喋ってないと鬱になりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 戦車はランプウェーがある船倉前に着いた。俺は相棒(クルセイダー)を船倉に入る扉の前で止め、ゆっくり扉を開けた。

 そこには、大量のダンプと荷台に乗った戦車があった。

 ……ここで発砲すれば跳弾しちまう。

俺は38式と銃剣を‘‘四次元倉庫’’から出し……しまった。

 ……たまには使ってやらねぇとな。

‘‘四次元倉庫’’から、師匠から貰った紅の日本刀を出した。今回は無力化と銃弾回避だ。俺一人ならともかく、多人数を守らなきゃいけないなら日本刀のほうがいいだろう。

 

 

 

 

 そろりそろりと歩いていくと、くぐもった声が聞こえた。俺は‘‘影の薄くなる技’‘を使いながら必死で声が聞こえたほうへ進む。

 そこには……猿轡(さるぐつわ)に縄で縛られた愛里寿ちゃんと、下着姿にひん剥かれているダージリン、橙辺さん、矢場さんがいた。

 ……ヤバい!?

俺は‘‘影の薄くなる技’’を解き、ワザと大きな音を立ててこっちに注目させた。

「て、テメェ!!何もんだ!!」

「てやんでぃ!!高級テーラー‘‘Kings Men’’の従業員でぃ!!」

俺は3人の服を破いていた5人を峰で一気に無力化し、4人の縛られている縄を切った。

「これでも喰らえ!!」

俺は発煙弾とママチャリさんから貰った液体の入った瓶数本を投げ、姿をくらます。

「4人とも、逃げるぞ!!」

 ……毒ガス(笑)から逃げるために!!

俺は4人を抱えて走り出した。

 

 

 

 何とか異臭がする船倉から逃げ出した。俺はさらに発煙弾とママチャリさんの液体が入った瓶をもう6,7発投げ入れて扉を閉めた。

  ガシッ!!!

「「「「うわぁあああああ!!!」」」」

4人が俺に抱き着いて泣きだした。

 ……怖かっただろう。下手すれば犯されてたんだから。むしろ良く我慢していただろう。

「あぁ、もう大丈夫だ。」

俺は痛む左手も使って4人の頭を撫でた。

 

 

 

 

 

 4人は何とか泣き止んだ。俺は駐在さんに連絡した後、‘‘四次元倉庫’’から上着3着を何とか探し、下着姿の3人に着せた。

「敵が追ってくる。逃げるぞ!!」

俺はそう言って4人をクルセイダーに乗せた。俺も操縦席に座ったその時、

  ドカーーーン!!!!

クルセイダーの後ろの扉が爆発し、そこから戦車が飛び出てきた。

「に、逃げるぞ!!!」

クルセイダーは轟音を上げて逃げ出した。

 

 

 

 

 

 

  ドン!!ドン!!ドン!!…ヒュン!!

敵4両が砲弾を撃ってくる。

 ……あっぶねぇ!!今砲弾がかすったぞ!?しかも戦車道用の砲弾じゃなくて実弾使ってやがる!?

敵の使っている車輛はT-54かT-55のどっちかだ。HS部隊にいた時よく見てたからわかる。

 

 T-54/55は最新の主力戦車に比べたら雑魚だ。しかし、歩兵だけの部隊やクルセイダーにしたら脅威でしかない。機動力・加速力が良好で、西側の90ミリ戦車砲クラスの貫通力がある。しかも西側の90ミリよりも口径が大きいので、榴弾の威力は西側よりも高い。

 

 以上が実際に体験した時の感想だが……とりあえず、クルセイダーより‘‘早くて、機動力があって、砲は強くて、装甲もすごい’’というのがT-54/55だ。今でこそ敵との距離は開いているが、次第に縮んでいくだろう。

「俺が降りてやるしかないか……。」

俺がそうつぶやいた瞬間、

  ガチャ

愛里寿ちゃんが砲塔から身を乗り出し、敵戦車を眺めていた。

「愛里寿ちゃん!!危ないから中に入ってろ!!」

「……村田お兄ちゃん、私の言った通りに動かせる?」

 ……愛里寿ちゃんの雰囲気が変わった。まるで歴戦の兵が如く。

「やれるのか?」

俺は思わず聞いた。確かに、今のままだとやられるのは目に見えている。

「私の言った通りにできるなら。」

俺はバッと後ろを振り向いた。そこには……高速起動で吐きそうなダージリンさん、涙目で震えている橙辺さん、闘志を燃やす矢場さん、オーラが半端ない愛里寿ちゃんがいた。

 俺はなんとなく、愛里寿ちゃんの命令で敵を倒せると思えた。

「……あぁ!!‘‘自走式暴力装置’’で‘‘天災’’の鬼塚少佐と矢原 嘉太郎さん(兄者さん)直伝の腕を見せてやるよ!!」

……まぁ、武藤には全く及ばないけど。

「私をこんなにしやがって!!生爪剥いだ後○○を××して〆〆してこの世の絶望を味わせてやる!!」

 ……おい、聖グロ志望校の矢場さん。言葉が汚すぎだろ。

「……やーってやる、やーってやる、やーぁてやーるぜ……」

愛里寿ちゃんが歌い出した。その歌声で緊張が解けた気がする。

 愛里寿ちゃんがひとしきりうたった後、

「私が合図したら、左ターン、225度。矢場おねぇちゃん、砲塔を10時方向。」

  ゴゴゴ……

砲塔が動いた。

「やってやるぞ、こんチクショウ!!」

 ……矢場さんは本当に聖グロが志望校なのか?

 

 戦車が地下を抜け、広場に出た。

「……今。」

愛里寿ちゃんが合図を出した

「くらいやがれ!!」←俺

「死ねカスども!!」←矢場さん

「や、やってやる!!」←橙辺さん

戦車が急反転をし、激しい遠心力がかかる。

「「イピカイエー・マザーファッカー!!」」←俺&矢場さん

  ドォン!!ドォン!!ドォン!!ドォン!!

1秒以内に砲が装填され、クルセイダーが連射する。

  ドカーーーン!!!!

4両が爆発し、真っ黒な煙が上がった。

  バキィ!!ベキベキベキ!!

嫌な音がした。俺は戦車を動かそうとしたが動かない。駆動系が逝かれたようだ。

「ハァ……やったな。」

 ……それにしても、すごい早い装填だったな。

俺は後ろを振り向いた。そこには砲弾を握る橙辺さんがいた。

 ……あの強い遠心力の中、あんなに早く装填するなんて。全弾当てて貫通させた矢場さんもすごいけどさ。

俺がそう思った時、

  ギュラララララ!!

履帯が擦れる音がする。

 ……敵にはまだ戦車がいたのか!!

この戦車は駆動系が壊れ、今はただの砲台でしかない。

 ……今度は俺の番か。

俺はため息をついた後、

「今度は俺が活躍しますかね。」

そう言って、痛む体を無理やり動かして操縦席から出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦車から出た俺が最初に見たのは、履帯と転輪が吹き飛んだ相棒(クルセイダー)の痛々しい姿だった。

「ありがとな、今度は俺の番だ。」

俺は相棒(クルセイダー)を撫でた後、‘‘四次元倉庫’’に残っていた最後のパンツァーファウストを握りしめた。

 ……あ、ダージリンが顔真っ青にして茂みに向かっていった。

俺はダージリンの後姿がとても痛々しく見えた。

 

 

 

 敵戦車は3両、T-54/55のようだ。

 俺は‘‘影の薄くなる技’’を使いながら、敵が接近するのを待つ。

  ……100m、まだだ。もう少し待たなければ。

  ……50m、もう少し、もう少しだ。

  ……30m、あとちょっと、ちょっとだけだ。

  ……20m、ここだ!!!!!

俺は引き金を引き、その後2両目に走り、張り付いた。

  ドカーーーン!!!

パンツァーファウストで狙っていた一両が爆発した。俺は2両目の砲塔に上り、ハッチを開けた。そして、‘‘四次元倉庫’’からママチャリさん特製の異臭瓶4発を戦車内に投げ込んで、すぐにハッチを閉めた。

「「「「ぐおぉおおおおおお!!!」」」」」

2両目の戦車の内部から人間が出してはいけないような声が、聞こえてくるが無視する。

  ダダダダダダダ!!

3両目がやっと気が付いたのか、機銃を俺に撃ってくる。

  ドスドス!!

 ……被弾した!?

俺は弾の威力のため、一瞬のけ反った。

「……べらんめぇ!!この野郎!!」

俺はなんとか体勢を立て直し、最後の一両に張り付いた。

「くらえ!!!」

俺は再びハッチからママチャリさんの異臭瓶数本と平賀さん特製のスタングレネードを投げ入れ、蓋をした。

  キュイィイイイイン!!

激しい音と、まぶしい光、そして異臭が最後の一両から溢れ出てきた。

 ……やっと終わった。

俺は戦車から振り落とされていた。

 ……全く、学園艦に来て早々、なんて日だよ。

  カチャ!!

誰かが俺に銃を向けた。

「やぁ、護衛君。まさか君が不死の英霊(イモータル・スピリット)だとは思わなかったよ。……良くもやってくれたなぁ。」

 ……こいつ!!電話の奴か!!

「一緒に来てくれないか?」

そう言って、電話の主は‘‘右を見ろ’‘というジェスチャーをした。そこには……再び掴まっている4人がいた。

 俺は頷くしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 俺達は再び左舷ランプウェーがある船倉(異臭がひどい)に来ていた。

「全くなんてことをしてくれたんだい?護衛君改め不死の英霊(イモータル・スピリット)?計画は丸つぶれ!!そして私の部下はこの二人だけになってしまった!!」

そう言って電話の主は俺を抱え、こめかみに銃を突きつけた。

 ……チクショウ。血を流し過ぎた。意識が朦朧(もうろう)とする。

不死の英霊(イモータル・スピリット)?君はもうくたばる様だが、もう少し待っててくれ!!この3人をお前の目の前で殺すから!!それをお前に見ててもらいたい。」

電話の主で、今回の主犯であろう短髪、身長180越え、鼻が高く、イケメンの男が言った。残りの部下は拳銃を4人に突きつけている。

「なぁ?聞いているのか?護衛君。」

電話の主が被弾した左肩に銃をグリグリと押し付けた。

「ぐぁあああ……。」

俺は思わず(うめ)いた。

「護衛君の墓にはこう彫ろうか!?‘‘世界で最も計画を潰した大迷惑な男’‘って!!どうだ!?」

 ……こいつは完全に油断している!!

俺は電話の主が持っている銃を握った。

「てやんでぃ!!イピカイエー・マザーファッカー!!」

  ダァン!!!

俺は電話の主が握っている拳銃の引き金を思いっきり引き、俺の肩越しに電話の主に発砲した。

「グァア!!」

電話の主が倒れる。

「っち!!」

「この野郎!!」

電話の主の部下が拳銃を俺に向けて発砲する。

 ダァンダァンダァン!!

俺は何発か喰らいながらも、一気に接近した。

「はぁ!!!!」

俺は電話の主が持っていた銃を鈍器にして、その部下二人を殴った。

  バタン!!バタン!!

部下達は気絶した。俺はフラフラしながら、‘‘四次元倉庫’‘から手錠三つを取り出した。

「……午後5時18分、逮捕だ。」

3人に手錠をかけた。そして淑女たち4人の縄を解き、俺は壁に寄りかかってズルズルと座った。

「む、村田さん!!!」

橙辺さんが走って俺に来た。

「大丈夫ですか!!」

橙辺さんは大粒の涙を浮かべながら俺に聞いてきた。

「あぁ、今回は医者の死亡判定が無かったから大丈夫だ。」

「ッ!!」

すると、橙辺さんは泣き出してしまった。

  ダッ!!

すると今度はダージリンが俺に抱き着いた。

 ……すごく痛いんですけど。

「よ゛がっだ!!よ゛がっだ!!う……うぅ……。」

ダージリンは俺に抱き着いたまま抱き始めた。俺は右手で彼女の頭を撫でた。

  ガシッ!!

愛里寿ちゃんがダージリンと逆の場所に抱き着き、静かに泣き始めた。

 ……すっごく痛いし、汗と血の匂いがするから抱き着いてほしくないんだけどなぁ。

俺は激痛がする左手を置き、痛みを我慢しながら愛里寿ちゃんを撫でた。

「村田さん!!」

 ……矢場さんか。

俺は声が聞こえた方向に顔を向けた。矢場さんは、まるで憧れのヒーローを見るかのように俺を見ていた。

「とってもかっこよかった!!」

矢場さんは俺をキラキラとした瞳で見ながら言った。

「……あぁ、右手は骨折してないからサインはできるな。」

 ……そう言えば約束してたよな。

  ドォン!!

扉が蹴破れる音と共に、空挺部隊と水兵達が小銃を抱えながら、船倉に入って来た。

「動くな!!!」

「動くな!!」

そう言って俺らに銃を向ける。

「待て!!若ぇのと嬢ちゃんたちは味方だ!!」

駐在さんが大声でそう言った。兵士たちは俺らを無視し、この船倉の捜索に入った。

「村田ざん゛!!」

橙辺さんが大泣きしながら言った。

「村田さんはどうかしてます!!」

「どうかしてるって……?」

俺は思わず聞き返した。

「自分まで撃つなんて!!」

 ……確かに、言われてみればそうかもなぁ。

「あの時はあれが最善だと思ってね。」

そう言って俺は周りを見た。兵たちは必死に周りを捜索をしている。

「みんなには言わないでね。」

「村田さんは自分を大事にしてください!!」

そう言って橙辺さんは俺を抱きしめた。

 ……全く、修学旅行Ⅰ(キャラバン・ワン)の前にこんな大怪我をするなんてなぁ。そう言えば、今日は護衛の初日、残りの六日間は誰が護衛をやるんだろう?

俺はそんなくだらないことを考えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 驚いたことに、この学園の駐在さんは愛里寿ちゃんのお爺ちゃんだったらしい。何でも、駐在さんの一人息子が名家に婿養子に行き、その子供が愛里寿ちゃんだそうだ。その息子さんは事故で亡くなってしまい、その息子さんの残した(愛里寿ちゃん)を駐在さんは溺愛しているらしい。

 なので俺は駐在さんにとても、とっても感謝された。具体的には、その大切な孫の婿になってほしいと……。

 流石に丁重に断らせてもらったが。

 

 

 

 

 

 

 護衛の件は学園艦が外洋に出ていたこともあり、3日目からは俺が再び護衛をすることになった。内地到着は2日後、初日から数えると5日目……。俺は包帯と三角巾姿でダージリンさんの後ろでずっと立たされることになった。

 

 ……なお、俺が偶然出したカップ麺とスナック菓子を、ダージリンとアッサムさん(ダージリンの同級生らしい)がとても興味を示し、泣きながらそれらを食べていたのは驚いた。

 

 

 

 

 

 

 

 橙辺さんと矢場さんは特待生として来年、聖グロに入ることが決まったようだ。二人は喜んで俺に報告してくれた。そして、聖グロのクラブハウス「紅茶の園」の入室許可とニックネームをダージリンから貰ったそうだ。(報告してくれたのは俺が救護室のベッドで寝ていた二日目の時)

 橙辺さんは‘‘オレンジペコ’’、矢場さんは‘‘ローズヒップ’’というニックネームだ。俺には今度からそう呼んで欲しいと二人は言った。

「えっと……オレンジペコ、ローズヒップ。今日は見舞いに来てくれてありがとう。」

二人は俺に抱き着き、俺はあまりの痛さに気絶した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、数か月後、俺は愛里寿ちゃんに呼ばれて映画館に来ていた。しかも貸し切りで……。

「あなたが村田さん?」

愛里寿ちゃんとそのお姉さんらしき人が映画館の前で待っていた。

「すいません遅くなって。自分が村田維吹です。……えっと、愛里寿ちゃんのお姉さんですか?」

するとお姉さんは愛里寿ちゃんの口をふさいだ後、愛里寿ちゃんの耳元で何かを呟いた。そしてから、

「えぇ、愛里寿の姉の千代です。」

まるで貴婦人のような雰囲気のまま、笑顔でそう言った。

  クイッ

俺の手を愛里寿ちゃんが引っ張った。

「あの時のお礼に、村田お兄ちゃんに見てもらいたいものがあるの!!」

愛里寿ちゃんはそう言って、俺の手を映画館へ引っ張っていく。

「愛里寿が頑張って作ったの。見てくださいな。」

千代さんもそう言って俺の手を取り映画館へ引っ張った。

 

 

 放映されたのは‘‘ボコられグマ’’というアニメ映画で、シージャックされた船の中で、主人公がただボコボコにされ、ボコるのに飽きた犯人達が警察に出頭していくという内容の映画だった。題名は『BOKO Hard』。

 ……あの時の事件を参考にしたのか?

「村田お兄ちゃんをモデルに書いたのよ!!」

愛里寿ちゃんが、‘‘どう!?面白いでしょ!?すごいでしょ!?褒めて褒めて!!’‘という瞳で俺を見てくる。

 ……あれ、俺ってただボコられただけだっけ?

「愛里寿が必死で台本を書いたの。村田さんのためだって。」

千代さんが嬉しそうに言った。

 ……あ、愛里寿ちゃんが必死で作ってくれたものなんだよな。あんまり嬉しくないけど。

「あ、ありがとう、愛里寿ちゃん。」

俺は考えるのをやめて愛里寿ちゃんの頭を撫でた。

「ところで村田さん。」

「なんです?」

「愛里寿を嫁にどうかしら。」

千代さんが爆弾発言をした。

「な、何言ってるんですか!?」

「あら、この子は良い嫁になると思いますよ。胸だって私のように大きくなるだろうし。」

「いやいや!!そう言う問題じゃないですから!!」

すると撫でていた手を愛里寿ちゃんがグッと掴み、自分の胸に俺の手を置いた。

「……ペタンコのほうがいい?」

「胸の問題じゃないからね!?」

俺は何とかその場を有耶無耶にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、4人との個人的な話はさておき、聖グロ内ではどうなったかを話そう。今回の事件はOG会のマチルダ会・チャーチル会・クルセイダー会が原因という事が分かり、その三つの会は発言権が地に落ちた。その結果、戦車道のOG会は資金を出すだけの組織へと成り下がってしまった。

 これを機にダージリンさんは学園の掌握に力を注ぎ、俺が送ったスナック菓子とカップ麺を使って聖グロのほとんどの組織を買収・掌握することに成功した。そのおかげもあり、クロムウェルの他に、チャレンジャー、コメット、TOG2、ブラックプリンス、トータス等の戦車が導入されることになった。

 

 翌年の第63回戦車道全国高校生大会準決勝において、聖グロは優勝筆頭の黒森峰女学園に善戦した。試合中、聖グロは黒森峰のフラッグ車・赤星小梅選手が操るパンターG型以外全て殲滅できた。しかし、そのパンターが放った流れ弾がビルの崩壊を起こし、聖グロの戦車全てがその瓦礫の下敷きになってしまい、聖グロは惜しくも敗退してしまった。

 

 

 

 

 

『い、イブキさん!!これはどういう事!?』

「え?ダージリン!?い、いや……この前送られてきたティーセットと手紙のお返しで、送ったんだけど……。いや、スナック菓子とカップ麺の箱は冗談だからね!?本命は小さいほうのはk……」

『イブキさん!!』

「はい!!」

『スナック菓子とカップ麺、ダース単位で送ってもらっていいかしら!!言い値で買うわ!!』

「お、おう……。」

 

 

 

 

 

 




 さて、橙辺さん・矢場さんのニックネームがやっと出てきました。
オレンジペコの場合は(オレンジ)  ()()
ロースヒップの場合、矢場蘭(やばらん)やばら(野バラ)ん→野バラ(ローズ)→ローズヒップ
 ローズヒップが一番考えました。流石に薔薇尻なんてないだろうし……。
 え?田尻凛?、あれはもう半ば周知の事実でしょう?(公式ではないが)



 後日談
『もしもし!!村田さんですか!?』
「ん?アッサムさん?どうしたんですか?」
『あなた!!ローズヒップの口癖を教えたのはあなただそうですね!!』
「え……口癖?」
『ローズヒップは!!い、‘‘イピカイエー・マ〇ーファッカー’’と言って発砲するのよ!!』
「えぇ……。」
矢場蘭こと‘‘ローズヒップ’’の言葉を矯正するのに苦労し、胃薬と頭痛薬が手放せないアッサムがいたとかなんとか。


 日本人であるダージリンとアッサムが毎日毎食イギリス料理ではきついであろうと思います。そして、聖グロでは校風的にスナック菓子とカップ麺はほぼ手に入らないと……。
 そんなところで、スナック菓子とカップ麺を数ヵ月ぶり、最悪数年ぶりに食べられたら……涙なしに食べられないと思います。
 そんなある意味、高級品(笑)で交渉されたら誰だって買収されると思います。

 
 
 ダージリンの格言が少なかった(というか無い)のは、それだけ余裕がなかったからです。


 愛里寿ちゃんと、千代お姉さん(?)の苗字はなんでしょうか……。いや、ガルパンファンならわかると思います。分からない人は‘‘ガルパン 愛里寿’’、又は‘‘ガルパン 千代’’で検索!!

 
 悪名高き聖グロOG会の三つの会が消えれば……こうなると思います。
 なに?そこまで強くない戦車が導入されている?……TOG2はWOTだと、高HPだし……。



それでは、次話は本編に戻ります。今度こそ
  Next Ibuki's HINT!! 「陣営決め」
です!!

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