店長「お前、8日から夏休みだよな?」
作者「え?そうですが。」
店長「お前、テストとかであんまり出れてなかったから多めに入れとくな?」
作者「え!!ありがとうございます!!」
後日、シフト表貰った時
作者「8日からほとんど休みないじゃん……。」
……泣きそう。
ついでに、今年の夏の旅行は何処に行こうか考え中です。去年は京都に行きました(カブで)。
ワトソンのポルシェが電柱に突っ込み、廃車になってしまった翌日、
バキッ!!
「ぐおぉ!!」
4時間目のバレーボールの授業中、体育館のコートの中でキンジのうめき声が響いた。
ワトソンのスパイクが、キンジの顔面に突き刺さったのだ。キンジの顔に突き刺さったボールは、ワトソンのチームへ向かって宙を飛ぶ。
「えいっ!!!」
再び、ワトソンのスパイクが俺とキンジのチームのコートへ向か……
バァン!!
「ゴファ!?」
わなかった。ワトソンのスパイクは再度キンジの顔面に当たり、またもワトソンの陣地へボールは飛んでいく。
「「「キンジ(キンジ君)!?」」」
キンジによる2度の顔面ブロックに、同じチームの俺・武藤・不知火は思わず声を出す。
キンジは……何とか立っていた。キンジの意識は
今は14対14の同点、時間は20秒もない……。キンジは、
「やぁああああ!!!!」
パァン!!!
ワトソンのスパイクが再び俺達のコートを襲う。
ズバァアアアン!!!
キンジは今度も顔面で何とかボールを拾った。キンジが必死に拾ったボールは俺達のコートの頭上に浮いている。
バタン……。
俺の近くで誰かが倒れた。きっと……
……お前の死は、無駄にしねぇ!!!!
俺はキンジが己の命に代えてでも拾ったボールをトスする。
「行けぇえええ!!!!武藤ぉおお!!!」
「うらぁあああああ!!!!」
ズドォオオオオン!!!
武藤の渾身のスパイクは敵のブロックを抜け、地面にぶつから……
「負けるかぁああああ!!!!」
敵がスライディングをしながら武藤のスパイクを拾った。
……嘘だろぉ!?
敵はボールをつなぎ、再びワトソンがスパイクをする。
スパーーン!!
……チクショウ!!ワトソンの球は取れない!!負けるのか!?
ズドン!!!
ボールは鈍い音ともに、宙へ跳ね上がった。
「え?」
そこには……倒れてもなお、顔面でボールを拾ったキンジがいた。
「き、キンジーーーー!!!」
俺は思わず叫んだ。キンジは、死んでも俺達のためにボールを顔面で拾ったのだ!!
キンジの顔面で拾ったボールは虚しくもまた敵チームのコートへ飛んだ。
「えぇええい!!」
ワトソンが何度目かのスパイクを放つ
ズドン!!
ワトソンの放ったスパイクは再びキンジの顔面にぶつかり宙へ舞う。
「これでも喰らえ!!!」
ワトソンがまたもそのボールにスパイクを打つ
ベキ!!!
キンジは何度も顔面でボールを拾い、顔は鼻血で真っ赤になっている。
ポーン……
ボールは敵陣の奥の方へ飛んでいった。
「武藤!!不知火!!キンジと一緒に勝とうぜ!!」
俺は二人に叫んだ。
「おうよ!!」
「……村田君、知らないよ?」
俺と武藤と不知火は白目をむいたキンジを抱え、持ち上げた。まるで、キンジの顔でブロックするように。
「これで終わりだァアアアア!!!」
ワトソンが最後の力を振り絞り、スパイクを撃とうと……
「キンジ行けぇええええ!!!!」
「防げぇええええ!!!!」
「遠山君、ゴメンね。」
メキィ!!
キンジは顔面でそのスパイクを防いだ。ボールは敵陣に落ちていく。
ポンポンポン……
キンジの顔に当たったボールは、そのまま敵陣に落ちた。
ピーーーー!!!
「「「「「「うおぉおおおお!!!」」」」」」
この試合を見ていた全員がキンジへ走り出した。
「「「「「「キンジ!!キンジ!!キンジ!!」」」」」」」
「「「「「「キンジ!!キンジ!!キンジ!!」」」」」」」
キンジの乗った
この日、キンジは武偵高の伝説となった。彼のその
「ってなるからさ……。やったねキンジ!!今日から有名人だ!!」
「あぁ!?」
俺・武藤・不知火はあの後、学食にて席に座るキンジの前で、床に正座をしていた。
「いや……流石に最後のは悪かったけどよ……。結果として飯奢ってもらえたじゃねぇか。」
武藤はそう言ってキンジに弁解する。
そう、今日の体育の講師が気持ち悪いぐらいに機嫌がよく(なんでもカジノでぼろ儲けしたらしい)、バレーの試合で勝ったチーム全員に昼飯(1000円以内)を奢ると約束したのだ。
それを聞いた、いつも飢えている男子高校生達が全力を出さないわけがない。一時は銃で勝敗を決めようとしたようだが、
「銃とか刃物使った奴は蘭豹先生と綴先生に好きにしていいって突き出すぞ。」
この講師の一言で、珍しく健全にバレーの試合が行われた。……恐るべし、蘭豹と綴。
「キンジだって金がねぇって言ってたじゃねぇか。確かに最後のは悪かったけどよ……飯と相殺できるだろ?」
俺はキンジに言った。
……そろそろ足が
「俺は飯欲しさに体を売ってねぇ!?」
キンジはそう言ってガーゼと包帯だらけの顔を指さした。
「まぁまぁ遠山君……。」
不知火がキンジを落ち着かせようとするが……
「不知火、お前も関与してたのはよく覚えているからな?」
「……アハハ」
不知火は苦笑いをした。
キンジは大きなため息をつき、二枚カツ丼大盛(980円)を頬張った。
「もういい。」
「ほんと悪かった。今度奢る。」
俺はそう言って立ち上がった。
「神戸牛の霜降りステーキが3食も食えるのか。ありがとな。」
キンジのその言葉に俺達3人は固まった。
……神戸牛の霜降りステーキは学食で一番高い奴じゃねぇか!!
「「「ちょtt……」」」
「あぁ!?」
「「「……分かりました。」」」
俺達は倒れこむように椅子に座った。
……出費がでかいなぁ。
俺はそう思いながら箸を持ち、そば付き天丼大盛(890円)を食べ始めた。
「でもなんだってキンジの顔面ばっかりワトソンは狙ったんだ?キンジに恨みでもあるのか?」
俺はそう言った後、そばを
……あぁ、やっぱり逆二八だな。
「俺もそう思ってたんだ。あんなに顔面にぶつけるなんて、よっぽどの事じゃないとやんねぇぞ!?」
武藤は二枚カツカレー大盛(950円)を頬張った後、大声で言った。
「そうだね。正確に遠山君の顔にぶつけられる技量があるんだ。彼だったらこの試合は余裕で勝てたはずだ。」
不知火も海鮮丼(990円)を食べ、ちゃんと飲み込んだ後そう言った。
「恨み……?そういえばアリアの婚約者だからって、俺に宣戦布告してたな。イブキだって見てただろ?」
「え!?あれだけ!?」
俺はキンジの言葉に驚愕した。あの後なんかあったと思ってたんだが……。
「うわぁ……今度は神崎さんを遠山君と彼で奪い合うんだ。」
不知火はニコニコと……満面の笑みで言った。
……不知火は他人の色恋沙汰、好きだよなぁ。
「今までキンジの取り合いだったのになぁ。……こいつぁ飯がうまいぜ。」
武藤はこれまた旨そうにカツカレーを頬張る。
「あつっ!!」
武藤は口を押えた。揚げたてのカツか、カレーのルーで火傷でもしたのだろう。
……天罰でも落ちたのか?
俺はそう思いながら天丼をかきこんだ
俺はパパっとそば付き天丼大盛(890円)を食べ終え、今度はリサお手製の弁当を出した。
「ムラタ……君は結構食べるんだね。」
「んあ?」
そこには、ステーキ・プレートセットのトレーを持ったワトソンがいた。
「ここ、いいかい?」
そう言いながらワトソンは、俺達が有無をいう前に座った。チラリとキンジを見ると、さっきまでブスッとした顔をしていたが、さらに不機嫌になっている。
「ムラタ、君はちゃんと味わって食べてるのかい?早食いは体に悪い。」
ワトソンはそう言った後、胸の前で十字を切り、ナイフとフォークで上品にステーキを切り始めた。
「江戸っ子はせっかちだ。しかも軍にいたから余計に早食いになっちまったんだ。」
俺はそう言って弁当を開けた。
……あぁ、今日も旨そうだ。
「パーティーに呼ばれた時はゆっくり食べる。でもここはそんな堅っ苦しいとこじゃないだろ?」
俺はそう言って卵焼きをつまんだ。
……うん、出汁がしっかりしていて旨い。
「そうか。」
そう言って、ワトソンはニコニコとキンジを一切見ずに一口大の肉を口に運んだ。
……空気重くなった。
昼食の時間、俺達のテーブルはワトソンが時々しゃべる他愛のない話以外はシーンとしていた。
武偵高では、2学期でも月1回は屋内プールで体育をやることになっている。ワトソンとの昼食の数日後、そのプールで体育をする日になった。
水泳の授業でワトソンが何か仕掛けてきたら、今度は反撃するとキンジは言っていたが……肝心のワトソンは見学だそうだ。
……なんだってワトソンは男装してるんだ?アリアと結婚していいことは……資産?ワトソンは金をだいぶ持っていそうだしこれはない。貴族の格?たかがそんなために、すぐにバレる男装をするのか?
俺はそんなことを考えながら準備運動をしていると、黒い長袖長ズボンのスポーツウェアのワトソンが現れた。ワトソンはグラサンをかけ、パイプ椅子を取り、埃をポンポンと入念に払ってからテーブルの横に広げた。。
そして、その椅子に膝を揃えて上品に座ってから、何かに気付いたような素振りをした。ワトソンは慌てて、足を組んだ。
……別に膝をそろえて座ってもいいと思うがなぁ。
「よーしガキ共!!?プールを20往復しろや!!!サボった奴は射殺やからな!!!!」
ズドォオオン!!
蘭豹はそう言いながら、スターターの代わりにS&W M500を撃って、すぐいなくなってしまった。
……相変わらずだな、武偵高は。監督しないのかよ。
生徒達は一斉にプールへ飛び込み、横向きに20往復した。縦か横か蘭豹は言わなかったからな。
20往復が終わった後、大分時間が余った。俺は武藤がロッカーから持ってきた雑誌の束から居酒屋特集が組まれた雑誌を取り、ワトソンの傍にあるパイプ椅子を拝借して座った。
「……ん?」
俺はふとワトソンを見た。ワトソンは俺をジッと見たまま固まっていた。
「「……。」」
……最近、ボディビルのコスプレのために鍛え始めたのだが……そこまでガン見する物か?本職のボディビルダーに比べたら全然筋肉はついていないのだが。
俺はワトソンの顔を覗きこむと、ワトソンは顔を真っ赤に染めた。
「……ワトソン。」
俺はワトソンに声をかけた。
「ひゃ、ひゃい!!!」
ワトソンの声は上ずっていた
「おまえの性別上ショウガナイんだが……男に興味があると思われるぞ?」
「ぼ、僕は男だ!!」
ワトソンはそう言って
「……まぁそうだとしても、そんなに見るような体じゃないだろ?傷だらけだしな。」
俺はそう言って自分の体を見た。俺の目には、痛々しい縫い痕や銃痕が映った。
「それがいいんじゃないか……。」
「……は?」
……今
俺は思わず距離を取った。
「な、なんで距離を取ってるんだい!?」
ワトソンはそう言いながら俺の体をじろりと見る。
「いや……傷痕に興奮するドSなんだろ?」
「ち、違う!!!」
ワトソンはそう言って手をバタバタした。
「……おい、ワトソン。体調悪いんなら
そう言ってキンジは映画雑誌を手にしながら、近くのパイプ椅子に座った。
「あれ、どうしたの?ワトソン君、調子悪い?」
律儀に縦20回に相当する横34回の往復を終え、濡れた髪をかき上げながら不知火がやってきた。
「う、あ……!?」
ワトソンはそんな不知火を見て後退りをしようとして……
バタン!!
椅子ごとひっくり返ってしまった。
「……今日は帰って寝ろ。そもそもあんな怪我して、しかも大事故起こしたのに平気なわけないだろ?」
俺はそう言ってワトソンを引っ張り上げた。
……あんなことあったのに、よくバレーは出れたよなぁ。
俺はワトソンの回復力に感心した。
「あわわわ……」
ワトソンは慌てたような声を上げた後、俺の腹筋を見つめながら顔を真っ赤にして静かになった。
「おいイブキ!!キンジ!!これAKB全員載ってるぞ!!!不知火も来いよ!!総選挙やろうぜ!!!」
今度はプールサイドを歩きながら武藤が堂々とグラビア雑誌を広げながら歩いてきた。
「4人じゃあ総選挙は無理じゃないかなぁ」
不知火は苦笑いをしながら雑誌を覗いた。
……不知火の奴、乗り気だな。
「お前らなぁ……そんな事して、何の得があるんだよ。」
キンジもそう言いながら、武藤の雑誌に近寄って行った。
「好みのタイプが分かるくらいか?」
俺もそう言いながら武藤の雑誌を覗く。
「じゃあ、一人につき5票な。おいワトソン、お前も選べよ」
プシュ!
武藤はそう言った後、コーラの缶を開けて口をつけ、雑誌をテーブルに開いておいた。
「こ、断る!!そ…そ、そんな本!!公共の場で広げるな!!!」
こっちを見ない様に俯いていたワトソンが、プイっとそっぽを向いて言った。
「お、ありがとな。」
武藤が俺にコーラの缶をくれた。俺は口を付けないように一口飲み、不知火に渡した。不知火はありがとう、と小さくお礼を言うとコーラを一口飲み、キンジに渡した。
「まぁまぁ、そう言うなって!!こんだけ居りゃ、絶対一人は気に入る子がいるもんだぜ!!騙されたと思って、全員ザッと見てみろよ!!」
武藤はそう言いながらワトソンと無理矢理肩を組み、と引き寄せる様にして写真を見せた。
「キャッ!!」
武藤の胸に顔を寄せる様になったワトソンは、短く悲鳴を上げた。
……あいつ、本当に男装するつもりあるのか?
サングラスがズレた先にあるワトソンの目は、若干潤んでいる。
「な、なんだよ女みてーな声出して!!……じゃあやんなくていいよ。てか……ちと熱っぽいんじゃねぇのか?ほら、コレやるよ!!熱あるときは気持ちいいぜ!!」
武藤はそう言いながら、キンジが持っていたコーラをひったくり、ワトソンに渡した。ワトソンは手渡されたコーラを両手で受け取り、
「で、でもこれはさっき、君たちが……」
「量が少ないってか?」
「ち、違う!!く、口をつけた物を!!」
「男同士で何言ってんだ。」
俺はため息をついた後、ワトソンの持っていたコーラを奪った。
……男装しているからショウガナイが、セクハラだからな。
「武藤、こいつぁ外国人で、しかも貴族様だ。文化的にそういうのは受け付けないんだろ?」
俺はそう言って助け舟を出した。
「あ、あぁ!!そうなんだ!!おばあ様がそう言ってたんだ!!!」
ワトソンはこれ幸いにと手をブンブン振りながら言った。
「そ、そうか。」
武藤は渋々引き下がった。俺は武藤にコーラを返し、
「ワトソン、蘭豹に言っとくから帰って寝ろ。……付き添いはいるか?」
ワトソンにそう言った。
「あ、あぁ!!ありがとう!!だ、大丈夫さ!!帰らせてもらうよ!!!」
声変わりしていない様な高い声でワトソンは言い、脱兎の如く走りプールを去った。
……なんだって、あんなにずさんな男装をするんだ?
俺は不思議で仕方がなかった。
ズルッ!!ビタン!!!
「おい、大丈夫か!?」
……あんなに勢いよく走るから
ワトソンはプールサイドで勢いよく転んだ。
「ッ~~~~!!」
ワトソンはさらに顔を真っ赤(恥ずかしさと鼻血のせいで)にし、スクっと立ち上がると再び走り出した。
その放課後、俺は銀行強盗達をボコボコにし、お縄にし終わった時に携帯電話が鳴った。携帯を見ると……平賀さんからだった。
……弾ができたのか?結構早いな。
「もしもし?」
『あ、村田君!!96式25ミリ機銃の弾が73発できたから、その連絡なのだ!!』
案の定、平賀さんからの電話だった。
……あぁ、やっとできたのか。
「……あの、平賀さん。俺は200発注文したから27発分少ないんだけど。」
俺は200発注文し、100発をすでに受け取った。なので残り100発……27発分は
『実は弾の製造が予定より遅れそうなのだ。だから今できている分を先に渡しておきたいのだ。』
……製造が遅れる?材料調達に不備でも出たのか?
「珍しいな。なんかあったのか?」
『
「……校舎の修繕?そんなに美味い依頼じゃなかったよな?」
……
『ワトソン君がお金を出してくれて、あややを指名したのだ!!!今月、あややは大忙しなのだー!!』
……ワトソンが平賀さんを?……なるほど、キンジや俺の兵站を潰しに来たか。
「……そいつぁショウガナイや。平賀さん、修繕頑張ってね…っと!」
銀行強盗の一人が袖口から針金を出したので、俺はそいつの手を蹴り、針金を明後日の方向に飛ばした。
『ありがとうございますなのだ!!』
ッーッーッー
電話が切れた。
……平賀さんとの会話でわかったことがある。ワトソンはキンジと俺(俺はまだ不確定だが)を目の敵にしているという事だ。理由はアリアとの関係。しかし、ワトソン本人は女性なのだ……
「あ……」
俺は銀行に貼ってあったポスターのおかげでわかった。
そのポスターには、自然の中にある綺麗な湖と山‘‘
「……同性愛か?いや……両刀か?」
……同性愛を考えたが、プールサイドで俺達の姿(パンツ一丁)を見て真っ赤になっていた。きっと、アリアが本命の両刀なのだろう。
「……面倒になったもんだ。」
ピーポーピーポー
やっと警察が来たようだ。
ワトソンの両刀疑惑が浮上した翌日、トイレから戻ってきた俺にキンジがドヤ顔で
「ワトソンの弱点を見つけたぞ!!」
なんて言ってくるので聞いてみると……くじ運の悪さらしい。
「俺達も運はすこぶる悪いぞ。」
……悪運は強いけどな。
キンジはその言葉でorzの体勢になった。
俺がトイレに行っている間、ワトソンの
1年が休み時間に持ってきたクジ引きの箱のくじを引いたワトソンのお題は……
『女子制服(武偵高)』
……男装少女が女子制服を着るなんてなぁ。
分かり易く言うと、某女性だけの劇団‘‘宝〇歌劇団’’の男役が女役をやると……うん、違和感ないな。
「Strategy is trick.…… If you don't wanna be suspected, you should show it.」
……直訳すると、『戦略は策略だ。疑われたくないなら、それを見せよ』。いや、今回の場合は‘‘策略’’より‘‘だまし合い’’と訳したほうがいいかもな。要は、『男装バレるくらいなら、見せちまえ!!』。でも、その言葉をここで言うのは、どう考えても悪手だぞ?
「……イヤだなぁ。イヤだけど……まぁ、やらないと教官に絞られるそうだし。クジを引いたからには、やるよ。すぐに着替えるのかい?」
ワトソンのこの言葉で女子たちは狂喜乱舞。大喜びで自分たちの制服をワトソンに押し付けようと、我先にジャージ片手にトイレへと消えていった。
男子は男子で「ついに三次元で男の娘が見れる」等と意味不明な事を叫びつつカメラを構えている。
……女の子が、女の子の格好をするだけなんだがなぁ。
その後、女子から制服を借りたワトソンは教室を出ていった。
暫く待っていると、
ガタン
教室の天井のパネルがずれた。
「せっかくの変装だから、少しサプライズで登場するね。」
そんなワトソンの声が聞こえたと思ったら……
パッ…スタッ!
天井の穴から教壇へ、制服姿の美少女が降り立った。
ショートカットのボーイッシュな美少女はSIGを構えながらウィンクをした。
「「「「うぉおおおおお!!!」」」」
今度は野郎共の野太い歓声が上がった。
……素材は良いと思っていたが、ここまでだとは思わなかったな。そう言えば、最近見てくれはいい子ばっかり会うな。メーヤとかヒルダとかワトソンとか……騙されないようにしよう。
さて、この一件以降、ワトソンを快くないと思っていた一部の野郎共がワトソンに優しくなっていった。全く、現金な奴らだ。
まぁそんなことはともかく、ワトソンは晴れてクラス全員の寵児となり、どんどん友達を増やしている。
そのワトソンと険悪な関係のキンジや俺(なんだって俺もなんだよ)……居場所を奪われ始めていた。
武藤曰くホームパーティーなんかにも誘われたらしく、うまい物をたらふく食ったと……。
ワトソンは俺とキンジの外堀を埋めてきたようだ。キンジはワトソンのやり方を小汚いと言っているが……汚い・卑怯は負け犬の遠吠えでしかない。ワトソンの策も立派な戦術だ。
この日の夜、俺とキンジは暇だった。リサはやっと部屋をあてがわれ、自分の荷物を置きに行ってそのまま一泊するそうだ。ネロやエル、牛若、ニトもその手伝いに行ってしまった。
キンジは今、リビングでベレッタとデザートイーグルのオーバーホールで時間を潰している。
「キンジ、ちょっと部屋にこもるわ。」
「ん?あぁ。」
俺は自室に行き、25ミリ機銃を整備用の台へ置いた。そしてパソコンとプリンターを起動し、メガネさんと辻さんから送られてきたメールをコピーした。流石に同居人の親友でも、軍からの情報は見せられない。
「ワトソンの情報とかなえさんの件、そして今後の事か。」
俺はその文章を読みながら、25ミリ機銃の簡易整備を始めた。
『 エル・ワトソンと神崎かなえについて
時間が無いので単刀直入に書きます。
エル・ワトソンについて
・秘密結社「リバティー・メイソン」の諜報員
・貴族出身で子爵の地位にあり、シャーロックホームズの相棒、J・H・ワトソンの曾孫である。30年ほど前から
・「
・ワトソン家はエル・ワトソン以外子供がいなく、そのせいで男装をしている。
日本と英国の取引と神崎かなえについてはまだ調査中です。
メガネより』
……なるほどなぁ。嫡子がいないから男装すると。アリアに固執する理由については……ワトソン家の
俺はそう思いながら25ミリ機銃の分解が終わり、部品を見ると……
「撃針をそろそろ変えないとなぁ……替えはまだあったっけ?」
撃針が痛んでいた。俺は棚を探し、25ミリ機銃用の撃針を見つけた。
「残り4本か……
25ミリ機銃は撃針とエキストラクター、尾栓が傷みやすい。俺はどの部品を発注するか考えながら25ミリ機銃を組み立てていると……
コンコン
ドアがノックされた。俺は急いでメガネさんと辻さんのメールを印刷した紙をしまい、パソコンを閉じた。
「イブイブ、いる?」
理子が来たようだ。
「ちょっと待ってくれ。」
印刷した紙をしまった棚に鍵をかけ、俺はドアを開いた。
「理子か、どうした?」
「イブイブ~、一人寂しく銃の整備ですかぁ~?」
理子は俺を下から覗き上げるように見てきた。
「なんだよ、こんな夜更けに……」
俺は自室の椅子に座り、25ミリ機銃の組み立てを再開する。
……理子の様子がおかしい。理子の笑顔はぎこちなく、耳には禍々しい気配を放つ蝙蝠の形のピアスを着けていた。何かあったに違いない。……我ながら全く情けない。てやんでぃ、何が「守ってやる」だ。
俺は大きなため息をつくと同時に、25ミリ機銃を組み立て終えた。
「ム~……なに?イブイブはこんな美少女がワザワザ来てくれたのに嬉しくないの?」
理子はプク~と頬を膨らます。
ブシュッ
俺は両手で理子の頬を強めに潰し、某天才無免許医師の漫画に出てくる‘‘アッチョンブリケ’’の顔にした。
「ムゥーーー!!」
その変顔が面白かったので、俺は理子の顔でしばらく遊んでいたら理子が怒ったような
‘‘こいつぁたまらん’’と俺が手を放すと、理子の頬が再びプク~と膨らんだ。
「理子、飲酒許可証持ってたよな。」
俺は理子が飲酒許可証(偽造)を持っているのを思い出した。
「え?あれは偽z……」
「俺が見た時は本物だったような気がするんだよなぁ。一杯付き合ってくれないか?」
俺は
……俺は酒が無けりゃ、何があったかも聞けないのか。本当に情けない。
俺は自己嫌悪と共に、‘‘酒蔵部屋’’に向かった。
俺は貰い物のテキーラ・‘‘ホセ・クエルボ 1800 アネホ’’とショットグラス、岩塩とライムを持ってきた。
「テキーラ、苦手か?」
「……ううん。」
「そうか。」
そして、俺は銃剣でライムを8等分にし、皿に盛った。
次に、俺はそのテキーラをショットグラス2つに注いだ。そして左手の甲の人差し指と親指の間の部分を、ライムで湿らし、岩塩を乗せる。その塩をなめ、口の中一杯になったしょっぱさをショット一杯分のテキーラで胃に流し込み、最後にライムをかじった。
理子はその様子を凝視していた。俺と目が合うと、理子は同じように、そして上品にテキーラを飲んだ。
「いい飲みっぷりだな。」
俺はそう言って、また二つのショットグラスにテキーラを注いだ。
「イブイブもね。」
理子はそう言って腕で口を
俺は再び同じようにテキーラを流し込んだ。
「何があったんだ。」
「…………。」
理子は無言だった。俺は三杯目のテキーラを飲み干した。
「言いたくなかったら……いい。ゴメン。」
俺はそう言って、再び自分のショットグラスにテキーラを注ごうとすると……理子がその瓶をひったくるように奪った。そして、理子は注いであったテキーラを一気に飲み干し、もう一杯注いで勢いよく
「お、おい……。」
「……イブイブ。」
理子はユラリと立ち上がり、俺に抱き着いてきた。
「……忘れさせて…全部忘れたいの。昔の、事……アイツ見てから、毎晩思い出すの……もう、耐えられない……」
理子はそのまま静かに泣き始めた。
俺は理子の背に手を回し、抱きしめた。
「……」
理子はさらに力を入れて俺に抱き着き、俺の服を濡らしていく。
俺は理子の頭を撫でた。さらに泣く勢いが強まる。
……俺も辻さんが居なかったら、理子と同じ目にあっていたんだろうか?
俺は理子が泣き止むまで、抱きながら頭を撫でていた。
「うぅ…頭が痛い…気持ち悪い……」
理子が泣き止むと、顔を真っ赤にしながらそんなことを言い出した。
「酒に慣れてない奴がテキーラのショット三杯、しかも一気に飲んだらそうなるだろ?」
俺はそう言ってテキーラとライム、塩、ショットグラスを片付け、水の入ったコップを渡した。理子はそれを受け取り、ゆっくりと飲み干していく。キンジはもう寝たようだ。
……勧めた俺が悪いのだが、一気に3杯も飲むとは思ってもいなかった。
「うぅ……。」
理子は頭と胃を押さえながらうめき声を出す。
「酔い止めと水だ。これ飲んで寝るぞ。」
理子はそれを受取ろうとした瞬間、
「イブイブ……ゴメンね…」
理子はガシっと俺の体を掴んだ。
「は?」
オロロロロr……
「おい!!馬鹿野郎!!トイレで吐けって!!」
あえて何をやったとは言わないが……理子は俺に向かって盛大にやった。
「……なんだよ、うるさいな。」
キンジが目をこすりながらリビングに来た。
「き、キンジ!!雑巾!!雑巾持って来て!!!早く!!!!」
オロロロロr……
キンジの顔面ブロック&セーブネタは、コメディアンの某スコット・ス〇ーリング氏のネタを参考にさせてもらいました。
‘‘逆二八そば’’は小麦8に対してそば粉2という、普通の二八そば(小麦2に対してそば粉8)の比率と逆なので、逆二八そばと言われます。
イブキの‘‘ワトソン両刀疑惑’’は本当なのでしょうか……。
テキーラの飲み方
1.塩を舐めます
2.テキーラを一気に飲み干します
3.最後にライムをかじります
調べると、‘‘先にライムをかじってからから飲み干し、塩をなめる’’という方法もあるそうです。どっちが正しいのか分からないので、調べたサイトの中で一番多い方にしました。
自分は先にライム派です(酸っぱいの苦手でしょっぱいの大好きだから)。うまく飲めるのが一番ですよ!!
Next Ibuki's HINT!! 「ウェイトレス」