俺は目が覚めると……夜の校庭で寝ていた。
……え、ここどこ!?
慌てて起きあがり周りを見ると……全く見たこともない学校だ。
「は……?はい!?」
「うるさいわね、静かにしてて」
俺の目の前には、紫色の髪の美少女が対物狙撃銃を握り、何かを狙っていた。
「え、いや……お嬢さん、助けてくれたのか」
「えぇ、NPCじゃなさそうだし、保護したわ。」
紫色の髪の美少女は銃を離し、俺の方を向いた。
「俺の名前は村田維吹……お嬢さんは?」
「……あたしは仲村ユリ、みんなは親しみを込めて‘‘ゆりっぺ’’って呼んでいるわ」
これが……
「いや、やっぱり俺死んでねぇよ!!!」
俺は飛び起きると……そこは見慣れた武偵病院の病室だった。
……頭が痛い。こりゃ二日酔いだな。
俺は近くにあったウォーターサーバーの水をがぶ飲みしていると……病室のドアが開いた。
「……あ、イブキにぃ!!」
扉を開けたのはかなめだった。かなめは包帯がグルグル巻きであったが……ケガを感じさせない軽やかな足取りで俺に抱き着いてきた。
……いや、良かった。本当に良かった。俺はかなめが死んだのかと……
俺は思わずかなめの頭をなで始めた。なぜか目と鼻がすごく熱くなり、視界がゆがむ。
……かなめの仇を取ろうと思って、結局グダグダになって……情けねぇ兄貴だよなぁ。
「あ、そう言えばイブキにぃ!!」
かなめは頭を俺の腹にグリグリと押し付けた後、パッと顔を上げていった。
「今日、中間テストだったよね。」
……中間テスト……中間テスト!?
「……………‥え゛!?」
思い出した。学力的に点数は問題ないのだが……サボったら俺が死ぬ。
具体的に言うと……師匠・エジソン・ベオウルフにボコボコにされ、上官の
俺は……自分の顔が真っ青になっていくのが自覚できる。
俺は時計を見ると……8時15分。試験開始まで残り15分。そして、
よって、5分以内で医者を探し、退院許可をもぎ取らねばならない。
……着替える時間もねぇ!!
俺は‘‘四次元倉庫’’から紅槍を取り出し、穂先に着替えを
「どこだぁ!!!どこだ矢常呂先生ぃいいいいい!!!!」
「あ、イブキにぃ!!あっちにいたよ!!」
「ありがとな!!!」
俺は何とか矢常呂先生を探し出し、かなめと一緒に校舎へ走り始めた。
道行く外国人からは『wow!! Japanese HIKYAKU!!!』などと言われながら写真を撮られ、クラスメイトからは『変態』と白い目で見られたのは言うまでもない。
数日後、中間テストを無事に終え、北海道で‘‘蝦夷テレビ’’のロケに付き合わされた俺は……師匠(スカサハ)に‘‘酔拳’’の修行をつけてもらっていた。(俺は飲んでない)
「よ…と…うわぁああ……ゴフッ」
「…………ハァ」
俺を簡単にボコボコにした師匠は槍をグルグルっと回し……石突(穂先の逆側の部分)で地面をたたき、大きなため息を吐いた。
「基礎がまるでなっとらん。いや……一部が全くできてない。だからこの程度だ」
師匠はそう言って槍を地面に刺し、
ドスッ!!!
俺の目の前5センチ以内に槍が着弾した。
「……どうかしたか?」
「いえ……何でもありません」
俺は‘‘酔拳’’の基礎ができていない理由を考え始めた。
……やっぱり、半日……いや数時間で基礎をすべて習うのは無理があるよなぁ。
帰る日の当日、飛行機が出るまでの5時間ほど……リーさんに中国語を習いながら‘‘酔拳’’の基礎を教わったのだが……リーさん曰く『君のはまだ未完成だから』だそうで。
……我流でやるか、香港まで教わりに行くか、どっちかだな。
「そもそもお主、なんだって‘‘酔拳’’なんざ身に着けようとする?」
「……俺、この‘‘
「ほぉ……」
師匠の紅い眼がギロリと俺を捉える。
「‘‘襲われる側’’はいつ襲われるか分かりません。それこそ酒を飲んでいる時でも……。『酒に酔って対処できませんでした』って言うのは理由になりません。だから……酔っぱらってても対処ができる‘‘酔拳’’を身に着けy……」
「……酒を飲まなければよいd」
「酒を飲まないなんてありえません!!!!」
師匠の溜息が響き渡る。その時……
「おう、村田ぁ~。」
蘭豹が不機嫌そうにやってきた。蘭豹は師匠の姿を確認すると、
敬礼が終わった後、首を持ち……
「お前に依頼や。」
引きずり始めた。
「え、ちょ、待って!!待ってください!!せめて自分で歩かせてください!!!」
今日、あたし達は学校見学に来た。何故だかわからないけど……あたし達はなぜか、銃器が手になじむ。だから……‘‘東京武偵高校’’を見学に来た。
学校見学の時……教師に襟首を掴まれ、引きずられている生徒を見た時……なぜか知り合いの様な、そんな気がした。初めて会った顔なのに……
「おい‘‘ゆりっぺ’’。早くいこうぜ!!」
「え、えぇ……」
「なんだよ、今の生徒に見惚れたか!?」
「…………フンッ!!!」
「イテテテテ……!!!!」
俺は応接間に放り投げられた。俺はヨロヨロと立ち上がると……そこには、メガネをかけたスーツ姿の女性と、金髪で背の低い美少女がいた。
「村田ぁ、この子の護衛せい!!」
「……え?」
……いや、今
俺は色々と思考を巡らせるが……理解できない。
……まぁいい。とりあえずは挨拶だ。
「えっと……村田維吹です。」
「
俺は彼女の『美しい笑顔の裏にある腹黒さ』を見抜き……悟った。
……こいつ(この人)とは馬が合わねぇな(ないわね)。
「「よろしくお願いします」」
俺と彼女は……『何かを隠す黒い笑顔』のまま手を握った。
……全く、軍は何を考えてやがるんだ!?
あれ?そう言えば『ノンナさん』と声が似てないか?
さて、場所は東京の某所。
ある一室にて、HS部隊第一中隊の中隊長、鈴木敬次大佐は紫煙と一緒にため息を吐いた。
「……全く、東京へ侵攻はまだ千歩譲って許すとしても、
鈴木敬次大佐は手に持っていたパイプの灰を掻きだした後、あるDVDを出した。
「‘‘イヴちゃん’’に危害を加えようとは……!!!」
鈴木敬次大佐は、ハッピとハチマキをつけ、DVDを再生した。DVDは……
「‘‘イヴちゃん’’!!‘‘イヴちゃん’’!!!」
「あの……藤原少佐、中隊長の部屋からまたあの音が……」
「小野田、無視しろ。気づかないふりをしておけ……」
「し、しかし……だいぶ音が漏れているんですが……」
「下手に触れば‘‘鶴見’’のように飛ばされるぞ」
「は、はい!!!!」
藤原少佐は漏れる音を無視して仕事を始めた小野田少尉を見ながら……ため息をついた。
……まぁ、‘‘鶴見’’の場合は自由にやりたいからワザと触れて海外に飛ばされたんだろうけど。
藤原少佐は……マカオで工作を行っている鶴見中尉を思い浮かべた。
マカオにて
「チャンくぅうううん!!!これはいい‘‘入れ墨人皮’’じゃないか!!!」←鶴見
「我、頑張ったネ!!!」←チャン
「月島ぁ!!これを‘‘キニ―45’’の前に置いてこい!!」←鶴見
「ハッ!!」←月島
『白鷺千聖』と『ノンナ』の声が似ている理由は、中の人が同j……中の人はいません、ハイ。
彼女を護衛するさせるように仕向けたのは……もちろん鈴木敬次大佐。カッコいい印象が今まであったのに……(笑)
閑話を挟んでから次章へ突入します。
Next Ibuki's HINT!! 「エビ」