少年士官と緋弾のアリア   作:関東の酒飲

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 遅れに遅れてのクリスマス特別回。
 予定では2月の上旬には上げる予定だったのに……気が付けば3月も間近。遅れの理由としては……インフルの猛威のせいによるバイト疲れです。




 そして毎回書いてますが……今回登場する人物たちは架空の人物です。実際に存在する人物ではありません。
 もう一回言います。今回登場する人物たちは架空の人物です。実際に存在する人物ではありません。


閑話:クリスマス特別編 上

12月10日午前1時過ぎ

 北海道札幌市内の某所にて

 

 

 

「時間は1時15分をとうに過ぎたところで御座います。テレビを見ている皆さまもね、このぐらいの時間かと……」

「そうですね!きっと今ちょうど回っているんじゃ……」

 

俺は眠い眼をこすり、あくびを噛み殺しながら……和泉さんと鈴藤さんの掛け合いを眺めていた。

 

 

 

 なぜ俺がこんな深夜に札幌にいるのかというと……藤崎さんが東京武偵高(うち)任務(ロケ)の依頼をしたからだ(極東戦役:極東編 俺の酒が……より)。ついでに依頼料は‘‘0uちゃんグッズ’’と‘‘交通費(新幹線の自由席)と1000円’’。

 

 ……あれ?一応俺、Sランクの武偵だったよな。

 

 なお、蘭豹&綴先生から『サイン貰ってこい』と脅されているため……拒否権はない。

 

 

 

音野さんが撮るカメラの横にいる藤崎(ヒゲ)を一睨みした後……俺は再びため息をついた。

 

「皆さんもね、‘‘眠たい眠たい’’と思われているかもしれませんが………我々も!!」

「……ククク」

「……全くだ」

「同じ環境に、身を置いて!!!収録やって行こうと思っています」

 

 俺は周りを見ると……‘‘0uちゃん(安浦憲之助(やすけん))’’、‘‘死んだ目をした理子’’、‘‘金髪幼女と黒髪の保護者(?)’’がいる。

 理子もあの藤崎(ヒゲ)から直々に指名されたらしい。‘‘死んだ目’’をしているのは……‘‘シェフ和泉’’の料理にダウンして……まだ1か月とちょっとしかたってない。まだトラウマが治ってないのだろう。

 

 ……安浦さんと理子はともかく、この二人はなんだ?

 

金髪幼女は目をキラキラして二人の掛け合いを見ている。もう一人の黒髪美女(保護者?)は冷たい瞳で見ているが……心なしか、ワクワクしているように見える。

 

 ……というか、何なの黒髪美女!!胸がでかい!!リサを超え……白雪クラス!?あんなスラッとした身長にそれは凶悪すぎd……

 

『イブキにぃ?』『お兄ちゃん?』『『これが‘‘放置プレイ……啊啊(あぁ)!!』』

 

かなめに粉雪、ココ姉妹の幻聴が聞こえ、理子が‘‘死んだ目’’のまま俺を見てきたため、考えることを中断した。

 

 

 

 

 

  『大人の女性が好みなら……私がいるぞ』

 

 ……おい、ハンナ(高校生活一学期編 大量破壊兵器は使っちゃいけない・・・ より)。変な冗談言うんじゃねぇよ。久しぶりの登場だからってはしゃいでんのか?

 

  『私のことをわかっているじゃないか……それならば結婚をsh……』

 

 ……HS部隊(うち)よりも波乱万丈になりそうだから嫌です。

 

おかしい、ハンナの幻聴まで聞こえてきた。疲れているのだろうか。

 

 

 

 

 

 

「テレビをご覧の皆様は……今、12月24日。和泉さん、その日はなんでしょうか?」

「知りたくもないね」

「まぁ……世間一般ではクリスマスイブです」

 

 藤崎さんの笑い声が‘‘蝦夷テレビ’’の社屋に響き渡る。

 

「テレビをご覧の皆さんもこれからパーティーなんかするかもしれません!!我々『木曜どうでぃ』も皆さんと一緒に、パーティーを!!」

「「「「「おぉ!!!」」」」」

「気の合った仲間達と!!『木曜どうでぃ』の全スタッフ、集まってパーティーをしようと思っています!!」

「俺達はこんな時間に呼ばれて、パーティーなんて……別に昼にやってもいいでしょ?」

 

鈴藤さんの言葉に、俺と理子・幼女と保護者(?)が思わず歓声を上げた。

 

 ……そうか!!パーティーか!!パーティーなら銃撃戦になったり、あんなものを食わされ……食わされ……

 

急に気分が悪くなった。俺は思考を停止し、落ち着こうとすると……なぜか気分がよくなる。

 

 ……俺は一体、何があったんだろう。

 

また気持ち悪くなってきたので、無心で二人の様子を見る。

 

 

 

 

 

「パーティーと言えば……豪華な料理!!!

 

鈴藤さんの言葉に、俺はその言葉にうんうんと頷く。

 何故だかわからないが……嫌な予感がするのは何故だろうか。

 

「料理と言えば……思い出すのは君です。和泉さん!!」

「…………そうでした。」

 

 ……え?

 

「今日は打ち抜かれに……お見舞いされにやってきました」

「よし、理子。……帰ろう」

「うん、イブイブ。……あ、依頼料どうする?」

「丸々返す……いや、むしろ色付けて返してやろう。金払ってでも出たくない」

「じゃあタクシー呼ぶね。」

「俺は飛行機か新幹線の予約するわ」

 

鈴藤さんが衝撃の言葉を放った瞬間、俺と理子は急いで帰る準備を始めた。

 

 ……当たり前だ!!見ているだけでもあんなに(ひど)かったのに、食べるなんt……

 

また気持ちが悪くなったので、考えることを止める。俺達は急いで荷物をまとめ、蝦夷テレビの社屋から出ようと……

 

「アッハッハッハ!!!」←藤崎

「大分失礼なこと言ってるけど……二人の気持ち、すっごく分かるんだよね」←和泉

「いやいやいや待って!!待ってって!!!」←鈴藤

 

俺達は鈴藤さんに無理やり連れ戻され、イヤイヤこの企画に参加されることになった。

 

「大丈夫!!大丈夫だから!!もう『シェフ和泉』はあんなひどいの作りませんから!!」

「……なんです?僕の作ったのがマズいと?お見舞いしますよ?」

 

 ……何この人、ヤバいの作る気満々じゃん。

 

「「……帰る」」

「アッハッハッハ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 その後、もう少し二人の掛け合いが続いた後……

 

「さて今日は……スペシャルなゲストをお呼びしてます。」

「まぁ、もうバレてますけどね」

「まずはこの方……‘‘0uちゃん’’です」

 

鈴藤さんの紹介と共に……0uちゃん(安浦さん)が渋々カメラの前に出ていった。そう言えば……今日すごくテンションが低かったな。

 

「さっきの村田君や峰ちゃんよりもやる気がないのはこいつですよ!!だってこいつ誕生日が今日なんだもの」

 

 ……なんてかわいそうに。

 

俺と理子は思わず同情した。誕生日にあんなもの食わされるなんて……

 

 

 

 

 

「それとですねぇ……さらにビックな方が来ております!!

「そう言えば可愛らしい子が来てるけど……彼女達は一体誰なんだい?」

 

和泉さんも知らなかったらしい。

 

「実はですねぇ、我々のロケに同行したいという物好きな方がいまして……」

 

藤崎さん(ヒゲ)の言葉に、俺と理子は頷いた。

 比叡山で武装ラジコンに追い回され、‘‘シェフ和泉’’のクソマズい飯を食わされ……挙句の果てには、どこへ行くかわからない旅に行かせられる(行先は‘‘絵はがき’’次第)。『サイコロで決める時もある。』と藤崎さんから聞いた。

 

 ……この人達が全国区のテレビに出てみろ、きっと世界で『絵はがきによる旅』をしそうだぞ?いや……『マグネットによる旅』だったりして

 

 俺は……和泉さんが持っている箱から鈴藤さんがマグネットを引いている姿が目に浮かんだ。

 

 

 

「まぁまぁ、こんなおっさんだらけの番組に‘‘綺麗な華’’が来たんですから……。ではご紹介しましょう!!第62回戦車道全国高校生大会優勝、プラウダ高校の隊長と副隊長!!『カチューシャ』さんと『ノンナ』さんです!!」

 

すると、金髪幼女は黒髪美女に肩車してもらい……そのままカメラの前へ出た。金髪幼女は肩車をされながら……薄い胸を張り、自己紹介を始める。

 

 ……え?って言うか高校生!?

 

俺は二人を見た。金髪幼女はむしろ小学生に見えるし……黒髪美女は逆に大学生を飛び越え、大人に見える。

 

 ……なんて凸凹(デコボコ)な二人なんだ!?

 

「このカチューシャが来たからには視聴率が100%を超えるわよ!!!」

「計算上、越えませんよ」

 

 

 

 

 

「さて、和泉君はともかく……ピチピチの女子高生達の対応は、僕達にはとてもとても……」

「そもそも‘‘ピチピチの女子高生’’って言う言葉がもう死語だもの」

「アハハハハハ!!!」

 

カチューシャさんとノンナさんの自己紹介の後、再び二人の掛け合いと笑い声が響き渡る。

 

「彼女達が参加すると聞き……我々は困り果てました。そんな若い子の話に我々はついて行けるのだろうかと……。その時、(ひらめ)いたんです!!我々には‘‘高校生の仲間’’がいたことを!!」

「……そんな三文芝居しないで早く紹介しなさいよ。さっきのでもうバレてるんだからさぁ」

「アハハハハハ!!!」

 

 ……要はこの‘‘凸凹(デコボコ)コンビ’’の相手をしろと。

 

確かに同い年で、俺は‘‘戦車道’’の共通点があるが……完全に他人なんですが。理子に至っては共通点すらない。

 

「では、我々の頼れる助っ人、‘‘村田君’’と‘‘峰ちゃん’’です!!」

「………どうも」

「……イエーイ、りこりんだよ~」

 

俺達はテンションが低いままカメラの前に登場した。

 

「二人とも!!テンション低いですねぇ!!」

「藤崎さん、分かってるでしょ。」

「……あんな料理食べさせられて2ヵ月も経ってないんだよ?」

「「「アッハッハッハ!!!!」」」

 

俺達の言葉に……‘‘蝦夷テレビ’’の面々は爆笑し、‘‘凸凹(デコボコ)コンビ’’は羨ましそうに見てくる。

 

 ……確かに傍目(はため)で見てりゃ面白いだろうけど、実際は地獄だから!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ではスタジオの方に向かいましょう!!」

「あれですよ?僕はそこらの料理番組であるような、チンケな厨房じゃ作らないよ!!」

「大丈夫です!!あなたにピッタリなのを用意いたしましたんで……行きましょう!!」

 

鈴藤さんのその言葉と共に……俺と理子は、処刑場(セット)に連行され、‘‘凸凹(デコボコ)コンビ’’は夢の舞台(セット)へ向かっていった。

 

 

 

 

「さっきっからねぇ、扉が開いてるから(けむ)いんだよ!!この匂いである程度予想できちゃうんだよねぇ!!」

「俺……最初はまだ‘‘楽しい宴会’’で、スルメやら鮭トバやら(あぶ)るのかなぁ……って思ってたのに」

「イブイブ……それは考えが甘いよ」

「ふぁ~~~」

「眠いのでしたらベッドを用意していますよ。」

「ね、眠くなんてないわ!!」

 

 

 

 

 

 

 

俺達の目の前には……焚火台(たきびだい)の上で燃え上がる炎を、運動会でよく見かけるあの天幕で囲んでいる場所(ここ、駐車場だよな!?)に連れていかれた。

 

「これが用意された……セットです!!」

「何この貧乏くさくて……クソ寒いセット!!」

 

天幕の中には会議室にありそうな‘‘細くて長い折りたたみの机’’とパイプ椅子が雪の上に直接置いてある。

 

 ……ヤバい、メチャクチャ寒そう。

 

俺は思わずマフラーを首に巻いた。

 

 

 

 

 

「「「「「「カンパーイ!!!」」」」」」

 

俺達は席に付き、ワインの入ったグラス(ノンナさんはぶどうジュース)を掲げて乾杯をした。

 

 ……あれ?きっと一本500円以下の安ワインかと思ったら、まぁまぁいいのを使ってるな。

 

俺は口に入れた時の芳醇な香りでそのことを理解した。

 

 

 

 

 さて、今の状況は鈴藤さんが‘‘トナカイ’’、安浦さんが‘‘簡易0uちゃんマスク’’を被り……俺・理子・ノンナさんは‘‘サンタの赤帽子’’を被っている。

 

「え~、1名足りないですが始めさせてもらいましょう」

 

そう、カチューシャさんがいない。彼女は何処にいるのかというと……焚火の近くでノンナさんの隣、ソリ状の箱型ベッド(まるでベビー〇ッド)の中で毛布にくるまり、夢の世界を楽しんでいる。

 

 ……いやはや、見た目相応で可愛いじゃないの。

 

 この子が‘‘戦車道大会でプラウダ高校を優勝に導いた’’なんて信じられるだろうか。

 

 ……でも、有能な人ほど癖があるからなぁ。

 

有能で癖のある上司達を思い出し、ため息が出た。

 

 

 

 

「では、そろそろシェフに料理をお願いいたしましょう。シェフ!!」←鈴藤

「よっ!!」←俺

「リベンジだよ!!」←理子

「待ってました(目を輝かす)」←ノンナさん

 

鈴藤さんがそう言うと……コックの格好をした和泉さんがゆっくりと向かってきて、一礼をする。

 

「メリークリスマス……」

「「「「「「メリークリスマス!!」」」」」」

「‘‘ピストル和泉’’へようこそ。打ち抜くぞぉおお!!

「……(目をキラキラ輝かせる)」

 

和泉さんのその言葉に……ノンナさんはまるで、少年がスーパーヒーローに出会った時の様な目で和泉さんを見ていた。

 

 ……ノンナさん、結構冷たそうな印象があったんだけど、全然違うんだな

 

俺はワインを飲み切り、ウォッカを飲み始めた。

 このウォッカはプラウダ高校の学園艦の名産品らしく、ノンナさんが手土産として持ってきたものだ。(何故未成年が手に入ったのかはあえて触れない)

 

「えぇ今回、とてもいいエビが手に入ったので……私が腕を振るい、『シェフ和泉風のエビチリ』を作らせてもらおうと思っております」

「「あの(えっと)……」」

 

和泉さんの言葉に……俺と理子は同時に口を開いた。

 

「「食べられるものになるんですか?」」

「……もちろんでございます。失礼な」

 

和泉さんはムッとした表情でそう言った。

 

「「前回のを見たらそうなるんです」」

「アッハッハッハ!!」

「ッ~~~!!!」

 

俺と理子の言葉に……藤崎さんは大爆笑し、ノンナさんは必死になって笑いを押さえていた。

 

 ……あれ?さっきまで、ノンナさん冷たそうな、ずっと無表情だったけど……このギャップがすごく可愛い

 

俺はそう思った瞬間、理子に横腹を殴られたため……無理やり思考を停止させられた。

 

 

 

 

 

 

 

「あれかい?酒の肴かなんか欲しいかい?」

 

シェフ和泉がエビチリを作り始めて30分、まだエビの処理をしている時にそう言った。

 

「「「「そうだね(ですね)!!!」」」」

「だってもうワインは()っくの()うになくなって、ノンナちゃんの手土産のウォッカも飲み干して、すでに‘‘0uちゃん’’と村田君と峰ちゃんは日本酒でいってるから」

「「「いぇーい!!」」」

 

藤崎さんの言葉に、俺・理子・安浦さんは日本酒の入ったコップで再び乾杯をした。理子や安浦さんの憂鬱そうな表情は何処へ行ったのか……陽気な表情で笑い合う。

 

「あれですねぇ、ノンナさんが飲むなんて意外ですねぇ」

「ノンアルコールウォッカです。」

 

ノンナさんはそう言ってウォッカの瓶(自前)を口に付け、ゴクゴクと水を飲むように飲んでいく。

 

 ……ノンアルコールウォッカって、ただの水じゃね?

 

俺はそう思いながら日本酒を(すす)る。何故かわからないが……ノンナさんはそのノンアルコールウォッカを飲む量と比例して、頬がどんどん赤くなっていく。

 

「‘‘エビの塩焼き’’がいい」

「……馬鹿じゃないのアンタ?」

 

この番組のプロデューサーの要望を、和泉さんはバッサリと切り捨てた。

 

「‘‘エビチリ’’作るって言ってるのに、なんで(エビの)塩焼きなんか作っちゃうの?」

「ッ~~~!!!」

 

和泉さんの言葉にノンナさんは口を押え、顔を真っ赤にして笑いをこらえる。

 

 ……このギャップ、なんて可愛い娘なんd……

 

理子が腹パンしてきたため、思考を中断する。腹パンをした後、理子はふくれっ面のまま日本酒をグイッと飲む。

 

「あのカップルはともかく……このエビチリ用のエビを焼いちゃうのかい?あの焚火(たきび)で?」

「「「「「「イエーーーイ(いいじゃない)!!!」」」」」」

 

シェフ和泉の言葉に俺達は歓声が沸く。

 

 ……当たり前だ。この人に手間がかかる料理をさせてみろ、食えない物質が出来上がるぞ!?

 

その事をノンナさん以外の全員は理解しているため……

 

「このぐらいでいいかい?(5匹を焚火(たきび)の上の網に置く)」←シェフ和泉

「もっと、もっと焼いちゃおう!!」←鈴藤

「足りないって!!」←安浦さん

「俺、エビチリよりも塩焼きのほうが好きなんですよ!!」←俺

「まだ失敗しても軽い塩焼きのほうg……」←理子

 

俺は慌てて理子の口をふさいだ。

 

「あれですよ和泉さん!!塩焼きの様なシンプルな料理のほうが、シェフの‘‘素晴らしい(上手いとは言ってない)’’腕前が存分に発揮されるんですよ!!」

「……そうかい?」

 

俺は理子の口をふさぎながら言った。俺の言葉に……和泉さんはにやける。

 

「悪いね、手かけなくてね」

「「「「「「いやいやいや!!」」」」」」

 

 

 

 

和泉さんはグラスのワインを飲み干した後、焚火(たきび)にエビを15匹ほど載せ始めた。

 

  カチン、シュボ!!、カキン……

 

シェフ和泉が焚火(たきび)にエビを乗せ始めたと同時に、金属音と燃え出した音、そしてタバコの香りが……

 匂いをたどると……安浦さんがタバコを吸っていた。

 

「おい‘‘0u’’!!タバコ吸ってんじゃねぇよ!!イメージ悪くなるだろ!?」

「「「「アッハッハッハ!!」」」

 

藤崎さんが笑いながら突っ込んだ。俺達もその言葉に思わず笑ってしまう。

 

「……お前何してんの?食事前に喫煙して味分かるわけないでしょ!?」

 

和泉さんの言葉に、安浦さんは口をへの字に曲げた。

 

「俺だって別に、やりたくてやってねぇんだよ。人の誕生日、夜中に呼び出しておいてよぉ……

 

安浦さんはそう言った後、タバコを美味そうに吸った。

 

「お前、今『クリスマス0uちゃん』が売れてr……」

「いいからエビ焼け!!エビ焼け!!」

「「「「アッハッハッハ!!」」」」

 

その時、俺は殺気を感じた。慌ててその方向を見ると……ノンナさんだった。

 

「安浦さ……いえ、‘‘0uちゃん’‘。カチューシャの前で喫煙とはどういうことですか?」

「「「「「「……え?」」」」」」

 

ノンナさんはゆっくりと席を立ち、ヤバそうなオーラを放ちながら安浦さんの方へ向かっていく……。

 

「まぁまぁ!!落ち着いて!!」←鈴藤

「アッハッハッハ!!」←藤崎

 

鈴藤さんのとりなしにより……なんとかノンナさんの怒りを鎮めることに成功した。

 

 ……別に吸っても、カチューシャさんまでの間に飛散してほぼ0になると思うんだけどなぁ。

 

ノンナさんに絶対零度の視線で睨まれたため、考えを止めることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えばノンナさん」

 

俺はノンナさんに話しかけた。

 

 悲しいことに……悲しいことに!!俺と理子は『木曜どうでぃ』の準レギュラーを勝ち取ってしまった。

 そんな俺達の話よりも、今回初登場のノンナさんやカチューシャさん(寝ているが)の話のほうが、視聴者は楽しめるだろう(俺達が話せることと言えば義妹との闘争劇ぐらいだし)。俺はそう思って声をかけた。

 

「‘‘戦車道’’をやっているって聞いたんですけど……ノンナさんはどの車両に乗っているんですか?」

 

 ……うわぁ、なんて無難な話題。

 

「Я на ИС-2(訳:IS-2に乗っています。)」

「「……」」

 

 ……‘‘IS-2に乗っている’’でいいのかな?

 

ノンナさんの流暢な発音に思わず驚いてしまった。

 日本人(網走出身)でロシア語をそんなに流暢に話すなんて……どれほど努力したのだろうか。俺の様な、‘‘ギリギリ会話ができる程度の言葉’’の何倍も努力していることがすぐに分かる。

 

「や すりしゃる しゅと ИС-2 うぞーく。えと ぷらゔだ?(訳:IS-2は狭いと聞いてます。本当ですか?)」

 

俺は日本語訛りがきつすぎるロシア語で何とか返答した。

 

「Да это конечно узко. Вы оскорбляете меня с высоким ростом?(訳:はい、確かに狭いです。私の背の高さで侮辱しているのですか?)」

 

俺の質問に、ノンナさんは絶対零度の視線で睨みながら言った。

 無論、俺はそんなつもりで言ったわけではない。自分がしゃべれる簡単なロシア語でできる質問をしただけだ。

 

 ……ヤバい、完全に誤解している。

 

俺は慌てて席を立ち、頭を下げて謝った。

 

「めにぇじゃーる いぇに いめぇる ゔどぅたく りーし!!(訳:すいません、そんなつもりはありませんでした!!)本当にごめんなさい!!(訳:本当にごめんなさい!!)」

 

 ……ノンナさんは‘‘俺よりも’’背が高い。だから純粋に『狭いIS-2 だと大変じゃないか?』という意味で言ったんだよ!?

 

 すると……ノンナさんの顔は無表情から笑顔にフッと変わった。

 

「冗談です」

 

クールビューティーな彼女から、見惚れるような笑顔を見せる。俺は思わずドキッとした。

 

 ……なんでだろう。これが理子なら頭にくるが、なぜかノンナさんだと許せる。

 

  ベキッ!!!

 

俺がそう思った瞬間、理子の飛び蹴りを喰らい……雪置き場に頭ごと埋まってしまった。

 

「何すんだよ!!」

「……知らない!!」

 

何とか脱出し、文句を言うと……理子はプイッとそっぽを向く。

 

「「「アッハッハッハ!!!」」」

「フフフ……」

 

 ……何が面白いんだよ、チクショウ!!

 

俺は雪を払い、ヤケクソ気味に酒を飲み干した。

 

 

 

 

 

「エビがいい具合に焼けてきましたよ!!」

 

シェフ和泉はそう言って、焚火(たきび)の上のエビを取り上げ、皿に盛り始めた。

 

「『エビの塩焼き ロサンゼルス風』です!!」

 

カット野菜が盛られた皿に、焼きたてのエビをシェフ和泉は盛って、自信満々に俺達に出してきた。

 

「「「どこがロサンゼルス風……?」」」

 

俺に理子、鈴藤さんが思わず言うと……

 

「なんかこう……アメリカっぽいでしょ?」

「「「「「…………」」」」」

 

余りにも馬鹿っぽい答えに、俺達は言葉が出なかった。

 

 

 

 

 さて、俺達は覚悟を決め、シェフ和泉作『エビの塩焼き ロサンゼルス風』を口にすると……普通の‘‘エビの塩焼き’’だった。

 

「美味い、美味いよ!!」←鈴藤

「……!!(手でOKのサインを出す)」←安浦

「ウソだろ!?あの‘‘シェフ和泉’’の料理だぞ!?」←俺

「……あの時はどうしてあんなのを食べさせられたんだろ?」←理子

「……ほぉ」←ノンナさん

 

とうとう日本酒も少なくなり……俺はラム、理子はテキーラのつまみで‘‘エビの塩焼き’’を食べるが……これがとても美味い。

 きっと材料がいいのだろう。

 

 ……流石は北海道。‘‘シェフ和泉’’の腕を、素材の良さで揉み消すとは。

 

 これを東京で食べるとしたら……築地で直接仕入れるしかない。

 

 ……今度リサを連れて築地へ行こう

 

 

 

 

 

後日、リサの買い物に丸一日つき合わされ、疲労困憊になったイブキがいたとか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シェフ和泉はエビチリの調理をいったん止め、‘‘鳥の丸焼き’’用の肉を取り出した。

 

「これはまぁ……」

 

何をしでかすか分からないシェフ和泉でも……流石に鶏肉(丸々1匹)はさすがに持て余すようだ。

 

「……あれだね、とりあえずこの中に何か入れたくなるね」

 

シェフ和泉はそう言って、内臓等が入っていた腹の中に手を入れた。

 

「俺の母親(故)はそこに‘‘パンとベーコン、野菜’’をつめてましたね。鳥の肉汁が染み込んで美味かったなぁ」

 

アメリカのジョン・F・ケネディ国際空港(ニューヨーク)で死んだ母親を俺は思い出した。

 母親(故)が張り切って作った‘‘鳥の丸焼き’’……の腹のパンが好きだったなぁ……と思いながら、俺はシェフ和泉が持っている鶏肉を眺める。

 

「普通この中って御飯とか入るでしょ?」

 

シェフ和泉は何か閃いたように言い出した。彼はまな板の上に肉を置き、ポケットをまさぐる。

 

「 『鮭ハラスおにぎり』がいいと思うんだよね」

 

和泉さんはそう言って、ポケットから潰れた‘‘コンビニおにぎり(鮭ハラス)’’を出した。

 『どうでぃ軍団』は爆笑しているが……俺と理子には冷汗が止まらない。

 

「お、おにぎり入れるんですか!?しかも‘‘コンビニおにぎり’’を!?」

「しょうがないでしょう!?ほかにご飯がないんだから……。それに村田君、これ1個300円は下らない高級品だよ!?」

「そう言う問題じゃねぇよ!?」

 

俺はおにぎりについて抗議をするが……シェフ和泉は俺の言葉を無視して、おにぎりの包装をむしり取る。

 

 

 

「え……あの……海苔(のり)も?」

 

 包装をむき終わり、付属の海苔(のり)を巻き始めたシェフ和泉に……理子は恐る恐る聞いた。

 

「当り前でしょう?おにぎり入れるって言うんだから、海苔(のり)が入るに決まってるでしょ?」

「っていう事は、鮭もはいr……」

「当然でしょ?だって『鮭ハラスおにぎり』だもん。」

 

 

 

 

シェフ和泉はおにぎりの海苔(のり)を巻きおえ、今度は……何かのハーブを出した。

 

「こちらローズマリーね。香りづけにいれようかと……」

「「入れるのは良いけど……ちゃんととれよ(とってよ)!?」」

 

俺と理子は……恐怖で怯えながら言った。

 

「何言ってんの!?だってこれ食える物入れるんだから……出さないでしょ?」

 

シェフ和泉(処刑執行人)の言葉に……俺達は絶望した。

 

 ……軍の訓練の時でさえ、もうちょっとはましなものだったぞ!?

 

「いいかい?これがメインだよ!?」

 

 シェフ和泉はそう言って潰れたおにぎりを持った。

 

「『おにぎりの包み焼き ニワトリ風』だよ!!」

 

余りの恐怖に……俺と理子は互いに抱き合った。

 

 

 

 

「では……ニワトリの肉汁が染み込んだおにぎりを食べるんですね?」

「そうだよ、お嬢ちゃん……だから周りは捨てるよ」

 

シェフ和泉はノンナさんと会話をしながら……用意したものを鶏肉の中に詰めていく。

 しかし、俺と理子はそんな事を無視し、互いの装備の確認をする。この任務、互いにフォローしないと……最悪死ぬからだ。

 

「……鎮痛薬と頭痛薬、それに正露丸はある。理子は?」

「あぁ、胃薬と整腸剤は……。クソッ、睡眠薬も持ってくるべきだった!!」

 

 ……なるほど、その手があったか!!

 

睡眠薬を飲んで、酔いつぶれたとすれば……食べずに済む。

 

「和泉君、卵入れたらどうだい?そのままで」

「ウズラの卵しかないけど……これでいいかい?」

「アッハッハッハ!!」

 

あの笑い声が……どうしても悪魔の笑い声に聞こえてくる。

 

 

 

「どうかされましたか?」

「あぁ、睡眠薬を持ってくればよかったって……ノンナさん!?」

「……ッ!!!」

 

俺達の会話に……ノンナさんは自然に入ってきた。

 

 ……おい理子、なんでナイフに手を置いて警戒してんだよ。

 

俺は何とか理子を落ち着かせ、ノンナさんの方へ向いた。

 

「……で、ノンナさん、どうしたよ」

「今回、カチューシャの願いで『木曜どうでぃ』のロケに同行しましたが……流石にあんなものをカチューシャに食べさせるわけにはありません」

「「でも、ノンナさん(ノンノン)も結構楽しんでましたよね(楽しんでたよね)」」

「…………」

 

ノンナさんは明後日の方向へ向いた。超ヘタクソの口笛も(……これは、‘‘カチューシャ’’か?)も吹いている。

 

 

 

「……俺達は『‘‘あの料理’’を食いたくない』。そちらは『カチューシャさんに‘‘あの料理’’を食べさせたくないから、共闘できる』……と考えて話しかけたのか?」

「はい」

「カチュちゃんは寝てるから心配しなくてもいいんじゃない?」

 

理子はぶっきらぼうにそう言い放った後、テキーラのショットを一気に飲み干した。

 

「それだといいのですが……カチューシャは本日、いつもよりも長く昼寝をしています。もしかしたら……そろそろ起きてしまうかもしれません」

「確かに……あんな小っちゃい体で‘‘あんな物’’食ったら、普通に致死量行くな。」

 

カチューシャさんは平賀さんよりも小さな体の持ち主だ。俺達は平気でも……彼女にとってみれば致死量という可能性すらあり得る。

 

「タダとは言いません」

 

ノンナさんはそう言って……『1円』と書かれた小切手を俺達に一枚ずつ渡してきた。

 

「好きなだけ‘‘0’’を書いてもらって構いません。依頼料です」

 

 ……え?何?最初の‘‘1’’は書いたから、後は10円でも100万円にでもしてくれってことか?

 

俺は理子を見ると……理子は肩をすくめていた。流石に、理子もこんな依頼人は初めてなのだろう。

 

「学生一人が払える料金にはならねぇぞ」

「心配してくださらなくても結構です。カチューシャのためなので」

 

俺と理子は思わずため息をついた。

 

 ……依頼を受ければ必然的に‘‘アレ’’を食わされ、断っても‘‘アレ’’を食わされるのか。なんて貧乏くじだ。

 

渋々ノンナさんの依頼を受け、ため息をついた俺達は、嫌な現実を忘れようと……互いに盃をぶつけ、そのまま飲み干した。

 

 

「さぁさぁさぁ……中断していたエビチリの方、再開しますよぉ」

「「「「アッハッハッハ!!!」」」」

 

 

シェフ和泉(処刑執行人)と『どうでぃ軍団(悪魔たち)』の笑い声が……俺と理子の心で、残酷に響き渡った。

 

 

 

 

 




 あくまでも『四国 R-14』のキャラをモチーフにした架空の人物です。実在の人物とは一切関係ありません。



 『マグネットによる旅』……よく土産屋にある‘‘有名な建物や風景のマグネット’’で『絵はがきによる旅』をやる。
 実際、お金があればやってほしい。絶対面白そう。

 
 悲しいことに‘‘準レギュラー’’になってしまった二人。まぁ、『試験に出るどうでぃ』、『料理対決』、『(冒頭だけだけど)絵はがきによる旅』に出てますので。

 
イブキの身長は170センチありません。それに対してノンナは170センチ越えなので……。

 

 Next Ibuki's HINT!! 「エビチリ」 
 
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