少年士官と緋弾のアリア   作:関東の酒飲

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 ネタ回は面白く書けますね。今まで以上に楽に書けました。

 春休みの間にさっさと書き溜めなきゃいけないのに……今までためっていたビデオやプラモやゲームもやりたい。それに金も欲しいからバイトも……。
 あれ?学校があるときよりも忙しいような……



 キャラ崩壊注意です。


閑話:クリスマス特別編 下

「さぁさぁさぁ……中断していたエビチリの方、再開しますよぉ!!」

「「「「アッハッハッハ!!!」」」」

 

 そう言えば、和泉さんが作り始めて結構時間が経っているような気がする。腕時計を見ると……すでに午前3時を過ぎていた。

 

「シェフ和泉……。すでに3時を過ぎています」

「「「「アッハッハッハ!!!」」」」

 

ノンナさんの言葉に、さすがの『どうでぃ軍団』も笑いを隠せない。

 

「じゃぁちょっと急がないと」

 

シェフ和泉はコップ一杯の日本酒を飲んだ後、ショウガやニンニク、ネギを刻み始めた。

 

「「「「「「おぉ~!!!!」」」」」」

 

和泉さんは……あの料理からは想像できないほど上手に材料を刻み始めた。その光景に俺達は思わず歓声を上げる。

 

 

 

 

 

「じゃぁ、一番!!イブキ、マラカスやります!!」

 

酔っ払い、そして死期を悟った俺に怖い物は全くない。

 俺は第2中隊に所属していた時に覚えた宴会芸(マラカス)を披露する。披露する曲は俺の十八番、映画『マスク』で有名になった『Cuban Pete』だ。

 

「They call me ‘‘Cuban Pete’’!(訳:みんな俺を‘‘キューバン・ピートって呼んでるぜ!!)」

「いいぞぉ!!」

「よっ、村田屋!!」

「「「アッハッハッハ!!!」」」

 

途中、理子にフリ……理子は嬉しそうに、ノリノリで一緒に歌い、踊ってくれた。

 心なしか……理子の気分がよさそうなのは見間違いに違いない。

 

 

 

 

 

 

「では二番、ノンナ……歌います」

 

俺の後はノンナさんがロシアの歌曲『カチューシャ』を、とても流暢なロシア語で歌い上げた。

 途中から俺のマラカスも入れ、歌っていたノンナさんは……とてもノリノリで歌っていたのは印象的だった。

 

 

 

 

 

 さて、俺とノンナさんの熱唱の後……藤崎さんが呟いた。

 

「そう言えば安浦君ってまだバイトしてるの?」

 

その言葉に鈴藤さんが答えた。

 

「安浦君ね、これ早く終わらせて……バイト行こうと思ってるから!!」

「「「「「アッハッハッハ!!」」」」」

「ヤスケンは朝もやってるの?」

 

理子は安浦さんに聞くと……

 

「そらぁ当然だよ」←安浦

「いや……安浦君は、セコイ人間だからね。『自分は今でもバイトしてるんです』って言うのが売りなんだよ」←鈴藤

「違う違う……実際ね、この鈴藤(社長)の下だと食えないだよ!?」←安浦

「「「「アッハッハッハ!!!」」」」

 

俺達は思わず笑ってしまった。

 

「あれですよ、安浦さん。軍なら衣食住は心配ないですよぉ~」

「武偵もアルバイト以上に稼げるよ!!」

「プラウダの学園艦でも衣食住が保証されていますよ」

「俺……役者じゃなくてそっち行こうかな。」

「「「「アッハッハッハ!!!」」」」

 

 

 

 

 

「あれ?安浦さんって役者だったんですか?」

「……和泉とヤスケンって芸人じゃないの?」

 

俺と理子の疑問に……鈴藤(社長)和泉・安浦(社員たち)は黙ってしまった。

 

 

 

 

 

 さて、調理が進み……シェフ和泉がエビを油で炒めようとするのだが、全然炒める時の音がしない。

 

「音が鳴りませんなぁ……」

 

藤崎さんがそう言うが……それもそうだろう。火と言えば焚火(たきび)と、さっき持ってきた卓上コンロの2種類。

 焚火(たきび)は『おにぎりの包み焼 ニワトリ風』で使われているため、卓上コンロによる調理となるのだが……極寒の外の札幌(夜)でエビを炒めるほどの火力はない。

 その結果、エビを油で‘‘茹でる’’という異常事態が発生した。

 

「「……マズそうだなぁ」」

「「「…………」」」

 

 藤崎・鈴藤さんの言葉と、なかなか赤くならない白いエビを見て……俺・理子・ノンナさんの顔は青くなっていく。

 

 

 

 

 シェフ和泉は‘‘白いエビ’’(ちゃんと火が通ってないという意味)をフランベしようとして失敗し(寒すぎてアルコールが蒸発せず)、‘‘白いエビ’’を皿に移した。

そして空いたフライパンを使い、ソースを作り始めた。

 

「パパッと作りますからよく見てて!!まずニンニクとショウガ、これを入れます」

 

シェフ和泉は刻んだニンニクとショウガをフライパンの中に入れると……それらが焦げるいい匂いがする。

 

 ……ここまでは大丈夫だ。ここまでは。

 

俺は不安を拭い去る様にラムを飲み干した。

 

「次にケチャップを入れます。ポイントとしましてはケチャップをあまり多く入れないでください……あ」

 

ケチャップがチューブの4分の3入ったのだが……シェフ和泉は無視して先に進む。

 

「ここで豆板醤を入れます。」

 

豆板醤がビンの半分ぐらいの量がフライパンに落ちて行く。

 俺のグラスを持っている手が震えているように見えるのだが……きっと気のせいに違いない。

 

「紹興酒も入れます。ちょっとだけ入れm……あ」

 

紹興酒がドバドバとフライパンに注がれた。1合以上は入ったはずだ。

 

「そして先ほどエビの頭で出汁を取ったスープを……すっかり濁っていますが、入れます」

 

白濁しただし汁をフライパンに回し入れ、中の物をゆっくりとかき回していく。

 そしてシェフ和泉は出来上がったソースを味見し……「ん~?」という疑問の声を上げながら、いろんな調味料を握り始めた。

 

「……テレビでは面白かったのですが、実際はこんなにひどかったのですね」

「あんた分からないで来たのかよ!?」

「はい。ただ大げさにリアクションしていると思ったのですが……」

 

ノンナさんはクールにそう言っているが……俺はそれを見て確信した。

 

 ……この人、有能そうに見えて何処か抜けている人だ。

 

だって……前回の『料理対決』を見ていたら分かるはずだ。

 10月とはいえ、外で2時間も生のシャケをいじり倒し、野菜と冷凍のエビ(生)でスープ(スムージー)を作る人間だぞ!?

 

 

 

 

 

 

 ノンナさんが問題発言をしても……シェフ和泉の料理の手は止まらない。

 

「……え~と、何を入れましょうか?」

 

ノンナさん以上にヤバい発言をしながら……シェフ和泉は塩、コショウ、レモン汁をどっさり入れ、豆板醤のビンを持った。

 

「いまいちなんで豆板醤を足しまsh……」

 

そう言ってフライパンに豆板醤を入れようとし……ビンの中蓋(なかぶた)が入って行った。

 

「ちょっと待って!!今何か入ったよ!?」

「何入れちゃってんの!?」

 

藤崎さんと鈴藤さんがフタのことを気にしているが……そっちよりも豆板醤の量だ。

 シェフ和泉はフタが入ってしまったことに驚いたのか……一瞬固まってしまった。そのせいで、豆板醤全てがフライパンに入ることになった。

 

「しょ、紹興酒もちょっと足しまsh……うわぁ!!」

 

シェフ和泉はウォッカを一気に飲んで気持ちを落ち着かせた後、紹興酒を入れようとした時に足がもつれて転んでしまった。その時……紹興酒のビン(口は開いている)は見事な放物線を描き、フライパンの中へ入った。

 シェフ和泉は慌てて立ち上がり、紹興酒のビンを救出するが……‘‘時すでに遅し’’。紹興酒のほぼ全てがフライパンの中に入った。

 

「「「アッハッハッハ!!!」」」

 

『どうでぃ軍団』はこういう事に慣れているのか、笑って流している。しかし、俺・理子・ノンナさんの表情はさらに青くなった。

 

「では、ソース(これ)がグラグラッて来たら……最後にエビを入れて完成です。」

 

そう言って10分後、一向にグラグラッと来ないソースに見切りをつけ、火があまり通ってないエビを放り入れて『エビチリ』が完成した。

 

 ……結局何を入れたんだ?

 

『シェフ和泉のエビチリ 

 材料

 ・火がほぼ通ってないエビ

 ・ニンニク、ショウガ

 ・ケチャップ(4分の3)

 ・豆板醤(ビン1本)

 ・豆板醤のビンの中蓋(なかぶた)

 ・紹興酒(720ml)

 ・エビのダシの白濁スープ

 ・塩、コショウ、レモン汁(大量)』

 

 ……思い出さなきゃよかった。

 

俺は頭と胃が痛くなる。この料理、どう考えても……美味くなるはずがない。

 

「理子、胃薬くれないか?」

「イブイブ、その代わり頭痛薬ちょうだい?」

「……私にもください」

「「どーぞどーぞ」」

 

俺・理子・ノンナさんは薬と一緒に……水盃(みずさかずき)を交わし合った。

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えば、中華って音なるじゃん。」

 

藤崎さんが呟いた。すると、シェフ和泉は盛りながら反論を始めた。

 

「だからそれが火力なんだって……。こんなコンロにそんな火力あるわけないでしょ?」

「火が通ってないエビも入ってたけど……本当に食える物なのかい?」

「しょうがないでしょ!?こんなコンロしかないんだから!!……煮込んじゃってたんだもの、グツグツと!!弱火で!!」

 

そして、シェフ和泉は盛りつけられた大皿を持ってきた。

 

「しかしですね、これ絶対美味いよ!!……‘‘エビチリ’’で御座います!!」

「「「「おぉ~!!!!」」」」

 

声色を変え、自慢げにその大皿を出してきた。

 レタスの上に盛られたエビチリは鮮やかな朱色をしており、確かに見た目は美味そうだった。あの‘‘白いエビ’’もソースのせいで赤く見える。

 

……でも、材料から考えるとクソマズそうなんだよな。

 

 

 

 

 

 

 

「それでは実食です」

 

 小皿に分けた後……顔が青いまま箸をつけようとしない俺達を見て、鈴藤さんが笑顔(目は笑ってない)で食べ始めた。

 俺達が固唾(かたず)をのんで見守る中……エビチリを口に入れた鈴藤さんは目を閉じ、ゆっくりと何回も咀嚼してから飲み込んだ。

 

「……コクはなく、うま味もない。ただ、後味が(から)い」

 

鈴藤さんは、ゆっくりと感想を述べた。

 

 ……え?ソースはともかく、あのエビは食えるのか?

 

というか、鈴藤さんは吐き出しもしなければ……顔をしかめることもしていない。そこまで余裕があるのか!?

 

 

 

「いやいや、きっとそんなことないはず……」

「安浦エビ好きだったでしょ?これきっと気に入るから!!」

 

今度は安浦さんがエビチリを頬張ると……

 

「フフフフ……」

 

急に安浦さんが笑い始めた。

 

「お前これ……高血圧で死んじゃうよ!!」

「なんで!?」

 

安浦さんもそんな事を言っているが……ちゃんと飲み込んでいる。

 

 ……マズいが、食えないって程じゃないのか?

 

 

 

 俺は意を決し、エビチリを口にした瞬間……

 

「うごぉおおおおおお!?」

 

まずエビの生臭さが口の中いっぱいに広がり、紹興酒がその生臭さをさらに引き立てている。その次にケチャップの風味がわずかに香った後、以上なほどの酸味と塩気が襲ってくる。最後に豆板醤の辛さが喉と舌の細胞を破壊し始め、胃が飲み込んだ物に対して拒否反応を起こす。

 

 ……マズいどころの話じゃねぇぞ!?

 

俺は思わず席を立ち、雪上で吐いた。

 

「「「アッハッハッハ!!」」」

「吐いちゃったよ!!」

 

『どうでぃ軍団』はそんな俺を見て、(はや)し立てて笑っている。

 

 ……なんでこんな物食って平気なんだよ!!

 

俺は……胃の中の物全部を吐き出した。

 

 

 

 

 

 とりあえずトイレの洗面台で口をゆすぎ、席に戻る途中……顔を真っ青にした理子が入違いざまにトイレへ駆け込んだ。

 

 ……あ、理子も食ったんだな

 

女子トイレからは……女の子が出してはいけないうめき声と、流体が(こぼ)れ落ちる音がするのだが、気にしないようにしよう。

 

 さて、席に戻ると……ノンナさんが無表情で、しかし悲壮感を漂わせながら覚悟を決めて食べようとしていた。

 ノンナさんはエビチリを口に入れた瞬間……白目を向いて痙攣(けいれん)を起こし、ばったりと倒れてしまった。

 

「ちょ、ノンナさん!?ノンナさーん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前が作るものはおかしいんだって、やっぱり!!」

 

焚火の近くに簡易ベッドを作り、ノンナさんを寝かした後……藤崎さんがシェフ和泉を非難した。

 

「そうだよねぇ!?マスター?」

「うん、やっぱりおかしい」

 

藤崎さんに同意を求められた鈴藤さんも……同じ感想を言う。

 

「あぁ、分かったこいつの味覚はおかしいんだ」←安浦

「前回は酔ってなくても悲惨だったんですから、少なくても飲みながら作っちゃまずいでしょ」←俺

 

俺と安浦さんも同意した瞬間……俺達に向かってシイタケが飛んできた。

 

「くぁwせdrftgyふじこlp!!!!!」

 

とうとうシェフ和泉の堪忍袋が破裂したようだ。藤崎さんや鈴藤さんにもシイタケを投げながら咆哮する。

 

「お前ら作ってみろよ!!なんだ!?この小っちゃいガス台で作ってみろよ!!誰がどうやったってこうなるんだよ!!!」

「でも豆板醤と紹興酒の件はガス台関係ないですよね?」

「お前早く食えよ!!この残ってるやつ全て、お代わりもあるから全部食えよ!!」

 

俺の余計な冷やかしに……シェフ和泉は余計にヒートアップする。しかし……これがまずかった。このシェフ和泉の声で……『眠れる暴君』を起こしてしまったのだ。

 

 

 

 

「ふあぁ~……。あれ、ノンナ?」

 

カチューシャさんは隣で寝て(気絶して)いたノンナさんのほっぺたをツンツンと人差し指で突いて遊んだ後、エビチリを見つけてしまった。

 

「……あぁ!!料理ができてるじゃない!!何でカチューシャを起こさなかったのよ!!」

 

彼女はそう言ってベッドから降り、こっちに向かってきた。

 

 ……この‘‘エビチリ’’を食べる気か!?

 

 

彼女の身長は130㎝以下である。その身長と彼女の細い体から……体重は25㎏ほどしかないと予想できる。

 そして毒物の致死量と体重は比例する(個人差はあるが)。カチューシャさんは俺(約75㎏)の3分の1しかないため……俺が耐えられる量の3分の1ほどしか耐えられない。

 

 

 何を言いたいのかというと……一口で俺がダウンしたのだから、カチューシャさんが耐えられるわけがない。というか最悪死ぬ可能性も……

 

「うおぉおおおお!!!」

「え、村田君……?え?」

 

俺は急いで‘‘エビチリ’’の大皿抱え、一気に口へ流し込んだ。胃が拒否反応を起こし、思考力が麻痺(マヒ)していくのが自覚できる。

 

「アッハッハッハ!!」←藤崎

「死んじゃう、死んじゃうから!!」←鈴藤

「無理しなくていいから!!」←安浦

「ほら、やっぱりハマる人にはハマるんだよ!!」←和泉

「…………ん?」←ノンナ

 

俺が大皿の‘‘エビチリ’’を食べ終わった時、起きたノンナさんと目が合った。

 

 『ノンナさん……俺、やったよ』

 『感謝します。同志ムラタ』

 

目線で彼女と会話し、俺はサムズアップをしながら……ゆっくりと雪上に倒れていく。

 

「か、カチューシャの分が……」

「お嬢ちゃん、お代わりあるから気にしなくていいよぉ?」

「本当!?」

 

 ……え?まだあったの?

 

俺は冷たい雪の上で気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺はエキシビジョンマッチにおいて、玉戦車(クーゲルパンツァー)に乗っていた。

 

「クソッ。最初に会った時とは打って変わって雰囲気が全然違うじゃねぇか!!」

 

 ドンッ!!カキン……ドカーン!!

 

俺は‘‘東京での大事件’’の時に出会った少女が乗っている戦車に追い回されていた。キューポラから乗り出す彼女の瞳は鷹のように鋭く、(いにしえ)の名軍師のように深い。

 俺はそんな彼女が乗る戦車から放たれた砲弾(7発目)を刀で弾く。

 

「華さん、何度も外してますがどうかしたんですか?」

「いえ、確実に当たっているはずなのですが……」

 

 

戦車道のルールでは『搭載される予定だった部材を使用した装備品のみ』使用可能というルールがある。

 しかし、玉戦車(クーゲルパンツァー)は謎が多く……出自・武装・利用方法等が一切分かっていない。分かっていることは『満州で鹵獲されたこと』・『装甲が5ミリであること』だけだ。

 

 

 以上より、この玉戦車(クーゲルパンツァー)に何を搭載しても大丈夫なのだ。

 (ただし、一人乗りで戦車も小さいため……搭載できるのは『兵一人で持てるドイツ・日本製の武器』・『通信ケーブル』に限られるが)

 なので刀を使っても問題はない。

 

「ハハハッ!!どうだ当ててみやがれ!!」

 

  カチン!!

 

「沙織さん、機銃を前の戦車に向けて撃ってください」

 

  ダダダダダダダ!!!

 

「え?ちょ、待って!?」

 

この玉戦車(クーゲルパンツァー)は機関銃の弾も抜けるほどの紙装甲なので……

 

「というか生身の人間にも当たるから!!待っt……ゴフ」

 

俺は爆発した戦車から転げ落ち、彼女の戦車に轢かれ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁあああああ!!」

 

  ガツッ!!

 

俺は悪夢から目覚め、飛び起きた瞬間……額に何か固いものがぶつかった。

 

「「ぐぉおおおお!!」」

「「「「アッハッハッハ!!!」」

 

何とか痛みが引き……俺は周りを見ると、『(あご)を抑えている理子』・『‘‘朱色の何か’’を口から垂れ流しながら、白目をむいて気絶しているノンナさん』がいた。

 天幕のほうでは、カチューシャさんと『どうでぃ軍団』が楽しそうに‘‘ニワトリの丸焼き’’を食べている。

 

 ……ノンナさん、‘‘お代わり’’の分を食べてこんな姿に

 

俺はノンナさんの尊厳を守るため、ハンカチで彼女の口周りを拭いて(まぶた)を閉じさせた。そして自分の上着を彼女にかける。

 

「うぅ……」

「……理子ごめん。大丈夫か?」

 

俺は理子を立たせ、一緒に席に戻った。

 

 

 

 

 

 俺達が席に戻ると……シェフ和泉は待ってましたとばかりに『おにぎりの包み焼 ニワトリ風』を取り分け、それを出す。

 

「「……」」

 

俺と理子は‘‘エビチリ’’のトラウマがあるため……どうしても食べたくはない。

 

 ……というか、ちゃんと焼けよ

 

 鶏肉は表面がカリカリ、中は鮮やかなピンク色をしている。焚火(たきび)なので火の調整が難しいのは分かるが……せめて表面は焦げてもいいから中まで火を通してほしい。

 

「そういえば、あんた達」

 

俺のはす向かいに座っていたカチューシャさんが急に食べるのをやめ、ナイフを理子に向けて訪ねてきた。

 

「「……?」」

 

すると彼女はナイフとフォークを品よく置き、頬を朱に染めた。

 

「その……カチューシャの代わりに‘‘アレ’’を食べてくれたんでしょ?」

「……理子も食ったのか?」

「…………イブイブほどの量じゃないけどね」

 

理子は‘‘アレ’’を思い出したのか……目は朦朧(もうろう)としており、皮膚が黄土色に変わっていく。

 

「その……ありがと

「「おぉ~……」」

「いいよ、カチューシャちゃん!!それで仲良くなれるよ!!頑張って!!」

 

カチューシャさんの言葉に……藤崎さん・安浦さんが歓声を上げ、鈴藤さんはまるで‘‘子を見守る親’’の様に応援する。

 

「「……」」

 

 ……流石にノンナさんがあんな風になったら気付くか

 

俺と理子は目で会話した後、互いにハンカチを手にし……

 

「「口についてるぞ(ついてるよ)」」

 

カチューシャさんの口を拭いた。すると、カチューシャさんは顔を真っ赤にしてカンカンに怒る。

 

「ちょ、何するのよ!!」

「「「アッハッハッハ!!!」」」

 

 ……なるほど、ノンナさんがカチューシャさんを可愛がる理由がよくわかる。

 

その後、俺と理子はカチューシャさんを揶揄(からか)い、彼女の反応を楽しんだ。

 

 

 

 

 理子はカチューシャさんの肉(なぜかそれだけは火が通っている)を切り、フォークで彼女の口元に運ぶ。

 

「カチュちゃん!!‘‘アーン’’!!!」

「だから、‘‘アーン’’はいらないわよ!!」

「クククク……カチュちゃん!!冷めちゃうから早く食べなきゃだめだよ!?ほら、‘‘アーン’’」

「…………アーン

 

カチューシャさんはその肉を食べた後、俺はすかさず彼女の口元を拭く。

 

「汚れてるぞぉ~」

「分かってるわよ!!!」

「「「アッハッハッハ!!!」」」

「ここは会社の駐車場ですよ!?」

 

その時……シェフ和泉が女性を連行してきた。彼女は俺達のやっているパーティーを見てパニックになっている。

 

「何燃やしてるんですか!?」

「彼女はですねぇ~。朝のニュース番組『おはよう 北海道』のニュースキャスター、‘‘石田葵(いしだ あおい)’’です!!」

 

シェフ和泉は彼女を落ち着かせ、『おにぎりの包み焼 ニワトリ風』を食べさせるが……石田さんはむせて、顔が真っ青になる。そして口を押さえ、小刻みに震えている。

 

 ……あの部位はほとんど生のところだ。早朝からあんなもの食べさせられて可哀想に。

 

俺はカチューシャさんの口元を拭きながら、心の中で合掌した。

 

 

 

 

 

「いつまで拭いてるのよ!!痛いじゃない!!」

「あ、ごめん」

「「「アッハッハッハ!!!」」」

 

 

 

 

 

 

 その後、通りかかる『朝のニュース番組のスタッフ達』に料理をふるまい(喰らわせ)……とうとう時刻は午前5時、やっと俺達は地獄から解放される時刻だ。

 

「じゃぁ皆さん、お疲れさまでした。」←俺

「おぉ!!もうそんな時間ですか!?」←藤崎

「あ、もう5時か」←鈴藤

「気をつけて帰りなよ?」←安浦

「また今度も喰らわせるかr……」←シェフ和泉

「……あ?」←理子

 

シェフ和泉の言葉にとうとう理子はキレてしまい……裏理子で対応してしまった。

 

「おまえ!!あんなもの食わせといてそんなk……」

「理子!!落ち着けって!!テレビの前だから!!なぁ!!」

 

両手にナイフを持ってシェフ和泉を襲おうとする理子を羽交い絞めにし、俺は何とか落ち着かせる。

 

 

 

 

「……りこりん・ジョークだよ?……てへっ」

「「「「「「…………」」」」」」

 

理子は何とか落ち着き、ぶりっ子のようにふるまうのだが……殺気丸出しで襲おうとした理子を見ているために全員ドン引きしている。シェフ和泉なんて腰を抜かしたのか……雪上の上で尻もちをついて固まっている。

 

「あぁ~……シェフ和泉の腕は次回期待しましょう。流石に本人も酔っぱらって作ったら悲惨なことになることは理解できただろうし」

「そ、そうですね……」

 

俺の言葉に鈴藤さんが声を上ずらせながら答えた。

 

「いやぁ本日はありがとうございました。…………あ、和泉さん。後で社屋裏に来てください」←俺

「バイバ~イ!!…………ちゃんと社屋裏に来いよ?」←理子

「「「アッハッハッハ!!!」」」

 

 

 

 

 

 

 さて、俺達は痛む胃腸を無視し……地下鉄の駅へ向かおうとすると、何かに服を引っ張られた。その方向を向くと……カチューシャさんが俺達の服を引っ張っていた。

 

「カチュちゃん、どうしたの?」

「……トイレは向こうだぞ?」

「違うわよ!!!」

 

カチューシャさんは怒鳴った後……右手を俺達に出してきた。

 

「……ん!!」

「「…………?」」

 

俺と理子は視線で会話した後……理子はハンカチ、俺は消毒用アルコールを出してカチューシャさんの右手を拭き始めた。

 

「そう、右手が汚れてたn……ってアホか!!」

「おぉ~カチュちゃん!!とうとう乗りツッコミを覚えましたか!!」

「そんなに成長して……俺は嬉しいよ……」

「あんたはあたしの親じゃないでしょうが!!」

 

 ……一々反応するから揶揄(からか)われるのに

 

俺はそう思いながら消毒用アルコールをしまった。すると、カチューシャさんはそっぽを向き、小さな声で呟き始めた。

 

「今日は楽しかったわ。その……ありがと」

「「……こちらこそ」」

 

俺と理子が笑顔でカチューシャさんに握手をすると、近くに小さな乗用車が止まった。その乗用車は今ではなかなか見られない古いタイプの車だが……隅から隅まで丁寧に整備されていることがすぐに分かる。

 その車から金髪美女(スタイル良し)が下りてきて、俺達の方へ向かって来た。

 

「カチューシャ様、お迎えに上がりました」

「あ、クラーラ!!」

「ノンナ様は……眠ってらっしゃるようですね」

「「あぁ~…………」」

 

俺と理子は気絶しているノンナさんを見た。遠目から見れば、安らかに眠っている美女に見えるのだが……近くから見れば、寝顔が恐怖で歪んでいるのがよくわかる。しかも時々(うめ)いているし……。

 

「困りました。まさかノンナ様が寝るなんて……」

 

小さな乗用車には誰も乗っていない。金髪美女一人で来たのだろう。彼女の細腕で気絶して(眠って)いるノンナさんを運べるとは思えない。

 俺はため息をついた後、ノンナさんに近づいて‘‘お姫様抱っこ’’をした。

 

 ……普通だったらこの状況、嬉しいのになぁ。

 

ノンナさんの顔は恐怖で歪んでおり……また‘‘お姫様抱っこ’’の時に口が開いてしまい、そこから泡を吹いている。それに薄目を開いており、そこから見える白目が怖い。

 

「「おぉ~!!」」

「村田君、以外にプレイボーイだね!!」

「青春だね~」

 

 後ろの声を無視して俺はノンナさんをその乗用車の後部座席に乗せた。そして薄目を開いている瞼と口を閉じさせ、口元を拭く。

 そう言えばノンナさんに俺の上着をかけていたのだが……このままでいいか。どうせ軍の横流し品で、タダ同然で貰ったものだし。

 

「ありがとうございます。……えっと」

「村田です。……カチューシャさん、ちゃんと歯磨けよ?」

「カチュちゃん、風邪ひかないようにね?」

「だから!!あんた達は親か!!」

 

カチューシャさんは腕をグルグル回して俺に攻撃しようとするので、俺は彼女の頭に手を置いて腕を届かないようにする。その様子を見ている金髪美女は目を白黒(白碧?)しているが……無視する。

 

「うぅ~……!!!」

「じゃ、カチューシャさん。またいつか。」

 

俺と理子は再び歩き始めると……再び俺のすそを引っ張られた。振り向くと……やっぱりカチューシャさんが裾を引っ張っていた。

 

「あんた!!同い年なんだからカチューシャ‘‘さん’’はないでしょ!!……カチューシャ‘‘様’’と呼びなさい!!」

「……じゃぁな、カチューシャ‘‘ちゃん’’」

「‘‘様’’でしょ!!」

 

俺は未だに裾を引っ張るカチューシャさんを無理やり離した。

 

「来年も優勝したら呼んでやるよ。カチューシャ‘‘ちゃん’’」

「…………後悔しても知らないわよ!!来年もカチューシャが優勝するんだから!!」

「期待してるよ」

 

俺達は歩く速度を早くし……地下鉄の駅へ向かった。

 

 

 

 

 俺が『カチューシャ‘‘様’’』と言うことになったかどうか……『ガールズ&パンツァー』の内容を知っていれば分かると思う。

 

 

 

 

 

 

 

「カチューシャ様?あの人達は……」

「カチューシャの友達よ!!」

「……(ブクブクブク)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 なお、俺と理子は地下鉄の駅のトイレにこもり、その後も札幌駅のトイレに引きこもった。そのせいで『札幌~新函館北斗』行きの特急に乗り遅れたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで問題はなくなったわね。」

 

とある学園艦の一室で、美少女は紅茶を飲みながら呟いた。

 

「問題…‥ですか?」

 

ギブソンタックの髪型をした幼い少女はポットを持ちながら聞いた。

 

「えぇ、わが校はプラウダへ紅茶を売り、そのお金で‘‘彼’’から『木箱』を買っているのは知っているわね。」

「はい、村田さんから送ってもらっているそうですね。」

「でも……このままではイブキさんだけ儲かってしまうわ。わが校の予算も潤沢と言うわけではないの。」

 

そう言った後、美少女は優雅に紅茶を飲んだ。

 だが、今の言葉で幼い少女は理解できなかったようだ。

 

「ですが、それがなぜ村田さんとプラウダを親密にさせることになったのですか?」

「彼はお酒が好きでしょう?『木箱』で得たお金でプラウダからウォッカを買う(正確には寄付)ことで、『プラウダ→グロリア―ナ→イブキさん→プラウダ』というお金のサイクルができるのよ」

 

美少女はそう言うと、再び紅茶を飲んだ。その姿はまるで一つの完成された美しい絵画の様だった。

 

「イピカイエー・マザー〇ァッカー!!動きやがれですの!!」

「ろ、ローズヒップ!?なんて言葉を!?」

「でも……この掛け声が無いとこの子は動かないのですわ」

 

 幼い少女には今の事は理解できなかったようだ。そこで窓の外を見ると……金髪美少女に怒られている紅髪少女がいた。

 

「……ローズヒップさんの口癖は治りませんね」

「多分一生治らないと思うわ」

 

 

 

 

 

 

 実はイブキにとって『木箱』の利益はほとんどなく、そこまで効果が無かったそうで。

 




 何故イブキがマラカスができるかは……次回、分かります。


 『どうでぃ軍団』は『自称:試食のプロ』と言っていますが……その実力が分かるはず。


 あのノンナさんがキャラを崩壊させるほどのマズさ……。どんな料理か分かるはず。


 ‘‘東京での大事件’’は次章になります。今のところ、事件の核心に‘‘大洗の軍神様’’は深くは関わらないことになっています。


 マジで『クーゲルパンツァー』の細かいことは分かっていません。だから何を乗せても文句は言われない!!


 石田葵さんは今後出る予定はありません。


 カチューシャにとって(おそらく)初めての学校外の友達と思っているため、ご本人は実はとても嬉しかったとか。


 『木箱』の件は「極東戦役:極東編 ‘‘HSS’’ってなんだよ…‥」より


  次回は『閑話 極東戦役:極東編』のため 『Next Ibuki's HINT!!』はありません。 
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