少年士官と緋弾のアリア   作:関東の酒飲

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 どうも一週間に一話じゃなくて、十日に一回が楽だなぁ……と思う今日この頃。一応急いで一週間に一話投稿を目指します!!



ヱビスビールのエール……ヤッホーブルーイングの『よなよなエール』には負けるけど、コスパと入手のしやすさは勝ると思っています。

 


 
 


俺のいちばん長い日 with BanG Dream!
有能な人間は癖がある……


 白鷺千聖(護衛対象)との顔合わせをした翌日、俺は東京のとある商店街にある『羽沢珈琲店』へ向かっていた。

 

 

 

 ところで、俺や藤原さんなどの『飛び級組』は『同期』との関わりがとても薄い(何年も寝食を共にした人と比べたら…‥)。なので『飛び級組』は同じ『飛び級組』と集まる傾向がある。

 その『飛び級組(関東)』の集まりがおおよそ1~2ヵ月に一回あるのだが……もともと数が少ないうえ、奇人変人忙人が多いせいで人がなかなか集まらない。そのため、‘‘藤原さんと俺’’が士官クラブか安居酒屋で飲んで解散という流れがほぼ毎回だった。

 しかし、今回は後輩:笹井純(ささいじゅん)少尉がセッティングをするという事で楽しみだったりする。

 

 

 

 笹井純少尉は空軍戦闘機部隊 343空所属のパイロット。普段は海外や離島で訓練をしているのだが……今回は珍しく東京に戻ってくるそうだ。

 

 

 

 

 

 

 俺はどこか見覚えがある商店街を歩くと、洒落た喫茶店が見えてきた。看板には『羽沢珈琲店』と書かれてある。

 

 ……昼間っから酒が飲める喫茶店なんて珍しいな

 

 酒好きの俺と藤原さんが来るんだ、まさか飲めない店に呼ばないだろう。

 俺はそう思いながら扉を開けると……カランカランと心地よい音と共に、銀髪でスラッとした美少女が近づいてきた。

 

「ヘーイ!!ラッシェーイ!!」

「……あぁ」

 

最近は変わった喫茶店が多いらしい。きっとこの喫茶店もそのような(たぐい)の物なのだろう。

 

「何握りやしょうかー!!」

 

俺はその言葉で『寿司とコラボの喫茶店』という事に気が付いた。

 

 ……笹井も面白い店を調べるじゃないか。

 

 俺は周りを見ると……足を組みながら本を読む、濃紺の背広の軍服を着た貴公子がいた。そいつが笹井純少尉だ。

 

「待ち合わせをしてるんだ。それとコハダを」

「ハイ!!『こはだ』ですね!!」

「ちょ、イヴちゃん!?ここ喫茶店だよ!?」

 

すると、店の奥の方から茶髪の少女が慌てて出てきた。

 

「ん~?違うのですか?」

「ここは寿司とコラボした、『寿司カフェ』とかじゃ……」

「違います!!」

 

 

 

 

 俺は茶髪の少女に説明を受けた後、俺は貴公子の座る席の対面に座った。

 

「……笹井、お前それが理解できるのか?」

「ん?……あぁ、村田先輩。やっと来たんですか?待ちくたびれましたよ。それと……勿論じゃないですか。」

 

俺はため息をつきながら聞いた。すると、その言葉でやっと俺に気が付いたように笹井はふるまう。その仕草一つ一つがまるで二枚目のイケメン男優の様で腹に立つ。

 近くの席に座っていた『ピンク色の豊満な少女』や他の高校生と思われる女性達が笹井を見てキャーキャー言っている。正直ウルサイ。

 

 そんな笹井が読んでいる本は『神の数式 この世の全てを一つの式に』と言う題名だ。普通の人間には理解できそうにない内容で、チラッと見たのだが……本に書いてあった式が完全に意味不明だ。

 

「『神の数式』……‘‘この世全てを一つの数式で表そう’’ってことだろ?」

「そうですよ先輩。」

 

笹井はそう言って顎に手を当て、カッコつけながら言った。しかし……俺はこいつの本性を知っている。

 

「……‘‘ゲージ対称性’’って説明できるか?それが分からなきゃ理解できないと思うんだが」

「…………」

 

笹井は目を泳がせ、口をパクパクとさせた後……ポケットに本をしまった。

 

「ちょっと、先輩!?もうちょっとで女の子から声をかけてもらえそうだったのに!!何するんですか!?」

「……だからやけに女子高生が多いのか。」

 

俺はため息をついた。俺は周りを見ると……目を光らせている女子高生が沢山いる。

 

 

 

 この笹井と言う後輩……部類の女好きなのだ。パイロットになった理由も、飛び級した理由も……『若い戦闘機パイロットってモテそうじゃないですか』と大真面目に語っていた。

 彼の叔父である『とある空軍の幹部』は女癖を止めさせるため、笹井に許嫁(いいなずけ)をつけたそうだが……さらに女癖がひどくなったとか。

 しかし、幸か不幸か……笹井は普段、離島の基地(軍人以外はほぼいない)や海外の基地で缶詰のために問題は起こしてはいないのが救いだ。

 

 

 

 ……‘‘問題は’’起こしていないけど、何回交番や警察署へ笹井を迎えに行ったことか。

 

 しかし、笹井がナンパしている姿は多いのだが……今回の様な受けに回るのは珍しい。

 

「笹井、受けに回るなんて珍しいじゃねぇか。なんかあったのか?」

「……坂井小隊長に『警察に迷惑になったらコロス』と言われまして。だったら向こうから声をかけてくれるなら問題にはならないはず……と思いまして」

 

 俺はその‘‘坂井小隊長’’に心の底から感謝した。普段のこいつなら……きっと手あたり次第にこの店の女性に声をかけ、俺と藤原さんが頭を下げる羽目になっていただろう。

 

 

 

 

 ため息をついた後、俺はメニューに目を通すと……見事に‘‘酒’’がない。

 

 ……そんな馬鹿な?

 

メニューを裏返すと……そこは食べ物やお菓子のメニューだ。他のメニュー表も見てみるが……季節限定のお菓子のメニューしか書かれていない。

 

「おい、笹井……お前……」

「あ、みんな来てたんだ。いやぁ~遅れてごめん。……なんだ、二人とも僕を待って飲まずにいてくれたのかい?悪いなぁ……」

 

ヨレヨレの軍服を着た藤原さんがやってきた。藤原さんは笹井の隣の席にカバンを放り、俺の隣の席に座った。

 

「あの、ご注文はどういたしましょう?」

 

さっき『ラッシェーイ!!』・『何を握りましょう?』と答えた銀髪の店員(?)が俺と藤原さんの前に水の入ったコップを置いた後、注文を聞いてきた。

 

「とりあえず生3つで。村田はともかく笹井も飲むだろ?」

「え……?いや、藤原さん。あの……」

「いやぁ~藤原先輩、ゴチになります!」

「ぼかぁ~奢らないぞ~」

「えっと……‘‘なま 3つ’’ですね?かしこまりました」

 

銀髪の店員は注文を確認した後、店の奥に向かった。

 

「笹井が戻ってくるってことは343空も戻ってきたんだよね?どうだい、久しぶりの本土は」←藤原

「一昨日の夜に帰ってきまして、昨日は新宿で赤松中佐と一緒に新宿でナンパしてたんですよ!!」←笹井

「赤松少佐……中佐に昇進したんだ。と言うか、帰って来て早々ナンパかよ……」←イブキ

 

 俺・藤原さん・笹井は話が盛り上がっていく。

 俺はため息を吐きながら水を一口飲み、メニューを見た。食べ物の方には……つまみに向いている物は一切ない。

 

 ……ギリギリ、テーブルに置いてある塩がつまみに向いているぐらいだよなぁ。

 

「赤松中佐と新宿でナンパしてたら……40くらいのおじさんもナンパしてたんですよ!!その人と意気投合しちゃって……‘‘もっこり’’って言うのを教わっていたら、3人まとめて交番に連れていかれて……」←笹井

「いやぁ~相変わらず空軍はやることが派手だなぁ~」←藤原

「……やっぱり警察にお世話になったんだ」←イブキ

 

笹井の武勇伝に頷いていたら……茶髪のエプロンをかけた少女が近づいてきた。少女は困ったように俺たちを見ている。

 

「あの……お客様?うちではビールを取り扱ってないのですが……」

「え……?そうなの?」

 

藤原さんは不思議そうに尋ねた。

 

「おい笹井、お前もしかして……(酒があるか)ちゃんと確認してないだろ」

「え?……確認しましたよ?女子高生に人気の店だって」

 

俺が笹井に酒の有無を調べたかどうか聞くと……己の欲望に忠実な答えが返ってきた。

 その答えに、俺と藤原さんは大きなため息をついた。笹井(原因)は不思議そうに首をかしげる。

 

 ……そうだよなぁ。あの笹井が酒の有無なんて調べないよなぁ。

 

「そういえばさっき‘‘お好み焼き屋’’があったし、そっちで飲もう。すいません、ご迷惑をお掛けして。」

「いいですねぇ~。久しぶりに‘‘もんじゃ’’でも食べたくなりましたよ。ほら笹井行くぞ。」

 

俺と藤原さんは席を立ち、この店を出ようとしたのだが……笹井はテーブルにしがみ付き、意地でも動かない。

 

「イヤです!!俺は女子高生に声をかけてもらうんだ!!」

「「……」」

 

俺と藤原さんは口が開いたまま……固まってしまった。

 

「今まで離島か基地に缶詰めだったんですよ!!会えるのは野郎か同性愛者か姉御肌かおばさんしかいないんですよ!?」

「「………………ハァ」」

 

俺と藤原さんはため息をつき、席に座った。

 笹井の気持ちはわからないでもない。俺の場合はまだ酒があればなんとか我慢できるだろうが……笹井は大の女好きだ。今までの缶詰生活は相当きつかっただろう。

 

『村田、二次会行くよね?』

『もちろんです!!』

 

 藤原さんとアイコンタクトで二次会が決定された。俺は水を一口飲み、メニューを見ると……

 

「「これだ!!」」

 

『カフェ・ロワイヤル』・『ティー・ロワイヤル』と書かれている場所に指を置いた。藤原さんも気が付いたようだ。

 

 

 

 『カフェ・ロワイヤル』とは……ブランデーをしみこませた角砂糖に火をつけて溶かし、その後コーヒーに入れて飲む方法だ。ナポレオンが愛飲したことでも知られている

 そして、コーヒーを紅茶に変えれば『ティー・ロワイヤル』になる。

 

 

 

 何を言いたいのかというと……この店には(ブランデー)がある!!

 

 

 

 

 

 

「あの……ご注文は……」

 

さっきまで固まっていた茶髪の少女(店員)が口を開いた。

 

「お嬢さん、僕にはブレンドのホットコーヒーをブラックで。ところでお嬢さん、この後時間はありますk……」

「「店員さん!!『カフェ・ロワイヤル(ティー・ロワイヤル)』の火無しってできますか!?」」

「は、はい!!き、聞いてきます!!」

 

茶髪の少女(店員)が奥へすっ飛んでいき、すぐにそこから中年のおじさんが出てきた。

 

「『カフェ・ロワイヤルの火無し』という事は、コーヒーや紅茶にブランデーを垂らすということでよろしいでしょうか?」

「えぇ、お願いします。割合は『モントゴメリー将軍』で……いや、『逆モントゴメリー将軍』でできますか?」

 

俺がそう注文すると……中年の店員は困ったような表情をした。

 

 

 

 

 アーネスト・ヘミングウェイの小説『河を渡って木立の中へ』で、主人公はマティーニを注文する時、『モントゴメリー将軍で』と注文するのだ。

 それは『ジン(イギリス):ベルモット=15:1』という意味で、モントゴメリー将軍は戦力比15:1になるまで攻撃をしなかったことに由来する。

 

 

 

 

 以上より、『逆モントゴメリー将軍』は『紅茶(イギリス):ブランデー=1:15』の割合。カップ一杯の量は120~150mlなので、ブランデーたっぷりのカップに紅茶を5~6滴ほど……。

 ここまですると、もはや紅茶ではない。紅茶の香りがするブランデーだ。

 

「‘‘ヘミングウェイ’’ですか……。値段が3倍ほど上がるのですがよろしいですか?」

「「え?」」

 

言ったのは俺だが、まさかできるとは思わなかった。

 

「じゃぁ、『逆モントゴメリー将軍』のコーヒーと紅茶を一つずつ、それにブラックコーヒーだったよね?」

「……それとミルクと砂糖を持ってきてくれませんか?」

 

藤原さんの言葉に、笹井は遠慮がちに言った。

 実はこの笹井……大の甘党なのだ。ブラックコーヒーなんて珍しいと思っていたら……格好つけただけだったようだ。

 

「『逆モントゴメリー将軍』のコーヒーと紅茶、ブラックコーヒーとミルクと砂糖ですね。少々お待ちください。」

 

中年の店員はそのまま店の奥に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、あんなものを注文できるなんて……」

「流石だね、ここの店主は」

 

藤原さんは店長を褒めながらガサガサとポケットをあさり、‘‘シガリロ’’と‘‘リュポンのライター’’を出した。

 

「先輩たち、相変わらずですね。肝臓は大丈夫なんですか?アル中になりますよ?」

 

笹井は呆れたように、ため息をつきながら俺達を見てきた。

 

「俺が死ぬときは、肝臓が死ぬ時だ」←俺

「辛い任務を笑い話にするために、僕は飲むのさ」←藤原

 

俺と藤原さんはそう言って、目の前の水を飲み干した。あぁ、紅茶風味のブランデー(逆モントゴメリー将軍)が待ち遠しい。

 俺達のそんな姿を見て笹井はため息をついた後、メニューをみた。

 

「あ、お嬢さん。追加で『サンタさんと雪のフワフワケーキ』をお願いします」

 

笹井は茶髪の少女の店員さんを呼び、恥ずかし気にケーキを頼んだ。

 

「あ、はい!『季節のケーキ』ですね?……あと、うちは禁煙なんですが」

「……え?」

 

シガリロを咥え、火をつけようとした藤原さんは渋々ポケットに喫煙セットをしまった。

 

「ここって喫煙席とかは……」

「ないです」

 

茶髪の少女(店員)は笑顔のまま……若干キレていた。俺達三人が……だいぶこの店に迷惑をかけているからだろう。

 

「「……スイマセンデシタ」」

 

俺と藤原さんは思わず謝るが……笹井は気が付いていない様だ。

 

「お嬢さん、この後予定は?近くに美味しいレストランがあr……」

「お客様?(いい笑顔)」

「……何デモアリマセン」

 

やっと笹井も状況を理解したのか、大人しく下がった。

 

 

 

 

 

 

 

 さて、俺は『逆モントゴメリー将軍』の紅茶、藤原さんは『逆モントゴメリー将軍』のコーヒー、笹井はブラックコーヒーに砂糖とミルクを大量に足した物を(すす)りながら、互いの情報を交換し合っていた。

 

 藤原さん曰く、『東京への侵攻勢力は複数であるが、なぜかほとんどの組織が一つの共通目標を持っている』ということ。

 笹井曰く『上官達がやけにピリピリしていて、赤松中佐とじゃないとナンパができない』ということ。これは聞かなくてもよかった。

 俺は『‘‘ジーサード・リーグ’’を下した』こと、『上司がウキウキしている』ことを話した。

 

 

「そう言えば、村田の‘‘義妹事件’’はどうなんだい?」

「なんで今その話題を振るんですか!?」

 

確かに藤原さんが気になる気持ちは分かるが……笹井(女好き)の前で話すことはないだろ!?

 

「え!?藤原先輩!?どういうことですか!?」

「『村田の義妹の‘‘かなめちゃん’’と村田の禁断の恋』をやったってところかな」

「全然違うからな!?」

 

しかし、笹井は羨ましそうに俺を見てきた。

 

「いいなぁ!!妹ですか!?しかも義理!?完全にエロゲーじゃないですか!?ヤリ放題じゃないですか!?」

「実際は‘‘血みどろヤンデレ義妹’’だからな!?」

「いいなぁ、僕は一人っ子だし……従兄弟(いとこ)は男ばっかりですし……。いいなぁ~!!!

()われるなら()わって欲しいよ……」

 

俺がため息交じりに『逆モントゴメリー将軍』を飲み干すと同時に、力強く扉が開けられた。そこからお面を被った三人組の人間が拳銃を腰から出しながらズカズカと店内へ入る。

 

「「「動くな!!強盗だ!!」」」

 

俺と藤原さんはその二人を見て大きなため息をつき、笹井は目を輝かせた。

 

「今時あんな‘‘ハイリスク・ローリターン’’な、アホな事をする奴らがいるんですね!!」

 

笹井は小説やドラマのような状況にワクワクしているようだが……俺と藤原さんはむしろ、そのような感性が羨ましいと思った。

 

 ……このようなアホのために俺達は頭を痛めているんだよなぁ。

 

というか……ここらは治安が良かったはずなのだが。

 

「さっさと金を出せ!!」

「ほら!!早くしろ!!」

「動くな!!静かにしろ!!」

 

一人はレジにいた中年の店員に銃を突きつけ、もう二人は客に銃を突きつけている。

 

「村田、笹井」

「「はい」」

 

藤原さんが‘‘暗いドロッとした目’’をして俺たちを呼んだ。休日なのに面倒事が起こって切れているのだろうか。

俺は返事をすると同時に腰の刀に手を置いた。

 

「村田は鎮圧、笹井は客の保護、僕は援護する。合図したらやれ」

「「了解」」

 

 

 

 

 

「お前、お前だ!!」

 

一人の強盗が‘‘黒髪メッシュの少女’’を立たせ、人質にした。

 

「……お前、人質なんて足手まといになるだろ!?」

「いや……この子の鋭い眼がこう……グッときて」

「……Mだったんだお前」

 

強盗三人がしょうもない会話をしている。その時だった。

 

「やれ」

 

藤原さんの声が静かに響いた。俺はその声が聞こえたと同時に、放たれた砲弾が如く強盗へ突撃した。

 

「……ッ!?ヤロウ!!」

 

強盗の一人が気が付き、銃を構えようとしたとき、俺は抜刀した。刀は強盗の拳銃を切り裂き、真っ二つにさせる。

 さらに接近し、切り裂かれた拳銃に驚いている強盗の腹に左拳を叩き込む。拳を入れられた強盗はそのまま倒れていく。

 

「チッ……なんでここに!?」

 

レジで金を要求していた強盗が慌てて銃を構えるが、もう遅い。俺は刀のリーチよりもさらに接近し、『拳銃奪い(リー刑事直伝)』をしながら蹴りを入れた。

 

「あ……ゴメン」

「ッ~~~!?カハッ……」

 

俺よりも身長が高かったせいか、蹴りが強盗(その2)の股間に入った。

 決して、『俺より身長が高いから』と言う妬みで入れたわけではない。『180センチ越えの身長羨ましい』とか思ってない。

 

 

 

「動くな!!動くと撃つぞ!!」

 

残ったのは『黒髪赤メッシュの少女』を人質にしている強盗だけだ。しかし、その強盗は人質の少女に銃を向けていた。その人質の少女は表情が固まって呆然としている。

 

「武器を捨てろ!!早く!!」

 

俺は刀と奪った銃を床に置き、蹴って強盗へ渡す。

 

「よし、そのまま跪k……!?」

 

強盗が武器に視線を向けた時、俺は‘‘影の薄くなる技’’を使って姿をくらます。

 

「よっと」

「え?……は?え?」

 

俺は一気に接近し、‘‘影の薄くなる技’’を解きながら強盗の拳銃を奪う。そのまま強盗を掴み、背負い投げで床に叩きつけた。

 強盗はいきなり俺が消え、急に現れたように見えたのだろう。強盗は目を白黒させながら投げられ、気絶した。

 

 

 

 

「さてと、二人は……」

 

俺は投げた強盗を縛り上げつつ、周りを見渡した。藤原さんは俺が倒した強盗を無力化・捕縛しながら警察に電話をしている。笹井は……

 

「君達、心配しないで。僕がいる限り安心だ。」

「ハイ……!!」

 

ナンパしていた。もはや呆れて何も言えない。

 

「…………あ」

 

ストンと言う音がしたので、その方向を向くと……人質になっていた少女が呆然としながら床に崩れ落ちていた。

 

「……大丈夫?」

「……え?あ……はい」

 

しかし、少女は立ち上がろうとしない。腰を抜かしたのだろうか。

 

 ……まぁ、確かに人質にされたんだ。民間人なら無理もない。

 

俺は‘‘黒髪赤メッシュの腰を抜かした少女’’の持ち上げ、そこらの椅子に座らせた。

 

「蘭!?大丈夫か!?」

「蘭!?怪我無い!?」

「蘭ちゃん!?大丈夫!?」

「おぉ~、あの時と一緒ですなぁ~」

 

すると、‘‘黒髪赤メッシュの腰を抜かした少女’’に友達であろう『三人組+店員一人』が駆け寄ってきた。

 その友人であろう少女たちに囲まれ、そこでやっと自分の置かれた状況に気が付いたのか……人質だった‘‘黒髪赤メッシュの少女’’の目尻に滴が溜まり始める。

 

 ……いいなぁ。普通は人質にされたら心配するよなぁ。

 

軍人達に武偵高の教師・生徒達だったら……逆に『なんで人質になってるんだよ!!』と制裁を喰らっていただろう。

 

 ……やっぱり俺、仕事間違えたかなぁ。

 

‘‘黒髪赤メッシュの少女’’と仲間達、そして笹井のナンパを視界にいれ……俺は思いっきりため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

  バーン!!

 

その後、警察が来て強盗が連行されようとした時、この『羽沢珈琲店』の扉が勢いよく開けられた。

 

「笹井……『警察に迷惑になったらコロス』って言ったよなぁ……!!!」←坂井

「アハハ……ゴメン、ここまで怒ってる坂井隊長は初めてだ」←西澤

「これは無理ですね。笹井さん、諦めてください」←太田

「さ、坂井小隊長に西沢少佐!?太田中尉まで!?」←笹井

 

笹井は急いで逃げようとしたが……殺気を放つ空軍佐官(坂井中佐?)に襟首を掴まれ……そのまま引きずられて店外へ連れていかれた。

 

「ふ、藤原先輩!?村田先輩!!……た、助けてください!!!」

「「笹井……これは無理」」

「う、裏切者ぉおおおお!!!」

 

上官に引きずられる笹井を見送った。

 

 

 

 

 

 

「あんなこと起こしたんだ。村田、この商店街のお好み焼き屋なんてムリだよ?」

「分かってます。‘‘士官クラブ’’でいいですか?」

「たまには違うところがいいなぁ」

 

俺と藤原さんはそんな風に話しながら、スーッと立ち上がった。

 

 ……さて、面倒なことが起こる前に逃げないと。

 

 称賛などいらない。今欲しいのは酒だ。

俺と藤原さんは店員に声を掛けられるがそれを無視し、代金よりも少し多いお金を置いて店を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「笹井、よくも俺の約束を破って警察に迷惑かけたな。」

「ち、違うんです!!あれは……そう、不可抗力!!不可抗力だったんです!!大人しくしていたら強盗が……」

「その間もナンパしてたって聞いたが……まぁいい。確かに強盗は不可抗力だな。」

「そう、そうなんですよ!!だからこの鎖をほどいて下さい!!」

 

笹井は鎖でグルグル巻きにされ、坂井中佐が操縦する輸送機に乗せられていた。

 

「安心しろ。今から南国の島に連れて行ってやる。残りの休暇はそこでゆっくり過ごせ。」

「本当ですか!?」

 

 笹井はビキニのお姉さん、褐色の肌、白い砂浜と水着の美女などを思い浮かべていた。

 しかし、飛行機が到着したのは火山性ガスが噴き上げ、あちこちに鉄の残骸が残っている島だった。

 

「あのここは……」

「硫黄島だ。ここでゆっくり羽を伸ばせ」

 

なお、硫黄島では民間人は基本立ち入り禁止だ。もちろん水着姿の美女などいない。

 

「さ、坂井隊長!!」

「じゃ、休暇を楽しめ」

 

笹井の目の前で……輸送機は飛び立っていった。

 

「ち、チクショウ!!!せめて鎖はほどいてくれよ!!」

 

 

 

 

 しかし、笹井の欲望は底なしだったようだ。

 笹井は『硫黄島~小笠原諸島(父島)』約260キロを泳ぎ切り(サメが徘徊しているため本来は遊泳禁止)、何とか水着(正確にはウエットスーツ)の美女を見ることに成功したとか。

 

「お前……化け物かよ!?八丈島から東京まで270キロを訓練で泳がされたけど、途中の島で休んでるんだぞ!?」

 

 笹井の先輩で、今は武偵高に出向しているHS部隊隊員はその話を聞き、唖然としたらしい。

 

 

 

 

 

 

 




 笹井純少尉は……イブキの1つ年下・2期下の後輩。高1の年齢で空軍士官学校(一般の大学に相当)を卒業した超エリート。(理由は残念だが)
 一応モデルは『笹井 パイロット』で検索すれば出てきますが、もはやモデルの姿形はないですね(笑)。
 実は趣味は『女』の他に、『ベルトのバックル集め』も。


 ゲージ対称性とは……スイマセン、量子物理学はやってないんです。ご自分で調べてください。





 ところで、『村田維吹』の挿絵が欲しいとあり、鉛筆と紙で描こうとしましたが……とても人に見せられるものではありませんでした。即処分しました。
 じゃぁ、モデルはいるし、写真を加工すれば……。ヘタクソながら写真を加工しましたが、肖像権や著作権関係でアウト。(費やした4時間半が無駄に……)

 以上より、とりあえずプロフィールとモデルをここにあげておきます。(いつか登場人物紹介とかやっておかないと……)


名前:村田維吹
所属:日本海軍 兵部省直属特殊作戦部隊(通称HS部隊)第二中隊第一小隊
階級:大尉
身長&体重:170㎝未満 75キロ未満
モデル:舩坂 弘
髪型:スポーツ刈りに近い丸刈り(伸びると軽いモジャモジャに)

 今まで、一部オリキャラにモデルを紹介していますが……顔は‘‘そのモデルの顔’’を想像してください
 


 Next Ibuki's HINT!! 「持ち物検査」 
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