少年士官と緋弾のアリア   作:関東の酒飲

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 遅れて申し訳ありません。昨日にアップしようと思ったら(昨日でも遅いが)寝落ちしてました。
 ほかの言い訳としましては……『ダイ・ハード3』を日本版に変換するのに時間がかかりました。
 


 所で、皆さんはGWは何処に向かわれますか?自分は……バイトです。



 そして、今回の章では

「(英語)~~~~」

とある文章は英語で喋っております。日本語が分からない外人が今回の章にいるので。


Die Hard3 in Tokyo  俺の一番長い日の始まり……

 さて、俺と‘‘秋山の爺ちゃん’’は遠山家の夕飯に招待された。

 

 

 遠山家の夕飯時、俺の席の隣にはもちろんかなめが座っていた。そのかなめの‘‘絶対零度(コキュートス)の瞳’’に見つめられ、俺はずっと『(へび)に睨まれた(かえる)』の様になっていた。

 かなめが俺を睨んでいる理由は……俺が『白鷺千聖』を護衛をしているために、彼女が俺を取ったでも思っているのだろうか?

 

 ……だけどかなめに‘‘護衛の件’’をしゃべってみろ?ただでさえ毎日襲われているのに、かなめにも襲われることになるぞ!?

 

俺は心を鎮めるため、水を飲んだ。喉が渇いていたのか、コップの水はすぐに飲み干してしまった。

 

「ねぇ、イブキにぃ?なんで、他の女の臭いがするの?」

「な、なんだっていいだr……」

「ねぇ、なんで?」

「………………」

「イブキにぃ?」

「…………」

 

かなめは‘‘絶対零度(コキュートス)の瞳’’で俺の顔を覗き込んだ。俺は顔をそらそうとすると、かなめは俺の頭を両手で固定してきた。

 

「なんで教えてくれないの?」

「……教務課(マスターズ)からの依頼で、同年代の女優を護衛することになりました。」

「へぇ~……」

 

今度は俺の左腕を力いっぱい抱きしめてきた。爪が食い込み、地味に痛い。

 

「複数の臭いがするんだけど?」

「その護衛対象がアイドルを兼任しており、そのアイドルユニットの少女達の送り迎えもやっているからだと思われます。」

「近距離にいるみたいだけど……なんで?」

「5人乗りのボロ車(ビュート)に、自分を合わせて6人を無理やり乗せているせいだと思われます。」

 

 ……いやぁ、俺は家族(義妹)には隠し事ができない、純粋な心を持っているらしい。

 

結局‘‘任務内容’’をかなめに話してしまい、俺は思わず現実逃避をしてしまった。

 

「イブキにぃ、あたしも一緒に行ってもいい?」」

「物理的に無理です。屋根にでも載せたら俺が捕まります。」

「………………しょうがないかぁ~」

 

かなめが力いっぱい腕を抱きしめるせいで、とうとう感覚がなくなってきた。

 

「……俺、帰ってもいい?」

「イブキにぃ、今日は泊って?」

 

かなめが俺の左腕に胸を押し当てるが……もう感覚がなくなっているため、何にも感じない。

 

「いや、明日も仕事があるし。」

「お爺ちゃん達を放っておいていいの?」

 

かなめが指を指した先には……一升瓶が5~6本・洋酒の四合瓶4~5本が転がり、気分がよさそうな‘‘秋山の爺ちゃん’’と、絡まれるキンジの祖父がいた。

 

 ……‘‘秋山の爺ちゃん’’今日はいつも以上に飲んでるなぁ。

 

俺はそう思いながら、今だ手をつけていない味噌汁を啜った。

 

「……ん?」

 

 ……味がおかしい。

 

俺はかなめを見ると……かなめの表情は変わってないが、口元が歪んでいた。

 俺は理解した。かなめが何か薬を盛ったという事を……

 

「お、お前!?何盛っt……」

「イブキにぃが悪いんだよ?なんで泊まって行ってくれないの?」

 

俺は意識がかすれていく中……かなめが‘‘絶対零度(コキュートス)の瞳’’で俺を狂おしく(愛おしく)見ている姿がとても印象的だった。

 

 

 

 

 

 

 

 ……ん?

 

俺は腰の方に何か触感があり、起きてしまった。俺は眠い目をこすりながら、原因を探り……

 

「……あ」

「…………おい、さすがにそれは無いわ」

 

俺のベルトを外し、ズボンを下ろそうとしているかなめと目が合った。かなめは目をそらし、何もなかったように再び俺のズボンを下ろそうと……

 

「何やってるんだよ!?」

 

俺は慌ててズボンを押さえ、かなめを蹴り飛ばした。

 かなめは「あぁん」と残念そうな声を発して壁にぶつかった後、四つん這いで俺の方へ向かう。

 かなめは胸元を緩めているのだろう。四つん這いをしているため、シャツの隙間からブラジャーが見えている。

 

「夜這い……?」

 

かなめは四つん這いのままそう言って、『なんでそんな当たり前な事を聞くんだ?』とばかりに首をかしげる。

 

「うるせぇよ!!どこに薬盛ってまで犯そうとする妹がいるんだよ!?ゲームの世界じゃねぇんだぞ!?」

「でも……義理だし、‘‘兄妹や姉弟の結婚’’は普通だよ?『イザナギ・イザナミ』・『オシリス・イシス』、他には……」

「そう言う問題じゃねぇよ!!」

 

するとかなめの目元に(しずく)が溜まり始めた。

 

「……あたし、今まで誰かと一緒に寝たことなくて。偶々おじいちゃんに挨拶しに来たら、イブキにぃも来て舞い上がっちゃって……。迷惑だった……よね」

「うっ……」

 

かなめは涙目で(すが)るように見てきた後、しょんぼりと部屋を出ようとした。俺はさっきの言葉とこの姿を見て、罪悪感で一杯になる。

 

 ……あながちあり得なくはない話だし、そんな寂しい気持ちも理解できる。それに、かなめはHSSになったら俺を犯すことなどできないはずだ。

 

相変わらず、身内には甘いなぁ……と俺はため息をついた。

 

「……何にもしないなら、一緒に寝るか?」

「……!?うん!!」

 

かなめは『帰ってきた主人に飛びつく忠犬』のように俺に抱き着いてきた。かなめは自分の頭を俺の腹にぐりぐりと押し当てる。

 

「変なことしたらたたき出すからな」

「やっぱり、兄妹は一緒に寝るのは合理的ぃ!!イブキにぃ、大好き!!」

「ハイハイ……」

 

 ……明日も早いから、もう寝ないといけない。久しぶりに‘‘秋山の爺ちゃん’’と一緒に痛飲したかったんだけどなぁ。

 

俺は部屋の電気を消し、布団にもぐった。そしてかなめに背を向ける。

 

「~~~♪」

 

かなめは俺の背中に抱き着き、鼻歌を歌っていた。かなめの感触と熱が背中に伝わってくる。

 

 ……湯たんぽ代わりにはちょうどいいか。

 

「おやすみ」

 

俺はそう言って、目を閉じた。

 12月の日本家屋、さすがに布団だけでは寒いが……かなめ(湯たんぽ)がいればなかなか暖かい。今日はいい夢が見れそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日の早朝、かなめが部屋から叩き出されている所をキンジは目撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 高級中華料理食べ放題から3日後の早朝、俺と白鷺はアクア・エデンにいた。なんでも、このカジノ街で映画の撮影があるらしい。

 

 

 

 アクア・エデンとは……日本でカジノや風俗が許される数少ない場所の一つであり、吸血鬼などの‘‘人外’’のための人工島でもある。そのため、その人工島には身分証が無いとは入れなく、入るための交通手段が鉄道だけだ。

 まるで監獄島(アルカトラズ)の様ではあるが……人と人外の‘‘住み分け’’ができている国内でも希少な場所の一つだ。

 ついでに、アクア・エデンはHS部隊第一中隊(むこう)(国内担当)の管轄ではなく、第二中隊(うち)(海外担当)の管轄である。

 

 

 

 スタッフが急いで道路の一角をセッティングしているのを見ながら、俺はあたりを警戒していた。何故だかわからないが……嫌な予感がするのだ。

 

 ……そもそも、ここで襲われてみろ?どうやったって逃げられないぞ?

 

前述のとおり、この島から脱出するためには鉄道しか手段がない。なので自慢の(皮肉)ボロ車(ビュート)は本土に置いてあり、この人工島(アクア・エデン)にはない。

 

 ……しかも、ここには観光で来日したジョニー・マクレー(おっさん)もいるんだ。何が起こってもおかしくない。

 

 俺は周りを観察した後、ため息をつきながら白鷺千聖を見た。

 今朝も襲撃があり、そのせいで俺はガラス片が頭に当たって出血しているのを見ているのに、彼女はその事をなんとも思わず仕事に(はげ)んでいる。

 

 ……と言うか、Pastel*Palettes(パスパレ)の全員が、血生臭い事に慣れちゃったんだよなぁ。

 

 

 

 彼女達は毎日襲撃されるせいで、銃撃戦など受けても悲鳴をあげることはなくなった。それどころかメンバーの一人:氷川日菜に至っては敵の銃を奪い取り、笑いながらその銃で反撃する始末……。

 

 

 

 

 ……おかしいなぁ。どう考えても護衛の意味をなしていないような気がする。

 

まぁ、あくまでも‘‘白鷺千聖’’の護衛であって、‘‘Pastel*Palettes(パスパレ)の護衛ではないためいい……のか?

 そんなことを考えていた時だった。いきなり俺の勘が警鐘を鳴らした。俺は第六感が告げる警鐘に従い、白鷺を抱きかかえて地面に伏せた。

 

「ちょ!?何やっt……」

 

  ズドーーーーン!!!

 

「ぐぁああああ!?」

 

白鷺千聖がいた車道(ロケのため封鎖中)に面しているビル2つが爆発したのだ。その破片が俺の体に降り注ぎ、刺さっていく。

 

「きゃぁああああ!!!」

「耳元で叫ぶんじゃねぇ!!!」

 

 ……あぁ、なんて最悪な一日だ。

 

これが俺の『一番長い日』が始まる狼煙(のろし)となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ッ!!!」

「はいはい、我慢しなさい。男の子でしょ?」

 

俺はアクア・エデンの風紀班本部で治療を受けていた。病院は重傷者で一杯のため、軽傷である俺はここで刺さった破片を麻酔無しで抜いてもらっているのだ。

 

 

 

 さて、風紀班とは警視庁直属の『特区管理事務局』という組織の一部だ。

 この『特区管理事務局』は単純に言うと、『化け物には化け物を』。アクア・エデンなどの‘‘人外’’が集まる場所の治安を守る『‘‘人外’’による組織』(もちろん人間も所属している)だ。

 そして、風紀班の仕事は、簡単に言うと警察の『生活安全課・地域課・刑事課』を混ぜたような仕事をしている。一見仕事量が膨大だと思われがちだが、基本は『警察の補佐』又は『警察ができない捜査』を担当するため、警察よりは仕事が少ない。

 

 

 

 その風紀班と第二中隊(俺達)は何度か一緒に仕事をしているため、互いに顔は知っている。そして、その風紀班に所属し、俺と顔なじみで同い年の矢来 美羽(やらい みう)と言う少女に手当をしてもらっているのだが……。

 

「……なかなか取れないわね」

「ッ~~~~~~!!!」

「……。」

 

その矢来さんがピンセットで力任せに破片を取るせいで、俺は声にならない悲鳴をあげていた。そのエグい光景を見ないように、白鷺はそっぽを向いている。

 ついでに、白鷺は無傷だ。女優である彼女に傷がつかなくてよかった。

 

「やっと取れた。……うわ、大きなネジね」

「もうちょっと優しくできねぇのか!?」

「うるさいわね……私だって初めてなのよ。それにただでさえ寝ようとしたところで呼び出されて!!」

 

  ガシッ……ザクッ!!!

 

「ッ~~~~~!?」

「……。」

 

 

 

 

 

 さて、俺が治療(?)を受けている間にも自体は進行している。俺達の目の前で、風紀班の皆さんは必死になって対応をしていた。

 

「アラン!!警視庁の爆弾処理班と特殊部隊、警察庁と軍にも連絡しろ!!」

「羽切と里島は病院へ行って負傷者を収容!!」

「呉田は特区の建設課に被害を報告させろ!!」

「誰があのホテルを吹き飛ばしたがるんだ?」

「どうせカジノで負けたからじゃない?」

「主任!!警察庁から電話です!!」

 

風紀班の主任:枡形兵馬が電話に出た後、俺を睨んできた。

 

 ……どういうことだ?

 

  ブチッ!!

 

「ぐぉお…………」

「ある程度はこれで取れたわね」

 

 ……や、矢来の奴、覚えてやがr

 

  ベチャ……

 

「後は消毒ね」

「グゥ~~~~~~ッ!!」

「………………大丈夫かしら?」

 

俺は白鷺の気遣いに背筋が凍り、そして痛みで熱くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 矢来さんによる‘‘愛のこもった’’治療を受けた後、俺は彼女から包帯を奪い取って自分で巻いた。

 包帯が巻き終わった後、俺は白鷺と分かれて別室に案内された。

 

 ……全く、なんて一日だ。

 

俺はため息をつきながら部屋に入ると……そこにはやさぐれたジョニー・マクレー(おっさん)がいた。

 

「(英語)おっさん!?なんでここに!?」

「(英語)あぁ?……昨日は‘‘SAKE’’を飲んでいい気分で寝てたってのに、こんな早朝に飛び出してよぉ。……坊主、アスピリンはないか?」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)は無地のTシャツにジーパン姿をしていた。彼は吐き気と頭痛がひどいらしく、まるでボロ雑巾の様だった。

 

「(英語)……ほどほどにしとけよ、おっさん。もう若くねぇんだから。……ほら」

 

俺は‘‘四次元倉庫’’からアスピリン錠を出し、ジョニー・マクレー(おっさん)に一粒渡した。

 

「(英語)もう1つ……いや2つだ」

 

おっさんは頭を押さえ、ダルそうにアスピリンを受け取った。

 

「(英語)おっさん、これの用量は1回1粒だ。」

「(英語)うるさぁい。1粒じゃ足りねぇ痛さなんだよ」

 

俺はため息をつきながら薬剤包装(PTP)から錠剤を取り出そうとすると、部屋の扉が開いた。その扉から、無表情の藤原さんとスーツを着た3人(一人は白人)が入ってきた。

 

「藤原さん……どうかしたんですか?」

「まぁね……まさかここまでだとは思わなかった。」

 

藤原さんとスーツの3人は俺達の対面にあるソファーに座った。

 

「(英語)ジョニー・マクレーさん、藤原石町と申します、どうぞよろしく。」

「(英語)え?……あぁ。」

 

藤原さんはそう言って、ダルそうなおっさんと握手をした。

 

「(英語)その隣が‘‘公安’’の玉串(たまぐし)、‘‘外務省’’の畠山(はたけやま)、‘‘駐日アメリカ合衆国主席大使’’のクラークさんです。」

「「(英語)よろしく」」

「(英語)……あぁ。」

 

‘‘公安’’と‘‘外務省’’の人間はジョニー・マクレー(おっさん)に頭を下げた。

 

「むらたサン、ハジメマシテ。ヨロシクオネガイシマス。」

「え?……あ、はい。よろしくお願いします。」

 

‘‘駐日アメリカ合衆国主席大使’’のクラークさんは笑顔で俺に握手をしてきた。

 

 ……まさか、首席公使と握手することがあるなんて。どんなやばいことが起こったんだよ。

 

 

首席公使とは、大使館でNo.2の階級を持つ人だ。そんな人がこんな場所に来るということは……なにか重要な事件が起こったに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

「(英語)さて、村田は知っていると思うけど……ジョニー・マクレーさん、今朝この島で爆発事件があったことをご存知ですか?」

 

‘‘公安’’の玉串さんが『碇ゲンドウ』の様な『机に肘をつき、手を組む』ポーズをとりながら言った。彼のメガネが蛍光灯の光を反射しているため、結構迫力がある。

 

「(英語)あぁ?誰かがクラッカーでも鳴らしたかと思ったぜ。」

「(英語)俺はそのせいでボロボロだよ」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)はタバコを取り出して火をつけ、俺はため息をついた。

 

「(英語)そして、その事件のすぐに警察庁・兵部省・外務省・駐日アメリカ大使館にこのような声明の電話がきた。ジョニーさんには英語に起こした文章を。」

 

‘‘外務省’’の畠山さんがジョニー・マクレー(おっさん)に一枚の紙を渡した後、ボイスレコーダーをテーブルの上に置き、再生のボタンを押した。

 

 

 

 

『‘‘サイモン’’が言ったとさ、俺にそのパイ全て寄越(よこ)せ、出なければ頭をカチ割るぞ?

 アクア・エデンでの爆破は我々の警告だ。今、そのアクア・エデンに‘‘村田維吹’’という日本の軍人と‘‘ジョニー・マクレー’’というアメリカの刑事がいるはずだ。我々は彼らに恨みがあるのでね、彼らとゲームがしたい。

 ゲームの内容は‘‘Simon says’’……日本で言う‘‘命令ゲーム’’だ。今回は‘‘サイモン’’の命令を‘‘村田維吹’’と‘‘ジョニー・マクレー’’に実行してもらう。

 あぁ、もちろん罰ゲームもある。命令に失敗、もしくは従わなかった時、再びこうky……

 

 「(独語)Ein Bär kam heraus!!(く、クマが出た!!)

 「(スペイン語)Duele, Duele!!¡Ay, ay!!(いたい、痛いよぉお!!)

  グォオオ!!グォオオオ!!!

  ダァン!!ダァン!!ダァン!!

 

少し待ってくれ。…………あぁ、もういい。罰ゲームの件だが、再び公共の場で爆発が起こる。1時間後に再び電話をする。それまでにその2人を呼び寄せておけ。では……

 

 「(独語?)くぁwせdrftgyふじこ!?」

 

(独語)Ihr Jungs, okay?(お前たち、大丈夫か!?)

 

  ガチャ、ツー、ツー……』

 

 

 

 

 この部屋の空気がいっきに凍った。

 

 ……と、とりあえずドイツ語にスペイン語が聞こえたな。

 

 ドイツ語、スペイン語に関係があり、俺達を恨んでいる奴らは……『ナカジマ・プラザ』に『ジョン・F・ケネディ空港』で戦ったテロリスト共だろう。他にも、もしかしたらあるかもしれないが……これが最も可能性がある。

 

 そしてもう一つ分かったことがある。

 

「(英語)クマに、襲われたんですね……」

「(英語)冬ごもりしなかったクマは、飢えてるからね……。テロリストが減ってよかったけど、人道的には……」

 

 俺と藤原さんは遠い眼をした。

 俺も、諜報が専門の藤原さんも冬山の恐ろしさをよく知っている。藤原さんはともかく、俺の場合は衣服のみで冬山に置いてきぼりにされた。あの時に出会ったクマなんて……もう、思い出したくもない。

 

「(英語)そう言うわけです。ジョニー・マクレーさん、この事件の捜査に協力してくれませんか?」

 

‘‘公安’’の玉串さんはは‘‘ゲンドウポーズ’’を解き、頭を下げた。

 

「(英語)……俺は休暇を楽しんでいたんだ。何だって他国の事件に首を突っ込まなきゃいけねぇんだ。」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)は顔を歪め、ため息と一緒に紫煙を吐いた。

 

「(英語)マクレー君、どうしても協力してくれないか?……あぁ、忘れていた。これは‘‘ニューヨーク市警(NYPD)’’の命令書だ。」

 

‘‘駐日アメリカ合衆国主席大使’’のクラークさんは困ったように、ある紙を机に置いた。ジョニー・マクレー(おっさん)は面倒臭そうにその紙を読んだ。その後、ジョニー・マクレー(おっさん)はタバコをいっぱいに吸った後、灰皿に吸殻を投げ込んだ。

 

「(英語)……ッケ。どっちにしろヤレってことか。」

「(英語)そう言わないで欲しい。我が合衆国も残党共を追うのに苦労しているんだ。こんな一網打尽の機会などめったにない。報酬は出るし、‘‘断る自由’’はある。」

「(英語)‘‘断る自由’’はあるが、‘‘断ったら’’降格か。」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)はため息と一緒に紫煙を吐き出し、紙を机の上に放り投げた。

 

「(英語)マクレー君、中央情報局(CIA)国家安全保障局(NSA)国防情報局(DIA)が苦戦していた敵が目の前にいるんだ。もちろん報酬も出る。」

「(英語)どうせ口止め料でしょう?……分かった、分かりましたよ!!やりゃぁ良いんでしょ!!」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)が投げやり気味に言い放った時、部屋の扉がバーンと開かれた。中に入ってきたのは……俺に‘‘愛をこめて’’治療してくれた矢来さんだった。

 

「おい君!!ここは立ち入り禁止だぞ!!」

 

外務省の畠山さんが苛立たしそうに声を張り上げた。しかし、矢来さんは一切(おく)することはない。

 

「犯人からの電話です!!内線で繋げられます!!」

「何!?」

「what’s!?」

 

矢来さんの言葉に、‘‘外務省’’の畠山さんと‘‘駐日アメリカ合衆国主席大使’’のクラークさんは声を裏返して驚いた。

 

「落ち着いてください、二人とも。」

「内線をつないでくれるか?」

 

藤原さんと‘‘公安’’の玉串さんは落ち着いて対応した。

 

 ……と言うか、この玉串さんはすごいな。ずっと‘‘ゲンドウポーズ’’のままだぞ?

 

「やっと来たな……、逆探の準備!!」

 

‘‘公安’’の玉串さんはそう言って呟き、メガネを外した。その玉串さんの厳つい顔からメガネを外すと……クリクリの目がそこに合った。

 

「「……ッ!?クククッ~~~!!」」

 

俺とジョニー・マクレー(おっさん)は笑いを押さえるのに必死だった。

 

 

 

 

 

『やぁ、やっとあの役人どもが君達を説得したようだね。‘‘イブキ君’’、‘‘ジョニー君’’。初めまして、‘‘サイモン’’と呼んでくれたまえ』

 

部屋にある固定電話をスピーカーモードにし、そこから犯人と思われる男の声が発せられた。

 

「(英語)おい、俺は‘‘日本語’’は分からねぇんだぞ。」

「おっさんが日本語を聞き取るなんてできるはずねぇだろ?お前、本当に俺達を知っているのか?」

 

俺とジョニー・マクレー(おっさん)が抗議をすると、固定電話からため息が聞こえた。

 

『(英語)‘‘ジョニー君’’、せっかく日本に来ているんだ。少しぐらい勉強をしたらどうだい。』

「(英語)余計なお世話だ。俺はそもそも来たくなかったんだよ」

「(英語)そう言えば……クマに襲われた部下は大丈夫だったのか?」

 

藤原さん以外の3人が何かジェスチャーしているが無視し、俺は雑談に走った。

 

『(英語)あぁ、二人が犠牲になった。あいつは良い奴だっt……‘‘イブキ君’’、そうやって情報を抜き取ろうとするのは止めたまえ。つい興奮して爆弾のボタンを押してしまうかもしれない。』

「(英語)どんだけ短気なんだよ。いやだねぇ~、これがキレ症か?」

「(英語)カルシウム足りてねぇんじゃないか?牛乳もいいが、煮干しもいいぞ?あとちゃんと野菜も食べろよ?」

『(英語)余計なお世話だ』

 

 ……なぜ、二人も犠牲になったのに、‘‘あいつ’’なんだ?もう一人はどうでもいいのか?

 

俺は軽口を言いながら、頭を回転させる。

 

『(英語)ここには‘‘藤原君’’に‘‘玉串君’’、‘‘畠山君’’と‘‘クラーク君’’もいるようだね。やぁ、初めまして。相変わらず玉串君は‘‘ゲンドウポーズ’’をしているようだな。』

「「「「「「……!?」」」」」」

 

その言葉で、この部屋にいる全員が固まった。

 

 ……監視されているのか?

 

俺は冷汗をかき、ジョニー・マクレー(おっさん)は水を飲んだ。

 

 

 

『(英語)さて、ではそろそろゲームを始めようか。

 

‘‘Simon says……村田維吹、ジョニー・マクレーの二人は東京タワーへ行け。着いたら外で待っているように’’

 

あぁ!!もちろん、警察や武偵は10ブロック以上離れているように。』

 

  ガチャ、ツー、ツー……

 

 

 

「逆探はどうだった?」

「ダメです。妨害がされていて分かりませんでした。」

 

‘‘公安’’の玉串さんはその答えを聞き、机を蹴った。

 

「……それにしても、どういうことだ?」

 

藤原さんは苛立たしそうにポケットをまさぐり、シガリロとライターを取り出した。

 

「……藤原さん、どういう意味ですか?」

 

 俺は藤原さんが放った言葉に疑問を持った。藤原さんはシガリロを咥えて吸った後、ため息と一緒に紫煙を吐いた。

 

「‘‘ナカジマ・プラザ’’の時の『東側系テロリストの残党』、‘‘空港’’の時の『南米麻薬組織の残党』、そして中国マフィア藍幇(ランパン)の3つが別々に動いていると思っていたんだ。クソッ、偽情報を掴まされてた!!!」

 

  ダン!!

 

藤原さんは拳を机に叩きつけた。その衝撃で灰皿から吸殻が飛び散る。藤原さんは再びシガリロを咥え、紫煙を吸い込むと同時に落ち着きを取り戻す。

 

「(英語)今回の事件の解決に当たって‘‘不殺云々(うんぬん)’’は言ってられません。二人にはこれを渡します。」

 

藤原さんは‘‘ドロッとした目’’をして雰囲気を変え、隣に座る‘‘公安’’の玉串さんに合図をした。

 

「(英語)本当は部外者に渡したくないんですけどね。……あくまでも、犯人やその一味だけです。民間人を撃ったら……どうなるか分かりますね。」

 

玉串さんが机の上に二枚の‘‘紐付きカード’’を出し、俺とジョニー・マクレー(おっさん)の前に一枚ずつ置いた。

 

「(英語)なんだ、これ?」

 

 

ジョニー・マクレー(おっさん)は不思議そうにそれを手に取り、不思議そうに観察している。しかし、俺はジョニー・マクレー(おっさん)と違い、冷汗をかいて固まった。

 

 ……殺人許可証(マーダー・ライセンス)だと!?は、初めて見るぞ!?

 

 そのカードには、日本語で『殺人許可証』と書かれていた。

 確かに、俺は第二中隊にいた頃は‘‘暗殺任務’’もあったが……それらの件は国(自国・他国問わず)が揉み消していたため、『殺人許可証』を持つ必要が無かったのだ。

 

 ……殺人許可証(マーダー・ライセンス)を部外者に渡す必要があるほどヤバい事件なのか!?

 

俺は震える手でそのカードの紐を首にかけた。

 

「(英語)マクレーさん、銃はこちらをお使いください。では東京タワーへ向かいましょう。」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)の前にベレッタを置き、‘‘公安’’の玉串さんは席を立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん?そう言えば藤原さん。俺、‘‘白鷺千聖’’の護衛任務があるんですけど」

「え?……あぁ、そう言えばそうだった。こっちから連絡入れるし、違約金も払う。彼女は何処へ送ればいいんだい?」

「それじゃ、彼女の事務所にお願いします。本来だったら撮影の後、事務所でレッスンだったので。」

「分かった。こっちで送っておくよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は白鷺がいる部屋にいったん戻った。

 

「あら?会議は終わったのかしr……!?」

 

白鷺は俺を見て軽口を叩こうとし……黙った。彼女は恐怖と驚愕を混ぜ合わせたような表情をしていた。

 

「白鷺、大事件が起きた。悪いが事件が解決するまで護衛を降りさせてもらいたい。事務所へは軍か警察が手配してくれるはずだ。」

 

俺は『此れ幸い』とばかりに口を開き、そして部屋を出ようとした。

 

「ちゃ、ちゃんと!!帰ってくるのよね!?」

 

 ……何心配してやがる。お前は俺のことが嫌いだろうに

 

俺はため息をつき、背を向けながら片手をあげた。

 

「俺は‘‘不死の英霊(イモータル・スピリット)’’だ。チャチャッと片付けてくらぁ」

 

 ……あぁ、胸が痛い。

 

俺はやっぱりこの‘‘二つ名’’は嫌いだ。鳥肌が立つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  さて、『閑話 極東戦役:極東編』において、無銭乗船によって東京まで来てしまった‘‘西住みほ’’は東京を満喫していた。

 彼女は有明の東京港に降りた後、最初に向かったのは‘‘東京タワー’’だった。

 

 ‘‘西住みほ’’は浜松町で電車から降り、東京タワーへの坂を上っていた。そして、東京タワーの特徴的な赤色が見えると、彼女の足は軽くなる。

 

 坂道を登り切り、東京タワーへの入り口が見えてきた。

 

「………………え?」

 

少女は目を疑った。東京タワーの入り口付近には、異常に殺気だった‘‘スキンヘッドの白人’’と‘‘坊主頭の少年’’がいた。

 少女は一瞬戸惑ったが、『東京にはいろんな人がいるんだなぁ』と思い、無視して東京タワーへ入ろうと……

 

「こんにちは」

「こ、こんにちは」

 

少年と目が合った。少女は嫌な予感がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺とジョニー・マクレー(おっさん)は‘‘アクア・エデン’’から出る電車に乗り、本土に着くとボロ車(ビュート)で浜松町へ向かった。浜松町でボロ車(ビュート)を乗り捨て、走って東京タワーへ向かう。

 

『(英語)村田、マクレーさん、健闘を祈る』

 

耳に付けたインカムからは藤原さんの激励の言葉が発せられた。俺とジョニー・マクレー(おっさん)はその言葉にため息で答えた。

 

「(英語)クソッ、日本に付いてすぐこれか。……なんだぁ、これは?日本に‘‘エッフェル塔’’でも作ったのか?」

「(英語)‘‘東京タワー’’っていうんだ。」

 

俺達は適当に話しながら警戒する。

 

 ……‘‘サイモン’’は何故東京タワーの外へ行くように命じたんだ?

 

周りにはビルが多いから狙撃も監視も楽だろう。殺そうと思えばすぐに殺せるはずだ。

 そんなことを考えていると、丘の方から『黒色の軍服風の制服を着た少女』が歩いてきた。その少女は一般人の歩き方と違い、特殊な訓練を受けた人間の様な歩き方をしていた。

 

 ……敵か?

 

「こんにちは」

「こ、こんにちは」

 

俺は確認のため、少女に話しかけた。少女はビクッと体を震わせた後、普通に挨拶を返してきた。

 

 ……殺気は感じられない。多分普通の女子高生の可能性が高い。しかし今日は平日だ。なんでこんなところに?

 

そんなことを考えていると、目の前にハイエースが止まった。ハイエースのドアが開くと、そこから‘‘いかにも’’そうな男たち8人が出てきた。

 

「へぇ~、このおっさんと坊主頭をやればいいんだな?」

「こんな雑魚をボコせば大金もらえるなんてなぁ。」

「そこにいるお嬢ちゃんも可愛いじゃん。後で、マワしちまおうぜ!!」

 

ガタイ‘‘は’’いいヤンキーの男たちは手にバットや小さなナイフを持ち、下品な笑い声をあげる。

 

 ……歩き方・姿勢・仕草から判断して、どう考えてもただの不良。話から察するに‘‘雇われ’’、しかも気が付いていないのようだ。……クソッ!!そっちの方が面倒臭い!!

 

俺は思わず舌打ちをした。

 不良で、しかも‘‘雇われ’’だとしても……奴らは民間人。‘‘殺人許可証(マーダー・ライセンス)’’を貰ったとは言え、奴らを殺せば面倒になるのは確実だ。

 

「(英語)おっさん、()ったら面倒だって分かるよな?」

「(英語)あぁ。分かってる」

 

俺はおっさんに話しかけると同時に、黒色軍服(?)少女の腰に手をやり、抱き寄せた。

 不良たちが睨んでくるが、そんなの問題ない。

 

「Discretion is the better part of valor!!(訳:逃げるが勝ちってな!!)」

「三十六計逃げるに如かずだぁあ!!」

 

俺は少女を小脇に抱え、おっさんと一緒に回れ右をし、敵に背を向けて逃げ出した。

 

「「「「「……え?」」」」」

 

ヤンキー達はその『華麗な逃げっぷり』に呆然としたが、すぐに我に返って追いかけ始めた。

 

「「「「「待てゴラァアア!!」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 イブキがかなめの盛った薬を見破れなかったのは……単に油断していたからです。まさか身内が盛るなんて一つも考えていなかったので。


 かなめがHSSになると『弱気』になるため、逆に襲われる心配がない。ただし、『男が守りたくなるような女』、つまりメチャクチャ魅力的になるために‘‘己の自制心が問われる’’ことになる。


『矢来 美羽』はゆずソフト『DRACU-RIOT!』のヒロインの一人。この作品からはエリナや稲叢 莉音が登場しています。


 風紀班の主任『桝形兵馬』、公安の『玉串』、外務省の『畠山』、駐日アメリカ合衆国主席大使の『クラーク』は今後出ることはありません。……多分。


 クマの恐ろしさは……ゴールデンカムイを見て貰えばわかります。ヒグマとツキノワグマと言う違いがあるとは言え、クマがいかに恐ろしいか分かるはずです。




  Next Ibuki's HINT!! 「過酸化アセトン」 
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