少年士官と緋弾のアリア   作:関東の酒飲

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 週一投稿がなかなかうまくいかない今日この頃……。やっぱりバイト先で書けなくなったのがとても大きい。
 次話こそ、次話こそ一週間までに投稿できる……はず。




 それと、このSSはフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
 重要なのでもう一度書きます。このSSはフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。


Die Hard3 in Tokyo  10年越しの再会……

「……なんでこんな目に。」

「(英語)この嬢ちゃんはなんて言ったんだ?」

「(英語)『なんでこんな目に』だって。まるで俺達と一緒だな。」

 

新宿御苑へ向かう車の中、西住みほは真っ赤になった顔を手で押さえて(うずくま)っていた。

 

「あの時イライラして、頭が真っ白になって……だからあんなことを……」

「あぁ~……」

 

苛立ちとパニックのせいで……警察庁での大惨事を起こしたそうだが、あの時出した殺気は今でも覚えている。少なくても一般人が出せる殺気ではなかった。

 

「(英語)今度は?」

「(英語)パニックになってあんなことやったんだってよ」

「(英語)あんな殺気出しておいてそれはねぇだろ?」

「(英語)……おっさんもやっぱりそう思う?」

 

俺は西住みほが英語をあまり理解できない事をいいことに、適当な事をしゃべりながら……『黒森峰女学院=世紀末』と言う仮説を信じ始めていた。

 

 

 

 

 

 こんな風に雑談をしていると、新宿御苑に付いた。時間は残り7分。俺達は車から降り、歩いて公衆電話へ向かった。

 

「何してるんだろ。無銭乗船で東京まで来て……今度は事件に巻き込まれて……」

「(英語)ツイてないのは俺も同じだ。俺は久しぶりの休暇を楽しんでたんだ。ホテルで飲んで、カジノで遊んで……」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)も日本語は分からないが、西住みほが言った言葉をなんとなく理解したのだろう。(なだ)めつつ、同時にボヤいた。

 

「俺だって……なんで朝っぱらからあんな爆破に巻き込まれなきゃいけねぇんだよ。俺はただ護衛の任務をしていただけで……あれ?」

 

 ……俺、ただの護衛だよな?なんで毎日最低一回は襲撃に会ってたんだろう?

 

考えを止めよう。これ以上考えたら嫌な事を自覚しそうな気がする。

 俺はため息を吐きながら、今回巻き込まれた少女:西住みほを見た。彼女の顔を見て、俺達はまだ自己紹介をしていないことを思い出した。

 

「……そう言えば自己紹介がまだだったな。俺は村田維吹。海軍所属で今は武偵高に出向中だ。で、こっちはジョニー・マクレー。ニューヨーク市警の警部。ついでに日本語はしゃべれないし、理解もない。」

「に、西住みほです。よろしくお願いします。」

 

西住さんは慌てて頭を下げた。ジョニー・マクレー(おっさん)はその様子を怪訝(けげん)そうに見つめる。

 

「(英語)何やってるんだ?」

「(英語)自己紹介だよ。おっさんの事も紹介しておいた。ツイてないヘボ刑事だって」

「(英語)少なくとも坊主よりはツイてるに決まってらぁ。」

「ま、マクレーさん!!」

 

そんな風に俺とジョニー・マクレー(おっさん)が適当に雑談していると……西住さんが大きな声でジョニー・マクレー(おっさん)の名前を呼んだ。

 

「あ、あいあむ『西住みほ』。ないすとぅみぃちゅー」

「(英語)ジョニー・マクレーだ。よろしく」

 

西住さんは頭を下げ、右手を差し出しながら(つたな)い英語でジョニー・マクレー(おっさん)に自己紹介をした。ジョニー・マクレー(おっさん)は一瞬驚いたようだが、すぐに彼女の手を取り、握手をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 指定の時間まで残り三分。俺達は新宿御苑管理事務所近くの公衆電話を見つけた。見つけたのだが……一つ問題が発生した。上品そうなお婆ちゃんが公衆電話を使って長話をしていたのだ。お婆ちゃんを無理やりどかさないと電話に出れないだろう。

 

「すいません、お婆ちゃん。武偵の者ですが……電話がかかってくるんです。代わっていただけませんか?」

「武偵さん……?もう少し待ってもらってもいいかしら?」

「え?……はい、スイマセン」

 

俺はその平穏で優しそうなお婆ちゃんの雰囲気に負けてしまった。

 

  ガチャ!!

 

その時、目のハイライトを消した西住さんが無理やり電話を切った。

 

「あら?電話が……」

「(英語)すいません!!警察の者です!!電話を貸してくれ!!」

「ひぃいいいい!!!」

 

そして、ジョニー・マクレー(おっさん)が大声でしゃべり、無理やり受話器を奪った。その行為に恐怖を感じたのだろう。上品そうなお婆ちゃんは這々(ほうほう)の体で逃げだす。

 

 ……うわぁ、罪悪感で心が痛い。

 

 外人の大男が訳の分からない大声を上げ、受話器を奪い取ったのだ。恐怖を感じない方がおかしいだろう。

 俺は思わずため息を吐いた。

 

  プルルルル……

 

そして幸か不幸か、俺が罪悪感にさいなまれてすぐに電話が鳴り始めた。

 俺はジョニー・マクレー(おっさん)に目で合図し、ジョニー・マクレー(おっさん)が受話器を上げた。

 

『(英語)白豚黒豚は仲がいい。ハツカネズミにドブネズミ、どうして仲が悪いのか?』

「(英語)下らねぇ。どうだっていい。」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)が‘‘サイモン’’と話を始めたのだが……一つ問題が起こった。

 

「(英語)おっさん!!聞こえない、聞こえないから!!」

「あ、あの……」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)の身長は180センチを超えている。しかし、俺は170センチ未満で、西住さんに至っては160センチを下回っている。

 そんな身長差でおっさんが普通に受話器を取ると……俺達が聞こえない。

 

「(英語)うっせぇなぁ坊主。これだから体も小さいし、心も小さいんだよ。」

「(英語)うるせぇ。さっさと聞かせろって言ってんだよ。」

「あ、あの……マクレーさん、背を低くしてもらっても……」

 

俺はともかく‘‘華の女子高生’’の言葉を聞き(通じてはいないが)ジョニー・マクレー(おっさん)は渋々しゃがんだ。

 俺は公衆電話の音量を最大まで上げた後、西住さんと一緒に受話器へ耳を寄せる。

 

 ……中年の親父、青年、女子高生が一つの受話器に耳を寄せる光景とか、はた目から見たら気持ち悪いよなぁ。

 

俺はそんな事を考えてしまい、思わずため息をついた。

 

 

 

 

『(英語)話し中だったな。どこへかけていた?』

「(英語)豚さんのお家だ!!」

 

‘‘サイモン’’とジョニー・マクレー(おっさん)の会話を聞き、西住さんは困った様な顔をした。

 

「なんて言ったんd……」

「あ~……『電話をかけたけた時、話し中になっていたのは何故だ』だって。」

「あ、ありがとうございます。」

 

俺は‘‘サイモン’’の言葉を意訳して西住さんに伝える。

 

『(英語)真面目に話してほしいものだな。』

「(英語)知るか!!今着いたところなんだ!!」

『(英語)‘‘ババアが電話中だったから追い払ったところだ’’と言えばいいんだ!!!』

「「……!?」」

「えっと……今のは……」

 

 ……‘‘サイモン’’は俺達のことをずっと見ていたのか!?

 

俺とジョニー・マクレー(おっさん)は周りを見るが……俺達を監視するような人間はいない。ビルが近くにいくつもあるため、そこから監視しているのだろうか。

 

 ……いや、もしかしてこの監視カメラか?

 

  ダンダンダン!!

 

俺は監視カメラを見つけた。俺は14年式を握り、その監視カメラを破壊した。隣で西住さんがドン引きしているのだが……無視する。

 

「敵が俺達を監視していたんだ。」

「……え!?」

 

‘‘サイモン’’が監視していたことを西住さんに伝えると、彼女は驚き、そして(おび)え始めた。

 

 ……藤原さんとタメ張っていた西住さんは何処に行ったんだよ。

 

俺は思わずため息をついた。

 

『(英語)おいおい村田君。いきなり発砲するなんて酷いじゃないか。』

「(英語)うるせぇ!!覗き魔が!!!!」

 

そして、俺は‘‘サイモン’’へ今までのストレスをぶつけるように言い放った。

 

『(英語)まぁいい、今の時間は9時45分だ。1分後、品川駅の1番線に山手線の列車が入ってくる。その列車に爆弾を仕掛けた。』

 

 ……や、山手線だと!?

 

東京をグルッと一周する有名な路線だ。もちろん利用者は断然多い。その路線の列車に爆弾を仕掛けられてみろ。どれだけ損害が出る!?

 

 

 

 

『(英語)‘‘Simon says……10時9分までに、要はその爆弾を仕掛けた列車が鶯谷(うぐいすだに)駅に到着するまでに、鶯谷(うぐいすだに)駅2番線のホームの公衆電話へ行け。’’

 

もちろん警察の車を使ってはいけないし、列車の運行を止めさせてもいけない。そんなことをすれば電車を爆破する。あぁ、もちろん乗客を避難させてもいけない。では、約25分後にまた会おう。』

 

  ガチャッ!!ッー、ッー……

 

 ……新宿御苑から鶯谷(うぐいすだに)駅まで25分程度で行けだと!?確かにルート検索だと20~30分ぐらいで行けると出るが……実際は渋滞や信号のせいで優に40分を超えるぞ!?

 

「む、村田さん!!なんて言ったんd……」

「今、品川駅から出た山手線に爆弾を仕掛けられた!!鶯谷(うぐいすだに)に着いたら爆発だそうだ!!」

『なんだって!?』

 

俺は西住さんと藤原さん(藤原さんは無線)で事件のことを伝えた。

 

「(英語)おっさん!!とりあえず車だ!!」

「(英語)分かってる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺とジョニー・マクレー(おっさん)は新宿御苑から走って出て、車道に(おど)り出た。

 

「武偵だ!!止まれ!!!

「(英語)止まれぇええ!!」

 

車道に出た俺達にト〇タ:センチュリーが突っ込んでくる。俺とジョニー・マクレー(おっさん)はその車を、体を張って止めようとし……

 

  バキッ!!

 

「「ゴフッ……」」

 

()ね飛ばされ、そして地面にたたきつけられた。

 

「(英語)ぐおぉおお……嘘だろ?……おい」

「もうヤダ……なんて日だよ……」

 

(かろ)うじて軽傷で済んだ俺とジョニー・マクレー(おっさん)はヨロヨロと立ち上がり、()いたセンチュリーへ近づいていく。

 すると、黒塗りの高級車(センチュリー)からいかにも‘‘ヤ〇ザ’’な男たちが二人出てきた。

 

 ……あれ?そう言えばこの二人、何処かで見たことがあるような?

 

「おい、テメェ!!なに車道に出てくるんだこらぁ!?」

「車が凹んでいるじゃねぇか、ボケェ!!」

 

〇クザ(?)の二人はそう言って怒鳴り散らしながら俺とジョニー・マクレー(おっさん)に近づいてくる。

 

「what!?(訳:何だって!?)」

「武偵だ!!緊急事態だから車を借ります!!」

 

おっさんはヤク〇(?)の言っていることが理解できないらしい。俺はため息をついた後、要件を伝え、車を借りようとヤ〇ザ(?)を退けようとすると……

 

「何してんだゴラァ!!」

「修理はどうするんだ、ゴラァ!!」

 

 ……話にならなねぇ

 

  バキ!!ベキ!!

 

俺とジョニー・マクレー(おっさん)は〇クザ(?)二人の無防備な顔を殴った。二人はそのまま崩れ落ちる。

 

「Do you think I understand a ward you’re saying!?(訳:言葉が通じると思うか!?)」

「うるせぇ!!さっさと貸しやがれ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺とジョニー・マクレー(おっさん)黒塗りの高級車(センチュリー)に急いで近づき、中にいた人たちを無理やり外へ出した。

 

「……ん?あなたは鏡高(かがたか)さん」

「え、えぇ……」

 

黒塗りの高級車(センチュリー)は『俺のいちばん長い日 with BanG Dream!    高級中華食い放題(手土産付き)……』で高級中華をご馳走してもらった鏡高組組長:鏡高菊代さんのものだったらしい。

 

 ……そうか、だからあのヤク○は見覚えがあるなと思ったのか。

 

「とりあえず車借りますんで、さっさと降りてください。いや、降りろ!!

「(英語)警察だ!!緊急事態で車を借りる!!」

「は、はい!!」

 

鏡高さんは切羽詰った俺たちを見て驚き、着物が着崩れるのも気にせずに急いで車から降りた。

 俺とジョニー・マクレー(おっさん)は全員が降りたことを確認し、車を発進させようとし……あわてて止めた。

 

「(英語)何ボーっとしてんだ!!」

「西住さん!!早く乗って!!」

「は、はい!!」

 

西住さんは歩道の柵を乗り越え、走って車に乗り込もうとして……

 

  ビタン!!

 

すっ転び、顔面から地面にぶつかった。

 

「「………」」

 

すると西住さんはユラリと立ち上がり、幽鬼が如く黒塗りの高級車(センチュリー)に乗り込んだ。

 

「(英語)……お、おい。大丈夫か?」

「は、鼻血出てるよ?」

 

俺とジョニー・マクレー(おっさん)が後ろを振り向き、西住さんを見た。おれはティッシュを出して渡そうとするが……西住さんは一向に受け取らない。

 

「フフフ……」

 

西住さんは鼻血が(したた)っているのにも関わらず、下を向き、不気味な笑い声を上げている。彼女からは藤原さんとタメを張った時のような『真っ黒いオーラ』が見える。

 

「「(こ、怖ぇ~……)」」

「どうしたんですか?行かないんですか?」

「Yes ma’am!!」

「は、はい!!」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)はアクセルを踏み込み、黒塗りの高級車(センチュリー)を勢いよく発進させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、お前ら。さっさと代わりの車を手配しろ。」

 

イブキ達に車を貸し出した(奪われた)後、鏡高菊代が幹部達に高圧的に命令した。その時だった。

 

  バチバチバチ!!

 

「ッーー!?」

「もう我慢ならねぇ。計画とは違うがいいだろ?」

 

ホスト風の姿の幹部がポケットからスタンガンを取り出し、鏡高菊代に電気ショックを与えた。

 

「あぁ、多少計画がずれるがいいでしょう。中国の先生方も分かってくれるはずですし。」

 

東大卒の幹部はシガリロに火をつけ、倒れこんだ鏡高菊代を乱暴に拾い上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「劉先生、こちらです。」

「あぁ、ありがとう。」

 

劉 翔武(りゅう いーう)司馬 鵬(しば ほう)の案内のもと、黒の高級バンに乗り込んだ。

 

「劉先生、本当にこんなのでよかったのですか?」

「セダンだと足元が狭い。老人にはこの車の方がゆったりと出来ていい。」

 

劉 翔武(りゅう いーう)は席を倒し、リラックスした状態になった。そして、‘‘片方の口角を持ち上げる笑み’’を消し、司馬 鵬(しば ほう)へ顔を向けた。

 

「君、まだ案を‘‘没’’にしたのを気にかけてるのか。」

「…!?い、いえ」

 

その言葉で司馬 鵬(しば ほう)劉 翔武(りゅう いーう)を睨んでいた事に気がつき、慌てて視線を外した。

 

 

「まぁいい。君の案は『とても努力し、とても意欲的な案』だった。

 

村田 イブキ(天下無双)を海上に追いやり、その船を撃沈させる。その間に‘‘YAKUZA’’と(こう)・静幻で遠山キンジを潰す。そして、‘‘アレ’’をやる。』

 

そこまでの過程も細かくあり、努力の跡があってとても良かった。だが……それではダメだ。」

 

 

劉 翔武(りゅう いーう)は暗い……とても暗い笑みを浮かべた。もちろん、口角は片方しか持ち上がっていない。

 

村田 イブキ(あいつ)を『天下無双』など……」

「君は‘‘遠山キンジ’’を評価しているようだが……俺は‘‘村田イブキ’’の方が脅威だと思う。……っと、話がそれた。」

 

劉 翔武(りゅう いーう)はそう言って、『わかば(タバコ)』を取り出し口にくわえた。司馬 鵬(しば ほう)は間髪入れず、ジッポでタバコに火をつけた。

 

「フ~……。安いわりにはまぁまぁか。……まず、着眼点はいい。シャーロックがやった『村田イブキを隔離し、その間に目的を遂行する』と言うのは一定の成果があった。それを踏襲するのは良い。」

 

劉 翔武(りゅう いーう)はポケットから缶コーヒーを取り出した。

 

「だが……君のでは警察は動かない。それが理由だ。‘‘アレ’’が成功する可能性がとても低い。村田イブキ・遠山キンジの抹殺はあくまでも副目標だ」

 

劉 翔武(りゅう いーう)はタバコを半分ぐらい吸った後、灰皿にすっていたタバコを捨て、缶コーヒーを開けた。

 

「それに村田イブキの事だ。どうせ生き残るだろう。しかも、予想外なことにジョニー・マクレー(DIE HARD)までいた。」

 

劉 翔武(りゅう いーう)は缶コーヒーを(すす)った。そのとき、劉 翔武(りゅう いーう)の携帯電話が鳴った。

 

「ハイ……なに!?もう鏡高菊代を捕縛しただと!?……あぁ、良い。分かった。」

 

劉 翔武(りゅう いーう)は苛立たし気にメガネを外し、タバコを咥え、マッチを取り出して自分で火をつけた。

 

「……声帯模写が上手いものがいたな。そいつで‘‘鏡高菊代’’の真似をさせろ!!」

 

メガネをかけ、缶コーヒーを飲み干してゴミ箱に投げ捨てた劉 翔武(りゅう いーう)はタバコを思いっきり深く吸った。

 

「クソッ!!だからあの‘‘頭でっかち’’共は!!‘‘勉強ができる’’と‘‘頭が回る’’は違う!!」

 

 司馬 鵬(しば ほう)劉 翔武(りゅう いーう)にバレないようにため息をついたが……劉 翔武(りゅう いーう)にはお見通しだった。

 

 ……よし、司馬 鵬(しば ほう)はまだ『真の目的』に気が付いていないな。

 

劉 翔武(りゅう いーう)は慌てる演技をしながら、心の中で笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(英語)で、どうするんだ坊主!!」

「(英語)とりあえず真っすぐ進んでくれ!!……藤原さん!!」

 

俺はジョニー・マクレー(おっさん)にそう指示すると、無線のスイッチを入れて藤原さんへ連絡する。

 

『どうした村田。いま道路の規制を始めようと……』

「東京駅でその列車に乗ります!!なので近衛師団に手回しをお願いします!!」

『おい、まさか……』

「千代田区を一気に横断します!!」

『分かった。手回しはするが、携帯で近衛師団の電話番号にかけてくれ。無線でつなげるのは難しい。』

「分かりました!!……ってうわぁあああ!!」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)が赤信号を突っ込み、トラックの車列の間をすり抜けた。車の右側がトラックと擦り、ギャリギャリと音がする。

 

「(英語)なんて運転だよおっさん!!」

「(英語)坊主はこれより早く運転できるのか!?」

 

そんな軽口をたたき合いながら、俺は急いで携帯を出して電話をかけた。

 

  プルルルル……ガチャ

 

『はい、近衛しd……』

「HS第二中隊の村田大尉です!!緊急事態なので師団長につなげてもらえませんか!?」

『ご用件は?』

「今起こっているテロについてです!!早く!!」

『では少々お待ちください』

 

 ……あぁ、クソ!!これだからお役所仕事は!!

 

 

 

 

 電話を待っている間、俺の考えた作戦を話そう。

 俺は『俺達は鶯谷(うぐいすだに)よりも前の駅でその列車に乗り、爆弾を捜索しよう』と考えた。

 例え鶯谷(うぐいすだに)駅の公衆電話に間に合ったとしても、爆弾を外さなければいつでも‘‘サイモン’’が爆発させることができる。なので、いち早く爆弾を取り除くことが必要となる。また、鶯谷(うぐいすだに)駅に着く前に爆弾を解除してしまえば向こうは爆発をさせることはできない。

 それに加え、‘‘サイモン’’は『三人で』とは言っていなかった。最悪一人でもいいかもしれない。

 

 しかし、これを実行するに一つ問題が発生する。人が多い千代田区を横断しなければならないのだ。なので時間短縮のために……千代田区の、そして東京の中心で、人混みが最も少ない場所、旧江戸城を横断しようというわけだ。

 

 旧江戸城を横断しないで行くことも確かに可能だが……時間ギリギリになるため、どうも信用できない。

 

 

 

 ……あぁ、クソ!!な、何て畏れ多い。

 

俺は頭を抱え、他の案を出そうと必死に考えるが……これ以上の案が浮かばない。

 

 ……山手線の列車の全長は約200メートル超。それを二人で、しかも人混みの中を短時間で爆弾を探すなんて、大分きついぞ!?

 

 

 

 

『もしもし、聞こえるかね?師団長の林 藤十郎(はやし とうじゅうろう)だ。』

 

保留中のメロディーが消え、意外にも澄んだ声が携帯から聞こえた。

 

「林師団長!!単刀直入に言います!!半蔵門から坂下門までの通行許可をください!!」

『……………許可できない。』

「何でですか!?今日起こったテロの件は知っているでしょう!?」

『だからだ。‘‘禁闕守護(きんけつしゅご)’’のため、何人たりとも入れることはできない。‘‘首都高速都心環状線’’や‘‘代官町通り’’ではダメか?』

「あそこは常に混んでいるでしょう!?あと3分で半蔵門に付くんですよ!?」

 

 あの近衛師団でも、たった数分で‘‘首都高速都心環状線’’や‘‘代官町通り’’を交通整理できるとは思えない。

 

 ……だけど、向こうの気持ちも分かるからなぁ。

 

俺はため息をついた。

 

『しかし、前例が……ちょっと待て。おい、これは本当か!?

 

 電話からくぐもった音がし、俺は聞き取ることができない。10秒弱ほど待った後、林師団長の声が携帯から再び聞こえた。

 

『……上から許可が下りた。車の種類、ナンバーを言え。』

「ト〇タのセンチュリー、ナンバーは……」

 

俺は車検証を探し出し、ナンバーを報告しながらさっきの発言について考えた。

 

 ……『上から許可が下りた』という事は林師団長よりも上の立場の人が決定したのだろう。こんな短時間で、しかも近衛師団が納得する人物……

 

いや、考えを止めよう。『流石は藤原さんだ』、これでいいじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

四谷(よつや)を過ぎ、林師団長と電話が切れた時だった。

 

  キキーーーーーッ!!

 

「うわぁあああ!!」

 

  べキッ!!

 

センチュリーがいきなり急ブレーキをかけ、ハンドルを切った。俺はでシートベルトをし忘れていたため、フロントガラスに頭から突っ込むことになった。

 

「ッー!!ッー!!ッ~~~~~~!!!」

 

俺は頭を押さえ、のたうち回った。

 

 ……あ、頭割れるように痛い!!

 

頭を押さえる手から生暖かい液体の感触がする。頭を切ったのだろう。

 

「(英語)な、何すんだよおっさん!!って、あれ?」

 

センチュリーの右横には腰を抜かしたのか、尻もちをついて固まっている‘‘黒髪赤メッシュ少女’’がいた。

 彼女は『Afterglow』というバンドに所属しており、『俺のいちばん長い日 with BanG Dream! 有能な人間は癖がある……』で人質になっていた少女だ。

 

「(英語)あ、危ないだr……!?」

  

  ダァン!!カキン!!

 

 ジョニー・マクレー(おっさん)が窓から乗り出して文句を言った瞬間……車の後方から銃声の音と、車体が何かを弾いた音がした。

 

  ……え、嘘だろ!?もしかして……

 

俺とジョニー・マクレー(おっさん)がゆっくりと後ろを向くと……ハイラックスの荷台に重機関銃を取り付けたテクニカルが数台、猛スピードで向かってくる。

 

「(英語)坊主!!」

「そこの赤メッシュの子、早く乗って!!」

「……え?は?え?」

 

  ダダダダダダダ!!!

 

追手のテクニカルは弾薬を‘‘湯水の如く’’撃ちまくっている。このままでは混乱している‘‘黒髪赤メッシュ少女’’に弾丸が当たってしまうだろう。

 

「西住さん、無理やりでいいから乗せて!!」

「え!?あ、はい!!」

「……!?ッー!?」

 

西住さんは彼女の上着を掴み、グイッと車に乗せた。

 

「(英語)行くぞ!!」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)‘‘黒髪赤メッシュ少女’’ を収容したのを確認すると、センチュリーを急発進させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「(英語)坊主!!真っすぐでいいのか!?」

「(英語)あぁ、真っすぐだ!!真っすぐ行けば日本式の門があるからそこをくぐれ!!!そうすれば先導車か何かあるはずだ!!」

 

俺はそう言ってト〇タ:センチュリーの窓から身を乗り出した。後ろには5台のトヨ〇:ハイラックスが見える。

 

 ……これが本当の‘‘To〇ota War’’ってか!?

 

俺は14年式を一番先頭のハイラックスに向けて発砲し始めた。しかし、確実に命中しているのだが、効いている様子が見えない。

 

 ……クソ!!14年式じゃ威力不足だ!!当たっても当たっても全く効かねぇ!!

 

俺は弾切れの14年式の弾倉を交換する間に、ワルサーP38出して撃ちまくった。しかし、それでもハイラックスは何ともないように追いかけてくる。

 

「(英語)坊主!!何やってんだ!?」

「(英語)ト〇タの堅実な設計を実感してるんだ!!」

 

 ……クソッ!!なんて頑丈さだ!!

 

ワルサーも撃ちきり、再び14年式を発砲し始め……弾倉が空になるギリギリでハイラックスの1台が火を吹き、敵の車列から離れ始めた。

 

 ……拳銃だと効率が悪すぎる!!

 

俺は助手席から、西住さん・涙目の‘‘黒髪赤メッシュ少女’’のいる後部座席に移動した。俺は西住さんともう一人の少女の間に陣取り、そして25ミリ機関銃を取り出した。

 

「二人とも!!伏せて、耳を塞げ!!」

 

西住さんは慣れているのだろうか、自然に耳を塞ぎ、‘‘黒髪赤メッシュ少女’’は慌てて耳を塞いだ。

 

「喰いやがれ!!」

 

  ダァンダァンダァンダァン!!!

 

25ミリ機関銃の弾丸はセンチュリーのリヤガラスをぶち抜き、敵のハイラックスへ向かう。

 25ミリ機関銃は敵のハイラックスを1台ずつ、確実に破壊していくのだが……ハイラックスの設計陣は優秀だったのだろう。下手な軍用車よりも多くの弾丸を撃たないと破壊できない。

 

 ……チクショウ!!面倒な!!

 

銃を持つ手に、思わず力を入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あたしは華道の集会を終え、お父さんと別れて家に帰る途中だった。青信号を渡っていた時、黒い車が突っ込んできたのまでは覚えている。その後……何故か分からないが車に乗せられていた。

 

「……え?誘拐!?」

「ち、違います。……って伏せて!!」

 

茶髪のショートカットの女の子があたしを押し倒した。

 

「え!?ちょっとなn……!?」

 

  ダダダ!!バリンバリン

 

映画でしか聞いたことがない銃声と窓ガラスが割れる音が聞こえ、そして前部座席が穴だらけになっていく。

 

「これに巻き込まれそうになったんです!!」

 

‘‘茶髪のショートカットの女の子’’の言葉にあたしは背筋が凍った。

 

「(英語)坊主!!真っすぐでいいのか!?」

「(英語)あぁ、真っすぐだ!!真っすぐ行けば日本式の門があるからそこをくぐれ!!!そうすれば先導車か何かあるはずだ!!」

 

運転席と助手席でよくわからない会話が聞こえる(英語か……?)。会話が終わると助手席に座っていた人が窓から身を乗り出し、拳銃を撃ち始めた。

 

 ……え?あの人!?

 

あの人はこの前、私を強盗から救ってくれた人だ。彼は頭から血を流し、服を血で汚しながら反撃している。

 

 ……あの会議の時、『パスパレ』側にいたから、『パスパレ』のマネージャーか何かと思ってた。

 

「(英語)坊主!!何やってんだ!?」

「(英語)トヨ〇の堅実な設計を実感してるんだ!!」

 

 すると、運転手の顔がちらっと見えた。スキンヘッドの白人の男だが……不幸そうな、そしてタフそうな顔つきだ。

 

 ……あれ?あの顔って

 

あたしは幼稚園の頃、ニュースで『‘‘新巻のお兄さん’’と一緒に移っていた白人男性』を思い出した。

 

  ズドーン!!

 

何かの爆発音が聞こえたとともに、助手席で拳銃を撃っていた青年が後部座席に無理やり移動した。彼はあたしと‘‘茶髪のショートカットの女の子’’の間に陣取り、どこから出したのか、とても大きな銃を取り出した。

 

「え……?」

 

彼の顔が近くで見えるとともに、幼稚園の頃に『新巻のお兄さん』に助けてもらった記憶がよみがえる。

 

「『喰らいやがれ!!』」

 

記憶の『新巻のお兄さん』と彼が重なった。多少成長と共に顔が変わっているが、根幹は変わっていない。

 

「‘‘新巻のお兄さん’’……?」

 

彼は聞こえていないのか、ただ銃を撃っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やっと合計4両を破壊し、弾倉を変えながら最後の1両に25ミリ機関銃を向ける。

 

「(英語)あの門で良いのか!?」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)の怒鳴り声で、もう半蔵門の手前に来ていることを理解した。

 

 ……クソッ!!半蔵門に入る前にはあの車を処理しないと!?だが、間に合うか!?

 

俺は‘‘平賀さん特製:超徹甲弾’’を25ミリ機関銃に装填しようした時だった。

 

  バシュ!!……ドカーン!!!

 

最後の敵車輛がいきなり爆発した。それと同時に……

 

「ヒャッハー!!!」

「皆殺しだぁああ!!!」

「キェエエエエ!!!」

 

制服がキッチリと整えられた歩兵たちがテクニカルの残骸に集まり始めた。

 

 ……こ、近衛師団!?

 

 その時、『極東戦役:極東編 場所考えろよ……』で俺を‘‘事情聴取した中尉’’が敬礼した後、抜刀して突撃する。

 それを見送ると同時に、俺達の乗るセンチュリーは半蔵門を通過した。

 

 ……な、何とかなったか。

 

俺は後部座席に倒れこんだ。肩の荷が下りたような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

半蔵門を過ぎ、装輪装甲車で先導してもらっていた時だった。

 

「‘‘新巻のお兄さん’’ですか?」

 

巻き込んでしまった‘‘黒髪赤メッシュの少女’’が俺の上着の(すそ)を引き、尋ねてきた。しかし……『新巻のお兄さん』と言う人間は全く知らない。

 

「いや……俺は‘‘村田’’で‘‘新巻’’ではないんですけど……。あぁ、村田維吹です。巻き込んでしまってすいません。」

 

俺はそう言って頭を下げながら、‘‘新巻’’とつく人物を思い出してみる。

 

 ……‘‘新巻’’か。そう言えば武偵高の食堂のおばちゃんの一人が‘‘新巻’’だったような。

 

「えっと……10年前のクリスマスの前の時、郵便局で強盗があったのを覚えていますか?」

「10年前?」

 

 ……10年前のクリスマスはおっさんと一緒に『ナカジマ・プラザ』でテロと戦ったのを覚えている。それよりも前で、『郵便局で強盗』だと……あ、あれか?

 

 俺は買い出しを頼まれ、その帰りに郵便局で強盗に会ったことを思い出した。

 俺は‘‘黒髪赤メッシュの少女’’の顔をマジマジと見る。俺がズワイガニと‘‘新巻’’鮭で強盗をボコした時、人質になって泣いていた『黒髪ショートカットの女の子』の面影が‘‘黒髪赤メッシュの少女’’には見える。

 

「君の名前は?」

「美竹蘭です。」

「美竹さんは……あの時、人質だったりした?」

「やっぱり……」

 

10年越しに少年と少女が出会った時、何かが起こる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キキー!!

 

「グベッ!?」

 

ジョニー・マクレー(おっさん)がいきなりハンドルを切ったため、俺はドアに叩きつけられた。顔面からぶつかったため、鼻血が出る。それと同時に、東京駅の特徴的な赤レンガの駅舎が見えてきた。

 

「(英語)あれが東京駅か!?」

「(英語)そうだよ、クソッタレ!!」

「だ、大丈夫ですか!?」

 

俺は西住さんからティッシュを受け取り、鼻に詰めた。

 

 

 

 




 西住みほががジョニー・マクレーの英語がほとんど理解できない理由は……スラングが多用され、しかも早口だからです。


 新宿御苑から鶯谷まで車での所要時間は……実際に体験していないため、想像です。

 
 実際には、鶯谷駅2番線のホームには公衆電話はないそうです。

 このSSは特定の企業・個人を全面に押し出したり、貶めたりするつもりは一切ございませんが、規約に引っかからないようにするため、あえて伏せます。


 時々『(英語)~』ではなく『~~(訳:~~)』なのは、その場の雰囲気を感じて欲しいからです。


 旧江戸城という事は……畏れ多くてこれ以上は書けません。


 皆さん、シートベルトはちゃんとしましょう。イブキは特殊な訓練を受けたため死んでませんが、普通の人は死んでいます。




  Next Ibuki's HINT!! 「首都圏の学校」 
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