ある時、神が生まれた
神は大地に生物を誕生させた
その中で、神が興味を持った生物があった
知性と理性を備えたそれを「人間」と名付けた
可能性を模索する人間は見ていて気分が良かった
しかし人間は集落を作り、村を作り、街を作り、そして……争った
そんな人間に神は激怒し、二つに分かれた
「聖なる者」「悪しき者」
より強い力を持った「悪しき者」は「聖なる者」を封印
地上に降りた「悪しき者」は魔物を作り出し自らを大魔王とし、人間たちを死の恐怖へと陥れた
封印から目覚めた「聖なる者」はある若者に光を授けた
若者は、勇者を名乗り賢者、戦士と共に数年ののちに大魔王のもとにたどり着き相討ちとなった
その後も魔物と人間は争いを続けた
「聖なる者」はその度に人間に力を貸した
「聖なる者」はある時からこう呼ばれるようになった
「精霊ルビス」と……
「これで明後日の準備は終わったか」
マイナンがやっている防具屋で買った防具を着てみてアドリスクは一人ごちる。
「武器も鋼の剣なんて高価なもの、格安にしてくれたからな。行く前に武器屋のおっさんに礼言わないと」
鞘に収まった剣を手でなぞる。流石に外に出るのに木刀はまずいと、先日武器屋に出向いたときに見つけた掘り出し物だ。
少し重いが使えば慣れてくるだろう。
期待を胸に躍っていると、コンコンと家のドアが叩かれた。
開くと王宮の兵士が数人、扉の前に立っていた。
「アド今からどこかに行くのか?」
兵士の一人が値踏みするようにアドリスクを見る。ナチュラルに話しかけてきたのは、知り合いの男だった。どうやらこいつ兵士になったらしい。
そんなことよりもアドリスクは自分の恰好に顔を赤くした――これじゃまるでピクニックを楽しみにしている子供じゃないか……。
「んん、どうしたなんかようか?」
アドリスクは軽く咳ばらいをし、突然やってきた兵士に理由を尋ねる。
「いや王様がな……これをお前にって」
男は腰元の布袋に手を伸ばし、紙で包まれた何かを取り出した。
「なんだそれ」
「宮廷魔法使いが調合したすぐに眠ってしまうという薬らしい」
「なんでそんなもんを俺に?」
「さあ王様の命令だからな下っ端の俺にはわからん」
アドリスクは受け取り、粉状の薬を眺める。
「――ただ」
少しだけ舐めたり指でなぞったりしていると目の前の男が不敵な笑みを浮かべた。
「そんな、ピクニックでもいくような姿でいるお前には丁度いい薬かもな」
「なっ」
的確に言い当てられたアドリスクは早くこの装備を解きたいと、そう思った。