ドラゴンクエストゼロ 始まりに向けて   作:田んぼ二キ

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第Ⅰ章 8 約束

『カストコすまないな、お前はここで留守番だ』

『そう嫌そうな顔するなよ』

『今回は個人的なことだからな、あれは夢だったかもしれない幻だったかもしれない。だけどわしは再び世界が闇に包まれるのなら、できる限りのことはしておきたい』

『だからもしお前がアドリスクについていくことがあったら、その時は……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒヒーーーーーン

 

 

 軽やかなひずめの音が聞こえる。声の主は入口の僅かな隙間から顔を出した。

 

 

「……カストコか?」

 

 

 アドリスクは言葉にするも確信が持てずにいた。ほんの数十分前までは死にそうだった馬が着くなり、その小さなな体躯で岩を押しているのだから。

 

 

「えええい、何をボケッとしとる。貴様らさっさと押し返さんか]

 

 

 そんなランドンの警告もむなしく、カストコは自分が通れるほどの隙間を作ると、いたずらモグラ達を跳ね飛ばしながらアドリスク等三人のもとに着いた。

 

 

「一体何があったんだ……」

 

「ありがとうカストコッ」

 

 

 アドリスクは唖然とし、ラルスは嬉々としてカストコをなでる。しかし彼はすぐに正気を取り戻し、意を決したような顔つきになる。

 

 

「よし二人とも逃げるぞ」

 

「「え!」」

 

「いいか。脱出方法が確保された今、ここにとどまる必要はない。それにカストコがここにいるってことは、チャランの異常に気付いた兵士が来るだろう。あとはそいつらに任せればいい」

 

「でも……アド自分の手で倒したいんじゃないの?」

 

「私も怒りが収まらないわ」

 

「当然その気持ちはある。だけど今の俺たちには敵わない。悔しいけど適材適所ってやつさ」

 

 

 

 アドリスクはお手上げといった様子で手を挙げた。三人は詳しい作戦を決めた後、改めて強大な敵ランドンを見上げる。

 

 

「まあイレギュラーはあったが、これでお前たちは俺のことを知ったということだな。ふむこれで対等に会話できる」

 

 

 三人の作戦はこうだった。

 

 

「いいか? すでに入口は塞がれちまった。あと残ってるのはランドンの後ろにある出口だけだ。カストコには三人乗れる」

 

「だけど、いたずらモグラ達はともかくランドンの隙を付かない限り通り抜けるなんて無理だと思う」

 

「そこは安心していいぜラルス。俺にとっておきの策がある」

 

 

 カストコが通り抜けた後、いたずらモグラ達は入り口を塞ぎ、それぞれ穴へと入っていった。キラーピッケルは最後「すまねえ旦那方」と悔しそうにつぶやいた。

 

 

「ん? どうした三人でそんな老馬に乗って。互いのことは分かったのだ、これからは対話の時間だろう?」

 

「おいガストンその対等な会話ってのが終わったらどうすんだ?」

 

「ガッハッハ。決まっているだろう。そなたらをぶっ殺す。だが――アドリスクだけはゴラマス様に捧げるとするか」

 

「そうか。それを聞いて安心したぜ」

 

 

 言ってアドリスクはカストコから降り始めた。

 

 

「さあ行けカストコ! 二人をラスぺスタまで運んでくれ!」

 

「ヒヒーーーン」

 

 

 アドリスクの命令を受けカストコは地面を蹴った。

 しかし当然ながらその行く手には……。

 

 

「残念だ、若者。そして仲間の命をかえりみず自分だけおめおめ逃げ出そうとは……アドリスクよ本当に貴様十一年前サラス大森林を氷漬けにした賢者の孫か?」

 

「おまえさっき言ったな互いのことが分かった上ではじめて対話が始まると」

 

「そうだ。しかし若者よ、その話はあとだ。予定を変更してこの虫けらどもを叩き潰すとしよう」

 

 

 ボストロールは右腕を振り上げてその先にいるマルカ達めがけてこん棒を振り下ろす。

 が、ある言葉によってその動きは止まった。

 

 

「ランドン何か勘違いしているようだが俺がソルクトルム=アドリスクだぞ?」

 

「は?」

 

 

 とても信じられないという顔をし、止まったままの姿勢ではまずかったのか大げさに転んだ。そしてそのまま指をさし叫んだ。

 

 

「おま、お前、明らかに戦士だろう!」

 

「ああ、魔法はもう極めたからな、魔法も使えて打撃力もある、万能に動ける人間になりたくてな」

 

 

 城の兵士の増援など期待していない。王様と魔物はグルなのだ来るはずなどない。それを承知で送り出したのはやはり――

 

 

「あんなこと、言ったがここで引いたらこの先魔物退治なんてできないだろ」

 

 

 彼が旅に出る決心をしたのは、十一年前のことが尾を引きずっている。魔法が使えなくなって以降ひたすらに剣技を磨いてきた。周りの評価は高いこともあり、彼は各地にいる魔物討伐の為に『賢者の使徒』に参加したのだ。

 アドリスクは一人ほくそ笑む。

 

 

「強敵との一対一か。カルドなら『おもしろい』とか言うんだろうな」

 

 

 ボストロールは立ち上がると、激しく憤慨したように右足を叩きつけた。

 

 

「ぐぬぬ。どいつもこいつも馬鹿にしやがって、まずは貴様からその息の根を止めてやろう!」

 

「おいおいランドンお前死ぬのはお前の方だぜ。俺の極大魔法で氷漬けにしてやる」

 

 

 アドリスクに勝機があるとすれば、彼が魔法が使えないことをランドンが知らないことだ。このブラフが通じれば……と淡い期待もむなしく――

 

 

「ガッハッハ。アドリスクよ、貴様にはとっておきをプレゼントしてやる」

 

「なに?」

 

 

 ランドンは股間をまさぐると一つの球を取り出した.

 

 

「静寂の玉! 憎きアドリスクの魔法を封じよ!」

 

 

 闇の光があたりを包む、掲げられた左腕の先には紫の玉が淡く輝いている。

 

 

「ガッハッハ。これで貴様は一切の魔法は使えない」

 

「お前の余裕はそれだったのか……だがな」

 

 

 鋼の剣を構える。

 

 

「これまで殺された『賢者の使徒』のため、改心してくれたいたずらモグラ達のためにもランドンここで貴様を切る!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

余談

 

 

 

 アドリスクの装備は、鋼の剣、青銅の盾という上級な装備にもかかわらず、帽子はかぶっておらず、鎧といえば旅人の服です。アクセサリーとして首に盾をかたどった赤い宝玉をつけています。

 

 ラルスは絹のローブとかしの杖、マルカは武闘家の服だけです。

 

 

 ラルスは、回復呪文ホイミと、敵の守備力を下げるルカニ、そしてバギと僧侶としてテンプレな魔法を身に着けています。

 マルカは正拳突き。正拳突きです。これしかできません。

 

 

 

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