元島国人の短編   作:屍原

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一応警告させて頂こう。
※暴力、および人体損傷の描写あり※
苦手、もしくは抵抗を覚える帝国市民諸君は、退避願おう。

警告を無視し、挙句己の体調を崩したとしても、帝国は一切の責任を背負わない。
注意しておくように。

シハラ少佐が撃破した、敵魔導師から回収した演算宝珠、その中にある記録である。

と言っても、敵魔導師視点の回想に近い。
かっこよく記録と言っているだけ、かもしれない。




敵軍 記録
敵軍魔導師(フランソワ共和国) 演算宝珠記録


  共に戦った仲間が、撃墜された。

 

  戦友とは言え、あいつが生存できるなど、初めから、希望などない。それでも確かめたくなるのは、人という生き物だ。己の目で確かめなければ、全てを疑える。世の中で唯一思考ができ、最も聡明で、最も愚かな生き物だ。だが、俺はこの決断に最大の後悔を覚えた、馬鹿な結論を下してしまった。

 

  俺は一体、何を目の当たりにしたんだ?

 

 

 

 

 

 

「あっははははははっ!どうしたぁー?もー動けないのかぁー?なぁ、きぃてる?もっしもーし?死んだふりしてないでさ、さっさと起きろよぉ…なぁ?」

 

  見るんじゃなかった、ここに来るべきではなかった。

 

  遠くに、戦友の屍があった。その屍を跨り、何度も、何度も鋭い刃物で刺しては抜き、刺して、抉るという動作を繰り返す人影があった。そして何より違和感を感じさせ、異常だったのは、その人影が、まだ幼い子供である事。

 

  少年と屍の周囲、約2m弱、鮮やかな、赤い液体が撒き散らされている。雨でも降ったかと錯覚させる程、凄まじい量の血。刻まれている屍だけでなく、少年の服や肌にも、血が付着している。乾いた部分もあり、赤く、褐色も混ざり、ダークグリーンの軍服は、不気味なオーラを発している。

 

  屍の血肉が徐々に朦朧になり、ぐちゃぐちゃになった肉が目に映る。溢れんばかりの血が、周りに飛び跳ねる。人体に含まれている血の量や、どれだけ肉がついていたのかさえ、分らなくなる程、屍は削られ続けている。

 

グシャ、グシャ、ぴちゃ、クシャ!

 

  おぞましい音が、焦土と化した、空闊な平野(地獄)で鳴り響く。目に焼きつくように、少年の残忍無道な姿が、頭から離れない。目を逸らしたくとも、子供らしからぬ狂人っぷりに、己の体を制御する事もままならない。

 

  常識離れの光景を目の当たりに、胃の中が、燃える様な感覚に襲われている。異様な不快感が、喉を襲う。これは、吐き、気?駄目だ、こんな時に吐いたりしてはいかない。あいつに、あの子供(狂人)に、見つかられる。耐えなければ、ここで耐えなければ、生きて、報告できん…!

 

  なんとか、気合で呑み込んだのはいいが、別の問題が体を襲ってきた。意識が、靄がかかったように、薄れていく。なんとか立ち直り、辛うじて、未だ正常であろう理性を保ち、己の演算宝珠が正確に機能しているか否か、確認する。

 

  そっと、腕を伸ばし、首の下にある演算宝珠に、触れる。

 

  ピタリと、少年の動きがいきなり、止まった。不穏な空気が漂う中、違和感を覚えた俺の身に、悪寒を感じてしまった。嫌な予感が、する。瞬きの次に、少年の姿が、どこにもいなかった。左、右を見ても、上を確認しても、血に濡れた少年の影すら、見つからない。

 

「あっは!新しいオモチャ、みーつけたぁ」

 

  耳に、誰かの吐息が、掛かった。脳内の警報が鳴る、全身の動きが、急激に静止した。体の感覚が、抜けていく。しかし、冷や汗を流している感覚だけが、鮮明だった。荒くなっていく息を、意識しないように、ゆっくりと後ろに振り向く。

 

  目を細め、ニィと唇を歪ませる。不穏に光る()、血に染めた、黒い少年(死神)の姿がーー

 

「今度は、どうやって弄ろう(殺そう)かなぁ?」

 

  すべてが、暗闇に呑み込まれた。

 

 

 

 

 

  フランソワ共和国、身元不明の敵軍魔導師、演算宝珠記録、再生終了。




まだまだ描写が事足りてないな、精進せねば。

今回は少しくらいではあるが、主人公の容姿について、ちょこっと、という程度の描写をしてあるが…如何だっただろうか?
作者の脳内で薄い印象として存在しているが、未だ人物像がはっきりとしていない、決定的な致命傷がある。

ご意見や、ご感想がございましたら、是非とも教えて頂きたいのです。
何卒、よろしくお願いします。

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