「嘘だろっ!?UFOを呼び出す呪文だって?」
食べていたリンゴを吹き出してしまう。
そのリンゴの欠片は目の前の人物の顔に盛大にかかった。
「汚いな~も~」
さやかの顔である。ハンカチで顔を拭きながらプリプリ怒るさやか。
しかし、杏子にとってはそんなことはどうでもよかった。
何しろUFO。しかもそれを呼び出す呪文があると言ってきたのだ。
「そう、ある本で見つけたんだ。それで昨日ちょっと試してみたんだ」
「それで」
「本当に出たんだよ!さやかちゃんビックリ!」
「えええええええええええ」
またしても口の中に含んであるリンゴを吹き出してしまう。
そしてそれはまたしてもさやかの顔に。
「嘘だろっ!?」
「リンゴが・・・・まぁちゃんと証拠の写真もあるよ」
手渡された写真にはかなりわかりやすい感じでUFOが映っていた。
光の点ではなく、一般的に想像するかなりステレオタイプのUFOだが。
それでも杏子は興味津々だった。
「その呪文私にも教えろよさやか」
「どうしよーかなー。本当に来ちゃうもんねー」
「教えてくれよー。リンゴあげるからさ」
「それって食べかけでしょ」
杏子の歯形がついたリンゴ。
「誰にも言わねえからさ」
「じゃあ絶対に秘密だからね」
「おうっ」
と言う事でさやかにUFOを呼び出す呪文を教えてもらった。
だが教えてもらうと誰かに話したくなるのが杏子。
「う~ん。でも秘密って言ったしな・・・考えてたらお腹すいてきちまった。ほむらの家にでも行こう」
〇
‐HOMU HOUSE‐
「よしできたわ。ついにできたわ。ようやくできたわ。素晴らしい出来だわ」
目の前にある完成品にほれぼれするほむら。
制作期間一週間。
ほむらクオリティーの最高傑作。それは、超特大どら焼きだ。
「ほれぼれする大きさ。一個の大きさのどら焼きをおなかいっぱい食べる」
そんな夢がついにかなった。
小さなどら焼きをビッグライトで大きくすればいいのではといわれたこともあったが、それでは違う。
きちんと自分の手で作ることに意味があるのだ。
「魔女の気配もないし。心行くまで食べられるわね」
ゴクリとつばを飲み込む。
「ではいただきます!」
「ほむら!」
食べようとした瞬間聞こえる聞き覚えのある声。
「きょ・・杏子」
「大変なんだよ・・・ってなんだそのどら焼き?」
「こ、これは何でもないの。ただのレプリカ、食べ物じゃないわ」
杏子のことだからもしかしなくても食べられてしまう可能性が高い。
せっかくのどら焼きをこんなところでオジャンにするわけにはいかない。
とりあえず自身の後ろに隠す。
「どうしたのよ。大騒ぎして」
「どうしたもこうしたもないって、実はさやかがさ・・・」
事の成り行きを説明する。
「UFOを飛び出す呪文?」
「高いところや広いところで手をクロスさせてこういうんだよ。“なめたけきのこ なまっかなまっか”って」
「嘘くさいわ。あなた美樹さやかにからかわれてるのよ」
「そんなことないって」
「でもね・・・」
「あいつも目の前で見たって言ってるしさ、証拠の写真だって」
「写真?」
先ほど見せてもらったUFO写真をほむらに見せる。
確かに写ってはいるが、なんとなく眉間にしわがよる。
「これも何となくね」
「私はUFOの写真を撮ってやる」
「無駄だと思うけどね」
「あとほむら。あのどら焼き後でちょうだいな」
「ダメッ!!!!」
〇
さっそくいつもの電波塔で呪文唱え始める。
時刻はちょうど18時ぐらいで絶好のUFO日和(?)と伺える
「さてやるぞ。まず手をクロスさせて、“なめたけきのこ なまっかなまっか”。“なめたけきのこ なまっかなまっか”。“なめたけきのこ なまっかなまっか”。“なめたけきのこ なまっかなまっか”・・・・」
そして夜の20時になって。
「まだまだやるぞ。“なめたけきのこ なまっかなまっか”。“なめたけきのこ なまっかなまっか”。“なめたけきのこ なまっかなまっか”。“なめたけきのこ なまっかなまっか”・・・・・」
いつまで続けるつもりなのか、もう日付を越して深夜1時に。
「まだかなまだかな。“なめたけきのこ なまっかなまっか”。“なめたけきのこ なまっかなまっか”。“なめたけきのこ なまっかなまっか”。“なめたけきのこ なまっかなまっか”・・・・・」
だが結局UFOは最後まで現れなかった。
〇
「ハックション!!」
「全く馬鹿ね。一晩中あんなところで踊っていたら風邪ひくに決まってるじゃない」
「踊りじゃねえ。呪文だ。ハックション!!」
早朝5時ぐらいに様子を見に来たほむらが見たのはくしゃみをしながら呪文を唱えている杏子だった。
しょうがないので自宅に呼び寄せる。
結局風邪をひいてしまった杏子。
「とりあえず今日は寝てなさい。どら焼き食べるんじゃないわよ」
「分かってるって」
杏子を部屋において、ほむらは学校に向かう。
その日のお昼。
まどか、ほむら、マミ、そしてさやかのいつもの四人でご飯を食べているときだった。
「昨日は面白かった、プークスクス」
何かを思い出したかのように笑いだすさやか。
「どうしたのさやかちゃん?何かいいことでもあったの?」
「いや、ね、まどか。この前杏子に悪戯されたじゃん」
「うんうん」
「だからちょっとした仕返ししてやろうと思ってね、最近流行ってるUFOで悪戯してやろうと思ったんだ」
「UFO?」
「玩具のUFOで偽の写真撮って、そのUFOを呼び出すってことでおもしろ呪文を杏子に教えたの」
「呪文って」
「手をクロスさせて、“なめたけきのこ なまっかなまっか”。っていうんだよ」
「!?」
その呪文に反応を示すほむら。
やっぱりさやかの悪戯だったのか。
うすうす気づいてはいたが。
「気づいたかどうかは知らないけど、あんときは本当に信じちゃって。意外とかわいくて今思い出しても笑っちゃう」
「もうさやかちゃんたら嘘は駄目だよ」
「そうよ美樹さん。あとで佐倉さんに謝っておきなさい」
「へーい。でも今度は恐竜の玩具とか使って」
「懲りてないわね」
このままでは杏子がちょっとかわいそうだと思ったのでほむらはとりあえず帰ったら報告してあげようと思った。
騙されたと分かった杏子の顔が見てみたいと思ったのは内緒。
『杏子UFO大作戦』to be continued