どこでも風船でまどかの家についたほむらはチャイムを押す。
すると出てきたのはまどかではなく父親の知久であった。
「あっ、まどかのお父様」
「君は確か」
「暁美ほむらです」
「ああほむらちゃんだったね。どうしたの?」
「えっと、まどかは今いますか?」
「ごめんね。まどかは今出かけてて・・・入れ違いになったのかな?」
「そうですか。ありがとうございます」
どうやら家にはいないらしい。
もしかしたら先にさやかの家に向かったのだろうか。
でもそれでまた入れ違いになったら面倒くさいことになる。
「そうだわ」
ほむらはもう一つのどこでも風船を取り出して風船に、『鹿目まどか』と書く。
そうすればピンポイントでまどかに会える。
「よしこれでいいわ」
ちょうどそのころ、まどかは隣町に向かって猛スピードで走っていた。
早くしないと約束の時間に遅れてしまう。
「急がないと、ほむらちゃんとさやかちゃんが待ってる。ほむらちゃん、さやかちゃん、ほむらちゃん、さやかちゃん・・・」
走りながら見滝原公園を通りかかった時、二人のクラスメイトが目に入った。
それはいつもほむらを喫茶店に誘ってる二人組だ。
「暁美さんどこ行ったんだろう」
「うん、今日こそ喫茶店に行きたいね」
「じゃあ今度会ったらこれを使って喫茶店に連れてこう」
「それは睡眠薬?」
「うん。ウチ薬局だからさ」
「過激ね」
「そういえば・・・」
もしこれをほむらに聞かれていたらやばかった。
まどかもゾッとして後ろずさってしまう。
「まどか~」
何処からか声が聞こえる。
空からの声だった。
「えっ?ほむらちゃん!?」
「お待たせ」
取っ手の取り付けてある風船につかまったほむらが下りてきた。
「さあこれで美樹さやかの家に行きましょう」
「う、うん。でもこの本を隣町の虚淵さんの家に届けないと」
でも公園をほむらと一緒にとおるとあの喫茶店コンビーズにつかまってしまう。
かといって遠回りするわけにもいかない。
「それなら風船にいってもらえばいいわ」
「風船に?そんなことできるの」
膨らませた風船にネームペンで『となりまちの虚淵さん』と書くと、袋に入れた料理本を取り付ける。
そして栓を抜く。
「ああ、飛んで行っちゃった」
「心配いらないわ。さあ美樹さやかのところに向かいましょう」
時間は3時30分。
待ち合わせの場所でもう30分以上待ってるさやか。
「どうしたんだろう。このままじゃ夜になっちゃうよ」
「さやかちゃ~ん」
「まどか?でもどこから」
ふと上を向くと、そこには取っ手の付いた風船につかまっているまどかとほむらがいた。
「遅れてごめんね。さあ桜を見に行こう」
「でも今からじゃ夜になるんじゃないの?」
「大丈夫よ。この風船でいけば見滝原が丘まで一っ跳びよ」
三人は風船から吹き出す空気の勢いで気持ちの良い空の旅を楽しんでいた。
見滝原が丘。
さすが春といことで桜が満開でにぎわっていた。
風も心地よく吹いているので桜吹雪も程よく散っていた。
「花盛りだね」
「綺麗ねまどか」
「ゆっくり遊んで行こう。ほむらの風船があるなら帰りもすぐだもん」
その頃、喫茶店コンビーズは自転車でとあるところに向かっていた。
「ねえ見滝原が丘ってそんなに桜が綺麗なの?」
「うん。喫茶店もいいけどお花見もいいでしょ」
「そうね。でもそうなるとやっぱり暁美さんも誘いたいなぁ」
またまたその頃、となりまちの虚淵さんの家では。
「じゃあちょっとニトロプラスに行ってくる」
「行ってらっしゃい」
玄関の扉を開けると袋が置いてあった。
「何だろうこれ?」
袋を開いてみるとそこにあったのは以前鹿目さんの家に貸した料理本が置いてあった。
とりあえずお礼と風船のことについて電話を掛けるとなりまちの虚淵さん。
『あっ、料理本が玄関に?』
「ええ。ちょっとびっくりしちゃいました」
『まどかったら。本当にどうもすみませんでした』
「いえいえ。じゃあまた失礼します」
「じゃあ私はちょっとトイレに行ってくるわ」
「ほむら~ついでにジュース買ってきて~」
「調子に乗るんじゃないわよ」
「ほむらちゃん。私もジュース欲しいな」
「まかせて」
近くのトイレで用をすますと、ジュースを買う自販機を探す。
でも混んでいるため見つからない。
その時、ほむらの目に入ったのはいま一番見つけたくない人間だった。
「あっ!」
「あっ!暁美さん!どうしてこんなところに?」
「いや、ちょっと」
「そうだ喫茶店の代わりに今ここでお花見しよう」
「今日はまどかと」
「え~~~一緒にお花見しようよ」
「う、う・・・ここはもう一度三十六計逃げるにしかずよ!」
花見会場の見滝原が丘を逃げ回るほむらと、追いかける喫茶店コンビーズ。
「ほむらちゃんどこに行っちゃったんだろう」
トイレに行ってから15分も帰ってこないほむらを心配する二人。
探しに行くがトイレにはいないし、自販機の近くにもいない。
「まったくほむらのやつ・・・」
そのまま時間だけが過ぎていき、周りの人も帰り始めていた。
喫茶店コンビーズは。
「ねえ暁美さんいないね」
「帰っちゃったのかな」
「うん。そろそろ遅くなりそうだし」
「いまから自転車で猛スピードで帰って夜になるかならないかだから早く帰ろう」
「そうだね。また明日喫茶店に誘おう」
まどかとさやかは。
「困ったな。そろそろ帰らないと」
「ほむらちゃん、まさか先に帰ったのかな」
「そんなまさか」
「あれ?」
目の前の二人の目に見えたのは自転車で帰る喫茶店コンビーズ。
「あの二人も来てたんだ」
「そうなのよ」
後ろにいたのは逃げまくって疲れ切ったほむらであった。
「ほむらちゃん!」
「ごめんなさい。あの二人がいるから出てこれなかったのよ」
「ねえ早く帰ろう。暗くなっちゃう」
「もう5時30分まわってるもんね」
あいつらのおかげでちっとも遊べなかったがもう仕方がない。
楯から風船の残りを探すほむら。
だが。
「あれあれ?嘘でしょ!?な、ない!」
「まさか」
「みんな使っちゃったのよあれ」
「「えええっ~~~」」
楯の中にはもう予備のどこでも風船が残っていなかったのだ。
「それってどうなるの?」
「帰るしかないわ、歩いて」
「どうしよう、夜になっちゃうよ」
「とにかく帰りましょう。急ぎなさい!」
でも自転車でようやく間に合うぐらいの距離。
どれだけ走っても1時間半はかかる距離なのだ。
本来ならバスで行く予定だったのだが、お菓子などでもうほとんど使ってしまった。
「まどかにほむら急いで!遅くなったら叱られるぞ」
「そんなこと言ったってさやかちゃん」
「もうすぐ7時よ!」
「もうだめだ~!」
「どこでも風船 パート2」END
原案:「どこでも風船」(ドラえもんカラー作品集2巻所収)
アニメ:1991年4月12日放送
脚本:丸尾みほ
絵コンテ・演出:パクキョンスン
作画監督:中村英一