ホムえもんと愉快な魔法少女たち   作:Mr.モノクマ

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第9話 「すてきな休日 パート2」

『大体日本人は余裕がなさすぎます』

『そうですよね。遊ぶことでさえ必死になりますものね』

『そうそう、こういう日が定められたのは素晴らしいことですな』

『全くです』

 

テレビでは評論家の日眞賀星也とアナウンサーの八角杉郎が討論していた。

ただし、ソファーの上に寝頃なりながら眠そうな感じで。

ちょっとでも気を緩めたらすぐ眠りの世界に入りそうなそんなゆるりとした雰囲気が漂っている。

 

「でもこの人今仕事してるのは矛盾よね」

 

すると突然画面が真っ暗になってメッセージが挿入される。

 

『本日の放送はあらかじめ録画したものを、コンピューターで自動的にお送りしています』

 

ズコーッ!

録画だったらわざわざぐうたらしなくていいものを。

ほむらはソファーから滑り落ちてしまった。

 

「そういえばおなかすいたわね」

 

思い出したが朝ごはんをまだ食べていなかった。

 

「今から作るのも面倒くさいわね。出前でもとりましょう」

 

出前でお蕎麦でも頼もうとしたが、そこは詰めが甘かった。

電話をするたび有無を言わさず怒鳴り声が響き渡る。

 

『あんた!今日何の日か知ってるのか!そばが食べたきゃ自分で作りな!』

 

それだけ言うとブチッと切れてしまった。

法律を守っているだけといえばそうであるがなんか釈然としない。

 

「あんないいかた・・・明日新聞に投書しようかな」

 

あることないこと吹聴するのはほむらの趣味ではないがあんな切り方するのはひどいではないか。

まあそれよりもごはんを探さなければ。

 

「台所には何かあったかしら」

 

しかし、台所には不思議なほど何もなかった。

冷蔵庫の中にも戸棚の中にも調味料ひとつ存在しない。

 

「思い出したわ。明日まとめて買いに行こうとして昨日のうちに食材全部使い切っちゃったんだわ」

 

何もないとなるとますます空腹が襲ってくる。

 

「そうだわ、グルメテーブルかけ!・・・あっ!」

 

グルメテーブルかけを使おうとしたがなんと穴が開いていたのだ。

穴が開いている状態で使うと、食中毒を起こしかねないほどの嫌な匂いで変な味の料理が出てくることがあるのだ。

 

「これじゃ使えないわね」

 

 

 

 

 

朝から何も食べないですでに12時をまわっていた。

楯の中を探してもどら焼き一個ない。

 

「ないとわかったら、なおさらおなかがすいてきたわ。ハァ・・・おなかがすきすぎてもう倒れそう」

 

こんな時にキュゥべえでも現れてくれればストレス解消にはなる。

つい最近盗んできた大砲を一度使ってみたいと思っていたところなのだが。

 

「なのになんで現れないのよ。くそインキューベータ―め」

 

空腹でイライラ度も上がっている。

仕方がないから寝ようとしても。

 

「おなかがすいて寝られない。このまま家にいたら腐っちゃいそう。もう一度外に行きましょう」

 

外に出たのはいいものの、もうふらふら状態。

いつもの凛々しい顔も今日に限っては疲れ切った顔に。

 

「目が回る。何か食べさせて頂戴」

 

そんな時であった。

目の前に新鮮そうな魚をくわえたどら猫が。

 

「魚よ!」

 

ジリジリとどら猫に近寄るほむら。

 

「その魚をよこしなさ~い!ガルルルルルル!!!!」

 

噛みつく勢いで猫に飛びつくとそのまま逃げていく。

これでこの魚はほむらがゲット。

 

「さてうちで焼いて食べ・・・」

 

魚を手に持とうとしたその瞬間、なにかが猛スピードでほむらの横を通り過ぎ、魚をかっさらっていった。

 

「誰よ」

 

見てみるとそこにいたのは魚を口にくわえた四つん這い杏子の姿であった。

まるでどら猫、いや一昔前の野生児そのもの。

 

「なぜかほとんどの店がやってないんだよ」

「それは今日はぐうたら感謝の日だから」

「そんなことよりあたしは腹ペコで死にそうなんだ~!うめえ棒も食べきっちゃったし」

「てかそれは私の魚よ。返しなさい」

「嫌だね」

 

今度は二足歩行で逃げる杏子。

 

「人の物盗むのは泥棒よ!」

「自衛隊から勝手に武器盗んでるおめえに言われたくないわ」

「それとこれとは話が別よ!」

「どこがだ!ていうかこれは猫のだろ」

「でも私が勝ち取ったんだから私のもの」

「屁理屈だ!」

「返さないとおまわりさんに言いつけるわよ」

「それがどうした!」

 

何とかして杏子を交番の前まで追い込んだが。

なんと『“ぐうたら感謝の日”のため本日は休業です』という看板が掛かれて中は無人であった。

まさか交番まで休みであるとは。

 

「ありえないでしょ・・・杏子は!?」

 

気づいた時には杏子は逃げ切った状態で姿を消していた。

腹ペコでもう追いかける気力もないので家に戻る。

 

 

 

 

 

「もういやよこんな休日。まどかとも遊べないし、お腹は減るし」

 

ほむらの我慢もそろそろ限界だった。

 

「そうだ、シールを剥がせば元に戻るを思い出したわ。戻しましょう!こんな休日もう沢山よ」

 

シールを剥がすと、休日の赤く染まったところが消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今朝から私たちは一体何を勘違いしていたのでしょう!全国民のみなさん!今日はお休みなんじゃなありません!』

 

アナウンサーの畑良木秀夫の一言で全国民は目を覚ました。

外には一斉に会社や学校、お店を開く人であふれ返る。

 

「シール剥がさないほうがよかったかしら」

 

結局かえって迷惑をかけてしまったほむらであった。

 

 

 

 

 

「すてきな休日」END




原案:「ぐうたらの日」(ドラえもん14巻所収)

アニメ:1994年6月3日放送「ぐうたら感謝の日」
    脚本:西村孝史
    絵コンテ・演出:平井峰太郎
    作画監督:中村英一
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