ゆるっと遊ぼっ!   作:橘田 露草

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はじめまして!(^◇^)
はじめましての人ははじめますって!
くーさんこと露草です。

しばらくハーメルンを離れていたということもありまして、リハビリがてら新作投稿です。
不定期更新なので気が向いたらになると思いますが、よろです!

さて、そろそろ止めてるほかの小説も書かないと……(^_^;)

では、「ゆるあそ」1話どうぞ!(*^^*)



トランプ遊び①

「こんにち痛いッ!」

 

葉月(はづき)が部室のドアを開けるといきなり何かが顔に飛んできた。

鼻に軽い痛みが走り、思わず挨拶の途中で叫んでしまった。

 

「そんなに痛いか、これ?」

 

ひょいっと床に落ちた輪ゴムを拾う詩蘭(しらん)

どうやら僕の顔に当たったのはこの輪ゴムだったらしい。

詩蘭はその輪ゴムをびよーんと伸ばし、葉月の掌に当てた。

 

「痛い!先輩痛いですって」

 

慌てて葉月は詩蘭に痛いアピールをする。

本当はそこまで痛いわけじゃないけどちゃんとアピールしないといつまでもやり続けるのだ。

だからといって手を引っ込めると怒り出す。

どちらがめんどくさいか考えるまでもない。

 

5回くらい繰り返して飽きたのか、詩蘭は輪ゴムを指で伸ばしながら奥の方へ行ってしまった。

葉月もまたほのかにピンクに染まった部分を擦りながら、ドアを閉め奥の方へ歩く。

部屋2つ分をぶち抜いた部室はそれなりに広く、入ってすぐのところは何というかいうか物置状態だ。

壁の方に色々なもの、葉月から見ればガラクタとしか思えないものが所狭しと置かれている。

そこを過ぎて、いわばもう1つの部屋部分が活動拠点だ。

 

「ちわーす」

 

いきなりいじめられ若干やさぐれモードの葉月が雑に挨拶をすると椅子に座っていた女の子が手を上げた。

 

「おっはにゃん、はーちゃん!」

「もう放課後ですよ、智音さん」

 

ひょこっと招き猫のように右手を上げる、智音(ちおん)

目の前には湯気が立つミルクが入ったマグカップ。

どうやら猫舌なのにまた温め過ぎてしまったらしい。

それに苦笑しているとちょいちょいと袖を掴まれた。

 

「……おはよ、ハヅ」

「えっとだから放課後ですって、(うず)先輩」

 

そんなに背が高い方じゃない葉月より頭1つ分小さい渦にも訂正する。

じっと葉月を見た渦は袖を引っ張りながらテーブルを指差した。

4人掛けの小さなテーブルに乗っていたのは奇妙な物体だった。

 

「これトランプですか?」

 

確認するまでもなくまごうことなきトランプだった。

それが組み合わさって大きな三角形みたいな形を作っている。

 

「トランプタワーだよ。オマエ作ったことねーの?」

 

いつの間にか渦がいた場所に詩蘭が立っていた。

入れ替わった渦はソファの智音の隣に座ってうとうとしていた。

 

「あー、知ってますけど作ったことはないですね」

「ゆとりめ」

「いやほとんど同世代じゃないですか」

 

葉月のツッコミを無視してそのトランプタワーの前に立つ詩蘭。

そして腰に手を上げ宣言した。

 

「今日のゲームはトランプ輪ゴム倒すなゲームだ!」

 

いつも通りの部活開始の合図と絶望的なネーミングセンスだ。

その宣言に、ふーふーしながらミルクを飲んでいた智音と微睡んでいた渦もこっちに来た。

 

「つまり輪ゴムを使ってトランプを撃ち抜いて倒すなってゲームにゃね!」

「その通り、バカ猫」

「誰がバカにゃ!」

「……うるさいオンチ」

「オンチでもないにゃ!」

 

いじられる智音と楽しそうにいじる詩蘭、無表情にいじる渦を見ながらさっきの説明を自分の中でまとめる。

要はジェンガのカード版だ。

それを輪ゴムで撃ち抜くという的当ての要素もあるという。

相変わらずよく思いつくなぁとどうでもいいことを考えながら3人の仲良しケンカが終わるのを待つ。

 

「というわけでじゃんけんするぞ」

 

詩蘭の号令でじゃんけんすると、1番は智音になった。

葉月は無難な3番だ。

 

「にゅふふ、この智音ちゃんのセーカクムヒなダンガンバズーカを見るにゃ!」

 

よくわからない宣言をしながら智音が床に引いたテープの上に立つ。

両手を猫の手にしながら片指を立てそこにゴムをかける。

そしてもう片方の手でゴムを伸ばし片目つぶり、放とうとした瞬間。

 

「頑張れーオンチバカ猫」

「両方合わせたらもっとひどいにゃ!……って何持ってるにゃ!」

 

せっかくの集中を乱され、ツッコミながら振り向く智音。

そして詩蘭の手に持ってる物に気付いた。

いつの間に作ったのか、割り箸で作ったピストルを持っていた。

ちゃっかり渦も同じものを持っている。

 

「ずるいにゃ、ずるいにゃ!智音にもそれ寄こすにゃ!」

「悪いなバカ猫。このピストルは2人用だ」

「にゃーー!」

 

どっかのお金持ち小学生みたいなことをいう詩蘭に飛びかかる智音。

僕も持ってないんですけどねー、という葉月の呟きは誰にも届かない。

と、その時だった。

 

「……あ」

 

ひゅーっと開けっぱなしの窓から風が入ってきた。

小さな風だったが、絶妙なバランスで立つトランプにはひとたまりもなく。

トランプは、バララララララッ!と音を立てて崩れていった。

 

「うおおぉぉぉぉぉぉ!!!!せっかく作ったのにぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

 

智音を突き飛ばし、すでにただの散らばったトランプになった残骸の前でうなだれる詩蘭。

 

「えっと……もう一回作ります?」

「……これ作るのに1時間かかったって」

「あぁ……」

 

打開策を出す葉月に渦が絶望的なことを言う。

現在午後5時30分。

部活終了は6時なので完全に不可能だった。

 

「……とりあえず片付けますか」

 

灰になった詩蘭以外の3人でトランプを拾い集め、残り時間は全員でババ抜きをやった。

無表情の渦が一番強く2回とも1抜けだった。




~ゆるあそ用語~
【現代遊戯研究部】
私立歌ヶ原学園にある部活。部活の内容は、自作のゲーム(主に詩蘭)で遊びそれをレポートにまとめること。顧問は最近までおじいちゃん先生がついてくれていたが去年定年退職したため今は不在。メンバーは高等部1年生で部長の北条詩蘭、同じく高等部1年生の犬村智音、中等部3年の大橋渦、中等部1年の戸代葉月ともう1人。わずかな部費のほとんどはゲーム製作費に消える。部室2つ分のため結構広い。
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