文才のなさを再確認しました。
ミッドチルダ。
次元世界における首都のような世界であり、大都市クラナガンをはじめとしたベルカ自治領、エルセア、アルトセイムといった地方から、時空管理局の本拠地もここに置かれ、いわゆる世界の中心ともいえる世界である。しかし多くの世界から人、物資が出入りする性質によりひったくりから、違法薬物、兵器の取引まで幅広いの犯罪が蔓延る側面もある。それら犯罪から市民を守り、犯罪の撲滅に勤めるのが時空管理局の仕事一つなのである。
「えーこのように我々時空管理局は市民の安全を守り、人々がよりよい生活を送れるように・・・」
昼過ぎ、今子供たちが多く座るホールの壇上にて、一人の青年が淡々と言い聞かせるように講義を行っていた。彼の名は浮岳智紀。時空管理局323部隊に所属する、管理局員である。本日の仕事は未来を担う子供たち相手に、時空管理局はこんなにも素晴らしく、最高であるということを伝えなければならないというものだった。元々は別の執務官がやる予定だったが、仕事が多いのか同じく、なんちゃって執務官である智紀に全て依頼(パシリ)してきたのだ。下っ端部隊の特性上断ることはできず、現在に至るというわけである。
「説明は以上となりますが質問などはありますか?」
感情の込こもってない事務的な声で(本人的にはやさしく)説明を終えた智紀は質問を促す。するとぽつぽつと手が挙がる。
「ではえー・・・F列の通路側の男の子どうぞ」
そういうとマイクを持った人が少年のそばによる。自分と一緒の黒髪で気の小さそうな少年だが芯は強そうな印象を受ける。
「僕は魔力があまり多くないんですけどそれでも入れるんですか?」
(まあ無いやつは気になるわな)そう思い少年の質問に極力丁寧に答える。
「大丈夫ですよ。現に魔力が少なくても活躍している管理局員はたくさんいますし、私はそもそもリンカーコアがないので魔力自体がありません。それでも仕事はできるので安心してください」
そういうと会場が波打ったかのようにざわつく。(あの人魔力ゼロ?)(すごーい)(大丈夫なのかよ)子供たちの感想が聞こえてくる。するとまた手が挙がった。
「じゃあ今手を挙げた女の子どうぞ」
智紀が指名し女の子が立ち上がる。少し赤みがかった金髪で見るからに自分に自信を持ち、動作一つ一つに気品さが漂ってくる。どこかいいとこのお嬢様なのだろう。
「私は執務官を目指しておりまして、先ほど自己紹介で執務官とおっしゃっていましたが、どのようなお仕事をなさっているのでしょうか?」
(ふむ・・・どう説明したものか・・・)会場は少女の質問により静かになり、智紀の答えを待っている。智紀は少女の質問にどのように答えようか悩む。正直なところ執務官の資格は、次元漂流者という後ろ盾がない状態をどうにかしようと思い取ったもので、調査や交渉などの時にちらつかせて使うくらいで、それ中心で仕事をしているわけではないのだ。
「私の主な仕事はクラナガンで起こる、スリのような軽犯罪から強盗、殺人のような重犯罪まで多岐にわたる刑事事件の捜査ガ中心で、あとは局内の他の部署からの依頼や応援といったことなどが仕事となります。執務官としての仕事は先ほど述べた事件捜査が主なものとなっています。」
智紀は淡々とだが伝わりやすい声で説明する。少女は納得したようでそのまま座ってしまい、先ほどの子供たちからの視線が段々と輝きだす。すると急に質問の手が多く挙がる。智紀は(マジかぁ)と内心ため息をつきながら少年少女たちの質問に答え講義を無事終了した。
「くぁ~疲れた~」
プシュッと炭酸飲料の缶を開ける心地いい音が響く。今彼は管理局の廊下を歩いていた。子供相手の仕事を終わらせ次の仕事を片付けるため323部隊のオフィスに向かっていたのだ。好物のフルーツ系炭酸飲料を飲みながらオフィスに入ろうとドアを開けると異様な熱気が体を包み込んだ。
「いや悪い、悪かった!!ほんと反省してるからその手を納めてくれ!!」
「相変わらず煩い口ねぇ腐れ金髪。まずはその汚い口から溶接しようかしら。」
地面に尻餅をつい状態で後ずさりをしている彼はフレッド・オーレン。それに対し右手から猛烈な光を伴った炎を放っている彼女はユキナ・アクツ。どうやらこの熱気はあの右手のせいらしい。
「お疲れさん。智紀君」
「あ、部隊長。お疲れ様です。」
「なんだまだやってたの?すきねぇあなたたち」
「今日はどんな理由で起きたんですか?あと密着しながら胸押し付けてるの、やめてください」
「もう、枯れるには早すぎよ?」
後ろから話しかけてきたのは323部隊の部隊長クリア・へミスティン。彼女曰く書類作成中に口論になり、昼食を食べに外に出ていたら入らない内にあそこまで発展したらしい。彼らにとっては見慣れた光景である。するとこちらに気づいたのかユキナは手の炎を収め、あわてた様子でこちら向く。
「す、すみません!仕事に戻ります!」
そういってフレッドを睨みながら自分デスクに戻り仕事を再開しようとする。対してフレッドは安堵のため息を漏らし、立ち上がってこちらにやってくる。
「ホントありがとう・・・。マジで顔が蒸発するところだった・・・」
「おめーら本当にそんなスキンシップしかできねーのな」
今日も323部隊は平常運転だった。
毎度のイベントも終わり、通常業務に戻って智紀が書類整理に勤しんでいると、隣のデスクのフレッドが話しかけてきた。
「お前聞いたか?この前しょっぴいたバイクのクソガキのこと」
「あいつだろ?スピード違反で注意しようとしたらこっちの手振り切って逃げて勝手に事故って怪我したやつ。奴がどうかしたのか?」
「あの野郎どうやら管理局のお偉いさんのガキだったらしくてな。釈放だってさ」
「マジでか。やるせねぇなぁ。まぁ標識に被害があったくらいだったからよかったものの・・・。まぁあれは交通課と協力したものだし、こっちにナンかしらのとばっちりはねぇだろ」
わが子の可愛さ故か自分のキャリアのためかは分からないが、こういったことは珍しいことではない。もみ消すことに関して言えば一流なのだ彼らは。
「そういやフレッドは財務部の仕事代行ってのは知ってるけど、ユッキーはなにやってんの?」
「私のも似たようなもの。2週間前のデパート立てこもり事件と別世界での凶悪犯逮捕のときに出ちゃった被害額の打ち出し」
「そんなすげぇのか?」
「どちらも戦闘被害。デパートは商品の破損でしょ、あと床、壁の破壊、最悪なのは売り場崩壊。別世界の方もかなりひどいわよ。農地で結構大規模に戦闘して砲撃魔法でクレーター多数とか、衝撃波の出る近接戦闘で農地の野菜たちが全滅とか。しかもこの世界、通貨がミッドと違うからまだ被害額出せてない・・・。まぁどっちも人的被害は出てないし、全員犯人逮捕できたからよかったみたいだけど」
「「うわぁ・・・(察し)」」
「これの管理局代表で謝罪に行く仕事だけはしたくないわね・・・」
「ちょっと今いる人だけでいいから聞いてもらえる?」
三人が話しているとクリアが真剣な声色でよびかける。
「なんスか?裏の仕事っスか?」
「いんや協力要請よ。それもパシリじゃあない」
フレッドの問いにクリアはそう返す。
「どうやらミッドの港湾都市ペラブハン郊外に質量兵器の工場兼倉庫があるらしわねぇ。陸士108隊が過激派組織の捜査していたようで、その際に見つけちゃったようよ。なんかその組織のアジトも同じ都市の離れたとこにあるから、工場とアジトの一斉検挙しようってことで、私とか知ってる人間のいる323部隊にも協力をって話を持ってきたって具合ねぇ」
「結構なおおとりものだな」
「だな。なかなかハードな仕事になりそうだぜこりゃ」
「あの質問よろしいでしょうか」
そういいながらユキナが手を挙げた。
「その工場はどういった規模のものなんでしょうか」
「この資料によると一般の拳銃、アサルトライフルから手榴弾のような爆発物まで結構色々そろえてるようね。おまけに港湾都市のアクセスのよさを利用してだいぶ広範囲にばら撒いてたようだと書いてあるわ。今日の深夜にどこかへの納品があるからこの時に決行するらしいわ。詳細はこのあとの合同会議で説明とあるわね」
「今日の深夜決行!?マジかよ・・・今日はたらふく寝れるとおもったのに・・・」
「・・・急ですね。何か取引以外に理由が?」
フレッドはぶつぶつと愚痴をつぶやき、智紀が疑問点を質問した。
「ええ。どうやらアジトに接触していたこちらの密偵が2日前にバレて捕まったらしくてね。おそらくこの納品を終えたら人質もろとも高飛びされる可能性があるから、今日やるしか無いそうよ」
「なるほど分かりました。会議は何時からで?」
「17時とあるわね。今16時だからあと1時間後。場所は本局の第1会議室。ガルシアとラナには連絡したから連絡しなくていいわよ。あとクラナガンからペラブハンまで大体陸路で3時間くらいだから夕食は早めに済ませなさい。じゃあ以上!」
そういってクリアは解散を促す。そして各々会議の時間まで残っている仕事を片付けていった。
17時、広めの会議室には多くの管理局員が座り、今回の作戦について話していた。323部隊はと言うと先ほどの4人と新たな2人を加えて、総勢6人で今回の作戦に参加する。新たな二人のうち制服の腕を捲くり、白髪交じりの頭をしているのがガルシア・バーンズ。背の小さい子供のような容姿で明るいブラウンの髪をしているのがラナ・シルキーである。
「おっさんそっちの仕事はうまくいってんの?」
「あ?まぁだいぶ絞り込んであとは事情聴取だけだから問題ねぇよ」
「やっぱおっさんとラナ組ませたら大体の事件は即時解決だな」
ガルシアとラナは持っているレアスキルのおかげでかなりのスピードで捜査を進めることが出来るため、よく刑事事件の捜査を請け負っている。ちなみに今回はひき逃げ事件だった。
「ユキさん、トモさん、今回銃火器を所持している連中と戦うんですよね。大丈夫でしょうか。」
「魔法使える用心棒みたいなのもいるかもしれないけど、うちにはその手の専門家がいるから大丈夫でしょう。ねぇ智紀」
「そういうユッキーも立派に銃相手に大立ち回りできるじゃねえか。最初はあんなビビッてたのに」
「あ、あの頃は質量兵器相手なんて訓練で少しやるくらいで、実際に相手する機会なんてなかったからよ!」
「はいはい、わかったわかった」
「おまえら、そろそろ始まるぞ」
ガルシアがそう言ったすぐに会議は開始した。前のほうには各隊の部隊長が5人座り総勢30人以上に緊張ムードが高まっていく。
「では始めます。皆さん本日は我々の協力要請に応じてもらいありがとうございます。陸士108隊部隊長ゴードン二等陸佐と申します。まずは詳細について陸士108隊所属ゲンヤ・ナカジマ一等陸尉、説明お願いします。」
「はい。では説明させていただきます。私の所属する陸士108隊は私を含めた5人で要注意組織『スパイク・シールド』の捜査を3ヶ月ほど前から行っていました。その際に大規模な質量兵器の工場を確認―――」
彼の詳しい説明と配られた資料を会議室の局員は、皆真剣な表情で確認する。大筋は先ほどのクリアからの情報と違いはないようだった。説明が終わり今回の作戦内容に移る。アジト攻略部隊と工場攻略部隊の二手に分かれるようだ。ここで部隊ごとにグループ分けとなった。
「ユッキーは強制的にアジト方面な」
「なんでよ」
「オメーの炎で工場大爆発なんてコントがありえるからだよユキナ姫」
「あんたには聞いてないわよ。おしゃべりクソ野朗」
「まぁそういうことだ。あきらめなユキちゃん」
「加齢臭香るおっさんにそう言われたら納得せざるを得ないわね」
「・・・毒女スイッチがは入っちまったか」
「もう喧嘩しないで早く決めましょうよ!」
話し合いの結果アジト方面はクリア、ユキナ、フレッド。工場方面は智紀、ガルシア、ラナのチーム分けとなった。このあと2つのグループ別での打ち合わせを行い突入時のフォーメーションや統率の確認を行い、終わり次第全体での採集確認と各部隊長の檄で合同会議は終了となった。
『スパイク・シールド』
最初は自警団のような組織だったのが歴史と共に一人歩きし、時空管理局に反発する者の集まりへと変貌してしまった組織。主に密貿易や禁止兵器の所持、最近では新型の覚醒剤にまで手を出している。この手の組織の中では割と大きい組織で、今回のアジトは数箇所あるといわれている大きなアジトのなかの一つ。
まあヤクザな人たちって感じ。
『ゴードン』
この時期ってゲンヤさん部隊長じゃないからそれに代わる人ということで作っちゃった人。今年で定年。
『港湾都市ペラブハン』
他の町なんて知らないんで勝手に作りました。
ペラブハンはインドネシア語で港って意味(たしか)。