底辺扱いされる強く生きる者たち   作:ガッセー

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文が長ったらしくなってしまう・・・。戦闘描写難しいすぎてワロエナイ

続きどうぞ。


2話 323部隊 2

アジトside

アジトは市街地の真ん中にある大きなオフィスビルの中にある。窓には黒いシートが貼ってあるらしく仲の様子は伺えない。ビジネスマンが多く通り、人目に付きやすいところだが今は閑散としており、いるのは酔っ払いか逢引している男女くらいである。そこから200mほど離れたところの空きビルを拠点にし、管理局員たちが作戦開始を時間を待っていた。

 

「ふぁ~ねみ~」

「相変わらずひどいツラね。生まれてくる種族間違えたんじゃない?」

「ハッ、これでも世間一般ではイケメンで通ってんです~。だから生まれてきた種族は間違ってないのだよ~ユキナ姫」

「ああ言えばこう言う腐れ金髪ね。躾が足りないんじゃないかしら。」

「あなたたち声のトーン落として喧嘩しなさいね」

 

他の隊の局員が困惑した目やジト目でこちらを見てくる。大きい声ではなくむしろ小さい声だが緊張感が漂う拠点の中で、あまりにもいつも通り過ぎる二人に、止めても終わらないということを知っているクリアはそう諌める。すると二人の人物がクリアに話しかけてきた。

 

「ははは、相変わらず肝っ玉の据わった連中ですね。実に心強い。」

「でも非常識すぎます。少し自重してください。」

 

陸士108隊部隊長のゴードンとペラブハン陸上警備隊隊長アメリア一等陸尉である。会議のときにあまり話せなかったので話しかけに来たのだ。

 

「ゴードンさんお久しぶりです。お元気そうで何よりです」

「ははは、まだまだ若いもんには負けませんよ。もう今年で定年ですがね。」

「そうですか。時が経つのは速いですね・・・。ああ失礼、後存知だと思いますが323部隊の隊長クリア二等陸佐です。今回の警備隊員の大幅増員ありがとうございます」

「ああそれは私からも改めてありがとう」

「ご丁寧にどうもありがとうございます。自分たちの街を守るのは当然の事ですから。私はペラブハン陸上警備隊隊長アメリア一等陸尉です。323部隊のお噂は聞き及んでおります。とても優秀な部隊だと」

「あはは、まあ曲者ぞろいですがね」

「そのようですね」

 

そう言い喧嘩している二人をジト目で見つめる。さすがに悪いと思ったのか静かになる二人。

 

「それは一先ず置いておいて、本当にこちら側の人質は工場に?」

「ああ、それは私も確認しておきたい」

「うちに電子機器に強い者がいましてね。ハッキングの結果倉庫の地下に監禁されているのを確認しました」

 

実はラナが現場に到着したときレアスキルを使い施設に探りを入れていた。そのときに監禁されている管理局員を発見したのだ。

 

「ハッキング・・・。資料では確認してましたが凄まじい能力ですね」

「ほんとになぁ・・・。うちの部隊に欲しいくらいだ」

「あげませんよ。そういえばむこうからの接触はなかったのですか?」

「身分の分かるものは身につけさせないで調査していたからな。来ないということは管理局か対立組織か、まだ判断しきれてないかもしれないな」

「なるほどどちらにしても長い夜になりそうですね。そろそろ時間だ。配置に付きましょう」

 

そして人知れず多くの人影が一斉に動き始めた。

 

 

 

工場side

「あれが工場兼倉庫か」

「トモさん私にも双眼鏡みせてくださいよー」

「ラナ、深夜なんだから家帰って寝ててもいいんだぞ?」

「もー、子ども扱いしないでくださいガルさん!」

 

するとラナは拗ねてどこかに行ってしまった。ここは市街地とは打って変わって湾岸地区の倉庫街である。夜は人通りなどまったくなく風の音ばかりであとは何の音もしない。明かりは港側の街頭だけ。普段はそんな場所だが今日に限って窓一つ無い密閉されているはずの倉庫が一つだけ開き、すぐそこの港にはあわただしく作業する船員がいて、すぐそばに船が停泊している。港湾管理所の書類上では午前2時に船が出港とあり、積荷は金属資材と書いてある。事前調査により船と船会社自体は白でほかの企業の積荷も積み込まれていると報告が出ているが、どうやら船員の中に組織の人間が紛れ込んでいるらしくそこで手引きされているらしい。

 

「しかし船か~。あん中入るよか倉庫入るほうがよっぽど楽だわ」

「どっちもどっちでしょ。倉庫なんて救出作戦な上、何引っ張り出してくるのか分からないんですから」

「まぁ俺は狭そうだから剣を振りにくいって意味もあるからな」

「お前さんら少しいいか?」

 

智紀とガルシアが振り返るとそこには先ほどの会議で説明をしていたゲンヤ・ナカジマが立っていた。

 

「どうかしたんですか?えーっと・・・ナカジマさん」

「はははゲンヤで結構だ。階級一緒みたいだしな。お前はさん付けで呼べ」

「嫌なこった。どんなに階級離れてもそれはないわ」

 

どうやらゲンヤとガルシアは知り合いらしく、お互い軽口を叩きあうがどちらも楽しそうである。

 

「あー、分かりましたゲンヤさん。自分は323部隊の浮岳智紀一等陸尉です。智紀でもトモでも好きに呼んでください」

「じゃあ智紀と呼ばせてもらおう。それと今回はありがとうな。おかげでついにこの日を迎えられた」

「前からあった計画だったらもっと早めに連絡しろよ。こっちだって、いくつも仕事抱えてんだからよ」

「そうですね、せめてうちの部隊には事前に伝えておいて欲しかったですよ。うちに間者みたいなのなんて入り込む隙間ないし」

「ん?お前らのところには1週間前に、近いうちに協力を要請するかもしれないからその時よろしくって、うちの部隊長がお前らの部隊長に連絡したはずだが?」

「「・・・は?・・・まさか!?」」

 

実はこういうことは初めてではない。過去に2回ほどだれかが仕事に余裕が出始めてくると依頼や協力要請といって余暇の時間を潰しに来てはおもしろがっているのだ。そういう女なのだ、部隊長は。

 

「クソッ!!油断してたーチクショウ!!道理でここ1週間割と簡単な仕事ばっかくるから休み出来そうだなーとか思ったら、こういうことだったのか!!」

「アンの女豹が~~~!!なんでこいつらの事件捜査の仕事がここんとこ少ないなと思ったら、俺とラナに全部押し付けて請け負ってる仕事量の消化を謀ったのか!!」

「・・・お前ら苦労してんな・・・」

 

みんなが驚きながらこちらを向く。いきなりだれかが癇癪を起こし始めたのだから無理も無いだろう。それを聞きつけラナが他部隊の女性職員との会話を打ち切りこっちにやってくる。

 

「大声だしてどうしたんですか?」

「いや実は・・・(おっさん説明中)」

「なにそれー!!許せません!!」

 

怒っているはずなのにあたりにマイナスイオンを振りまくがごとく癒しをふりまいている(*本人は本気で怒っています)。

 

「そういやラナはゲンヤさんに挨拶した?」

「あ!してませんでした!始めまして323部隊のラナ・シルキー陸曹です。よろしくお願いします!」

「おう、陸士108隊所属ゲンヤ・ナカジマ一等陸士だ。よろしくな嬢ちゃん。それにしても家の娘たちとそんなに年違わないから、ちょいと複雑だな」

「そういってやんな。本人は大人のレディって言ってるし、こっちも最大限フォローしてる。それにこいつ役に立つぞ~」

「資料もらってるから知ってるよ。・・・お、そろそろ時間だし配置に移動するぞ」

 

こうして二地点で激しい逮捕劇の火蓋が切って落とされた。

 

 

アジトside

「3……2……1『作戦開始』」

 

その合図と共に守りの薄い地上の数箇所と空から一斉に突撃を開始する。323部隊のクリアはロングアーチ兼有事の際の援軍。フレッド、ユキナは他腕に自信のある者4人と共に正面からの陽動を担当していた。すぐさま侵入しようとすると警備員の制服を着た男たちがわらわらと出てきて定型文のような警告を言ってくる。

 

「繰り返す!!これ以上近づけば容赦なく攻撃―――あいつら管理局だ!!?くそ、来るのが速い!!応援を呼べ!!」

 

すると男たちは警棒ではなく、拳銃やナイフを手に持ち、魔法が使えるものはデバイスを起動する。

 

「っしゃあ、こっちも行くかぁ!!先行するぞ!!」

「ええ、いくわよ!!」

「「セットアップ!」」

 

二人が所有するデバイスを発動する。魔力不足のためかバリアジャケットは無いため管理局の制服のままだが、その手には薄手の黒いレザーグローブ、そして薄い黄色の布が現れた。

 

「撃てー!!」

 

その号令と共に銃を持った男たちが一斉射撃を始める。それに合わせユキナが羽織るように身に着けている布を広げ前方へと振り、空気を絡め取るように操る。すると手元に戻した布から、放たれたはずの銃弾がポロポロと落ちた。これと同時にフレッドが体制を低くしながら走り、両腕を前方に振りそして思いっきり引いた。すると男たちが持っていた銃が手元から急に引っこ抜かれたように空中を舞い、フレッドの後方へと飛んでいく。

 

「「「!!!?」」」

 

あまりに一瞬の出来事に男たちは動作を止めてしまった。そのスキが決定打となってしまった。

 

「ハァ!」

「グッ、ガァ!!」

 

他の仲間たちが間合いを詰め、呆然としていた男たちを一瞬で気絶させ、ドアの守り手を無力化した。

 

「ありがとう。助かった。」

「気にすんな。曲芸みてーなモンだ。じゃあこいつらは後続にまかして次行くか」

 

そういいながらビル内へと無事侵入を果たした。一階のエントランスは広く、遮蔽物が少ない印象を受ける。正念場はここからである。

 

「階段、エレベーターは奥か…守りやすそうな構造だな」

「(クリアさん)こちら323ユキナ及び他の戦闘員侵入成功、他はどんな感じですか?」

 

念話をするほどの魔力がない者は念話を傍受し、相手を思い浮かべ此方から声にして話さなければならいが、念話として発信すること、さらにシェアリングも出来る専用のインカムのようなものが支給されている。これにより魔力の少ないものでも皆と変わらず、安心して通信が出来るようになっている。

 

『はい、こちら323クリア、今のところ各部署も順調に侵入成功、工場の方も同様よ。あとロングアーチから報告、奥からそちらに移動する敵対者と思われる熱源を多数感知注意せよ』

「了解、では任務を継続します」

 

通信を切り目の前の2階に続く階段を注視する。先ほどの念話を聞いていた皆も臨戦態勢を整えていた。

 

「じゃあ、出迎えてやろうかっ」

「じゃあ撹乱するわ。合わせなさい」

 

フレッドが弾丸のごとく移動を開始すると奥の広くはない通路から男たちが出てきた。それにあわせユキナがだれにも当たらないように一瞬だけ炎の壁を作り出す。

 

「うお!?アツッ!!」

「やつらだ。ぶっ殺せー!」

 

男たちは殺気立った表情で銃口を此方に向ける。中にはサブマシンガンやショットガンを装備している者もいる。

 

「そいつはちっとアブねぇなぁ!!」

 

そうってサブマシンガンやショットガンを、右腕を引くことで優先的に没収する。その様子に男たちは驚くが先ほど倒した連中から念話でもあったのか隙を見せず、持っていた拳銃を抜き応戦しようとする。

 

「悪いがもう俺の間合いだ」

 

1番前にいた男が発砲した瞬間、下から上に左手で銃を持った手を払うことで銃撃を回避し、男の鳩尾にきつい右拳の一撃を叩きこむ。男は一瞬の出来事に声すら出ず、フレッドに突き飛ばされ何人かと接触し気絶した。

フレッドはその後もうまく対峙している人間を盾のようにして銃撃を戸惑わせたり、人を吹っ飛ばしエイミングの邪魔をさせ撹乱していく。そのタイミングでユキナの槍の如き布による攻撃と、射撃型と思われる仲間の援護と近接型の仲間が一斉に畳み掛ける。これによりここにいた10人以上の男たちをすべて戦闘不能にすることが出来た。するとまた念話の通信が入る。

 

『今いる通路と他の2箇所のルートからそちらに向う敵性反応あり注意せよ。以上』

 

通信が終わり皆に険しいムードが立ち込める。

 

「じゃあ行きますか」

 

まだまだ夜は長い。

 

 

 

工場side

合図と共に皆が一斉に動き出す。今回此方の作戦は空戦魔導師と陸上魔導師による船への積荷の差し押さえをする部隊が一つ、そして工場へ突入する部隊が一つの二つで行われる。智紀とガルシアは工場の部隊に、ラナはロングアーチでスキルを使ったサポートに周った。

現在彼らは倉庫の裏手の扉の前にいた。この倉庫街の構造は倉庫同士が密着し横から入れないため港側の大きな搬入口か、裏手にある事務所のようなところから入るルートしかないのだ。切り込み隊長を智紀が勤め、後続にガルシアを含めた仲間3人が侵入するという布陣である。智紀が手でカウントを取り、ドアをぶち破り速攻を仕掛ける。中では搬入口ですでに始まっていた戦闘に気を取られ、そちらに応戦に行こうとしていた男たち5人ほどが、武装の準備をしている最中だった。

 

「管理局だ。お縄につけや!」

 

そう言いながら拳銃を構えようとした1番手前の男の顎に右掌底くらわし、一撃で昏倒させる。そしてガルシアが2人に肉薄し一瞬のうちに斬り捨て、残り二人を魔導師である二人が魔法弾で気絶させる。

 

「うし、さっさと地下に行くぞ」

「ちょっと待ってくれ」

 

智紀がそういい倉庫内に続くドアを凝視する。すると蛍のように淡く発行する。

 

「よし誰もいない。行こう」

 

彼の目は義眼である。しかもただの義眼ではなく索敵や透視機能など多機能な一品なのだ。皆が無人である通路を進み、地下に続く階段のそばまで来ると近くに3人戦闘員の姿を確認した。そこで智紀は仲間に提案をする。

 

「みんな暗所での戦闘経験はあるか?」

「俺は問題ねえ」

「すみません自分暗所は・・・」

「私は魔法で視覚強化と聴覚強化ができるので大丈夫です」

 

そしてラナに通信を入れだした

 

「ラナ。階段のすぐそばにいる連中がわかるか?」

『はいはーい、ばっちり見えてますよー』

「今からここの電気を落としれくれ」

『りょーかいです』

 

今彼女は自らのレアスキルで船と倉庫内のシステムを全てその手中に収めている。全ての監視カメラの映像も見ることが出来るし、電子ロックであればどの鍵も無力化し扉を開けることができる状態なのだ。その力で通路の明かりを落とす。無論予備電源など発動しない。

 

「うわ!どうし、グッ!?」

 

暗くなった瞬間、三人はそれぞれ相手の無力化を図り、ガルシアと女性隊員は自分の得物で昏倒させ、智紀はチョークスリーパーで締め落とす。

 

「うし、オーケーだ。ラナ」

『はい』

 

明かりがつくとそこには倒れ地面にキスしている、男3人が転がっていた。

 

「じゃあ次だ」

 

足早に階段を下りていく。事前にラナから提供された見取り図から監禁場所がわかっているため迷うこともなくラナが余計な通路や部屋を隔壁、ロックでもって封鎖し、監禁部屋まで一直線で進む。たどり着き部屋に入ると、全裸で頭に袋を被せられ椅子に手足を縛り付けられ、点滴をされている男性がいた。拷問を受けたようでいたる所に傷がついていてとても痛々しい。全員一瞬言葉を失った。

 

「クッ、こいつはひでぇ」

「安心してくれ俺たちは管理局だ。助けに来た。」

 

そういいながら布を取り、拘束しているバンドを外す。男性は憔悴しきっていたが、まだなんとか意識を保っていた。

 

「あ、あ、ありがとう……本当に助かった……」

「ああもう大丈夫だ。君、たしか治癒の魔法できるよな?」

「はい大丈夫です」

「よし、こちら救助班。要救助者確保」

 

智紀は歩けそうに無い男性と男性局員を能力で浮かし、治癒に専念させ、ゲンヤに通信を入れながら施設からの脱出しようとする。階段まではそう遠くない。

 

『よし、そちらに援護をまわすからそいつらと合流して…ん?どうしたラナ…お前らそこを離れろ!!』

「は?・・・!!!」

 

その瞬間左の壁が爆発し、容赦の無い爆風と破片が襲う。智紀と女性局員がとっさに重力障壁と魔法障壁を張り、被害を最小限に抑えたが全ての衝撃は殺し切れず、衝撃波が全員を襲う。

 

「グアア!?」

「くうう!?」

 

粉塵が舞い視界が閉ざれる。すぐに智紀が重力を操作し粉塵の霧を吹き飛ばす。

 

「(この臭いC-4に似てるな)ッ、くるぞ!!」

 

すると二人の男がこちらに距離を詰めてきていた。智紀が右の、ガルシアが左の男に応戦する。右の男は智紀の当身を右に回避し距離を開け、階段を背にゆらりと立ち此方を見据える。左の男はガルシアの剣の一撃を受け後方に下がる。

 

「ほう、爆発ならまだしもこちらの不意打ちは成功したと思ったんだがなぁ。やるじゃないか」

「生憎眼がいいんだ」

「へぇ面白いなあんた。俺は耳のほうがいいんだ。それにしても驚いたぜ、いきなり隔壁が降りて閉じこまれたときは」

 

するとガルシアが気づいたようにつぶやく。

 

「こいつらどっかで見たことあると思ったら前に見た指名手配書の中にいたな、二人組みの殺し屋みたいなの。名前は忘れたが」

「たしかアカヌ・ナカルって言ったはずです。フリーランスの何でも屋みたいなやつらです」

「ほうあんたら俺らを知ってるのか。俺たちも有名になったなぁ」

 

ガルシアが対立する男がクツクツと笑う。二人とも魔導師のようでどちらも片刃剣のアームドデバイスを持っていた。

 

「ゲンヤさんどうやら指名手配犯を用心棒に雇っていたらしい。交戦するから要救助者のために応援をよこしてください」

『了解した。すぐに応援をまわす。死ぬなよ』

 

そのまま念話を終了した

 

 

智紀side

 

「三人共じっとしていてくれ」

「え、それはどうゆう・・・」

 

また戦闘が開始された。ガルシアは爆破され繋がった通路のほうに、智紀は階段を背に立つ男に向かっていく。智紀は左腕を盾に男の剣を受け止め、能力を使い男を天井に貼り付ける。

 

「グッ!?」

 

その隙にさらに能力を使い、固まっている三人を階段まで飛ばす。

 

「あとはよろしく!」

「は、はい!」

 

男性職員が満身創痍の男性を背負い、女性局員が護衛しながら足早に階段を上がっていく。すると天井に張り付いていた男が魔法を使い下からの重力を何も感じないかのように浮かぶ。

 

「重力系のレアスキルか。本当にレアだなそれ」

「お前空戦魔導師だったのか」

「そうだな。本業はそっちだ」

「(強いなこいつ。ランクAは行ってるかもな)」

 

相手は魔法障壁を張り、空中に浮いている。下から上という異常な力の向きを受けながら。

 

「それにしてもお前のその左腕はなんだ?バリアジャケットでもないのに、殺傷設定にしてて斬れないってのはおかしいぞ?」

「チョイと特別製なんだ気にすんなっ!」

 

会話の終了とともに戦闘を再開する。智紀が重力付加を解き男が地面に着地したところに接近する。それに合わせ男が魔法で斬撃をいくつか飛ばし、自らも斬りかかる。斬撃を紙一重で回避し、振り下ろされる相手の剣を左手で掴もうするが、予想していたかのように斬り返し智紀の右胴を斬りにかかる。それを智明は右肘と膝でもって挟み剣を止め、剣を左手で叩き折ろうとする。すると男は剣を手放し一瞬で拳打と蹴りのコンビネーションに入った。魔力の強化も入っているのか強力な攻撃を左手だけでは捌ききれず、刺さるような蹴りが腹部に入り、拘束の緩んだ剣を掴み取り横なぎに振るいさらに足封じにと左足をも斬る。全ての攻撃をとっさに体をひねることで致命傷は避けたが、左脇腹と右胸部にダメージを負い、左足は義足なので事なきを得た。

 

「ッ!?」

 

智紀はすぐさま頭を切り替え、両手を構えずにだらりとさげ、右足を半歩さげ半身になって構える。

 

「ち、足にもなんか仕込んでやがんのか。おい、どうした管理局そんなもんか?だったらもう死ね」

 

男は次の攻撃に移っている。剣を八双に構えこちらに肉薄してくる。男は手負いの相手に油断するような三流ではない。剣に大きな魔力を通し確実に命を刈り取りに来る。今の彼の剣は鋼だろうが意図も簡単に切断してしまうほどの切れ味を持っているのだ。しかし彼はミスをした。それは相手の左腕、左足にただ装甲が仕込んであるだけで生身であると勘違いしてしまったことだった。剣を上から驚異的なスピードで振り下ろす。それに合わせるように左掌を上に向け、剣を受け止めるような姿勢になる。この時彼は自分の勝利を確信した。しかし一瞬でその予想は覆った。

 

ヴォン

 

不思議な音が聞こえた瞬間、男の右側頭部に激しい衝撃が襲う。

 

「ガァッ!?(いったい何が!?)」

 

まったく何が起こったか解らなかった。見切りは得意であったし、今はバリアジャケットや魔法のおかげで、魔法の使えない奴の無手の攻撃でどうにかなるような、柔な防御力はしてなかったし、重力のスキルを使用した不快感もなかった。気が付けば剣まで粉々に砕け、男は完全に意識も精神も混乱していた。そして一つのミスに気づいた。

 

「(なんだよその腕と足・・・)」

 

技の衝撃で左腕がノースリーブのようになり、左足はズボン膝の部分からビリビリに破けてその正体が顕わとなった。唯一わかったのは、どちらも人の体色をしていなかったということだけだった。智紀が男の意識が混濁している、その隙を見逃すことなどあるはずもなく、あっけなく男は気絶させられた。

先ほど何があったのか。智紀はそのまま剣を左手でたしかに受けた。しかしそれを右に流すようにいなす。そしてそのまま剣を支点にしてとんでもなく速い身体操作で飛び上がりながら左の膝蹴りと左手からある技を放った。

 

『周破衝拳』〈ヘルツェアハオエン〉

 

振動波を放ち内部から物体を破壊する技である。それにより魔力強化された剣を破壊したのだ。

 

「痛-なチクショウ。おっさん大丈夫かなー」

 

痛みに少々顔をしかめながら、戦っているのであろう仲間の安否を気にする。こちらまで剣戟の音が聞こえてくる。

 

 

 

 

ガルシアside

智紀が戦闘を終了させた一撃を放った時、戦闘は丁度膠着していた。お互い付かず離れずの絶妙な間合いで立ち、一歩でも無用心に踏み込めばその瞬間斬られるという緊張感が伝わってくる。

 

「フッ!!」

「ッ!!」

 

二人が一瞬で間合いを詰める。男が剣を振りかぶりガルシアが下段から男の剣をすり上げそのままを斬ろうとする。しかし男はそれを何とか剣で受け止めそのまま鍔迫り合いになってしまった。

 

「ヒヤッとしたぜ。ゾクゾクするなぁおっさん!!」

「ちょっと気持ち悪いからやめてくんない?あとおっさん言うな!!」

 

この状態はガルシアにとってあまり好ましい状態ではなかった。ガルシアの得物は打刀と同じもので、向こうはカットラスのようなもので激しい打ち合いに適したものである。それに加え相手のほうが力は上のようで、圧力がすさまじい。ここで男がガルシアを押し飛ばし、頭部を割ろうと剣を振る。それを冷静に受け巻き返しながら踏み込み打ち返す。このような攻防がさっきから何度も続いていた。

 

「そろそろめんどくせぇなぁ、オラァ!!」

 

男がそういうと魔力で作られたナイフのようなものが無数に飛んできた。

 

「マジか!?」

 

それを何とか体捌きや刀で防ぐが何発か肩や足に刺り、溶けるように消えていった。

 

「やってくれるな・・・」

「楽しかったぜ、じゃあなおっさん」

 

そういいながら右袈裟を切り裂こうと剣を振る。魔力による身体強化によりその速度はまさに一瞬。だがそのときガルシアの口角が上がる。刀でもって男の剣を下から叩き上げるように振るが、剣と接触した瞬間に力を抜き、上から剣をはたき落とすようにいなす。そして怪我を負っているとは思えない身のこなしで間合いを詰め、顔めがけて刀を振る。

 

「ウォ!?」

「お前の剣は我流か?」

 

先ほどとは打って変わりガルシアが目にも留まらぬ怒涛の攻めをしている。それにより男は受けに周らざるならなくなり、さっきとはまったく違う様子の相手に気圧され、背筋から悪寒がした。

 

「そうだがそれがどうした!」

「やり難くてしょうがなかったからな。それにまだまだ基本がなってねぇ」

 

そう言うと男は腹を立てたのか、無言のままガルシアを力任せに弾き飛ばし、自分の番だと言うが如く左袈裟に強烈な、それでいて隙の無い剣を振るう。それに合わせガルシアも左袈裟、それにプラスして互いの正中線が合わさる立ち位置で相手の剣の柄に近い部分に強打させる。それに伴い相手の剣が一時的に止まり、一瞬の隙が生まれる。そこに容赦なく斬り込んだ。それは男から見たら、剣を受け止められた瞬間、刀がすり抜けでもしてきたのかと勘違いしてしまうほどの剣速だった。

 

「基本がまともに出来りゃこんぐれーの事はだれでも出来るようになる。お前は俺より才能がありそうだが、その他が足らなすぎだな」

 

ガルシアはそのまま伸びてしまった男にそう告げ、錠のようなものを手につける。これで地下施設での戦いは終わった。

 

 

Side out

 

 

 

その後各管理局員の奮闘もあり、組織の施設2箇所の同時摘発は2時間後に無事作戦完了となった。今回管理局側において軽傷者は多数いたが、重傷者6名、死者0名と損害は最小限に抑えられ、人質の救出に加えアジトと武器製造施設の摘発と組員の捕縛、おまけに指名手配犯の逮捕という文句の無い結果となった。朝にはもうマスコミに嗅ぎ付けられたため報道され、ワイドショーの一面を飾っていた(主に陸士108部隊)。その次の日には記者会見が開かれ、323部隊代表としてクリアが出席したが、これといって特別目立つといったことは無く終わった。夜には協力部隊同士での飲み会が開催され、智紀はゲンヤさんから娘たちの話しを永延と聞かされ続けていた。そして翌日にはいつもの業務に戻っていった。そんなある日。

 

「これはどういうことかしら?」

「そのまんまの意味です」

 

ユキナやフレッドが先に帰り、帰宅ムードが高まっていたこの時、クリアのデスクの前に智弘、ガルシア、ラナが立っていた。みんないい笑顔で休暇の申請書を出していた。

 

「でもちょっと今他所からの仕事が溜まってきてて大変っていうかさ・・・」

「一週間、事件現場走りまくったの疲れたな~。なぁラナ」

「そうですね~。1日に何回も能力使ったから疲れましたね~」

「・・・この前の協力要請の件、自分ら知ってるんでいいですよね?少しくらい休暇とっても。ここに証拠の108部隊とのやり取りが書いてある資料があるんで、どうぞ確かめてください」

 

そういって智紀が紙束をクリアに渡す(ゲンヤさんに頼み用意してもらった)。それを悪戯がバレた子供のような顔でクリアが受け取った。

 

「他の二人に言わなくていいの?」

「5人一斉に申請したらクリアさん絶対許可しないじゃないですか!」

 

ラナが少し黒いこと言う。

 

「それに『休暇が欲しけりゃ賢くなれ』って言ったのアンタだしな」

 

ガルシアが追撃する。

 

「というわけで明日から数日間休暇をいただきます。じゃあお疲れ様でした」

 

そして3人は一緒にうまい物を食べに帰っていった。

 

「私も行くから待ってー!」

 

結局この日は部隊長の奢りとなった。翌日仕事場に来たフレッドとユキナがすべての経緯を聞き怒り狂ったのは言うまでもない。結局彼らも休んだ3人と部隊長からなにか奢って貰い、少ないながらも休日を得ることで和解となった。

 

今日も323部隊は忙しい。

 




『ペラブハン陸上警備隊隊長アメリア一等陸尉』
お巡りさんみたいなの欲しいなと思い作ってしまった。陸上警備隊ってのは実際に原作にあります。覚えてなかったけど。

『アカヌ・ナカル』
インドネシア語で悪童という意味。

『周破衝拳』〈ヘルツェアハオエン〉
銃夢という漫画の主人公が使う代表的な技。
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